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2008年4月15日火曜日

中国分裂の筋書-(10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄

海洋探査船地球巨大地震震源掘削

上は海洋探査船「ちきゅう」の動画。世界で最も深くまで探査できる船である。

さて、中国分裂の筋書の最終回となります。本日は、中国の分裂が終焉し現代中国が、民主中国とも呼べる比較的大きな国と、その他の国に分かれた後の筋書きのうちの一つを書きたいと思います。この筋書きは、中国分裂の筋書-(8)における「日本の経済発展モデルを導入した場合」を前提としています。

中国に高度成長モデルを導入する
この考えでは、日本の経済発展モデルを導入して、民主中国に日本の高度成長モデルを導入します。無論、日本が失敗したこと
は、はずした成長モデルです。こうすることにより、民主中国は日本型共産主義(1980年代はじめまでの、規制が網の目のようにめぐらされた、比較的平等な社会・経済)を目指して努力し、10年程度の比較的短い間に健全な社会をつくりだし経済発展をして、少なくとも国民一人当たりのGDPが日本の1/10~1/5まで急速に発展するものと思います。無論民主中国という国と相談しつつ、協調して導入します。大きな方向性は、中国、日本の国家レベルで方法を定めるものの、導入にあたって最前線で活躍するのは、官僚ではありません。双方のNPOが活躍します。こうして、中国、日本に顕著な役人の腐敗を防御します。

さて、これだけでもかなりの発展が期待されます。しかし、民主中国におけるこの成長も日本の経済成長モデルがある時点から有効でなくなったのと同じに行き止まりがきます。そのとき、あるいは、その前に何をするか、はっきりしたビジョンが必要になります。

海洋資源開発
さて、どのようなビジョンが考えられるでしょうか?私は、ここで「パクスマリーナ」という考え方を提唱します。私は、以前このブログでも述べたように日本の行き詰まり状況を打破するには、日本は海洋開発に着目すべきであると書いたことがあります。日本は、これを積極的に推進すべきです。実は、日本は排他的経済水域では、世界で5位、排他的経済水域の海の体積では2位という海洋大国です。これを最大限に活用するのです。

海には、それこそ、メタンハイドレード、レアメタルなどの資源が大量に眠っていることと、魚介類なども豊富です。海藻ですらも、バイオエタノールの原料になる可能性が高いです。その他、海洋深層水、海水そのものに含まれる成分の活用など、あげればきりがないほどの資源の宝庫です。陸の数万倍の無尽蔵といっても良いくらいの、資源があるとの試算もあるくらいです。陸だけで考えていた場合は、人類は行き詰るしかなかったのが、全く見通しが違ってきます。また、これらの資源だけではなく、海洋牧場などによる育てる資源も考えられます。今陸上に生活する人々のすべてに、先進国の平均的な生活を保障してもありあまるくらいの資源があるのです。日本においては、これらを積極的に活用することは今までは怠ってきしまた。しかし、今年になって「海洋基本計画」などが承認を得て、ようやっと縦割り行政などが是正される見通しになっています。現在では、国所有の深海探査艇すらないというお寒い状況です。

日本は、このお寒い状況を打破して、さまざまな資源を活用できる体制を整えるのです。特に、海洋牧場など育てる漁業にも力を入れます。鯨、魚、貝類その他有用な海藻、動植物・プランクトンなどを育てられるようにします。ただし、日本は過去に先進諸国が失敗してきた過ちを海では起こさないように注力しながら開発・育成をします。海の資源がいくら、無尽蔵に近いと思っても、貪欲な人間の欲望をそのままにして、開発をすれば、当面は良いとしても数世紀で使い果たすことも考えられるため、豊富な資源がありながらも、持続可能な社会・経済を目指すのです。そうして、これらを食料、エネルギーに転換できるようにします。これによって、日本は、食料・エネルギーの輸出大国に転進するのです。

中日による共同海洋資源開発
こうした、素地を日本国内につくっておき、民主中国がある程度の経済発展が予測され確実になった時から、民主中国と日本が共同で海洋開発を進める体制を整えます。特に中国からは、大量の人材を供給してもらい、日本の技術を学んでいただき、中日共同でまずは日本海側の開発を進めます。それが終わった段階では、太平洋側の開発も進めます。これらの地域に巨大な地下資源開発用のプラットフォームや、海洋牧場が出来上がることになります。

やがて、これらの開発が実を結びはじめたとき、中国と日本は、全く違った次元の社会・経済に進むと思います。かつて経営学の大家である故ドラッカー氏は、海洋牧場の可能性を語っていました。おそらく、海洋牧場によって育てる漁業に転進した中国と日本は、人類が農業によって大きく前進したように、大きな文化的、経済的、社会的大変革を遂げることになるでしょう。ただし、今から20年後、30年後の時代になるとは思います。特に、文化的には陸を主体とした考え方から、海を主体とした考え方への転換が行われるため、大転換が起こるものと思います。価値観の大転換が行われるのです。それまで、陸という縛りから逃れた全く新しい価値観が登場することになります。

