- 岸田政権は、物価高騰対策として、所得税減税1人当たり4万円と、非課税世帯への7万円の給付金を検討している。
- これらの対策に対する世論の評価は芳しくない。
- 世論の批判の理由は、以下の3点である。①対策が遅い、②対策が小さい、③対策が不十分
- 岸田政権は、来年度通常国会で具体的な対策を発表する予定だが、世論の支持を取り戻すには、これらの批判を踏まえた対策を検討する必要がある。
岸田首相は、2022年10月23日の所信表明演説で「国民への還元」を強調したが、具体的な内容は示さなかった。その後、10月24日の代表質問において、所得税減税を明言したが、税法改正案は来年度通常国会での提出が想定されている。
物価高騰は、2022年春頃から急速に進んでいる。岸田政権は、物価高騰対策の検討を早急に進めるべきであり、来年度通常国会での提出では遅すぎるとの批判がある。
例えば、2022年9月の消費者物価指数は、前年同月比で2.1%上昇した。これは、2014年4月以来の高水準である。また、ガソリン価格は、2022年10月時点で、前年同月比で約2倍に上昇している。
このような物価高騰の状況下で、岸田政権の物価高騰対策が遅すぎるとの批判は当然である。
政府・与党が検討している所得税減税は、1人当たり4万円程度とされている。これは、岸田首相が公約として掲げた「1人当たり10万円」の半分にも満たない。
4万円の所得税減税は、現行の所得税率制度では、給与所得で年収約200万円の世帯が対象となる。この世帯の平均的な月々の家計支出は約30万円であり、4万円の所得税減税は、家計支出の約1.3%に相当する。
物価高騰による家計への負担は、1.3%程度の減税では十分に軽減されないとの批判がある。
例えば、2022年9月の総務省の家計調査によると、食費の平均支出は3万円を超えている。また、ガソリン代や電気代などのエネルギー費も、物価高騰の影響で上昇している。
このような状況下で、4万円の所得税減税では、物価高騰による家計への負担を十分に軽減できないとの批判は当然である。
政府・与党が検討している所得税減税は、給与所得者を対象としたものだ。しかし、物価高騰による家計への負担は、給与所得者だけでなく、自営業者や年金受給者などにも広がっている。
岸田政権は、給与所得者以外の世帯にも配慮した、より包括的な対策を検討すべきとの指摘がある。
例えば、自営業者には、売上減少による収入減を補てんするための支援策が必要である。また、年金受給者には、物価高騰に伴う生活費の上昇を補助するための給付金が必要である。
このような状況下で、給与所得者を対象とした所得税減税だけでは、物価高騰による家計への負担を十分に軽減できないとの批判は当然である。
岸田政権は、来年度通常国会で具体的な対策を発表する予定だが、世論の支持を取り戻すには、これらの対策を検討する必要がある。
- 岸田政権が2023年10月26日に発表した経済対策は、規模が明らかに小さく、物価高騰による家計への負担を十分に軽減できない。
- 経済対策を効果的に実施するためには、規模、時期、範囲を明確にすることが重要である。
- 規模については、需給ギャップを埋めるだけの規模が必要である。
- 時期については、経済が最も停滞している時期に実施することが重要である。
- 範囲については、家計を最優先することが重要である。
財務省にとって、消費税の社会保障目的税と歳入庁がないのは好都合だ。保険料は労使折半なので企業負担もあるが、消費税は企業負担がないと経済界は考えて、消費増税前向きだ。その上に、財務省が消費増税と法人税減税のバーターを持ちだすので、さらに経済界は消費増税に前のめりになる。歳入庁がないのは国税庁支配力の維持に好都合だ。岸田首相も財務省の手の上で踊らされている。
おそらく、岸田首相には経済対策に関して、財務省に限らず、様々な人が様々な意見を語るのでしょう。その中には、経済的な観点から、政治的な観点から、財務省など官僚の観点から、その他産業界の特殊事情の観点から、派閥の力学の観点からと、様々な種々雑多な観点からの意見があるのでしょう。
財務省 |
かつて「聞く耳を持つ」と語っていた岸田首相は、これらをすべて聴いた上で、経済対策を決定しようとしているのかもしれません。
しかし、そのようなことは不可能です。
このたとえが、適切かどうかはわかりませんが、たとえば要人のスケジューリングをするにおいて、まず最初にここだけは動かせないといういくつかのポイントを決めることが重要です。
例えば、- 要人の出張や会議の予定
- 重要な会議や打ち合わせの予定
- 要人が必ず出席しなければならない予定
