IOCへの批判に強く反論。ただしIOC報道委員長の発言との食い違いも(すでにご存知の方は読み飛ばしてください)
(2008年08月04日)(computerworld.com)
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長は8月2日、北京オリンピック運営当局との間で、オリンピック期間中にインターネット・アクセス規制を行うことを容認するような取り引きはしていないと述べ、IOCのこの問題への対応に対する批判に強く反論した。IOCに対する批判に反論したロゲ会長の会見の模様はBBCのWebサイトで閲覧することができる。
「このことは明確にしておきたい。われわれは、さまざまなメディアがオリンピックに関する報道にできるだけ完全にアクセスできることを要求する。アクセス制限を受け入れる取り引きは一切していないことをここに断言する」 ――Rogge氏がこのように訴える映像を英国の放送局BBC(British Broadcasting Corp.)が放映した。
しかしながら、Rogge氏の発言は、IOCの報道委員長ケビン・ゴスパー(Kevin Gosper)氏の発言と矛盾している。報道によると、Gosper氏は7月30日、「IOCの一部担当者が、オリンピック競技と無関係なサイトであることを条件に、特定サイトへのアクセス規制を受け入れることで、中国当局側と合意した」とコメントしたという(関連記事)。Rogge氏もIOCも、現状に関する両氏の認識に食い違いがある理由を明らかにしなかった。
「われわれの要求は、どの開催都市に対しても同じだ。そして、IOCが2001年に北京市と開催都市契約を締結して以来、変わっていない」とRogge氏は述べた。「北京が開催都市に選定されたとき、IOCは北京に対し、オリンピック報道へのできるだけ完全なアクセスをメディアに提供することを要求した。 IOCはそれを一貫して要求してきたし、北京オリンピック組織委員会(BOCOG)はそれを提供すると言ってきた」
Rogge氏は、IOCがアクセス規制に関する責任の一部を負うべきではないかという見方に対し、怒りをあらわに反論した。「われわれに責任のないことについて謝罪するつもりはない。われわれは中国でインターネットを運営しているわけではない。中国でインターネットを運営しているのは中国人だ」(Rogge氏)
Gosper氏の7月30日の発言に関する報道は、激しい国際的な反発を引き起こした。31日には、報道の自由を主張する非政府組織の国境なき記者団(RSF:Rapporteurs Sans Frontieres/RWB:Reporters Without Borders)や、Wikipediaの簡体中国語版など、アクセスが遮断されていた多くのサイトにアクセスできるようになった。
北京オリンピックのメーンプレスセンター(MPC)では、報道関係者は平均的な中国人の環境より高速にインターネットにアクセスできるが、両者がアクセスできるサイトは同じだ。このため、これまでアクセスできなかったがアクセス可能になったこうしたサイトは、中国のすべてのインターネット・ユーザーがアクセスできる。
順番を間違えた至上最悪の会長か?
いまさら、「われわれに責任のないことについて謝罪するつもりはない。われわれは中国でインターネットを運営しているわけではない。中国でインターネットを運営しているのは中国人だ」のようなことを言ってもらっても仕方ありません。
中国が昔からネット規制をしていることは、既成の事実です。本来ならば、このような規制をする国ではオリンピックを開催してはいけません。
まともな国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は、不十分なところがあったとしても、ある程度は実現されています。このようなまともな国でオリンピックは開催されなければなりません。
中国は、この三つの条件を完全に満たしていません。このような国では本当はオリンピックを開催すべきではありませんでした。少なくとも、民主化だけでもある程度進んでいれば、良かったのですが、あと20年~30年は開催すべきではありませんでした。その間にある程度の民主化は達成されるかもしれません。
このような国でオリンピックを開催することを決めたため、ネット規制の問題が生じたのです。そんなことは、少し調べれば誰もが理解できることです。その意味では、IOC、それにIOC会長にも十分責任があります。
下手をすれば、オリンピックを開催したことにより、私がかねてから主張しているように、中国は分裂してしまうことになるかもしれません。もし、オリンピックの開催が許されなかったら、それも、「民主化、政治と経済の分離、法治国家化」が立ち遅れているという理由で許されなかったとしたら、中国としてもこれを目指して20~30年後にはまともになっていたかもしれません。
しかし、北京オリンピックを開催することが決まったいま、無理に無理を重ねて国家的威信をかけてオリンピックを開催する中国には様々な問題が山積しています。これらの問題が顕在化したり、人民の不満が高まって、オリンピック開催後10年以内に中国は分裂するかもしれないということを、このブログでも、以前に掲載しました。
中国の民主化は、本来ならゆっくりと時間をかけて、民主化が行われ、国民の不満などもつのるかわりに、比較的平穏に行われるチャンスもあったかもしれません。その後にオリンピックを開催すれば、国民、政府、外国の人もこぞってお祝いできる素晴らしいオリンピックになったかもしれません。
本年の北京オリンピックの開催は、全くの間違いであったといわざるを得ません。今後中国では、テロや暴動が頻発して、大変なことになるかもしれません。
その意味ではIOCやその会長も罪作りなことをしたものだと思います。私の懸念が実現した暁には、ジャック・ロゲ会長は至上最低の「バカ会長」だったと言われるようになるかもしれません。
北京は欧米の謀略にはまったか?