陸地に縛られるアメリカとEUの凋落
これらの大変革を遂げた時期に、アメリカやEUなど、それまでの経済・社会の仕組みを維持・発展することのみに注力をしてきた国は、凋落し始めていることでしょう。もっといえば、地政学的歴史観、ものの見方にとらわれている国々は凋落していくことでしょう。まず、アメリカについては、すでに「パクスアメリカーナ」の時代は終焉を迎えたといわれているように、いわゆる「アメリカ流自由主義経済」は有効ではなくっているでしょう。アメリカは、ローマ帝国終焉のときのように、この凋落を何とかしようとあがくに違いありません。しかし、あがけば、あがくほど第二、第三の「サブプライム」問題が起こり、身動きがとれなくなっていることでしょう。

EUにおいては、もうすでに凋落のシナリオを自ら選んでしまっています。彼らは、新しい試みとして、CO2を通貨にしようと目論んでいます。この目論見は失敗します。なせなら、彼れは、富に関する基本的な認識を誤っているからです。CO2削減の市場取引を行い、それが直接富にはつながらないという認識です。CO2削減という言葉に象徴されるように、削減のみでは新たな富を生み出すことはできません。確かに、太陽電池、風力発電装置その他を生み出すかもしれませんが、大きな意味での価値創出にはつながりません。陸地でのエネルギー創出などには、最初から限界があるものと思います。陸地だけではなく、海洋にも等しく太陽エネルギーなどのエネルギーが蓄えられ、さらには、新たに作り出すことも可能です。人類は、始まって以来陸地のエネルギーを捜し求め、活用してきました。陸地で努力をし続けることには、限界があります。いままで、ほとんど手がついていない海洋の方がはるかに魅力的で、将来性があります。

地政学的歴史観にもとづき、陸に縛られた、EU諸国はこのままCO2幻想に浸っていれば、かつてローマ帝国が金鉱の金が尽きてしまったときのように、新たな価値を生み出さない新貨幣「CO2」とともに没落していくことでしょう。

パクスマリーナ
さて、中国の豊富な人材、日本の高度な技術を活用して、海洋開発に成功した両国は、世界で最も進んだ、社会システム、経済を持つに至るでしょう。この次元に達しときには、軍事力はあまり意味をもたなくなるかもしれません。なぜなら、軍事力で他国に攻め入って富を創出することは、ほとんど意味がなくなるからです。たとえば、ロシアが日本と中国を攻撃して、領土にしても、一時的に富の創出を遅らせるだけです。それよりも、自らも海洋に対する新たな挑戦が急務になってくるからです。

人類は、豊富な資源の可能性、将来性に直面して、今までよりも鷹揚になることでしょう。日本には、衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、その通りになると思います。どの国でも、今までは陸に縛り付けられ、その範囲でものを考え、富める国であっても、いついかなることがあって没落するかもれしないので、鵜の目鷹の目で、他国の富に着目し、何とか自国に有利なるようになんらかの形で、それを収奪できないかと考えてきたわけですが、豊富な資源の前にはそのような必要性もなくなるからです。海洋資源開発に成功した人類は、人類史上はじめて、本当の意味での礼節を知るものになるかもしれません。考えてみてください、これはたとえ話ですが、たとえば、今海に金がたくさん埋まっていて、誰もがとっても良く、そうして、誰もが努力すれば、その金を実際に取得できたとしたら、どうなりますか?それに近い世界を現代のそうして将来できるであろう科学技術などを活用して実施するということです。戦争、紛争もなくなるかもしれません。なぜなら、やがて、誰もが努力さえすれば、夢を実現できる世界がやってくるからです。私は、この世界を「パクスマリーナ(海の平和)」と呼びたいと思っています。

さて、夢のような話を書いてしまいましたが、私自身はこうしたことも考え方一つでできると思っています。以上は本当に簡単に方向性だけを示しています。これらをまともに調査したりすれば、膨大な文書などになると思います。今は、現実の自分の仕事などに忙殺されていますが、将来的に余裕などできたら、このような世界を実現するには、どうしたらよいのかなどをライフワークとして研究していきたいと思ってます。なにせ、上に書いてあることは、ここ10年、20年のことではなく、最終的には1世紀くらい必要とすると思います(笑)。

いずれ、この考え方について、付加・修正などがありましたら、掲載します。さらに、中国分裂の筋書などにつきましても、新たな情報・展開などありしまたら掲載していきます。

以下にこのブログに掲載された中国関連の記事を掲載します。反転文字列をクリックしていただければ、当該ブログに飛びます。

■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?

■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?

■中国分裂の筋書き−(その9)日本の対応は?

■中国分裂の筋書き−(その8)迫られる中国の選択

■中国分裂の筋書き−(その7)忘れてはいけない中国の不良債権

■中国分裂の筋書き−(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々

■中国分裂の筋書き−(その5)他の人達はどう思っているのか?

■中国分裂の筋書き−(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩

■中国分裂の筋書き−(その3)中国バブルの真実

■中国分裂の筋書−(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない

■中国分裂の筋書−(その1)繰り返される歴史

■中国"義歯"から鉛「安全に問題」

■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名

■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?

■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情
以下にこのブログに掲載されたパクスマリーナ関連の記事を掲載します。反転文字列をくれっくしていただければ、当該ブログに飛びます

■鯨の肉は牛肉より環境にやさしい-ロイターニュースから確信したパクスマリーナの正当性

■最近の株価や円レートをみていて思うこと-パクスマリーナの時代は来るか?

■オーストリラリアが捕鯨に反対する理由(5)-鯨はオーストラリアにとって大切な観光資源である

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