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政衆院予算委で立憲民主党の泉健太代表の質問に答弁する岸田文雄首相=26日午後、国会・衆院第1委員室 |
5月26日の衆院予算委員会で、立憲民主党の泉健太代表が「物価高を止めるという意味では金利を少し引き上げることも選択肢に入れるべきではないか」と質問した。
金融政策の鉄則として「ビハインド・ザ・カーブ」というものがある。インフレ(物価上昇)に対して意図的に利上げのタイミングを遅らせることだ。逆にいえば、物価の上昇を先取りする予防的な利上げは行わないという伝統手法だ。
米国で実際に行われたので、米国のインフレ率の推移を見ておこう。全体の消費者物価指数の対前年同月比は、今年1月が7・5%、2月は7・9%、3月は8・5%、4月は8・3%だった。エネルギーと食品を除く指数は1月が6・0%、2月が6・4%、3月が6・5%、4月が6・2%だった。
米国は政策金利を3月中旬に「0・0~0・25%」から「0・25~0・5%」へ、5月上旬にはさらに「0・75~1・0%」へと引き上げた。米国で利上げに転じたのは、全体のインフレ率が8・5%、食品・エネルギーを除くインフレ率が6・5%になってからだ。
翻って、日本ではどうか。4月の消費者物価総合は前年同月比2・5%、生鮮食品・エネルギーを除く総合で0・8%だ。これらが米国並みに8%台と6%台となれば、さすがに利上げを考えるべきだが、当分その気配もない。というのは、日本では、GDPギャップ(総供給と総需要の差)が30兆円以上もあると考えられるので、多くの業界で需要不足である。そのため、原材料・エネルギー価格が上昇しても十分に転嫁できず、インフレ率が高騰するような状況ではないからだ。
この状況で、もし万が一利上げしたら、設備投資などの需要がさらに落ち込み、GDPギャップはさらに拡大する。GDPギャップが拡大すると、半年後くらいに失業率が高くなるだろう。と同時に、インフレ率は下がり、下手をするとデフレに逆戻りになる。また、利上げは円高要因になるが、それはGDPを減少させ、雇用も失うことになるだろう。
これは経済協力開発機構(OECD)の計量モデルでも確認できる。日本が金利を1%上昇させると、1~3年間でGDPは0・2%低下、インフレ率も0・1%程度低下する。
日本の内閣府の計量モデル(2018年度版)では、短期金利を1%上昇させると、1~3年間でGDPは0・12~0・23%低下、消費者物価は0・02~0・06%低下、失業率は0・01~0・03%上昇と試算される。GDPギャップは0・11~0・17%拡大する。
かつて、筆者はテレビ討論番組で興味深い体験をした。一緒に出ていた民主党(当時)の枝野幸男氏が「金利を上げた方が経済成長する」という独自の論を展開し、「テレビで言わないほうがいい」と諭したのだ。
野党の経済政策が頼りないのは、こうした間違いを平気で言うからだ。安全保障は「お花畑論」、経済政策も真逆という的外れの野党がいるおかげで、自民党は楽に参院選を戦えるのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
金融政策の鉄則として「ビハインド・ザ・カーブ」というものがある。インフレ(物価上昇)に対して意図的に利上げのタイミングを遅らせることだ。逆にいえば、物価の上昇を先取りする予防的な利上げは行わないという伝統手法だ。
米国で実際に行われたので、米国のインフレ率の推移を見ておこう。全体の消費者物価指数の対前年同月比は、今年1月が7・5%、2月は7・9%、3月は8・5%、4月は8・3%だった。エネルギーと食品を除く指数は1月が6・0%、2月が6・4%、3月が6・5%、4月が6・2%だった。
米国は政策金利を3月中旬に「0・0~0・25%」から「0・25~0・5%」へ、5月上旬にはさらに「0・75~1・0%」へと引き上げた。米国で利上げに転じたのは、全体のインフレ率が8・5%、食品・エネルギーを除くインフレ率が6・5%になってからだ。
翻って、日本ではどうか。4月の消費者物価総合は前年同月比2・5%、生鮮食品・エネルギーを除く総合で0・8%だ。これらが米国並みに8%台と6%台となれば、さすがに利上げを考えるべきだが、当分その気配もない。というのは、日本では、GDPギャップ(総供給と総需要の差)が30兆円以上もあると考えられるので、多くの業界で需要不足である。そのため、原材料・エネルギー価格が上昇しても十分に転嫁できず、インフレ率が高騰するような状況ではないからだ。
