2008年5月28日水曜日

せき止め湖決壊対策、爆破に向け準備 中国-4月の気になる副水利相の指摘

写真
衛星写真が捉えた四川省北川県の川。増水の様子がうかがえる

最近、テレビなどでにぎわっている言葉に「せき止め湖」があります。皆さんは、この言葉をご存知でしようか。残念ながら、私はこの言葉今回の中国地震の報道で初めて知りました(ただし、この文章の後のほうのコメント欄にmKさんが書いているように、富士五湖はせき止湖です。しかし、これは富士山の噴火によるものであり、地震によってできたものではありません)。日本国内でも、新潟の地震などで、規模ははるかに小さいですが似たようなことが起こっていたのを覚えています。自衛隊のホンプ車が被災地に来ていて、地震でできた沼から5~6本くらいの太い水色のホースで、水を流していたのを覚えています。でも、そのころは「せき止め湖」などという言葉で報道されているのを聴いたことがありません。本当は、されていたのかもしれませんが、記憶に残るほど頻繁に大々的に報道されていなかったのかもしれません。

試しに、国語辞典で「せき止め湖」という言葉をひいてみましたが、そのような言葉は見当たりません。「火山の噴火や土砂崩れなどによって川がせき止められてできた湖」程度の意味と思いますが。そうであれば、このような表現をすべきであって、国語辞典にもないような言葉は使うべきではないと思います。無論、中国語をそのまま直訳しているのだと思います。

今朝もテレビで、中国の画像が流れてきて、中国の軍部の幹部らしき人が番組のコメンテーターのように人民解放軍の兵士に向かって「この下流には〇〇人の人がいるし、町があって、もしこの「せき止め湖」が崩壊して水害になったら大変なことになる。君たちの働き次第で町や人々の生活が大きく左右される、絶対に成功させるように頑張ってくれ」と激を飛ばしていました。その中にも何回も「せき止め湖」という言葉がでてきました。

私はこの「せき止め湖」報道に、胡散臭い感覚を持ちました。「せき止め湖」というこの聞きなれない言葉には、何らかの意思が働いているような気がしてなりません。

まずは、せき止め湖に関するCNNのニュースをそのまま引用します。

CNN報道のせき止め湖爆破のニュース
成都(CNN) 12日の四川大地震に伴う土砂崩れで川がせき止められて出現した湖(地震湖)に決壊の恐れがあるため、中国人民解放軍のエンジニアらは、爆破による排水に向けて準備を進めている。国営の新華社通信が伝えた。

このせき止め湖は四川省北川県にあり、増水を続けている。解放軍専門家らは爆破用のダイナマイトや重機とともに、ヘリコプターで現地入りした。現場には既に解放軍兵士や警察官など1800人近くが派遣されている。せき止め湖は合計30カ所以上。

こうしたなか中国当局者は、一人っ子政策下でも、子どもが死亡したりけがを負ったり、障害者になった場合は新たに子どもを作ることを容認している、と強調した。

25日の余震による死者は少なくとも8人、負傷者は1000人余りに増え、倒壊家屋は四川・甘粛・陝西の3省で7万戸以上にのぼった。また、民政省が発表した大地震の使者は6万5080人、負傷者は36万58人、行方不明者は2万3150人となった。

こうした地震が発生する前に実は、中国で4月の段階で副水利相が気になる発言をしています。

中国のダムの決壊事故を受けて語った副水利相の中国のダム事情

【北京/中国 4月20日 AFP】新華社通信によると、矯勇(Jiao Yong)副水利相は20日、中国西北部の甘粛(Gansu)省で前日発生したダム決壊事故を受け、「中国各地の数千機のダムの決壊は、時間の問題だ」と語った。

■「欠陥を抱えたダムの安全対策を行う」と宣言

 19日のダム決壊事故では、近隣地区一帯が冠水し、高速道路が崩壊した。また、近郊の4村の住民1700人が避難を余儀なくされた。

 新華社は、「欠陥を抱えたダムは『時限爆弾』のようなものだ。ダム下流地域の住民の生活や資産は深刻な脅威にさらされている」との矯副水利相のコメントを掲載した。

 矯副水利相は、ダム安全・補強対策として、大小問わず中国全土のダムの修理工事を行うと宣言した。期間は3年をめどとしているが、副水利相は「非常に大きな任務となる」と述べている。

 新華社によると、中国全土には8万5000基以上のダムがあるが、そのうち3万基(大規模ダム200基、中規模ダム1600基を含む)に深刻な構造欠陥があるとみられている。

■度重なる河川災害に「技術力」を不安視する声も

 中国の河川は、過去にも度々氾濫し惨事を招いてきた。1975年8月に河南(Henan)省中部を襲った豪雨では、ダム62基が決壊、破壊されるなどした。

 公式統計によると、この災害で、少なくとも2万6000人が死亡、1000万人が深刻な被害を受けたが、この数字は、数年間、隠蔽されたままだった。専門家は、決壊事故のいくつかは技術的な欠陥が原因だとしている。

