フォーカス台湾 日本語版
中華民国外交部(日本の外務省に相当)はこれを受けて19日にプレスリリースを発表した。以下、内容の要約。
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欧州議会の議員たちが再び党派を超えて、中国の圧力に抵抗するリトアニアにエールを送ったことに対し、中華民国外交部は心からの謝意を表明する。欧州議会の議員たちは昨年9月3日にもリトアニア政府上層部に宛てた連名書簡でリトアニア支持と中国の「脅迫外交」への反対を表明している。
この連名書簡で議員たちは、中国の政府関係者がリトアニア製及びリトアニアの原材料を含む製品に対して実際の制裁行動をとったことは極めて悪辣であり、これは世界貿易機関(WTO)のルールと国際貿易秩序に違反するのみならず、EUを単一の市場とする根本的な原則に直接背くものだと指摘している。書簡ではまた、中国のEU加盟国に対する脅迫行為は初めてのことではなく、チェコのミロシュ・ビストルチル(Miloš Vystrčil)上院議長が台湾を訪問したことで大きな圧力を受けたことやその他多くの事例が中国の不当な圧力を証明していると説明した。連署した議員たちは、EU加盟国は国家利益ならびに共有する民主・人権の価値に基づき台湾との関係発展を決定しているのであり、それによって他国から脅迫されるべきではないと主張。議員たちはまた、リトアニアと台湾が先ごろ代表処の相互設置を決めたことは「一つの中国」政策に挑戦するものではなく、それは欧州議会が昨年10月21日に可決した「EUと台湾の政治関係と協力(EU-Taiwan Political Relations and Cooperation)」のレポートで確認済みのことだと指摘した。
この連名書簡が欧州議会における五大主流会派、18の加盟国の大物議員の賛同を得ていることは、中国の横暴な圧力への抵抗はヨーロッパにおいて国籍や党派を超えたコンセンサスになっていることを示す。台湾はリトアニアと理念で結び付く友好的なパートナーとして、引き続き双方の実質的な連携を深めていく。我が国はEUをはじめとする理念の近い世界のパートナーたちに対し、具体的な行動でリトアニアを支持し、サプライチェーンの安全と自由で民主的な市場経済メカニズムを守り、一丸となって全世界の民主主義陣営の守る核心的な価値をより強固にしていくよう呼びかける。
【私の論評】米国、欧州の現状を把握できない、頭が30年前のままの岸田政権につける薬はない(゚д゚)!
中国は同8月、駐リトアニア大使の召還を決め、同11月に台湾の代表機関「駐リトアニア台湾代表処」がリトアニアの首都ビリニュスに設置されると、リトアニアの外交関係を「代理大使級」に格下げしました。
また、リトアニア製の商品が中国の通関で足止めするなど、経済的圧力を強めています。たとえばリトアニアのビールメーカー、ヴォルファスエンゲルマンは昨年秋、中国からの注文を全てキャンセルされました。
リトアニアのビールメーカー、ヴォルファスエンゲルマンのCEO、Marius Horbačauskas氏 |
一方で、昨年の台湾市場の販売量は前年比23倍に達し、急成長を遂げました。同社の責任者は中央社の取材に対し、「愛は相互的でなければならない」と話し、台湾からの愛がより多いのであれば「そこになぜ注力しないのか」と台湾市場に力を入れる姿勢を示しました。
このブログにも掲載したように、台湾煙酒は3日、中国の港で足止めされて行き場を失っていたリトアニア産のラム酒約2万400本を買い取ったと発表し、台湾の消費者に対し、リトアニアへの応援を呼び掛けるという出来事がありました。
これ以前にも、オーストラリア産ワインに不当廉売があったとして難癖をつけ、2021年から懲罰的な関税の上乗せを行っています。
何というか、中国はこのような姑息な真似をしていますが、このような行為はますます世界から反発を招いているようです。
米国は以前から、議会が超党派で中国に対しては厳しい態度をとるようになり、それに引っ張られる形でバイデン政権も厳しい態度をとっていることは昨日もこのブログで述べたばかりです。
「多くのアジアのパートナーが我々の見方を共有しているのを知っている」。EUのミシェル大統領は同月25日、オンラインでの演説で普遍的な民主的権利や基本的な自由に基づいて協力を深めようと呼びかけました。インフラ支援での「透明性」やルールに基づく国際秩序の重視を訴え、名指しはしなかったものの、強権的な対応や従来のルールを軽視した動きが目立つ中国をけん制しました。
経済関係を柱に密接な関係を築いてきた中国と欧州の関係が揺らぎ始めたのは、中国の強権的な対応が目立ち始めてからです。香港では自治や表現の自由などが強く制限され、中国・新疆ウイグル自治区での人権問題が浮かび上がりました。
昨年3月には少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害に当たるとして約30年ぶりの対中制裁に踏み切りました。最早中国の振る舞いに目をそらして経済的な利益を追い求めるわけにはいかないのでしょう。
EUの欧州委員会が11月23日公表した報告書によりますと、2020年の中国によるEU企業のM&A(合併・買収)件数は前年に比べ63%落ち込みました。欧州委は新型コロナウイルス禍に加え、EUと加盟国が買収規制を強化したためとみています。
EU加盟国は東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなどとの関係を深める方向に傾いています。フランスのルドリアン外相とインドネシアのルトノ外相は24日、インドネシアの首都ジャカルタで会談し、両国の防衛協力の強化に向け22年に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を始めることで合意しました。フランスは22年上半期にEU議長国として「インド太平洋地域との関係強化が優先事項になる」(ルドリアン氏)との立場も表明しました。