これらのポイントを決めることで、スケジュールの調整範囲を絞り込むことができます。また、要人の意思を尊重しながらも、効率的にスケジュールを決めることができるようになります。
ここだけは動かせないといういくつかのポイントを決めないで、多くの人の意見を聴いていれば、いつまでたっても、スケジューリングはできませんし、できたとしても、とうてい当の要人が満足するものにはなり得ません。
スケジューリングではここだけは動かせないというポイントを見出すことが重要 |
経済対策においては、要人のスケジューリングよりはるかに多くの考慮しなければならないことは多くあります。しかし、ここだけは動かせないいくつかのポイントがあります。
それは、まず第一に、経済対策の規模です。
ここを勘違いする政治家がいるので、驚くことがあります。「最初から規模ありきというのでは〇〇」という愚かな政治家います。こういう政治家は、様々な必要な経費などを積み上げて計算すべきと思っているようですが、その必要は全くありません。
その規模を知るのは、意外と簡単なことです。それは、すでに需給ギャップとして計算されています。経済対策の規模は、このギャップを埋めるだけのものが必要だということです。
需給ギャップとは、潜在GDPと実際のGDPの差を表す指標です。潜在GDPとは、経済が完全雇用で生産できる最大のGDPです。実際のGDPとは、実際に生産されたGDPです。需給ギャップが正の値であれば、経済は潜在GDPを下回っており、需要不足に陥っています。この場合、政府は経済対策によって需要を拡大し、経済を回復させることが求められます。
内閣府の推計によると、2022年4-6月期の需給ギャップは、名目GDP比で-2.7%、年換算で-14.8兆円となっています。これは、潜在GDPを下回る需要不足を示しています。
この需給ギャップを埋めるためには、約15兆円程度の経済対策が必要です。これに対しても異を唱える不思議な人がいますが、これも多すぎたり、少なすぎたりすれば、後でいくらでも修正できますが、規模の少ない対策を打ち、そのままにしていれば、経済は間違いなく悪化します。
第二に経済対策の時期です。
経済対策の効果が最大限に発揮される時期は、経済が最も停滞している時期です。そのため、需要不足が深刻化している現在、早急に経済対策を実施することが重要です。
経済対策は、政府の財政負担を増加させます。そのため、経済対策を実施する時期は、財政状況が安定している時期にすることが望ましいです。
現状の日本では、経済が停滞しており、財政状況も安定しています。そのため、経済対策を実施する時期としては、現在が最適と言えるでしょう。
具体的には、2023年12月から2024年1月頃に、経済対策を実施することが考えられます。この時期は、年末年始の消費のピークが過ぎて、景気が落ち着き始める時期です。そのため、経済対策の効果が最大限に発揮されると考えられます。
第三に、経済対策の範囲です。
需給ギャップを埋めるためには、対象範囲を適切に決めることが重要です。対象範囲を広げすぎると、経済対策の目的が達成できなくなる可能性があります。また、対象範囲を狭めすぎると、経済対策の効果が十分に発揮されない可能性があります。具体的には、以下の対象範囲が考えられます。
- 家計支援:低所得者、子育て世帯、高齢者など
- 設備投資:中小企業、製造業、農業、漁業など
- 成長産業育成:環境対策、デジタル化など
多少まずいことがあったにしても、これはあとからでも修正することはできます。しかし、規模や時期を間違えていれば、これを修正するのはかなり難しいです。そうして、経済が悪化し、雇用が激減したり、貧困層が増えたりして、これに後追い的に手当をせざるを得なくなります。
そうしても、経済はすぐは元に戻らないこともあります。結局最初に適切な経済対策をすべきだったという事になります。このような愚かなことを日本は平成年間に何度も繰り返してきたといえます。
岸田政権は、2023年10月26日に、所得税の1人当たり4万円減税と、所得が低い世帯への7万円給付を打ち出しました。
所得税減税の規模は、対象者数を約1億人に想定した場合、約4兆円となります。給付金の規模は、対象者数を約5000万人に想定した場合、約3.5兆円となります。
したがって、所得税減税と給付金の合計規模は、約7.5兆円になると試算できます。これでは、明らかに少ないですし、物価高騰による家計への負担を十分に軽減することはできません。
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