2023年10月13日金曜日

<独自>海外のロケット、来夏にも国内で初打ち上げ 台湾の宇宙ベンチャーが計画―【私の論評】台湾と日本の協力が中国への警告となり、地政学的な力学を変える(゚д゚)!

<独自>海外のロケット、来夏にも国内で初打ち上げ 台湾の宇宙ベンチャーが計画

まとめ
  • 台湾の宇宙ベンチャーが、日本国内からロケットを打ち上げる計画を明らかにした。
  • ロケットは2段式で、最高高度は120キロ。
  • 大樹町の射場を選んだ理由は、日本がアジア最大の宇宙基地としてのポテンシャルを持つことと、地形が平坦で太平洋に面していること。
  • 北海道宇宙サミットは今回で3回目。

Ti SPACEのロケット

 台湾の宇宙ベンチャー「TiSPACE」が、来年夏にも北海道大樹町にある射場からロケットを打ち上げる計画であることを明らかにした。日本国内から海外のロケットを打ち上げるのは初めてとみられる。

 ロケットは2段式で全長11・4メートル、直径60センチ。液体の酸化剤と固体燃料を組み合わせたハイブリッド方式を採用している。最高高度120キロで弾道飛行を行い、太平洋に落下する。

 関係者は、大樹町の射場を選んだ理由について「日本はアジア最大の宇宙基地としてのポテンシャルを持つ」と指摘。「大樹町は地形が平坦で太平洋に面し、打ち上げに適している」と話した。

 北海道宇宙サミットは今回で3回目。実行委員会によると、12日正午までに約800人が来場した。

【私の論評】台湾と日本の協力が中国への警告となり、地政学的な力学を変える(゚д゚)!

まとめ
  • 台湾と日本の宇宙ロケット打ち上げは戦略的な意味を持つ。
  • 台湾にとって、独立宇宙計画は技術力と独立性を示し、中国の威嚇から守る役割を果たす。
  • 台湾の宇宙打ち上げ能力は、弾道ミサイル技術との関連があり、中国に抑止力を示す。
  • 日本の支援は台湾に対する姿勢を示し、ミサイル防衛協力や攻撃的ミサイル戦力の可能性を提供する。
  • この協力は地政学的に有利で、民主的同盟国の安全保障協力を強化し、中国の支配野心に対抗するものとなり得る。
今回の打ち上げは、台湾の宇宙開発における新たな一歩であると同時に、日本が宇宙港として国際的に注目を集めるきっかけとなる可能性もあります。さて、日本のメディアの報道はおそらくここまででしょうが、この打ち上げは単なるビジネス上の打ち上げではなく東アジアにおいて地政学的な状況にも変化を与えるものです。

この打ち上げは台湾と日本にとって戦略的な意味を持つことは間違いないです。台湾にとって、ロケットを打ち上げることができるということは、技術力と独立性を示すことになります。

台湾が中国に干渉されたり、威嚇されることを防ぐことに寄与するのは間違いないです。独立した宇宙計画と打ち上げ能力を持つことは、国際舞台における台湾の威信を高めることになます。

また、弾道ミサイル技術は宇宙打ち上げ技術と関連しているため、軍事的なメリットもあります。日本にとって、台湾に自国領土からの打ち上げを許可することは、台湾への支援であり、中国に対峙する姿勢を見せることにもなります。

宇宙ロケットと大陸間弾道ミサイルは、多くの技術や能力を共有しています。人工衛星を宇宙に打ち上げることができる組織は、ICBMを開発し打ち上げることもできるでしょう。

米国のサイロに収納されているICBM


共有されている能力には、 まずは、ロケット推進システム 、 誘導制御システム があります。 宇宙ロケットの操縦に使用されるアビオニクスは、ICBMを目標に誘導するために適応させることができます。

 ロケットとICBMは、高速かつ高高度に到達するために、軽量でありながら強靭な材料と構造を必要としますし、 ロケットに使用される宇宙港や発射台は、ICBMの発射基地としても機能します。つまり、台湾の宇宙発射能力の実証は、ICBM能力の可能性を示すものです。

中国が先制攻撃を仕掛けてきても反撃できることを示すことで、中国に対する抑止力を高めることになります。宇宙計画は、こうした戦略的技術の開発を正当化し、ミサイル能力を向上させるための袈裟の下の鎧となります。

日本にとっても同じことが言えます。宇宙打ち上げに関する協力は、ミサイル防衛協力、あるいは日本独自の攻撃的ミサイル戦力の開発につながる可能性があります。

自衛隊の03式中距離地対空誘導弾(改善型)

宇宙ロケットとICBMの境界線はしばしば曖昧であるため、一方の分野の進歩は他方に利益をもたらす。日本政府が台湾の発射を許可したのは、単なる政治的支援ではなく、日本の安全保障を高めるための戦略的計算だったのかもしれないです。

中国は台湾を自国の領土だと主張しているため、日本が北海道において台湾のロケットの独立運用を認めることは、中国の主権主張を弱めることになります。また、日本は宇宙活動で協力することで、戦略的に台湾に近づくことができます。

この協力は、軍事演習や武器取引など他の分野にも広がり、中国に対抗するための日本、台湾、アメリカの非公式同盟を強化する可能性があります。

地政学的には、今回の打ち上げによって、この地域のパワー・ダイナミクス(力の大きさが異なる人々の間の相互作用)は、台湾や日本のような民主的同盟国に有利に、そして中国の支配から離れる方向にシフトするでしょう。

台湾軍の演習を視察した蔡英文総統

中国が、宇宙ロケットの打ち上げのような機密性の高い活動であっても、近隣諸国に口を出すことはできないということを示すことになります。北海道に位置することは、中国が東シナ海のような地域を支配していないことも示している。つまり、この打ち上げは重要なパワープロジェクション効果を持つのです。

全体として、これは台湾と日本の安全保障協力と戦略的独立性を強化する大胆な行動であるといえます。これは中国に対して、支配や威嚇はするなという警告でもあります。この発射の軍事的、地政学的な意味は、東アジアにおける支配を狙う中国の野心に明らかに不利に働くことになります。

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