2023年1月11日水曜日

菅義偉氏、岸田首相に反旗か 派閥政治、増税を批判「国民の声が届きにくくなっている」 自民党議員「意趣返しする意向があるのでは」との声も―【私の論評】今となっては短期政権になった理由が良くわからない菅政権、菅氏の再登板はあり得る(゚д゚)!

菅義偉氏、岸田首相に反旗か 派閥政治、増税を批判「国民の声が届きにくくなっている」 自民党議員「意趣返しする意向があるのでは」との声も

菅前首相(左)は、岸田首相の官僚主導政治に反発したのか

 自民党の菅義偉前首相が10日、「国民の声が、政治に届きにくくなっている」などと語り、岸田文雄首相に苦言を呈した。2021年10月の首相退陣後、目立った動きが少なかった菅氏による突然の発言は、「増税+事実上の利上げ」で、アベノミクスを否定するような政策方針を見せる岸田政権への〝反旗〟なのか。政局の狼煙(のろし)となるのか。


 「政治家は国民の負託を受けている。自らの理念や政策よりも、派閥の意向を優先するようなことはすべきでない」「首相は国民全体の先頭に立って汗を流す立場にある。歴代の多くは所属派閥を出て務めていた」

 菅氏は10日夜、外遊先のベトナムで取材に応じ、岸田首相が宏池会会長を続けていることを問われ、こう語った。共同通信やNHKなどが報じた。

 菅氏は「少子化対策は極めて重要だと思うが、消費税を増税してやるということは(私は)まったく考えていない」とクギを刺した。

 新型コロナが感染拡大するなか、菅氏は一昨年秋に退陣した。その後、菅氏を推すグループを〝派閥化〟するとの観測もあったが、目立った行動を見せなかった。

 一方、凶弾に倒れた安倍氏の国葬(国葬儀)での弔辞が国民的共感を呼んだうえ、東京五輪・パラリンピックの開催や、携帯電話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用方針など、自ら掲げた「国民のために働く内閣」が再評価される動きもある。

 岸田首相の政策は、経済成長を重視した「アベノミクス」否定ともみられている。防衛増税などでは、安倍派(清和会)を中心に反発や警戒感が広がっている。

 宏池会が、菅政権末期の〝菅降ろし〟の火ブタを切った経緯もあるだけに、自民党議員からは「菅氏には、自らの政権と岸田政権の実行力を対比させ、意趣返しする意向があるのでは」「支持率が低迷したまま統一地方選が迫り、党内政局の様相もある」との声があがる。

 菅氏の真意は何か。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「官僚主導が進む岸田政権の動きが目に余り、行動を起こしたのではないか」と分析し、今後をこう予測する。

 「菅氏は、霞が関の官僚政治を壊し、政治主導を進めた。携帯電話料金値下げや、ふるさと納税などはその象徴だが、岸田政権は官僚政治に回帰している。本心では、無派閥などを含めて自民党の勢力を結集する意思はあったはずだが、安倍氏の暗殺事件の喪に服したこともあり、行動を控えていたのだろう。ただ、解散総選挙の機運もあり、今年は『政局の年』だ。今回の発言で明確な意思表示をし、行動に移す決意なのではないか」
苦言は増税路線にも及んだ。

 岸田首相は防衛力強化の財源として、安倍晋三元首相が提示した「国債」を排除して「増税」を決めた。年明けには「異次元の少子化対策」を打ち出し、前後して首相周辺から「消費税増税論」が飛び出した。

【私の論評】今となっては短期政権になった理由が良くわからない菅政権、菅氏の再登板はあり得る(゚д゚)!

岸田政権は支持率がかなり落ち、永田町では、長くてG7広島サミットまでであり、その後は勇退とみていようです。

首相が早期に辞任した場合、「ポスト岸田」は誰でしょうか。現時点で本命視されるのは茂木敏充自民党幹事長、河野太郎デジタル担当相、高市早苗経済安全保障担当相の3人でしょう。

茂木氏は栃木県出身で、東大経済学部を卒業後、大手商社の丸紅、読売新聞社を経て世界最大手のコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーで勤務したという華麗な経歴の持ち主です。

1993年の衆院選に日本新党公認で旧栃木2区から立候補し初当選。日本新党解党後、無所属を経て自民党に入党しました。政策通として知られ、2003年に小泉内閣で沖縄・北方担当相として初入閣。その後も自民党政調会長や経済産業相、外相などの要職を歴任しました。