EUはインドとの自由貿易協定(FTA)交渉を年内にも再開したい一方、大筋合意した中国との投資協定案の批准手続きを事実上棚上げしました。加えて安全保障・経済両面から台湾との関係強化に動いています。ロイター通信によると、台湾高官は11月25日、チェコなど東欧3カ国と半導体での協力を検討していると明らかにしました。フランス下院は11月29日、世界保健機関(WHO)など国際機関への台湾の参加を支持する決議を採択しました。
欧州議会の議員41名がEUに中国の脅迫に抵抗するリトアニア支持呼びかけは、上記のような背景のもとに行われたものです。
今後、人権や自由を基調とし、自由に伴う責任を重視する欧州では、最早中国の振る舞いに目をそらして経済的な利益を追い求めることが許されることはないでしょう。中国共産党の無責任な自由を許容しないでしょう。
台湾は中国から一方的に攻撃を受けているわけではありません。半導体の分野では、反撃に転じつつあります。世界のファウンドリー(実際に半導体チップを生産する工場)業界では、TSMCが54%、韓国のサムスン電子が17%程度のシェアを持っています。
バイデン政権は、台湾当局や半導体ファウンドリー(受託製造企業)最大手であるTSMC(台湾積体電路製造)との関係強化に動き始めました。また、同政権は半導体製造機械と、半導体素材てはトップシェアである、わが国の半導体産業へも秋波を送っているといわれています。
半導体の確保に向けてバイデン政権が、ファウンドリー事業の強化に取り組む韓国のサムスン電子を無視して、台湾のTSMCを重視する背景には、北朝鮮などに関する文氏の政策への不安や中国との関係に疑念を抱いているからでしょう。
半導体設計に優れた米国が、半導体製造機械、半導体素材、半導体ファンドリーを押さえてしまえば、中国が現在の最高品質の半導体や次世代の半導体を使えなくすることができます。米国は、中国が人権侵害を継続たり、台湾や香港に対する態度を変えなかったり、WTO規約を今後も無視し続ける場合、中国に対する半導体禁輸に踏み切るでしょう。
現在では、ありとあらゆる機器、機械、車両などに半導体が用いられています。新しい半導体を内製できない中国が新しい、性能の良い半導体を手に入れることができなければ、中国の産業競争力は地に落ちることになります。岸田政権がそのときにも中国に配慮をみせるようなことをすれば、バイデンは日本を制裁対象にするかもしれません。
そうして、基軸通貨であるドルを自国通貨とし、米国は、実質的に世界金融を牛耳っています。軍事力でも、金融と半導体でも負ける中国は、どう考えても新冷戦に勝つことはできません。
そもそも、中国が米国に新冷戦に向かわせるように結果として仕向けたことが間違いです。仮に現在の中共の立場にたったとしても、中国にとって都合の良い世界秩序を樹立しようとするなら、現体制は維持しつつも後20年くらいは大人しくして日米や欧州に歩調をあわせるようにして、産業力、軍事力をつけ国力を増し、その後に世界秩序の改変に臨むべきでした。そうすれば、チャンスがあったかもしれません。しかし、現状ではもう手遅れです。
世界中が中国のその魂胆を見透かし、それにブレーキをかけようとしています。特に、中国のような暗黒社会になることを嫌がる西欧諸国や他の台湾を含めた民主国はそうです。
このような状況のなか、中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害行為を非難する国会決議について、自民党は2月1日にも採択する方向で各党と調整に入りました。決議は昨年、複数の超党派国会議員連盟が各党に働きかけたのですが、自民、公明両党が難色を示し、2度も採択が見送られました。北京冬季五輪(2月4日開幕)前に、意思表示できるのかどうかさえ疑わしいです。
自民幹部は19日、国会内で立憲民主党、日本維新の会の幹部らと面会し、決議案文を示したうえで採択の日程などについても協議しました。早期決議を求める声は与野党にあり、今国会の焦点の1つとなっています。
決議案は昨年末の自公間での修正協議で、当初案にあった「人権侵害」が「人権状況」に変わり、「非難決議案」から「非難」の2文字が削除されました。「中国」という国名もなく、対中非難としては不十分です。
自民幹部は19日、国会内で立憲民主党、日本維新の会の幹部らと面会し、決議案文を示したうえで採択の日程などについても協議しました。早期決議を求める声は与野党にあり、今国会の焦点の1つとなっています。
決議案は昨年末の自公間での修正協議で、当初案にあった「人権侵害」が「人権状況」に変わり、「非難決議案」から「非難」の2文字が削除されました。「中国」という国名もなく、対中非難としては不十分です。
このような状況の中、中国との関係を配慮する姿勢を見せ続ける岸田政権につける薬はないかもしれません。岸田首相や、主な閣僚、とりまきたちの頭の中は30年前のままなのでしょう。
30年前から変わっていないのは、日本人の賃金だけです。30年前の頭と同じ岸田政権が、そのことに気づけば良いですが、そのことには気づいていないようです。それ以外は、世界情勢も何もかも随分変わっています。それに気づけない政権が長続きしてはいけないです。
岸田暫定政権として、安倍・菅両政権の政策をそのまま継続し、短期でそのまま大人しく終えてくれれば、それで良いです。何か岸田カラーを出そうとすれば、日本だけではなく自民党を毀損することになると思います。
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