岸田文雄首相は10日の記者会見で、防衛費増強の財源について国債の発行を否定した。「国債でというのは、未来の世代に対する責任として採り得ない」と述べた。
その後、政府は自衛隊施設の整備費の一部に建設国債を活用する方針を固めたとされるが、「禁じ手」「借金容認につながる」など批判的な報道もある。
安倍晋三元首相は生前、防衛国債を主張し、「道路や橋は次の世代にインフラを届けるための建設国債が認められている。防衛予算は消耗費といわれるが間違っている。防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ」と語った。
その後、政府は自衛隊施設の整備費の一部に建設国債を活用する方針を固めたとされるが、「禁じ手」「借金容認につながる」など批判的な報道もある。
安倍晋三元首相は生前、防衛国債を主張し、「道路や橋は次の世代にインフラを届けるための建設国債が認められている。防衛予算は消耗費といわれるが間違っている。防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ」と語った。
国債論として正しいのは安倍元首相だ。防衛はインフラと同じで将来世代まで便益があるのだから、国債にふさわしい。
岸田首相の発言は、民主党政権下での東日本大震災後の復興増税と同じくらいひどい。大震災はまれに起こるので、課税平準化理論から、復興費用は復興増税ではなく長期国債で賄うのが、財政学からの結論だ。
同様に、有事はまれに起こるので、防衛費用は増税ではなく長期国債で賄うのが筋だ。
国債に関しては財政学などで真っ当な理論が数多くあるが、その援用を妨げているのが財務省だ。日本の経済学者や財政学者、メディアも加担している。
東日本大震災の復興増税も、古今東西あり得ない愚策だったが、学者らが復興増税に賛同するリストをつくり、財務省を全面的にバックアップした。
これは財政学が教える課税平準化理論に反していたので、それ以降、同理論を日本の大学では教えられなくなったとしたら嘆かわしいことだ。
安全保障でも、有事の費用は国債で賄われるという歴史事実さえ押さえておけば、事前の有事対応にも国債がふさわしいのは自明だ。だが、学者からはまともな声はなく、財務省の暴走を止める報道もほとんどない。
ドイツの防衛費は国内総生産(GDP)比2%のために1000億ユーロ(14・5兆円程度)の特別基金を創設したが、国債発行で賄った。これは、安倍元首相の防衛国債そのものだ。
筆者は、財務省の役人当時、国債課課長補佐を務めたことがあるが、日本の国債制度が海外と違ったのには参った。日本では、国債に「60年償還ルール」があり、毎年国債残高の60分の1について、一般会計から国債整理基金特別会計(減債基金)への繰り入れが債務償還費(2022年度は15・6兆円)として規定されている。
先進国では減債基金自体、今では存在していないので、債務償還費の繰り入れもない。日本の予算では、歳出が債務償還費分、歳入はその同額の国債が、先進国から見れば余分に計上されている。これは当年度に限れば「埋蔵金」である。この見直しを含め、もう少し国債をうまく使ってはどうか。
来年度予算でいえば、債務償還費の一般会計繰り入れを特例法で停止し、それで基金を作れば、少なくともドイツと同じ特別基金ができる。しかも増税なしで可能だ。このような「簡単なこと」すらできないのか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
【私の論評】情けなさすぎる岸田・山口両氏と、知恵がなさすぎる財務省(゚д゚)!
公明党の山口那津男代表は14日のラジオ日本の「岩瀬恵子のスマートニュース」に出演し、防衛費増額の財源確保策として自民党内で上がっている国債発行論に否定的な考えを示しました。
「国債で全部やれという意見は実際にはないと思いますが、ただ、国債は先送り。将来の世代にツケを回すことになる。しかも限度がはっきりしない。税は国民が負担する部分で本当にこれでいいのかと関心を持ち、自分たちのこととして水準を決めることにつながる」などと述べました。自民では岸田文雄首相が掲げた1兆円強の増税方針に反発し、国債発行を含めて検討するよう求める声が出ています。
上の記事にもあるとおり、政府はこれとは別に、自衛隊施設の整備費の一部約1兆6千億円に建設国債を活用する方針です。
岸田、山口両氏は、安倍晋三、菅義偉歴代内閣と比較すると全く、財務省の言いなりということができます。
岸田首相も将来世代へのつけと述べており、ということは、防衛費増額は現世代だけではなく、将来世代にも便益であると語っているに等しいです。将来世代に便益があるので全世代で負担平準化するべきであり、そのために長期国債を発行するのです。
だからこそ、上の記事にもあるように課税標準化理論というものがあり、現世代と将来世代の負担を平準化するために課税平準化理論があるのです。
これは、現実の経済で資源配分に歪みを与える 租税が存在するとき、異時点間の税率を決める際に、課税に伴う超過負担(資源配分の効 率性からのコスト)を最小にするべく財政運営を行うのが望ましい、とするものである。
まさに、震災や防衛費の増強を税だけで賄うということになれば、将来世代も便益を受けるにもかかわらず、その負担は現代だけということになり、これは全く不公平と言わざるを得ません。
これを理解したのは安倍氏であり、理解せずに財務省のいいなりなのが、が岸田、山口両氏です。
安倍・菅両政権のときには、両政権であわせて100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施しました。財源は当時の安倍総理の言葉でいうと、政府日銀連合軍をつくり、政府が長期国債を発行し、日銀がそれを買い取るという形で行ったので、増税はありませんでした。
そうして、この対策、なぜかほとんど理解されていませんが、一番の成果は、何といっても雇用潮位助成金という制度も用いながら、雇用対策を行い、コロナ禍の最終に他国では失業率がかなりはねあがったにも関わらず、日本で終始2%台の失業率で推移しました。
経済対策においては、他の指標が悪くても、まずは雇用が安定していれば、合格といわれます。この点からいうと、安倍・菅政権の経済対策は合格だったといえます。
菅政権においては、凄まじい医療村の抵抗にあって、コロナ病床の増床には失敗したものの、それでも凄まじいスピードでコロナワクチンの接種を成功させ、結局医療崩壊も起こすこともなく、相対的には大成功したといえます。
このブログでは、菅政権は継続すべきであると主張しましたが、もしそれが実現していれば、防衛費増税でこのように揉めることはなかったと思います。理屈のわからない岸田・山口氏は、安倍・菅の大成果を「運が良かっただけ」と思っているのかもしれません。
増税なしを政治決断した安倍・菅さんは素晴らしいです。もし、コロナ復興税などとして、増税していれば、今頃経済はかなり落ち込んでいたことでしょう。今回防衛費40兆円に過ぎないのに、これで増税とは、安倍元総理が生きておられれば、財務省は知恵なし。その言いなりの岸田氏も、山口氏「情けなし」と慨嘆されたに違いありません。
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そうして、この「情けなし」の意味は2つあります。一つは、「期待外れで残念だ」という意味で、もう一つは、「思いやりがない、無情である」という意味です。まさに、現状で増税するなどと考えるのは、国民に対して「思いやりがない、無情である」と謗られてもしかたないと思います。
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