岸田内閣の支持率が急落している。一部メディアでは20%台の危険水域に突入した。その主たる要因は、防衛費増額のうちの1兆円分の財源を岸田文雄・首相が「増税」によって賄うと打ち出した点にあるだろう。国民が物価高に苦しむなかで負担増につながる施策が相次ぎ、“話が違う”という声があがっている。
2021年秋の自民党総裁選に立候補した岸田氏はもともと、「所得倍増」を掲げていた。「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を広げる。令和版の所得倍増を目指す」とぶち上げ、自身が領袖を務める派閥「宏池会」を立ち上げた池田勇人首相の所得倍増計画に重ねるようにしてアピールしたのは岸田氏自身であった。
しかし、昨年末の与党税制改正大綱では防衛費増額の財源を確保するために、所得税やたばこ税、法人税の増税の方針が打ち出された。自民党内からの反発があって増税の時期こそ明記されなかったものの、なし崩し的に増税の方針が既定路線となった。さらには相続・贈与税の課税強化の方針も盛り込まれ、ウクライナ戦争や米国の利上げなどによる急激な物価高に苦しむ国民にとっては、負担増の話ばかりが聞こえてくる状況だ。
経済ジャーナリスト・荻原博子氏は「まさに大増税時代の到来ですが、負担が増すのは税金ばかりではありません」と指摘する。
「社会保険料の引き上げも続いています。2022年10月から雇用保険料が上がりました。新型コロナによる影響で失業した人たちの失業保険の利用が増えたこともあり、保険料が引き上げられた。これについてはさらに上がるかもしれないという声が出ている。国民年金も、現在は20歳から60歳まで40年間保険料を払えばよかったのが、65歳までへと5年延びることが議論されている。月1万6590円の保険料を5年払うとなれば、100万円の負担が増えます。介護保険も保険料が上がるという話が出てきて、お先真っ暗という感じですよね」(荻原氏)
2021年秋の自民党総裁選に立候補した岸田氏はもともと、「所得倍増」を掲げていた。「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を広げる。令和版の所得倍増を目指す」とぶち上げ、自身が領袖を務める派閥「宏池会」を立ち上げた池田勇人首相の所得倍増計画に重ねるようにしてアピールしたのは岸田氏自身であった。
しかし、昨年末の与党税制改正大綱では防衛費増額の財源を確保するために、所得税やたばこ税、法人税の増税の方針が打ち出された。自民党内からの反発があって増税の時期こそ明記されなかったものの、なし崩し的に増税の方針が既定路線となった。さらには相続・贈与税の課税強化の方針も盛り込まれ、ウクライナ戦争や米国の利上げなどによる急激な物価高に苦しむ国民にとっては、負担増の話ばかりが聞こえてくる状況だ。
経済ジャーナリスト・荻原博子氏は「まさに大増税時代の到来ですが、負担が増すのは税金ばかりではありません」と指摘する。
「社会保険料の引き上げも続いています。2022年10月から雇用保険料が上がりました。新型コロナによる影響で失業した人たちの失業保険の利用が増えたこともあり、保険料が引き上げられた。これについてはさらに上がるかもしれないという声が出ている。国民年金も、現在は20歳から60歳まで40年間保険料を払えばよかったのが、65歳までへと5年延びることが議論されている。月1万6590円の保険料を5年払うとなれば、100万円の負担が増えます。介護保険も保険料が上がるという話が出てきて、お先真っ暗という感じですよね」(荻原氏)
岸田氏は首相就任に先立って高度経済成長期になぞらえるような景気のいい「所得倍増」を唱えていたが、現実には賃金上昇を上回るスピードで物価上昇が続いている状況で、実質賃金は下がっている。そのうえ、給料から天引きされる税金や社会保険料がどんどんが上がっては手取りが減っていくばかりだ。たとえば、雇用保険の料率を見ると、2022年10月から一般事業の場合、0.3%が0.5%(労働者負担分)になっており、天引きなどの負担額が“倍近くに増える”のだ。荻原氏が続ける。
「これでは所得倍増どころか税金や保険料の天引きばかり増えて『所得倍減』です。はっきりいって人災ですよ」
所得が増えるどころか、減る分が倍になっていく──。これは「所得倍減」と言ったほうがしっくりくるようだ。総裁選や所信表明演説で使われた「令和版所得倍増計画」は、いつの間にか「資産所得倍増計画」へと変わり、NISA(少額投資非課税制度)の拡充などが打ち出されたが、“話が違う”と感じている人は、決して少なくないのではないか。(了)
【私の論評】今年のキーワードは「倍増」?
所得が倍なら納得!そうでなければ(゚д゚)!
