■現代中国に国家の英雄や統合の象徴は不在
私は、以前このブログに書いた『南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情』の中で、中国に統合の象徴はいないことを述べました。中国には、中国全国を統合する象徴や英雄は存在しません。鄧小平氏が鄭和というヨーロッパの大航海時代に先駆けて諸外国への大航海の指揮者を国家統合の象徴にしようとしたこともありましだが、結局彼は宦官であり、無理がありました。また、鄭和の大航海はヨーロッパの大航海時代とは違い、その後の世の中に対して何ら変革をひきおこしませんでした。結局中国の宦官だった鄭和はその後世界に何ら影響を与えることもなく、単なる歴史の人物になったため、中国国内でもあまりにも知名度が低すぎます。
むろん、毛沢東も国家統合の象徴にはなりえないことを述べました。細かいことは当該ブログをみていただければ、判ることなので、簡単に言うと、毛沢東の指示もしくは、毛沢東の名のもとにあまりにも大量の人々(当時の中国領内の人々)が虐殺されたため、とても国家の英雄としては祀り上げられないのです。今回のチベット暴動のように、外国人の大量虐殺だけならまだ国内においては英雄扱いできたかもしれません。しかし、文革その他で、大量の自国民を虐殺にしているわけですから、ほとんど不可能といわざるをえません。ヒトラーですら、これほど大量に自国民を虐殺していません。
■空前絶後の中国の大量虐殺
毛沢東の大量虐殺のスケールは空前絶後とも言ってよいほどのものです。
毛沢東は、1957年2月27日、「49年から54年までの間に80万人を処刑した」と自ら述べています。(ザ・ワールド・アルマナック 1975年版)。周恩来は、同年6月、全国人民代表大会報告で、1949年以来「反革命」の罪で逮捕された者のうち、16%にあたる83万人を処刑したと報告しています。また、42%が労働改造所(労改、強制収容所)に送られ、32%が監視下に置かれたと述べています。毛沢東は、その後もさまざまな権力闘争や失政をつづけましたが、丁抒らの研究によると、大躍進政策と文化大革命によって、2,000万人の中国人民が死に追いやられたとされています。
『共産主義黒書』では、ジャン・ルイ・マルゴランが、ほぼ信頼できる数値として、内戦期を除いた犠牲者の数を、以下のように統括的に提示しています。
■体制によって暴力的に死にいたらしめられた人
700万~1,000万人(うち数十万人はチベット人)
■「反革命派」として強制収容所に収容され、そこで死亡した人
2,000ないし4,300万人
これほどの大量虐殺を直接・間接に指揮した毛沢東は国家の英雄や、統合の象徴としては祀り上げることができないことがよくお判りになることでしょう。
それでは、国家の英雄・統合の象徴の存在しない中国の将来はどうなるのでしょうか?私は、前回のブログ記事で、現代中国政府はバブル崩壊後のやり直しは出来ないと述べました。英雄や統合の象徴が存在しないということは、本当にやり直しが利かなくなってしまうことを意味します。
中国共産党の正体 九評共産党 第九評 中国共産党の無頼の本性 1/6
上の動画話半分で見ていただきたいですが、話半分でもすさまじいですね。
■日本のようにいざという時の神頼みはできない
日本では統合の象徴として天皇陛下を頂いています。おそらく、象徴としてはこれに勝るものはないでしょう。最近の日本人は、この重要性に関してすっかり忘れてしまっています。しかし、昔から日本では、本当の国難という状況に陥ったとき、必ず朝廷が何らかの機能を果たしています。武家は昔から、いざというときは、天皇を味方につけ、時の為政者の横暴を天皇に代わってこらしめたり、滅ぼすという方式をとってきました。明治維新は、まさにこうして、朝廷が機能しほとんど無血革命となっています。もし、朝廷がなければ、フランス革命のように血塗られた革命になったかもしれません。さらに、天皇という統合の御旗のもとに、多くの有能な人材が敵味方の枠を超えて、有効・機能的に動き、明治維新という大変革を遂げました。太平洋戦争では、玉音放送により、天皇が終戦の詔を発表されたため、現在のイラクのような内部紛争にならずに終戦をむかえることができました。おそらく、これからも本当の国難に至ったとき、何らかの形で朝廷が機能を果たすものと考えます。日本においては、今までは、そうして今でもそのようなことはなかったので、本当の国難という状況にはないものと考えます。
このような統合の象徴を持たない中国は一端タガが緩めば、完全に分裂してしまうことでしょう。今回のチベット問題、オリンピックの問題、オリンピック後のバブル崩壊をきっかけに、現代中国のタガが本格的にはずれてしまうことでしょう。そうなったときに、現代中国には、日本の朝廷と同様な機能を果たせる機関も指導者も、人物もいません。ある時点を境に坂道を転げ落ちるように崩壊し、分裂することになるでしょう。
以下に関連記事を掲載します。読んでいない方は、是非ご覧になってください。以下とこの記事をご覧になれば、中国分裂の筋書きがゆるぎない真実であることがお判りになると思います。反転文字列をクリックしてください。当該記事に飛びます。
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■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
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3 件のコメント:
> 明治維新は、まさにこうして、天皇制が機能しほとんど無血革命となっています。もし、天皇制がなければ、フランス革命のように血塗られた革命になったかもしれません。
この件、ちょっと書いただけで途端に
ネトウヨだとかきめつけられることがあるんですよね…
別に戦前の体制を賛美・礼賛しているわけではなくても。
皇室制度があったことで日本がどんな恩恵を受けてきたのか、
冷静に分析できる風潮が存在しないのがネックですね。
素人a様コメント有難うございます。戦前だろうが、戦後だろうが、良いものは良いし、悪いものは悪いと思います。戦前は、すべて悪というのは、単なるきめつけだと思います。
天皇制に関しては、右翼、左翼、中道に関わりなく、謙虚に研究すべきテーマだと思います。そうし、経営学の立場からも研究すべきと思います。
変革の際に、カタストロフィーに陥ることなく、どのように組織を変革していくべきか、大いに参考になると思います。
当方への書き込みありがとうございます。
中国は4000年間、先人から学ばず同じ様な事を繰り返して来ました。
それが今度は中華人民共和国で起ころうとしています。
例え中華人民共和国そのものが分裂しても中国人そのものが変わらない事には何の意味も無くまた第二の共産党が生まれると思います。
日本は北朝鮮を潰す前に中国を潰すべきです。
頭さえ押さえ付けてしまえば蛇は何も出来なくなります。
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