この状況で、もし万が一利上げしたら、設備投資などの需要がさらに落ち込み、GDPギャップはさらに拡大する。GDPギャップが拡大すると、半年後くらいに失業率が高くなるだろう。と同時に、インフレ率は下がり、下手をするとデフレに逆戻りになる。また、利上げは円高要因になるが、それはGDPを減少させ、雇用も失うことになるだろう。
これは経済協力開発機構(OECD)の計量モデルでも確認できる。日本が金利を1%上昇させると、1~3年間でGDPは0・2%低下、インフレ率も0・1%程度低下する。
日本の内閣府の計量モデル(2018年度版)では、短期金利を1%上昇させると、1~3年間でGDPは0・12~0・23%低下、消費者物価は0・02~0・06%低下、失業率は0・01~0・03%上昇と試算される。GDPギャップは0・11~0・17%拡大する。
かつて、筆者はテレビ討論番組で興味深い体験をした。一緒に出ていた民主党(当時)の枝野幸男氏が「金利を上げた方が経済成長する」という独自の論を展開し、「テレビで言わないほうがいい」と諭したのだ。
野党の経済政策が頼りないのは、こうした間違いを平気で言うからだ。安全保障は「お花畑論」、経済政策も真逆という的外れの野党がいるおかげで、自民党は楽に参院選を戦えるのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】参院選では自民が勝利するが、その後には積極財政派に転向するよう緊縮派議員に丁寧に陳情しよう(゚д゚)!
確かに立憲民主党の経済認識は間違っていますし、安保でもお花畑でお話になりません。
ただ、経済の認識ということでは、自民党の大多数の議員も似たりよったりです。ただ、自民党の中には少数ではありますが、正しい経済認識をする人もいます。これが野党との決定的な違いであると思います。
こうしたことを反映してか、参院選の前哨戦ともいわれる選挙で立憲民主党は敗退しています。
今回の知事選の結果が夏の参院選に直結するとは考えにくいです。しかし、影響がまったくないとも言い切れないです。新潟県知事選にあたってNHKが29日に行った出口調査によると、新潟県内の政党支持率は、自民が51%で立民が10%だったのです。
今夏の参議院選挙で、新潟選挙区(改選定数1)は4選を目指す立憲民主党現職の森ゆうこ氏と、自民党新人の小林一大新潟県議との一騎打ちと予想されています。森氏が3選を果たした前回の2016年と2019年と2回連続で野党候補が競り勝っています。
特に森氏の選挙戦は壮絶を極め、自民党候補と森氏との得票数の差はわずか0.2ポイント、票差にして2279票の大激戦でした。そうした記憶も残る中、この政党支持率は森氏にとって衝撃的ではないでしょうか。
森ゆうこ議員 |
参院選は全国45選挙区のうち、32を占める定数1の「1人区」が結果を左右する。前回2019年の参院選では、1人区で自民党が22勝しました。
報道向けのデータ収集を行うJX通信社(東京都千代田区)が4月23~25日に全国約2万7千人を対象に実施した情勢調査によると、1人区の7割超を占める24選挙区で自民候補がリードしていることがわかりました。
報道向けのデータ収集を行うJX通信社(東京都千代田区)が4月23~25日に全国約2万7千人を対象に実施した情勢調査によると、1人区の7割超を占める24選挙区で自民候補がリードしていることがわかりました。
獲得議席予想は自民52〜71、公明10〜15、立憲11〜26、維新10〜21、共産4〜10、国民民主2〜4、れいわ1〜3、社民0〜1などとなってます。
約半数の有権者はまだ態度を明らかにしておらず、各党の候補者擁立も完了していないため情勢は流動的であることが大前提です。しかしこのままいけば、「自民圧勝」が濃厚といえそうです。同社の情勢調査事業責任者でデータアナリストの衛藤健さんは「自民の強さの要因は野党にある」といいます。
「野党の票が割れているのが大きいと見ています。昨年の衆院選で『野党共闘は失敗した』と言われましたが、選挙結果を冷静に分析すると、着実に票の取り込みにつながっていて、実際には成功しています。ただ、立憲・共産両党の底力がそもそも弱くなっているため失敗に見えるのだと思います。今回もある程度候補者を一本化できれば、もっといい勝負ができる選挙区は少なくないでしょう」
衛藤氏は続けてこのようにも語っています。
