2022年12月3日土曜日

米空軍 核兵器搭載できる新型爆撃機公開 “中国けん制の中核”―【私の論評】米国の抑止の拡大は、さらに中露北の脅威に(゚д゚)!

米空軍 核兵器搭載できる新型爆撃機公開 “中国けん制の中核”


アメリカ空軍などは核兵器を搭載可能な新型の戦略爆撃機を公開し、核戦力の増強を続ける中国を念頭に抑止力を高めるねらいがあるとみられます。

アメリカ西部・カリフォルニア州で2日、戦略爆撃機B21の機体が公開されました。

戦略爆撃機B21を開発したのは、すでに実戦配備されているステルス戦略爆撃機B2を製造した企業です。

この企業によりますと新たな爆撃機は核兵器も搭載することができ、高性能なレーダーでも捉えられにくい次世代のステルス技術を備えるほか、無人での飛行なども可能になるということです。

式典でオースティン国防長官はアメリカ軍が新たな戦略爆撃機を導入するのは30年以上ぶりだとしたうえで「抑止力を強化し、維持することはわれわれの防衛戦略の中心だ」と述べました。

バイデン政権は中国が核戦力の増強を続けているとして警戒を強めていて、核戦力の近代化を進める方針を維持しています。

アメリカ空軍は新たな爆撃機について2020年代半ばの実戦配備を目指し、少なくとも100機保有するとしていて、アメリカのメディアは「中国をけん制するアメリカの取り組みの中核を担うものだ」と伝えています。

【私の論評】新型戦略爆撃による米国の拡大抑止は、さらに中露北の脅威に(゚д゚)!

B21は、21世紀に入ってから初めて登場した爆撃機であり、高いステルス性能と高度なネットワーク能力、オープンアーキテクチャを有しているのが特徴です。アメリカ空軍の計画では、将来的には非ステルス型のB-52と 最新のB-21の2機種で爆撃機部隊のバックボーンを形成するとしています。

なお、愛称の「レイダー(Raider)」は、第2次世界大戦中の1942(昭和17)年4月に日本本土への初空襲、いわゆる「ドーリットル空襲」を行った「ドーリットル爆撃隊(Doolittle Raids)」にちなんだものだといいます。

日本本土を初めて爆撃したドーリットル爆撃隊
式典にはオースティン国防長官やクリストファー・グレイディ統合参謀本部副議長も列席しており、初飛行は2023年5月を予定、すでに6機のB-21がパームデールで最終組み立ての段階にあるそうです。

米国ではB21導入に対する期待が大きいようです。老朽化が深刻な既存の爆撃機を置き換えるだけでなく、戦略的な効率性、予算節減効果まで狙えるためです。

実際に1980年代から生産したB1の場合、昨年9月までに17機を退役させ現在45機を運用中です。1993年に米国とロシアが結んだ第2次戦略兵器削減条約(START2)に基づきB1は核兵器を搭載できません。その上ステルス性能も備えていません。

米空軍はステルス戦略爆撃機のB2を1990年代後半から20機ほどだけ導入しました。冷戦が終わり追加生産をしなかったためです。結局開発費用を合わせた量産費用は雪だるま式に増え1機当たり20億ドルに迫りました。30年前に開発された旧型ステルス機のためメンテナンス費用も少なくないというのが専門家らの評価です。

B21は外見はB2と似た全翼機です。ノースロップ・グラマンが両機種ともに開発しました。

B21は、B2より機体が小さく、武装搭載量は半分の約13.5トン水準です。専門家らは機体が小さくなった分だけステルス性能に優れ運用がさらに効率的だと予想しています。

精密誘導爆撃が可能な各種スマート爆弾を搭載するためであえて武装搭載量に執着する必要もなくなったのです。武装搭載量は減ったのですが、地下施設を破壊する超大型在来式爆弾である「スーパーバンカーバスター」も1発搭載できます。

バンカーバスターとは、地面に突入して地中で炸裂する地中貫通爆弾の総称です。その中でも、スーパーバンカーバスターはかなり強力です。(下図参照)


習近平、プーチン、金正恩ともに、戦時になれば、地下壕に避難して、そこから指揮をとるでしょうが、スーパーバンカーバスターは、それを破壊して、避難している指導層と、その取り巻き全員と、コミュニケーション手段を根こそぎ破壊してしまいます。

いざとなれば、ステルス性の高い、米軍B21が自国の防空網をくぐり抜けて、自分の頭の真上に飛来して、スーパーパンカーバスターをお見舞いされれば、確実に殺されます。この可能性は否定できません。これは、彼らにとって、精神衛生上あまり良いことはないでしょう。

無論このミサイルは、既存のB1、B2、B52などにも搭載できます。北朝鮮の防空システムは、60年代のものであり、米国の爆撃機の侵入を防ぐ能力はありません。

金正恩など、ミサイルを発射するたびに、これで攻撃されるのではと、そこはかとない恐怖に見舞われていると思います。米軍としても、北朝鮮があまりに無茶なことをすれば、本当にこれを実行する腹積もりでいるでしょう。

B21の導入によって、その恐怖はさらに深まるわけです。これは、習近平やプーチンにとっても他人事ではないでしょう。

B21は戦術核だけでなく現在開発最終段階である極超音速ミサイル(AGM-183A ARRW)を搭載するものとみられます。このミサイルはマッハ5以上の速度で飛んで行きますが、射程距離が1600キロメートルに達します。

米空軍は、2022年5月16日、戦略爆撃機「B-52H」からの極超音速ミサイル「AGM-183A(写真下)」空中発射型即応兵器(ARRW)発射に成功したと発表しました。2022年5月14日に実施された試射で、ARRWは爆撃機から投下された後に、点火されたブースターが想定時間どおり燃焼し続け、その速度はマッハ5以上に達しました。


100機以上を生産し1機当たりの導入価格が下がり5億5000万ドル水準と予想されています。

B21戦力化がある程度進めば韓半島への展開だけでなく場合によって暫定的または循環配備も可能になるでしょう。中国、ロシア、北朝鮮にとっては、ステルス性能がないB1、B52爆撃機よりはるかに脅威です。

中露には、新たな戦略爆撃機の開発計画はなく、米国がこれを随時展開すれば米国の抑止の拡大は、彼らにとってさらに大きな脅威になります。

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