2008年5月23日金曜日

中国携帯電話事情―80後世代分類のツールともなるか?

中国四川5月12日7.8级地震

上は、四川大地震を最初に日本国内に伝えた携帯電話による動画。言葉や、文書よりもずっと現実味があり、多くの人が大変なことが起こったことを認識できたと思います。

中国の手写筆携帯電話
あの中国の大地震では、最初に日本国内で動画として報道されたのは、携帯電話によるものだったと思います。また、「ママはいつまでもあなたを愛している」、中国・四川大地震で、救出された男の赤ちゃんを抱きかかえるように死んでいた母親が、携帯電話に愛するわが子へ 最後のメッセージを残していたことが、中国国内で感動を呼んでいます。それだけ中国でも、携帯電話が普及してきているのだと思います。特に四川省の田舎などでは、電話線による固定電話よりも、携帯電話の方が先に普及しているということもあると思います。今回の地震のときにもしも、携帯電話が普及していなかったら、情報伝達が遅れてただでさえ大地震で大変なことになっているのに、さらにそれに輪をかけて大変な自体を招いていたと思います。

中国人が携帯電話に書き込みをするのに、ペンシルのようなものを使っている光景は何度か目にしたことがあります。日本では、見たことがないので、何をしているのだろうと興味は持ったのですが、その後忘れていました。

ところが、最近あるブログで面白い記事を見つけました。やはり、このペンシルを使う携帯電話のことが掲載されており、これは、いわゆる手書き入力端末で入力するときの「ペン」のことで、中国語では「手写筆」というそうです。あるいは「触控筆」ともいうそうです。そうして、これができる携帯電話は、一般的な若者の月給より高いくらいの価格だそうです。そこで、一般の若者は日本のように、親指文化に馴染んでいるそうです。つまり、テンキーか らピンイン(上記の括弧書きのような音を表すアルファベット)を入力し、漢字変換してショートメッセージ(SMS)を送ったりしているそうです。

では、手写筆付きの端末を使う人はどういう人か? 一言でいえば、若者を含め「お金持ち」だろうとのことです。

中国イチゴ族の分類(ターゲティング)

私は、以前このブログの『中国「イチゴ族」―中国の未来は彼らのもの』で中国のイチゴ族=80後世代(80年代に生まれた若者の世代)に関して、これらをひとくくりにするのではなく、三つの層に分類してみました。それを以下に簡単に記します。

■メインターゲット-ゼリー層(推計人口2000万人以下)
まずは、少なくとも日本の一般世帯収入の数分の一以上の世帯収入がある家の出身である こと。高学歴であること、北京大学などやそれに順ずる大学の大学生、大学院生で、卒業生であること。海外の有名大学院の院生や卒業者を含みます。卒業生の 場合では、官僚になっているか、有名企業などに就職しているか、家業をついでいます。

■サブ・ターゲット-イチゴ層(推計人口5000万人前後)
さ て、この層は、メイン・ターゲットには近いですが、いわゆる有名大学出身ではないですが、大学行っているかその卒業生です。いわゆる、知識層ではありませ ん。長野オリンピックなどで騒いでいた連中はこの層です。経済的には比較的恵まれていて、ゼリー層より少し下のレベルです。知的能力は低いですが、さりと て、韓国に留学するほどの頭の悪さではありません。

■ボリューム・ターゲット-80後世代多数層(推定人口1億3000万人前後)
経済的にも、 知的にも一昔前の中国人とあまり変わりない層です。ただし、インターネットを使ったり、若いことから、通常の中国人からみれば、変わって見えますが。思考 も行動様式も以前の中国人とほとんど変わりませ。彼らが変わって見えるとすれば、彼らの特性ではなく世の中の変化です。

中国は携帯電話がかなり、普及しつつあり2006年の集計結果によると、3人に1台の割合で普及しているそうです。

おそらく、若者ならば、ほとんどの人が携帯電話を持っているのだと思います。さて、この分類をしやすくするために「手写筆携帯」がひとつのメルクマール(目印)として使えるかもしれません。

手写筆携帯をメルクマールとする?
そうです、メインターゲットのゼリー層は、ほとんどの人が携帯電話を持っていて、しかもほとんどの人がこの「手写筆携帯」を持っていると思います。サブターゲットのイチゴ層は、ほぼすべての人が携帯電話を持っているが、「手写筆携帯」を持っている人は少ない。次に、ボリュームターゲットの80後世代多数層は、携帯電話を持っているはいるがすべての人が持っているとは限らない、「手写筆携帯」など持っている人はいない。持とうとも思っていない。このような分類です。

3月に北京で開かれた「80後」芸術祭の出展作品

これって、なかなかいい方法だと思います。中国でフィールドワークするときに、ただ若者層というのではなく、「携帯電話」を見せてもらい、さらに少し話しをすれば、どの層に属するのか大体目星がつきます。これが、日本なら携帯電話などでは目星はつけられません。とても、便利だと思います。

先の分類では、何か他にわかりやすいメルクマールはないかと考えていましたが、この分類は本当に便利でわかりやすいと思います。

中国では、四川大地震で今は当然地震に目がいきがちです、被災なさった方々は本当にお気の毒だと思います。これから復旧作業が早く進展することを期待します。そうして、中国は広い国ですから、大連、北京、上海など被災しなかった都市も数多くあります。日本ではほとんど報道されていませんが、これらの都市からいわゆる80後世代の多くの若者が被災地に救援活動にボランティアとして向かったそうです。現代中国は大きな問題を抱えていますが、いずれにせよ、中国の未来はこの80後世代に掛かっていると思います。彼らが中核になる時代にこそ、民主中国ができあがることを期待します。

このブログでは、これからも「中国80後世代」に関して、追いかけ行きます。さらには、何かのビジネスを具体的に例にとって、新規事業のコンセプトなど形成できたらと思っています。これからも、よろしくお願いします。

以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■中国四川省大地震―各施設、ダムは大丈夫か?

■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋

■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの

■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?

■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水

■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?

■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?

■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?

■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄

■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?

■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択

■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権

■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々

■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?

■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩

■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実

■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない

■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史

■中国"義歯"から鉛「安全に問題」

■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名

■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?

■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情


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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
記事を読ませていただきました。
大変興味深い内容でした。

最近の携帯電話普及率はとても高く、災害や事件の手がかりは携帯電話ということも珍しくなくなってきました。
中国でもまさに同じことがおこっているのでしょうね。
ただ中国は日本のように安く携帯電話を手に入れる環境が整っていないので(まだまだ高い)
すべての世代まで行き渡るのにもうしばらく時間がかかりそうですね。

山田 豊 さんのコメント...

担当O様コメント有難うございます。
ノキアは日本円にすれば、5千円以内で販売しているようですが、それにしても高いと言えば、高いですね。
それにしても、日本のようなゼロ円端末のようなものは、なかなかでないでしょうね。

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