「現状の支持率は立憲のほうが維新より上ですが、最終的に維新が上回る展開は十分あると思っています。今回の参院選は二大政党の一翼を担ってきた旧民主党系の政党が伸び悩み、野党第1党が維新に変わる転換点になる可能性があります」
その理由は、民主党政権時代の政権担当能力への疑問が払拭されておらず、「立憲は無党派層の支持が弱いから」だといいます。かつては「投票率が下がれば自民党が有利」というのが選挙の常識でしたが、今は様相が異なるようです。
「無党派層からの支持が最も多いのは自民。野党では維新です。投票率が上がれば上がるほど自民党が有利になり、野党だと維新が伸びると見ています」(同)
「自民一強」は岸田内閣の支持率の高さにも表れています。全国平均は48.7%で、不支持率が支持率を上回る選挙区はゼロ。ちなみに全国最高は岸田文雄首相の地元の広島県で69.6%、最低は沖縄県で37.3%でした。
民主党政権というと、あの「一番でないとだめなんですか」という蓮舫議員の言葉で象徴されるように事業仕分けが有名ですが、あの事業仕分けを裏で仕切ったのは財務省です。
野党が政権をとると、いかに善意の野党であったとしても、結果として今の日本では、官僚主導の一方的な政治になってしまうのです。
この日本の政治システムに関しては、以下の渡邉哲也氏のロング・ツイートがかなり平易に解説しています。ぜひご覧になってください。
日本は独裁国家ではありません。日本の国政は行政の長である総理よりも議会の方が強く、総理に関与できる範囲は限られます。逆に地方は首長の力が非常に強く、議会は監視と後承認機関になっています。地方は独裁的な政治を行うことができる仕組みです。
現在、岸田政権において実施される補正予算は2.7兆円に過ぎず、これでは焼け石に水であり、ほとんど対策らしい対策はできないのは目に見えています。
しかし、これは岸田総理が決めているというよりは、自民党党内で緊縮派の勢力が強くそのような結果になっていると見るべきです。
安倍元首相は、マクロ経済に明るい方であり、第二次安倍政権のときには、デフレから完璧に抜けきれていない日本で、消費税増税をするなど夢にも思わなかったでしょうし、絶対にそうしたくなかったでしょうが、結局党内での緊縮派の勢力のほうが強く、結局在任中に2度も消費税増税をせざるを得ませんでした。安倍総理としては、断腸の思いだったことでしょう。
岸田首相も同じような立場にあるのです。しかし、首相がどうであれ、党内で緊縮派の勢いが強ければ、2度にわたる消費税増税が行われてしまうのが日本なのです。もちろんそうした政治風土は変えていかなくてはならないとは思いますが、現実はそうなのです。その現実の中で私達は、政治を変えていかざるを得ないのです。
岸田総理 |
であれば、まともな経済対策を望むなら、積極財政派を自民党内で増やすしかないのです。参院選では1人が、選挙区と比例区(以下、比例代表)の2票を投票することになります。選挙区では、自民党の候補者に入れ、2枚目はの比例代表では、政党名と個人名が書けますが、積極財政派の議員の名前を書くべきです。
そうして、選挙が終わって、自民党が勝利すれば、その後は昨日も述べたように、陳情をすべきです。選挙が終われば、自民緊縮派議員に緊縮ではなく積極財政をすべきという内容で丁寧に陳情すべきです。なぜなら、自民党内で積極財政派を増やしたいなら、もともと積極財政派である人に陳情しても、積極財政派が増えることはないからです。
先にも述べたように、今回の参院選は野党の不甲斐なさで、自民党が勝利を収めそうですが、勝利した後では、緊縮派議員に対して積極的に陳情をすべきです。地元の議員が緊縮派であれば、なんとか会う機会をつくるなり、文書を送るなりして、陳情すべきです。
そうして、陳情するときには、丁寧にすべきです。れいわ新選組の大石晃子議員の首相への発言が話題を呼んでいます。大石氏は1日の衆議院予算委員会で、首相を「資本家の犬、財務省の犬」といった言葉を用いて痛烈に批判しました。このような態度は許されないです。
このようなことをすれば、意味はなく、ただ無礼であるとの印象を相手に与えるだけです。緊縮派の議員には、それなりの背景があってそうなっているのですから、喧嘩腰の陳情をしても逆効果です。国民のためを考えて陳情というのは当然のことですが、それプラス当該議員かが積極財政派に転向することの大きなメリットを訴えることができれば、最高だと思います。
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