上の記事は、マネーポストWEBから引用したものです、このWEB、他の大手新聞メディアと同じくマクロ経済など良く理解しない記者が書いているようなので、ほとんど読んだことはありません。
上の記事にでてくる、経済ジャーナリスト・荻原博子氏も普段話している内容などから、マクロ経済など理解していないようで、この方の発言も、あまり聴いたことはありません。
ただ、こういうメディアや経済ジャーナリスですら、今回の岸田首相の唐突な増税路線には、困惑しているようです。さすがに、防衛のためには、仕方ないというような論調にはならないようです。
マクロ経済への理解など抜きにしても、やはり岸田首相の増税路線は、唐突で異常と映るようです。
岸田総理はもう一度「所得倍増」を掲げるべきです。 結論からいうと、インフレ率を4%に引き上げれば「倍増」は不可能な目標ではありません。
所得を倍増させることは、実はそれほど難しい話ではありません。実質経済成長率は大体2%ぐらいありますから、インフレ率を4%ぐらいに引き上げれば、名目経済成長率が6%ぐらいになります。
名目経済成長率を7%は難しいですが、6%ぐらいなら手が届く範囲です。一人あたりの名目GDPは個人あたりの所得と近似できます。名目経済成長率が6%になると12~13年で倍になるので、個人あたりの所得も倍増ということになります。
これは、不可能な目標ではありません。これは、良いやり方だと思ったのですが、突然やめてしまいました。今年は、もう1回「所得倍増」と言ってもらえばよろしいと思います。
岸田首相は最近は、「資産所得倍増プラン」と言っています。所得倍増をやめて、前に「資産」と付けて「資産所得倍増」にしたのは、ずるいと思います。やはり、「所得倍増」でいくべきです。
多くの人は、「資産所得倍増」と言われても、そもそも手元にある程度資産がなければ倍増などできないと思ったでしょう。
ただ昨年は、ウクライナ情勢や安倍さんの事件の影響で国防意識が強くなり、防衛費を国内総生産(GDP)比1%から2%に増やそうとしています。こちらも倍増といえます。
しかし、また財務省が48兆円のところを43兆円ぐらいにしましたし防衛費の定義を膨らませたりもしましたから、本当に2%に届くのかなとは思います。
しかし、これは実質的に倍増させるべきです。さらに言うと、日本の周りには中露北と非民主国家が3つあります。「仮想敵国1つでGDP比1%」がいままでの相場だったので、3倍増にしてもいいのではないかと思います。
防衛3文書のなかに「反撃能力」という言葉がありました。反撃能力を持つとは簡単に言うと「抑止力」を持つということです。抑止力が何で成り立っているかと言うと、「倍返し」です。「やられたら倍返しするぞ」と言うと相手は攻撃してこなくなります。
防衛3文書に「倍返し」という意味で「反撃能力」と書いてあるのならば良いです。ただ反撃能力とすると、いろいろな制約があるらしく、「倍返し」などとは言えない部分があるらしいです。
しかし、直截にいえば「倍返し」で反撃能力は成り立っているのです。
倍というと、最近、日銀の金融政策決定会合があり、長期金利の許容変動幅を現状の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大すると発表しました。これは、実質利上げであり、長期金利倍増で変動金利で住宅ローンを借りている人は、支払い金利が倍になります。
金利は上に張り付くのが普通ですから、現状0.25%これを±0.5%に上げて倍増です。固定金利で借りている人は、関係ありませんが、変動金利の人は、住宅ローンの支払い金利が今年から倍になるかも知れないです。
消費税は現在10%ですが、防衛費増額の財源 として、復興特別所得税の徴収 20年程度延長案検討をきっかけに15%まで上げて、最終的に20%にする可能性もあります。これも倍です。
岸田政権は、これを狙っているのです。嫌な話しです。負担を倍にするのであれば、「所得も倍にしてくれ」と考えるのが普通だと思います。その方がすっきりするはずです。所得が倍になれば、防衛費も簡単に倍にできます。
やはり、岸田首相は「所得倍増計画」の旗印をまた上げるべきです。岸田文雄・首相が率いる「宏池会」(岸田派)は、人数では 第4派閥に過ぎないですが、自民党の保守本流と呼ばれます。それを創設したのが、日本を「経済大国」へと押し上げた池田勇人・元総理大臣です。
池田勇人総理大臣(当時) |
岸田総理は、出身派閥があげた「所得倍増計画」を取り下げてしまったのです。
今年は「倍増」がキーワードになりそうです。防衛費を倍増するのは無論のこと、岸田総理には「所得倍増計画」を再度掲げていただきたいのです。消費税倍増などで、所得倍減になるようなことは、多くの国民は納得しないでしょう。
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