2023年11月3日金曜日

岸田政権は何をやりたいのか 憲法改正で問われる「本気度」 所得税減税のように「遅く、ショボい」ものに終わってしまうのか?―【私の論評】段取りの悪さを露呈した、岸田政権の経済対策(゚д゚)!

高橋洋一「日本の解き方」

まとめ
  • 岸田文雄首相は憲法改正への意欲を示しており、保守層を掴みとどめる狙いがあるとされている。
  • しかし、首相の本気度について疑問が生じており、所得税減税の提案が遅く、規模が小さいと批判されている。
  • ライドシェアの導入など、人気取りの政策が疑念を引き起こしている。
  • 憲法改正に関しても、具体的な進行計画や期限設定がないため、首相の本気度が疑問視されている。
  • 政策の一貫性や矛盾が憲法改正の進捗に影響を与えている可能性がある。

岸田首相

 岸田文雄首相の憲法改正への本気度について疑問が生じている。首相は憲法改正を進め、岩盤保守層を掴みとどめるために憲法改正に取り組んでいると言われているが、その真意が不透明であるとの指摘がある。

 具体的には、所得税減税の話題が注目されている。岸田首相はかつて財務省の支持で増税政策を進めていたが、増税イメージを払拭するために所得税減税を打ち出した。しかし、その提案は遅く、規模も小さいと批判されており、真剣に所得税減税を実現するつもりがあるのか疑念が生じている。

 また、岸田首相は一般ドライバーによる「ライドシェア」の導入を所信表明に盛り込んだことも、人気取りのための政策と受け取られている

 憲法改正についても、岸田首相は言葉で取り組む姿勢を示しているが、具体的な本気度が不透明だ。改憲について直接の議論が行われる前に期限を設定しなければ、本気で進めるつもりがあるのか疑念が残るという声もある。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください

【私の論評】段取りの悪さを露呈した岸田政権の経済対策(゚д゚)!

まとめ
  • 岸田首相が「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を発表し、17兆円の対策を提案。
  • 実際の経済対策の真水額は約10兆円と見られる。
  • 経済対策には賃上げ促進、消費喚起、インフラ投資、デジタル化推進などが含まれているが、規模は需要不足に対して十分でないとの指摘がある。
  • 需給ギャップの推計について、内閣府の評価と高橋洋一氏の評価に差異がある。経済対策は、多少多めにすべきである。多めのほうが、少なめより修正しやすい。
  • 複雑な対策の決定プロセスについて、譲れないポイントをいくつか明確に定めて多くの人々の意見を聞くべきである。

昨日、岸田首相は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」をとりまとめました。賃金を上げ、購買力を上げ、「好循環」を加速させて、デフレ完全脱却を図る経済対策です。17兆円の対策とされています。

真水額は、約10兆円と見られます。

経済対策の総額は17兆円ですが、このうち約7兆円は、すでに本予算に計上されている予備費や、税収増の還元策である期限付き所得税減税や非課税世帯への給付金などです。これらの措置は、すでに財政支出として計上されているため、真水には含まれません。

10/31自民党政務調査会全体会で、新たな総合経済対策について議論されたが・・・

真水の経済対策は、国と地方の歳出の合計で約10兆円と見られます。このうち、国費は約7兆円、地方費は約3兆円です。

具体的には、以下のような措置が真水の経済対策に含まれます。
  • 賃上げ促進のための税制優遇措置
  • 消費喚起のためのポイント還元やクーポン発行
  • インフラ投資
  • デジタル化推進
規模としては、当初言われていたものよりは大きくなりそうですが、現状日本では15兆円の需給ギャップがあるので、やはり望ましい額よりは少ないです。しかも、実施は変わらず、最速で来年6月以降というのですから、やはり遅いです。

政府は、2022年7月から9月期の需給ギャップをマイナス2.7%と発表していました。これは、年換算で15兆円の需要不足を意味します。

しかし、内閣府は2023年9月19日に、2022年7月から9月期の需給ギャップをプラス0.1%と発表しました。これは、年換算で1兆円の需要超過を意味します。

高橋洋一氏は、内閣府の需給ギャップ推計は、潜在GDPを過小評価しているとして、需給ギャップはプラスではなく、マイナスであると指摘しています。

高橋氏は、内閣府が潜在GDPを推計する際に、労働参加率や生産性の伸び率を過小評価していると主張しています。また、内閣府が潜在GDPを推計する際に用いる統計データは、過去のデータを基にしており、現在の経済状況を反映していないとも指摘しています。

高橋洋一氏の指摘をもとにすれば、やはり経済対策の規模は小さいと言わざるを得ません。

高橋洋一氏

それに、一般的に、より少ない経済対策をとって後で修正するよりも、より多くの経済対策をとって後で修正する方が簡単です。

これにはいくつかの理由があります。第一に、経済対策の正確な影響を予測するのは難しいです。より多くの対策を講じることで、望ましい影響を確実に達成することができます。第二に、もし最初の措置が望ましい影響を与えなかったとしても、それほど大きな混乱を引き起こすことなく、後で修正することができます。 もちろん、もう少し経済対策を講じることにはリスクもあります。ひとつのリスクは、政府支出や債務の増加につながる可能性があることです。しかし、このブログでも指摘してきたように、そのような可能性は現在の日本にはありません。

もうひとつのリスクは、インフレにつながる可能性があることです。しかし、これらのリスクは、経済対策を慎重に設計し、その影響を監視することで軽減することができます。 総合的に見て、経済対策をもう少し強化することのメリットは、リスクをはるかに上回るでしょう。このことは、特に景気が低迷しているときに言えることで、景気を下支えするために断固とした行動を取ることが重要です。

にもかかわらず、岸田政権は、規模や時期を巡って、あまりにも紆余曲折がありすぎました。先日もこのブログで指摘したとおり、そのため対策が遅い、対策が小さい、対策が不十分等と、批判されるのです。

そうして、このような状況になってしまう要因として、対策の規模、時期、範囲などでこれは譲れないという点を決めた上で、多くの人の意見聞けば良いにもかかわらず、それ以前に多くの人の意見を聴いてから、対策を決めようとしているからだろうと指摘しました。

そうして、この状況は、要人のスケジューリングをする秘書の初歩的なミスに似ていることを指摘しました。

要人のスケジューリングをする秘書 AI生成画

スケジューリングにおいては、最初にここだけは譲れないというポイントを定めてから、他の多くの人の意見を聞けばよいものを、それ以前に多くの人の意見を聞くのでは、とうていスケジューリングなどできないし、できたとしても当の要人が満足できるようなスケジュールにはならないと指摘しました。このようなスケジューリンクしかできない秘書は「段取りが悪い」と指弾されるでしょう。そうして、無論、この要人とは経済対策においては、国民ということです。

経済対策では、まずは国民に目を向けなければならないのです、それなしに多くの人の意見を聴いても混乱するばかりです。

経済対策で、右往左往する岸田首相は、上の記事で高橋洋一氏が指摘するように、憲法改正でも、同じような間違いをおかしそうです。

岸田首相は、経済対策でも、憲法改正でも、政権としてはここだけは譲れないというポイントをいくつかをはっきり定めて、その上で多くの人々の参考意見を聞くべきです。

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