2022年5月9日月曜日

首相、G7結束優先 石油禁輸、慎重姿勢を転換―【私の論評】ロシア制裁は結構だが、岸田首相によって日本のエネルギー政策がさらに狂ってしまうことにも(゚д゚)!

首相、G7結束優先 石油禁輸、慎重姿勢を転換

記者団の取材に応じる岸田文雄首相=9日午前、首相官邸

 岸田文雄首相が9日にロシア産石油の輸入を原則禁止すると表明したのは、先進7カ国(G7)など欧米諸国との結束を優先したためだ。政府はこれまでエネルギー安全保障を重視し、石油などの禁輸には慎重だったが、ロシアへの制裁の実効性を高めるため、踏み込んだ措置を取る。

 「G7の結束を示すことが最も重要だ」

 首相は6日までの東南アジア、欧州訪問中、G7でロシア産石油の輸入禁止に踏み切る案が出ているとの報告を受けると、こう指示を出した。

 欧州連合(EU)ではフォンデアライエン欧州委員長が4日、石油の禁輸を提案したが、その時点で加盟国の調整は済んでいなかった。首相周辺は「G7としてもある種の見切り発車だったが、首相が大局的に判断した」と解説する。

 政府は4月にロシア産石炭の輸入禁止を決めたが、石油や天然ガスの禁輸には消極的だった。日本は米国などと異なり資源輸入国で、エネルギー安保の面でも調達先を中東依存から多様化することが欠かせない。一方、ロシア以外からの調達により価格が上昇すれば、国民生活や経済活動にも影響するためだ。

 もっとも今回のG7の決定は石油の禁輸時期までは明示せず、首相も「時間をかけ、フェーズアウトのステップを取っていく」とした。「各国が輸入を禁止するより、石油の市場価格が下がる方がロシアには痛手になる」(政府関係者)との声もあり、日本としてもより効果的な制裁を科していく必要がある。

【私の論評】ロシア制裁は結構だが、岸田首相によって日本のエネルギー政策がさらに狂ってしまうことにも(゚д゚)!

以前このブログでも掲載したように、石油のロシアからの禁輸措置はかなりロシアにとって痛手です。以下にそれを引用します。
ロシアのプーチン大統領の経済問題担当首席顧問を以前務めたアンドレイ・イラリオノフ氏は17日までに、西側諸国がロシア産原油の全面的な禁輸に踏み込んだ場合、ウクライナでの戦闘を即座に終結させ得るとの見解を明らかにしました。
同氏は英BBC放送の最近の取材に、「本当の意味での禁輸」を仕掛ければ、ウクライナでの軍事作戦は恐らく、「1、2カ月」で止まるだろうとも述べていました。

イラリオノフ氏はCNNのの取材に、全面的な禁輸発動について「クレムリンの政策決定過程に影響力をもたらす、非軍事面で極めて重要な対応策」と強調しました。

その理由は非常に単純とし、「現段階でロシアが原油や天然ガスの輸出で稼ぐ収益はロシアの全ての歳入の約4割を占めるとみなされる」と指摘。「連邦予算の編成では多分、全ての歳入源の6割近くまで達する」と指摘しました。

同氏は、これら歳入がロシアのエネルギー輸出に対する全面的な禁輸で相当な規模で減らされたとしても、「中国に加えほかの小規模な輸入国が一部おり、我々は全面的な禁輸ではあり得ないと考えるだろう」とも説明しました。それでも、ロシア産のエネルギー源の大手の輸入国の大半に影響を与えることにはなるとしました。

また、ロシアが経済制裁を受けて金融市場を利用出来ず、ロシア中央銀行の外貨準備高が凍結されている現状を踏まえ、プーチン政権は財政支出を賄う財源を持っていないとも説明。「全ての支出額が40~50%削られ、この圧縮幅は1990年代にも見られなかった水準になる」としました。

同氏はこれらの考察を踏まえ、プーチン政権は軍事作戦を止め、ウクライナとの間で何らかの停戦の枠組みや交渉を模索する局面に追い込まれるだろうとも予測しました。

これだけ効き目があるのですから、 G7が禁輸しようとするのも当然といえば、当然です。G7はそれぞれインテリジェンスを持っていますら、これがいかに効き目があるのか、理解しているのでしょう。

岸田首相もようやっと重い腰をあげたようですが、次の段階ではためらわず、動かせる原発を稼働させるべきでしょう。

間違っても太陽光発電などを増やすべきではありません。下のグラフを御覧ください。


太陽光発電用パネルの世界シェアをご存知でしょうか。2006年までは日本の独壇場でシャープ、京セラ、パナソニック、三菱電機などが名を連ねていましたが現在は違います。日本が国を挙げて大規模太陽光発電事業をやればやるほど、中国を利する流れになっています。

そうして、現在のようになぜ中国の独壇場になっているかといえば、新疆ウイグル自治区においてウィグル族の強制労働によってつくられ低価格を実現しているからです。

さらに悪いことに、太陽光パネルは、現行の技術では処分できません。太陽光パネルには、カドニウム、鉛、ヒ素、ポリシリコンなど様々な猛毒性の物質が使われています。最終処分が困難で、再利用もできず産業廃棄物になるだけです。こんなものに再エネ賦課金が使われているのです。これは、即刻廃止すべきです。

エネルギー価格をおさえるためには、まずは原発を稼働させるべきですが、岸田首相は、脱炭素に150兆円投資で資産所得倍増計画を発表しています。『脱炭素』は日本の基幹産業である内燃機関を持つ自動車産業を捨てることを意味します。その代わり、世界シェア80%のサプライチェーンを持つ中国製の太陽光パネルやEV電池に頼る未来を描くことになります。

産経新聞は、日本の洋上風力発電事業への中国侵略を報道しました。再生可能エネルギーブームの中、今度は中国大手・明陽智能が富山県入善町で風車3基受注。発電業者は設置海域の風力や海流などデータ収集可能になります。安全保障上の重要情報が筒抜けになります。太陽光発電に続き、陸も海も丸裸です。あり得ないです。

秋田港湾に建設が進む洋上風力発電=秋田市

まさに岸田首相「亡国首相」と言っても良いくらいです。おそらくエネルギーについて何も分かっていないのでしょう。経済については、岸田首相の無理解ぶりをこのブログでは何度か掲載してきましたが、エネルギー政策でもまるで無理解です。

ロシアを制裁されて、弱体化したとしても、それは自業自得ですが、その制裁によって、日本のエネルギー政策がますます狂ってしまえば、日本にとっては無意味です。日本が弱体化してしまえば、ロシアを利することになり、日本の制裁は無意味となります。やはり岸田政権は短期で終わらせるべきです。

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