●ペロシ氏訪台に反発
訪台したペロシ氏(左)と蔡英文台湾総統 |
アメリカのペロシ氏が台湾を訪問すると知った中国は反発。メディアを使い威勢良く威嚇したがペロシ氏は台湾を訪問。しかもペロシ氏が台湾を出てから中国は威勢良く軍事演習を開始する。
■米軍艦2隻、台湾海峡通過 ペロシ氏の訪問後初
https://www.afpbb.com/articles/-/3421007?cx_part=top_topstory&cx_position=2
アメリカは継続的に軍事行動を行い中国に存在感を見せつける。さらに軍艦2隻を台湾海峡を通過させた。これに中国も反発するが、人民解放軍を使った具体的な対応も見えないし、政治と経済で報復を見せていない。
●面子を潰された習近平
アメリカ海軍の軍艦2隻が台湾海峡を通過すると中国は反発した。覇権とは言葉による指導力だから、中国が脅すことで相手国が従うことが望ましい。脅して従うなら中国の覇権が有効であることを示す。では拒否すればどうなるのか。それは中国の覇権が存在しないことになる。
■中国軍「挑発を挫折させる」 米イージス艦の台湾海峡通過に反発
https://www.sankei.com/article/20220828-6QHYJOZI2JLYNJUKSY5GN32IPU/
中国としては、目の前を仮想敵国の軍艦が航行することが不満。国際海峡だとしても中国としては自国の庭と見なしている。そこで脅してアメリカを引かせようとした。だがアメリカ海軍は継続的に台湾海峡を航行している。これはアメリカの覇権が台湾海峡に置かれており、中国の覇権を拒否するという意思表示。
中華思想を持つ中国は強国アメリカが気に入らない。何故なら、理想では中国こそが世界の頂点にいるはずが、現実ではアメリカが世界の頂点にいる。中国は伝統と歴史を否定して共産主義を選んだ。だが中華思想を捨てることはなかった。中国共産党と称しても歴代王朝として君臨することを捨てられないのだ。
平和とは強国に都合がいいルールだから、今の強国であるアメリカに都合がいいルール。だから今の平和はアメリカの物であり、世界は従うだけ。これが現実なのだが、中国は気に入らない。中国としては、中華思想を土台としたルールの平和にしたいのだ。だから中国は、アメリカの平和が気に入らず現状変更を求めている。
現実を見ると、人民解放軍ではアメリカ軍との正面戦闘に勝てない。だから軍事力を見せて脅すことで譲歩させたいのだ。中国は戦争を売りつけて譲歩させようとした。だがアメリカは無視して逆に軍事力で対応する。こうなると中国は人民解放軍を引かせて戦争回避を選ぶ。簡単に言えば、アメリカ海軍は習近平の面子を潰したのだ。
●性能低い兵器
行進する中国人民解放軍の三軍(陸・海・空)儀仗隊 |
解放の裏の言葉は征服。紀元前333年のイッソスの戦いでペルシャのダリウス三世はアレキサンダー大王に対して講和を求めた。アレキサンダー大王は拒絶してペルシャを解放すると宣言。この時から「解放とは征服するための口実用語」が欧米の常識となった。
これを人民解放軍に適用すると“人民征服軍”が真の意味になる。これは中国共産党の私兵であり人民の反乱対策が目的だから意味と合致する。しかも人民解放軍は国内での運用が基本だから国外で活動することが困難。
致命的なのは基地の配置。中国共産党から見れば地方の省は仮想敵国。だから地方の省に有力な基地を置けない。仮に有力な基地を置くと乗っ取られて反乱の拠点にされる。だから中国共産党は、生産・整備ができる基地を北京周辺に限定している。このため南シナ海海岸には補給はできても整備できる基地がないのだ。
人民解放軍海軍は外国が驚く建艦を行うが、水上艦・原子力潜水艦は全て北京付近の基地でなければ大規模整備ができない。しかも必ず黄海を中継しなければ出撃・帰還ができない致命的な欠点を持つ。これが原因で、日米が黄海に機雷散布を行うと人民解放軍海軍は黄海に閉じ込められる。
中国共産党は、人民解放軍を強化して外国軍と戦闘できる軍隊に変えようとした。原子力潜水艦を保有し戦車・戦闘機を強化した。だがロシアのウクライナ侵攻でロシア製兵器の弱さが明らかになる。人民解放軍が運用する兵器の多くがロシア製。ロシアが外国に売る兵器は性能を低下させたモンキーモデルだから、人民解放軍の兵器の多くがロシア製よりも劣る。しかもロシア製戦車は砲塔が吹き飛ぶビックリ箱。つまり本家ロシア製もモンキーモデルだった。これでは人民解放軍が運用する兵器の多くはアメリカ軍とは戦えない。
人民解放軍の基地は北京周辺だけであり国境付近の基地は飾り。しかも兵器の多くがモンキーモデル。アメリカと戦争すれば国境付近の基地は損害を回復できない。修理しようとすれば黄海を中継しなければ戻れない。しかも中国共産党は地方の省を仮想敵国と見なしているから、仮にアメリカと戦争すれば地方の省が寝返る可能性がある。
中国共産党とすればアメリカとの戦争は敗北を意味する。だから原子力潜水艦・弾道ミサイルで武威を示す。飛び道具なら使い捨てだし中国共産党が直接運用できる。これが中国共産党の信用の行き着く先。中国共産党は人民の反乱を恐れ、インフラ整備すら容易には行えない。インフラ整備をすれば中国共産党に挑む財力を生み出してしまう。だから中国共産党は人民を豊かにできないのだ。
●中国の弱点は黄海
人民解放軍は強化されたが有力な基地は北京周辺にしか存在しない。国境付近の基地は中央から直接配備された人民解放軍しか存在しない。しかも人民解放軍海軍は黄海を中継しなければ出撃・帰還ができない。つまり日米で黄海を封鎖すれば国防として日本を守れることを意味する。