岸田首相や安倍元首相とは当選同期で、安倍氏が「同期一番の男前は岸田文雄、一番頭がいいのは茂木敏充、そして性格が良いのが安倍晋三といわれている」と話した逸話は有名。優秀さを鼻にかけているような態度から党内の人気はいま一つですが、2021年11月に第2派閥の旧竹下派、平成研究会の会長を継いだことで党内基盤も安定しました。

岸田首相や政権の後ろ盾となっている麻生太郎副総裁とも良好な関係を築いており、本人もポスト岸田に強い意欲を示しているとされます。課題があるとすればマスコミの注目度の低さです。

対照的にマスコミの人気が最も高いのが河野氏です。河野氏は祖父が河野一郎元副総理、父が河野洋平元衆院議長という政治家一家に生まれ、民間企業を経て1996年の衆院選で初当選しました。

もともとSNSなどでの発信力が高かったのでが、安倍内閣で外相や防衛相などを歴任したことでさらに知名度を高めました。菅前首相の辞任に伴う2021年の自民党総裁選に岸田、高市両氏とともに立候補。河野氏は決選投票まで進み、党員・党友票では首相を上回ったものの、国会議員票で大差をつけられ敗れました。

総裁選で敗北したことで自民党広報本部長へ起用され“冷遇”されたといわれましたが、河野氏のマスコミ人気は健在で、毎日新聞が11月に行う恣意的な世論調査で「日本の首相になってほしいと思う人」として最も多くの支持を集めました。

第2次岸田内閣ではデジタル相に起用され積極的に発信していますが、課題は党内の支持基盤です。第3派閥の麻生派に所属するが、会長である麻生副総裁は「河野首相」に消極的で、前回総裁選でも岸田氏を支援した経緯があります。そのため河野氏は同じく国民人気の高い石破茂元幹事長に支援を仰ぎました。小泉真太郎氏も応援し、この動きは「小石川連合」と揶揄されました。

「小石河連合」の試みは結局失敗しました。石破氏は、「いつも後ろから鉄砲を打つ奴」ということで、大方の自民党議員から嫌われています。


小泉氏は、もともと、「頭が悪すぎ」ということで評判が悪く、従来は総理になって欲しい人などのアンケートをとると結構上位にきていたこともあったのですが、頭の悪さが尋常ではないということが多くの国民に知れ渡ったということで、そもそもランク外になっていました。

私は、河野氏が「小石川連合」を組んだことから、まだ趨勢をみてみないとわからないところがありますが、石破氏や小泉氏の総理目が消えたように、河野氏の目もほとんど消えたと思います。

ポスト岸田の本命、最後に挙げる高市氏は一般家庭に生まれましたが、岸田首相や茂木氏と同じ1993年の衆院選で初当選した。当選時は無所属でしたが、新進党などを経て1996年に自民党に入党。当初は清和政策研究会(現安倍派)に所属しましたが、野党時代の2011年に派閥を離脱して以降は無派閥。

ただ、保守的な政策やまともな経済政策で知られ、安倍氏にも近かったことから保守系の議員や有権者からの支持が厚いです。恣意的な毎日新聞の調査でも「日本の首相になってほしいと思う人」として河野氏、岸田首相に次ぐ3位に入りました。

後ろ盾だった安倍元首相は亡くなったのですが、中国やロシア、北朝鮮の脅威が増すなか、防衛に関する国民世論の注目も高まっています。また、最近ではあまりに酷い岸田首相の経済対策と比較すると、マクロ経済を亡くなった安倍首相と同程度にまで理解しており、特に、自民党内の今や多数派の積極財政派の議員からの評価は高いです。

時流に乗れば首相への道も開ける可能性もあるが、後ろ盾の安倍元首相が亡くなってしまった現在では、かなり難しいです。亡くなった安倍元首相の岩盤支持層を広げていけるかがカギを握ると見られます。

これ以外に林氏をあげる人もいますが、岸田氏は岸田派の中で、林氏が頭角を顕し派閥を乗っ取られことをおそれ、外務大臣などの重責を担わせて、自身の近くにおいているともみられ、さらにあまりにも酷い親中派、媚中派であることから、自民党内の保守派の議員からは、蛇蝎のごとく嫌われています。

財力に関しては、飛び抜けているようですが、総裁選は自民党議員や党員によって実行されるものですから、これだけ人気がないと、無理だと思います。

ポスト岸田の本命といえばこの茂木、河野、高市3人ですが、ダークホースを挙げるとすれば菅前首相でしょう。たった1年で政権の座を手放しましたが、決定的な失政があったわけではないです。マスコミの印象操作により、コロナ対策があたかも失敗したかのように情報操作され、その対応に振り回され、最後は政局を見誤ったことで総裁選への出馬断念に追い込まれました。