一方、中国政府が治水対策を目的に、「世界最大の発電プロジェクト」として揚子江中流に建設した三峡ダムでは、ひび割れが見つかり、中国のダム建設技術 への懸念が持ち上がっている。しかし、中国政府は懸念を否定。ひび割れに問題はないとし、補修工事を行っていると説明した。
 
地震がなくても危ないといわれたダムに何の被害もないのか?
さて、上の二つのニュースを読んでみて、何かふにおちないとか、消化不良をおこしたような気分になりませんでしたか?私は、完全におかしいと思います。

なせ、地震がなくても危険だといわれた、数千のダムはどうなったのでしょうか。これについては、ほとんど報道されず、何かと言えば「せき止め湖」ということばかりが報道されています。

わたしは、もうすでにかなりのダムが決壊しているのではないかと思います。しかし、ダム周辺は立ち入り禁止とされているので、実情は現場の人民解放軍とか、警察の人間しか知らないし、ダム決壊の事実に関しては、緘口令がしかれていて、報道関係者にも伝わっていないのだと思います。

おそらくも、地震によってできた「せき止め湖」もあるのでしょうが、ダムの決壊による土石流によりできあがった「せき止め湖」も多数あるのではないかと思います。

中国政府はこのような事実を隠しているのだと思います。おそらく、大規模なダムの二次災害が発生していたり、これからも大規模に起こる可能性がかなり高く、壊滅的な打撃が予想されているのではないかと思います。

ここで「せき止め湖」のことを、大きく発表すると中国政府にはどのようなメリットがあるのでしょうか?私は、実際はダムという人の手による構造物が壊われて、大きな被害が出ることにより、ダム工事の杜撰(ずさん)さが暴かれ、国内外からの批判や圧力が高まることを警戒してるのだと思います。ところが、「せき止め湖」が決壊して大被害ということになれば、これは、自然の力によるものですから、多くの人は、気の毒だとか、運が悪かったと思うしかなくなります。これが、ダムの決壊だということになると、かなりの非難・糾弾などが予想されます。

さて、この見方うがった見方でしょうか?私はそうではないと思います。中国では、以前私がブログにも掲載したように、やらせ義捐金問題や、今この時期に「中国では湖錦濤氏や、温家宝氏にノーベル平和賞をという声が高まっている」とする新華社の報道など、理解に苦しんだり、不可解なことが多すぎます。おそらく、これらにも裏に何かの意図があるのだと思います。中国でこのように、「せき止め湖」爆破などの報道が頻繁にしかも華々しく報道されには、こうした事情があるものと思います。そうして、これはいずれどこかから漏れ、すっぱ抜き報道などされる時期が来るものと思います。中国共産党は、バブル崩壊、地震、地震によって暴かれるさまざまな行政上の問題や、社会問題が噴出し何かを変えないと、収集のつかない事態に迫られるものと思います。

以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!

■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞

■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?

■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?

■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋

■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの

■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?

■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水

■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?

■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?

■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?

■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄

■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?

■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択

■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権

■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々

■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?

■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩

■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実

■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない

■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史

■中国"義歯"から鉛「安全に問題」

■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名

■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?

■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情


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4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

せき止め湖と言う言葉ですが、私の住む山梨県の富士五湖は、富士山の噴火により川が堰き止められて、できあがった湖であると、小学生の頃から勉強してきました。湖の成立には、火口湖、カルデラ湖、断層湖同様に堰き止め湖がある事を学習しました。そのため全く違和感を感じませんでした。

山田 豊 さんのコメント...

mkさま。コメント有難うございます。確かに富士五湖は、火山の噴火によってできたせき止め湖ですね。思い出しました。ただし、地震でできた「せき止湖」ではないです。
私は、今回の地震の中国側の報道で、ダムに関してほとんど報道されず、「せき止湖」ばかり報道されることに非常に違和感を感じます。
やはり、中国のお家芸の一つの情報操作ではないかと思います。ただし、今人工衛星などから画像をとることができるので、いずれ真相が明らかにされると思います。

匿名 さんのコメント...

コメントありがとうございます。

決壊対策にと言う事で、爆破しちゃうって事でしょう、が欠陥を知られちゃうヤバイからと言うのもあるのでしょうか・・・

何かそんなカンジしちゃいますね。

山田 豊 さんのコメント...

やん様 コメント有難うございます。爆撃して、欠陥ダムの証拠を全部あとかたもなく、粉砕して証拠を隠滅するとか。
最近の中国のデタラメ報道ぶりをみていると、そう勘ぐりたくもなってしまいますね。

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