黄海を封鎖するなら機雷が簡単で確実。さらに射程2000kmの巡航ミサイルを保有すれば、北京周辺の有力な基地を攻撃可能。仮に損害を与えれば、人民解放軍の損害回復能力を低下させられる。成功すれば、人民解放軍が日本に侵攻する能力を奪える。これは同時に台湾侵攻能力を奪うことになる。だからアメリカ・台湾・日本で連合すれば、人民解放軍を封じ込めることができる。人民解放軍の数に惑わされるな。人民解放軍の致命的な弱点を突くべきだ。
米国においても、オバマ時代の緊縮で、航空母艦等の稼働率が劇的に低下するという危機的状況に陥りつつあるといわれています。そうして、稼働率の低下の最大の原因は、海軍工廠(こうしょう)と民間造船所を含んだアメリカ国内における造艦・メンテナンス能力の不足にあり、これはすぐに改善されるものではありません。これこそ米海軍の深刻な問題といわれています。
ただ、大規模な工廠が一箇所しかないというようなことはないです。そうして、世界中に米国に協力する工廠もあります。日本の佐世保ベースもその一つです。中国の場合は、そのような協力ができるのはロシアくらいしかありません。
さらに、黄海というと、日本ではすっかり見過ごされた出来事がありました。それについては、このブログに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ政権のアジア担当要職に反中のベテラン―【私の論評】米国で「強い日本」を志向する勢力が主流になった(゚д゚)!
この記事は、2018年1月21日のものです。
米国保守派は、ソ連に変わって共産主義帝国構築を目指すようになった中国に対しても、ブログ冒頭の記事にも掲載されているように、警戒心をもちこれに対抗しようとしています。
この動きは前から共和党保守派の中では顕著なものでした。そうして、今回のランディ・シュライバー氏の起用は、ブログ冒頭の記事にもあるように、トランプ政権の対アジア政策、対中政策が保守本流の方向へ確実に舵を切る動きであり、これによって日本の安全保障もかなりやりやすくなるのは目にみえています。
たとえば、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を履行するため、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機が昨年(ブログ管理人注:2017年)12月から日本海や朝鮮半島西側の黄海で、外国船から北朝鮮船舶への石油などの移し替えがないか警戒監視活動に当たっています。
黄海・東シナ海などを常時警戒監視しているP3C哨戒機が不審船を発見した場合、護衛艦を現場に派遣します。政府関係者は「監視活動を顕示することで北朝鮮への石油製品の密輸を抑止することにつながる」としています。
ここで、黄海という言葉がでてきますが、黄海での海自による警戒監視活動は戦後はじめのことです。これは、中国側からすれば脅威だと思います。自分たちは尖閣付近の海域で船舶を航行させたり、最近では潜水艦を航行させたりしていたのが、日本の海自が黄海で監視活動を始めたのですから、彼らにとってみれば、驚天動地の日本の振る舞いと写ったかもしれません。
しかし、黄海初の日本の海自による監視活動に関して、日本のマスコミは当たり前のように報道しています。中国側も非難はしていないようです。中国としては、米国側から北への制裁をするようにと圧力をかけている最中に、監視活動にあたる日本を批判すると、さらに米国からの圧力が大きくなることを恐れているのでしょう。
このようなこと、少し前までのオバマ政権あたりであれば、「弱い日本」を志向する人々が多かったので、批判されたかもしれません。というより、そのようなことを日本に最初からさせなかったかもしれません。そうして、中国は無論のこと、大批判をしたかもしれません。そうして、日本国内では野党やマスコミが大批判をしていたかもしれません。
この監視活動は、北朝鮮への制裁が終わらない限りは、現在もそうして将来も継続されることでしょう。この監視活動には、無論米国等も協力しています。それどころか、米国のインド太平洋軍(INDOPACOM)は3月10日、北朝鮮のミサイル実験が「大幅に増加」したことを受け、黄海で情報収集や偵察活動を増やし、弾道ミサイル防衛体制を強化していると明らかにしています。
そうして、これは、北朝鮮監視だけではなく、中国のすべての艦艇・潜水艦の監視もしていることでしょう。日米は、すでに中国の潜水艦の音紋をすべて採取し終わっているでしょう。なにしろ、黄海で待ち受けていれば、どの艦艇もいずはここを通るからです。
自衛隊には瀬取りを取り締まる法的権限はなく、可能な活動は艦艇や艦載ヘリコプターによる監視にとどまります。ただ、政府関係者は「護衛艦やヘリの姿を見せるだけでも抑止効果が見込めるし、現場の写真を撮影して国際社会に公開することもできる」としていました。一方、防衛省は「自衛隊はさまざまな警戒監視活動を行っているが、その一つ一つについては公表しない」と表向きは警戒監視活動を明らかにしていないとしていました。
日米はすでに、この頃から中国の最大の弱点である黄海を、北朝鮮問題を理由に、監視活動を行い、中国を牽制していたといえます。
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