しかし、このブロクでは、何度か述べてきたように、安倍・菅両政権においては、政治決断で増税せずに、合計で100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実行しました。 この100兆円の根拠は何かといえば、GDPギャップです。

コロナ禍が深刻だった両政権においては、需要ギャップが100兆円存在しており、これを財政政策で埋めなければ、日本経済は落ち込むことが予想されました。そのため、両政権下で、安倍政権では60兆円、菅政権においては40兆円の補正予算を安倍元総理の言葉を借りれば、「日銀政府」連合軍で実施したのです。

「日銀政府連合軍」とは政府が長期国債を発行し、日銀が買い取るという形式で、資金を調達する方式のことです。

特に雇用に関しては大成功で、雇用調整助成金の制度も用いつつ、雇用対策を行い、日本では失業率が両政権下では、2%台で推移しました。もし、あのときコロナ復興増税などしていたら、現在日本経済はかなり落ち込んでいたことでしょう。

これは他国が、コロナ禍の最中に失業率(8%〜10%は普通)がかなり上がったことを考えれば、大成功です。マスコミや、多数の野党議員などは、マクロ経済に全く疎いので、この意味するところがほとんどわかっていないようです。現在の自民党は、いわゆる積極財政派が多数を占めるので、この意味するところを理解する議員も多いです。

菅政権においては、経済対策だけではなく、ワクチン接種を驚異的なスビードで実施し、コロナ病床の確保には、医療ムラの執拗な抵抗にあったため、失敗したものの、それでも結局医療崩壊を起こすこともなく、コロナはかなり収束しました。

菅政権のコロナ対策は総体的にみれば、成功であり、マスコミがこれを失敗としたのは、単なる印象操作にすぎません。マスコミは、印象操作の過程で、菅氏の息子による総務省官僚の接待を問題としましたが、これは総務省の脇があまりにも甘すぎたということであり、自民党の多くの議員はこれを問題視など最初からしていません。

このようなことを実施した、菅元総理が、再登板したとすれば、政治的な立ち位置は、安倍元総理とは異なる所があったにしても、よもや、岸田総理のように、防衛増税に走るとは考えられないないです。

今となっては何が問題なのかすら良くわからない、菅総理(当時)の発言。東京新聞

宏池会は例外ともいえるでしょう。これも、岸田総裁を擁立するための姑息な手段に過ぎないです。現在では、マスコミも、野党も、自民党の多数の議員も、これを問題とはしていません。寧ろ菅氏の仕事ぶりが再評価されています。

増税一辺倒の岸田氏と比較すれば、菅氏の政策や安定感には定評があるほか、仕事師という異名を持つほど、徹底した仕事ぶりで、岸田首相が唐突に辞任するようなことがあれば当面の“リリーフ(継投)”として白羽の矢が立つ可能性は十分にあります。安倍元首相も1年で辞任した後、再登板して戦後最長の長期政権を築いたという事例もあります。

「検討師」などと揶揄される岸田氏から比較すれば、菅氏の仕事師ぶりが、ますます光りを増したともいえます。岸田首相が、経済面でも安倍路線を引き継いでいれば、こんなことにはならかったかもしれれません。

「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の設立総会で講演する安倍晋三元首相(中央)=昨年2月9日

岸田首相に対する保守派議員・党員ならびに多数派の積極財政派の議員がもっとも納得がいかなかったのは、やはり防衛増税でしょう。これらは、かなり数が多いですし、総裁選を大きく左右する勢力になりえます。防衛費を増税の出汁に使うなど、さすがにこれだけは許せないというのが保守派・積極財政派の本音だと思います。

岸田首相は2021年10月の衆院選、2022年7月の参院選に立て続けに勝利し、大型国政選挙のない「黄金の3年」を手にしています。2024年9月の自民党総裁任期まで、続投を阻むものはありません。それでも一寸先に何があるのかわからないのが政治の世界。ポスト岸田として名前の挙がる政治家の一部は、陰で“政権準備”を始めているに違いないです。

そうして、岸田氏が辞任ということになれば、私自身は、菅氏を応援したいですし、これは希望的観測ではなく、積極財政派が多数を占めるようになった自民党の中では、最有力候補になる可能性もあります。

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