各国の政府高官や軍幹部が参加するアジア安全保障会議では31日、中国・四川大地震の被災地支援のための自衛隊機派遣が見送りになったことが話題になっ た。当事国の日中に加え、ホスト国であるシンガポールのリー・シェンロン首相も石破茂防衛相との会談で言及。アジア各国の関心の高さを裏付けた。
リー首相は日本による中国への被災地支援を高く評価する一方で「対中関係は政府だけでなく、世論も考慮する必要がある。歴史問題をクリアすればより積極 的な役割を果たせる」と助言した。石破氏は「戦争の記憶は引き継ぐ」と言明。そのうえで「自衛隊機での輸送は歴史的だと受け止められるだろうが、日の丸を 付けた自衛隊機が行くのはなかなか簡単ではない」と応じた。
午前の講演会では石破氏と中国人民解放軍の馬暁天副総参謀長が並ぶ場面も。会場から見送りの理由を質問されると、石破氏が「中国の文化や伝統、国民感情 に理解と敬意を示した」と説明、馬氏は「中国の歴史と伝統を理解してくれたことに感謝する」と答えた。(シンガポール=河野俊)(07:02)
日本外交の結果的勝利か?
この程度の話題だと、先日立て続けに2回も自衛隊機派遣に関する話題をとりあげていますので、私は普通だとわざわざブログには掲載しません。1回目は、自衛隊機派遣が本決まりになりそうということで掲載、2回目は、1回目とは裏腹に一転して見送りになった話でした。しかし、私は第一回目ではこの出来事は、「歴史上の転換点となるか?」、「2回目は歴史上の転換点?」として掲載するほど、重要な出来事とみなしているので、本日も掲載します。
アジア安全保障会議での、様子から私は、今回の一連の騒動とも言って良い出来事は、結果として日本の外交上(外務省ではない)の勝利だと思います。なぜなら、仮に自衛隊が当初の予定通りに中国に向けて飛び立つことができれば、誰の目から見ても歴史上の転換点であり、世界的な話題となるからです。
実際には、見送りになったのですが、見送りになったとしても、まずは、中国側が言っているように、複雑な国民感情などへの配慮としているのですが、すでに実績のある自衛隊派遣という通常の事柄が中国ではできないという、他国にはない中国独自の特殊性を海外に印象付けることができたからです。中国中央政府が今回の要請に関して一枚岩で行っていたとしたら、国民感情など、圧殺できるのでしょうが、国民感情以上の、はっきり言ってしまえば、人民解放軍とか、上海派閥などの声を無視できなかったということです。
さらに、どのような経緯があったにしても、自衛隊機派遣という要請が早い段階に、仮に自衛隊機でもかまわない程度の要請であったとしても、間違いなくあったという事実が浮き彫りにされたということです。もし、早い段階で自衛隊による輸送を拒否していれば、今回の会議でも、中国馬暁天副総参謀長も、もっと強い調子で日本側に対して日本はミスを犯したと発言できたものと思いますし、したと思います。ところが、中国側の意思決定の遅さや、危機管理システムがしっかり構築されていないということが露呈し、通常の国家ではありえない内部分裂の実体も明確になったため、いつもの調子で日本側のミスを糾弾することは不利なると判断したものと思います。
通常の国家対国家の関係であれば、たとえ現場レベルの折衝で一度自衛隊での輸送でも構わないという消極的な要請であっても、一度要請しておき、その後断るということになれば、断った側の意思決定の遅さなどとは関係なく、何らかの方法で謝罪するのが国際儀礼というものです。しかしながら、対外的に謝罪もできない、あるいはしない中国の異常ぶりが、国際舞台に晒されたというのが実体だと思います。
この自衛隊機派遣の要請に関して、どのレベルで受けたかはわかりませんせんが、おそらく担当者は上記のように、どっちに転んでも日本にとって有利だと踏んだのだと思います。これを認識していて、相手側の言質をとって、うまく立ち回ったのだと思います。中国の上層部も「やられた!」と思ったのではないでしょうか?日本の外交センス(外務省とは言っていませんよ)も、なかなかのものだと思います。
さて、私はこの出来事がこれから起こる大きな出来事の一つの兆候だと思います。なぜなら、今回の出来事は今までにない、中国指導層の混乱振りと、分裂振りの査証であると考えるからです。
先のブログでも示したように、これを契機に今後10年間で中国を巡って怒涛のような動きが始まる予感がします。皆さんはどう思われますか?
<6月2日時点での付加>------------------------------------------------
この出来事に関して、その後報道されたり、わかったことがあります。この記事の内容をさらに、補強できる内容であることと、他の記事にするまでもないことなのでここに掲載します。
■馬暁天副総参謀長、直後に記者会見を開く
この席上で、馬暁天副参謀長は「自分としては中国の歴史の特殊性などから、やはり自衛隊の派遣は反対である」との趣旨の発言しています。自分の意見としていますが、やはり人民解放軍としての見解なのだと思います。それにしても、全く愚かな発言だと思います。これによって、中国内のリスク管理体制はできておらず、危機的状況にあっても中国は一枚岩で動けないことを世界に晒してしまいました。さらに、人民解放軍の上層部の頭の悪さを露呈してしまいました。何か、旧日本陸軍の参謀本部の頭の悪さとも共通しているような気がします。
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以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
■自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色-幻の日本軍支援は歴史上の転換点?
■四川大地震:自衛隊機、中国派遣へ・・・政府要請受け入れ―歴史上の転換点になるか?
■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!
■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞
■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?
■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?
■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋
■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの
■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?
■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
■中国"義歯"から鉛「安全に問題」
■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名
■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?
■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情
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