2023年1月8日日曜日

インド空軍スホーイ戦闘機いよいよ来日 東南アジア2か国を経由し茨城・百里基地へ―【私の論評】今年躍進するインド!安倍元首相の悲願でもあった日印関係を増々強化すべき(゚д゚)!

インド空軍スホーイ戦闘機いよいよ来日 東南アジア2か国を経由し茨城・百里基地へ

来日するためにタイとフィリピンを経由

 インド空軍は、航空自衛隊と実施する初の合同演習「ヴィーア ガーディアン 2023」に参加する部隊が2023年1月8日(日)、国内の基地を出発すると発表しました。

インド空軍のSu-30MKI戦闘機とパイロットたち(画像:インド空軍)。女性パイロットの姿も・・・

 参加勢力はSu-30MKI戦闘機4機、C-17「グローブマスターIII」輸送機2機、およびIL-78空中給油機1機で、途中タイやフィリピンに立ち寄りながら目的地である茨城県の百里基地を目指すそう。

 なお、航空自衛隊では本演習について「ヴィーア ガーディアン23」と呼称しており、2023年1月16日(月)から1月27日(金)までの約2週間にわたって行うとしています。日本側からは百里基地に所在する第7航空団のF-2戦闘機4機と、小松基地に所在する飛行教導群のF-15戦闘機4機、地上で要撃管制などを行う中部航空警戒管制団などが参加する予定です。

【私の論評】今年躍進するインド!安倍元首相の悲願でもあった日印関係を増々強化すべき(゚д゚)!

インドが今回、日本に持ち込む戦闘機はスホーイ30戦闘機です。一部電子機器などをフランス製にするなど改造されてはいるこれはもともとはロシア製の戦闘機です。実は、中国が保有している戦闘機も、スホーイ30とその派生型が多いのです。だから、日本の戦闘機にとっては、インドの戦闘機と戦う訓練は、中国やロシアの戦闘機と戦う訓練にもなるのです。

これは日本の戦闘機パイロットにとって貴重な経験になります。日本としては、もっと広範に、頻繁に実施し、多くのパイロットを鍛えるべきです。

インドには、すでに米国、豪州とも、戦闘機の訓練を実施したことがあります。米国製の戦闘機との訓練は経験済です。しかし、日本と訓練することで、今後、日米豪印の「クアッド(QUAD)」4カ国全体で訓練する際の方法について、具体的に検討することができるようになります。その意味でも今回の訓練は意義深いです。

この演習は、日印の防衛協力上で重要です。日印では、すでに物品や機密情報を共有する協定が結ばれ、共同演習も、海上自衛隊の「マラバール」と「ジメックス」、陸上自衛隊の「ダルマ・ガーディアン」、航空自衛隊の輸送機の共同演習「シンユウ・マイトゥリ」が、継続して行われています。また、軍事用無人車両の共同開発が進んでいます。

その一方で、最近は、日印間の防衛協力が円滑に進まない事例が次々起きました。まず、日印の防衛協力を強く推進してきた安倍晋三元首相が暗殺されてしまいました。安倍元首相のように、インドのことをあれほど愛して、インドからも愛され、しかも権力や実行力を持った指導者は、世界でも他に見当たらないです。

抱擁する安倍首相(当時)とモディ首相とそれを見守る昭恵夫人

22年は、日印国交樹立70周年だったにもかかわらず、関係者の多大な努力にもかかわらず、あまり目立たなくなってしまったのも、そのためです。日印関係は、急に指導者不在の状態を迎えてしまったのです。それに加え、ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアをめぐる日印間の立場の違いが目立つようになってしまいました。

日本は、ロシアの武器は用いていませんが、インドはロシア製の武器を用い、多数を輸入しているため、ロシアに一定の配慮をせざるを得ない立場にあります。

特に、ウクライナ難民支援のための国連の物資を運ぶために、航空自衛隊の輸送機をインドに着陸させようとした時は、インドが着陸を拒否しました。これは、防衛省・自衛隊全体で、インドとの協力関係を進めることに消極的な雰囲気をつくってしまいました。

インド海軍へ売り込みをはかっていた日本のUS-2飛行艇の話も頓挫してしまいました。インドへの武器輸出に対するやる気も削がれていったのです。

現状の日印間はこのような状況にあるからこそ、日印が戦闘機の共同訓練を実施し、成果を具体的に提示することは、悪い流れを変えることになります。

昨年9月6日、井筒空幕長 は ピッチブラック22 に参加中の印空軍部隊を訪問し、今後計画されている 印空軍 との戦闘機共同訓練のためのSu-30MKI戦闘機訪日への歓迎を伝えていました。(写真下、サングラスをかけた人物が、井筒空幕長)


