- 岸田首相は「増税メガネ」と呼ばれている。
- 国民は、岸田政権の増税感を強く感じている。
- 国民の増税感は、政府の税収増と国民の所得損失の乖離による。
- 岸田政権は、所得減税で名誉回復を図ろうとしている。
- 消費税減税が最も望ましいが、期限付きの所得減税でも評価は上がる。
岸田首相は、2021年10月就任以来、増税を否定し、減税を強調してきた。しかし、国民の間では、消費増税や防衛費増額などによって、実質的に増税が行われているとの不満が根強くある。
このような国民の「増税感」は、経済学における「機会費用」という考え方によって理解することができる。日本経済は、毎年1%以上の成長をすることが望ましいが、2019年の消費増税や2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大などの影響で、その成長は阻まれていた。その結果、国民1人当たりの実質GDPは、2018年度から2022年度までに約71万円も減少している。
一方、政府予算は、毎年度4兆円以上の税収増を続けている。国民の所得は減少しているのに、税収だけが増えていることで、国民の増税感は高まっている。
岸田首相は、こうした国民の増税感を意識して、2023年10月に期限付きの所得税減税を表明した。これは、増税感の払拭に向けた「名誉回復」の試みと言える。しかし、消費税減税ができないのは残念であり、規模や「期限付き」の中身次第では、依然として「増税人間」の評価がついてしまう可能性もある。
要するに、岸田首相は、国民の増税感を理解し、対応すべきである。具体的には、消費税減税の実現を目指すとともに、所得税減税の規模や「期限付き」の中身を国民の納得が得られるものにする必要がある。
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【私の論評】岸田政権の経済政策は? 減税や給付で15兆円の需給ギャップを埋められるのか(゚д゚)!
まとめ- 岸田政権の増税、減税の具体的な動きは、防衛費増額による実質増税と所得税減税による実質減税の二つに集約されている。
- 防衛費の増額は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて実施され、10兆円の規模となっており、国民の負担への懸念が高まっている。
- 防衛増税に関する法案は提出されておらず、与野党間で賛否が分かれるため、国民の理解と支持が必要とされている。
- 所得税減税と非課税世帯への給付が実施されており、経済対策に取り組んでいるが、一部批判もある。
- 現状は、複数年度にまたがっても需給ギャップを埋める経済対策をすべき。
岸田政権による増税、減税の具体的な動きは、以下の二つです。その他は、議論がなされているというだけであり、具体的なものではありません。
岸田政権が成立してからの減税、増税の具体的な動きは、防衛費の増額による実質増税と、所得税減税による実質減税の二つの動きに集約されます。
2022年10月に、岸田首相は、防衛費の増額を決定しました。この増額は、10兆円に上り、過去最大の規模となりました。この増額は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、防衛力の強化を図る狙いがあります。しかし、この増額によって、国民の負担が重くなるとの懸念が高まっています。
しかし、防衛増税そのものはすでに決まったことではありません。
2023年10月28日現在、防衛増税に関する具体的な法案は提出されていません。岸田文雄首相は、2023年7月20日の参議院本会議で、防衛費をGDP比2%に引き上げることを表明しましたが、具体的な増税額や増税方法については、今後の議論の中で検討していくとしています。
防衛増税は、与野党間で賛否が分かれる議題であり、実現には国民の理解と支持が必要です。そのため、防衛増税が実現するかどうかは、今後の議論の行方次第となります。
ただし、岸田政権は、防衛増税を実現する強い意欲を持っています。そのため、今後の議論の中で、防衛増税の実現に向けた具体的な方策が検討され、実現に向けた動きが加速していく可能性は十分にあります。
一方、2023年10月には、岸田首相は、所得税減税と非課税世帯への給付を打ち出しました。この減税は、1人あたり4万円で、期限は2025年末までとなっており、物価高騰による国民の負担を軽減する狙いがあります。しかし、消費税減税を実現できなかったことや、規模が小さいことへの批判もあります。
今後、岸田政権は、国民の増税感を払拭するために、消費税減税や、所得税減税の規模拡大などの対応を迫られると考えられます。
・政府税調の中期答申
2023年6月30日に公表された政府税制調査会(首相の諮問機関)の中期答申では、消費税率の13%への引き上げや、富裕層への課税強化など、増税を含む幅広い税制改革が提言されました。この答申は、岸田政権の税制改革の方向性を示すものとして、大きな注目を集めました。
・自民党税制調査会の宮沢洋一会長の発言
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は、消費税率の13%への引き上げや、所得税の累進課税の強化など、増税を容認する発言を繰り返しています。宮沢会長は、岸田政権の税制改革を担う立場にあるため、その発言は大きな影響力を持っています。
・財界人などの発言
財界人の中にも増税すべきという人は少なくありません。
ただし、岸田政権は、増税については具体的な言及を避けており、最終的な判断は、今後の議論の中で行われることになるでしょう。経団連会長の十倉雅和氏は、2023年7月の定例記者会見で、「財政再建の遅れは、経済の潜在成長率の低下や、社会保障の持続可能性を脅かす」と指摘し、増税の必要性を訴えました。また、消費税率の13%への引き上げについては、「国民の理解と納得を得ることが重要」と述べ、政府に丁寧な説明を求めました。
日本商工会議所会頭の三村明夫氏は、2023年7月の定例記者会見で、「財政再建は喫緊の課題であり、増税は避けられないだろう」と述べ、増税の可能性をにらみました。また、消費税率の13%への引き上げについては、「国民の負担を軽減する対策を講じることが重要」と述べました。
日経連会長の中西宏明氏は、2023年7月の定例記者会見で、「社会保障の持続可能性や、防衛費の増額など、財政再建には増税が不可欠だ」と述べ、増税の必要性を訴えました。また、消費税率の13%への引き上げについては、「国民の理解と納得を得ることが重要」と述べ、政府に丁寧な説明を求めました。
これらの財界人は、いずれも日本の経済界を代表する存在であり、その発言は、政府の政策に大きな影響を与えると考えられます。そのため、彼らが増税を容認する発言を繰り返していることは、岸田政権の増税への傾斜を示すものとして、注目されています。
所得税減税の規模は、対象者数を約1億人に想定した場合、約4兆円となります。給付金の規模は、対象者数を約5000万人に想定した場合、約3.5兆円となります。
したがって、所得税減税と給付金の合計規模は、約7.5兆円になると試算できます。
なお、この規模は、あくまでも試算であり、今後の議論の中で変更される可能性もあります。
また、所得税減税の対象となる所得は、給与所得と事業所得であり、給与所得者のうち、給与所得控除額が38万円を超える人が対象となります。給付金の対象となる世帯は、住民税非課税世帯と、住民税の課税額が3万円以下の世帯です。
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