日印空軍が連携していれば、対中国にもメリットがあるのは明らかです。中国からみれば、台湾や日本を攻撃する場合、戦闘機を台湾や日本の正面に集中したいでしょうが、日印が連携していれぱ、中国は、インドが攻撃してくる場合に備えて、一定の数の戦闘機を中印国境、に一定数配備しておかなければならなくなります。

中印国境に配備した中国戦闘機は、台湾や日本を攻撃するためには使えなくなります。実際、今回来日するインドの戦闘機スホーイ30には、射程の長い、新しい超音速巡航ミサイルが搭載される予定であり、中国の内陸部を攻撃できるようになりますから、中国にとっては脅威です。

中国がインドを攻撃する場合も、中国は、今度は日本のことが気になるでしょう。日本も、これから射程の長い巡航ミサイルを配備することになっています。日印の反撃能力は、双方にとって国益になります。

今回の「ヴィーア ガーデン23」に限らず、日印関係はなるべく緊密にすべきです。それが、安倍元首相の願いでもあります。

なぜ、そういえるかといえば、このブログも掲載したように、今年中にインドの人口は、中国を抜き世界第一位になるという事実があります。それについては、このブログにも掲載したあことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
インド、今年人口世界一に 14億人超、中国抜く―【私の論評】今更中国幻想に浸っていては、世界の構造変化から取り残される(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を引用します。
27年までの5年間では、インドのように人口が増えるベトナムやバングラデシュなどで年平均6%以上の成長となるほか、エジプトやインドネシアなどは5%以上の成長が見込まれます。ナイジェリアやバングラデシュ、ベトナムは27年、アルゼンチンなどに代わってGDPの上位30位にも顔を出すとみられます。その中でも、民主化が進んでいる国においては、中進国の罠を突破して成長し続ける国もでてくるでしょう。世界の構造変化の大きなうねりは、従来から予想されていたように、目前まで押し寄せています。

最早中国の経済の停滞は一時的なものであり、また中国の経済発展が始まるなどの中国幻想に浸っている時ではありません。考えを変えていない人や組織は、世界の構造変化から取り残されることになります。

インドは独裁者習近平が率いる全体主義国家中国とは異なり、民主主義国です。インドはすでに民主主義国では、面積も人口も最大の国になっています。

インドには様々な、古い習慣などが残っていたり、西欧諸国に比較すると、小規模企業が圧倒的に多いなどのことがあり、経済は中国に比べて現状では出遅れた感は否めませんが、これは別の側面からみると、伸びしろがまだまだあるということです。

現在インドは、G20の議長国になっています。インドの議長国の任期は、12月1日から1年間です。会議は今年9月9~10日に首都ニューデリーで開催される首脳会議だけでなく、財務大臣・中央銀行総裁会合、外務、貿易・経済,エネルギー・環境等の大臣会合や関連イベントがインド各地で200以上開催されます。

世界主要国や国際機関から要人が集まり成果が世界に発信されるため、インドの存在感が増し国際的な影響力や発言力を高められる大きな機会にもなるでしょう。政府は世界情勢が厳しい時期であるものの、昨年はGDPが英国を抜き世界第5位になり、また先に述べたように、今年は人口が中国を抜き世界最大となる時期にG20議長国となる機会を重視しています。

インドは12月に入り西部ラジャスターン州のウダイプールで早速G20シェルパ会合を開催、また州政府や全政党に呼び掛け会議の意義を訴え準備に入りました。議長国として直面する世界経済の課題や地政学的リスクに加え、グローバル・サウス(発展途上国)の声を届け先進国と途上国の橋渡し役を務めると国民に訴えています。

地政学的リスクでは野党からも海外覇権拡大を続ける中国への対応を問われており、日印米豪4カ国で推進する「自由で開かれたインド太平洋構想」(FOIP)が重要な議題になるでしょう。本構想はアジア太平洋に加えインド洋圏のアフリカ・中東地域での協力を推進するもので、議長国インドの采配が期待されています。

FOIPの推進では、「特別な戦略的グローバル・パートナーシップ」関係に高まった日印両国が大きな役割を果たしています。今年はインドのG20議長国に加え日本がG7の議長国で5月に広島市で首脳会議を開催予定であり、共通する課題の解決に向けて両国の連携や協調にも期待したいです。

日印関係のさらなる強化は、故安倍晋三氏の悲願でもありました。これから、様々な分野で、日印関係をますます、強化していくべきです。

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