上では、IOC会長をこきおろしましたが、彼には、いや、我々にはまだ見えていないものがあるかもしません。私は、北京オリンピックが開催されたときから、ある疑念を持っています。それは、「北京オリンピック開催」は欧米の謀略ではないかという疑念です。
【日本人が知ってはならない歴史】 1/6
世の中には、謀略、諜報、策略、陰謀に満ちている。このビデオでは、日本に関するそれらの内容を解説している。
中国でオリンピックを開催するということは、一見妥当のようにも見えましたが、民主化されていないなどの大きな障壁がありました。私の考えでは、6対4くらいの確率で中国でオリンピック開催はなしとみていました。
それが、あっさり決まったとき、これは何らかの謀略ではないかと考えたのです。まずは、欧米としては、中国の覇権を少しでも弱めたいという考えが昔からあります。良くも悪くも、今の世界秩序を守るためには、中国の覇権がこれ以上強大なってもらっては、困るのです。最近、欧米が中国に接近しているという話題をよく耳にしますが、これとても、一見中国との連携を深めるためのようにみえますが、その裏を良く深読みしてみると、長期的には中国の力を弱めることにつながることが多いと私はみています。
卑近な例では、中国の食の欧米化です。これによって、中国ではそれまでは、自給自足で賄えたもが、チーズや小麦粉、牛肉などを海外それもアメリカなどに依存するようになっています。これこそ、アメリカの農産畜産物による国家戦略にはまってしまった形です。
それから、アメリカなどの自由主経済の立場からは、中国の政治と経済の分離は、必須のことです。いや、それどころか、この立場からすれば、中国が弱体化し、今の韓国のように、中国がアメリカの経済植民地になることが最も望ましいことです。(韓国の経済危機のときに銀行、証券会社がアメリカの銀行や証券会社に買われたことと、それらの配当性向が異常に高いことから、韓国は体面は保てたもののまるで、アメリカの経済植民地の様相を呈していることを指す)
これら、二つの大きな力が働いて、中国自身の努力の他に、これらの力も後押しして、北京オリンピック実現につながってのではなかろうかと思うのです。
現状では、この考えを検証することもできませんが、意外とあたっているかもしれません。過去全体主義的国家がオリンピックを開催すると、その約10 年後には、国家そのものが崩壊しています。ベルリンオリンピックでは、ナチスとともにドイツ第三帝国が崩壊しました。モスクワオリンピックでは、ソビエト連邦が崩壊しました。東京オリンピックは戦前に開催される予定でしたが、結局中止になりましたが、もし開催していたとしたら、まさに10年後に大日本帝国は崩壊しました。北京オリンピックもこの例にならうことになるかもしれません。
もし、中国が本当に崩壊し、この謀略説が当たっていた場合、先のIOC会長、歴史の狭間で、多くの列強から干渉を受け、結局中国を崩壊に導いた会長として過去のイギリスのチェンバレン首相のように、歴史に名前をとどめるかもしれません。
オリンピックを開催してから、こうした懸念を感じてきましたが、暴動の頻発など、あまりにも多くのことが、この懸念に照らしあわて都合よく起きるので、ひょっとしたらあたっているかもしれないと思うようになりました。
チベットに最初に中共軍が攻め入ったころに、CIAの関係者がチベットに入り込んで諜報活動をしていたという事実が明るみになっています。太平洋戦争の勃発を当時のルーズベルト大統領は最初から知っていたといいます。世の中は、謀略と陰謀に満ちています。もし本当に中国が10年後あたりに崩壊したとしたら、この事実の一部が公開されると思います。全貌が明らかになるのは、さらに30年くらいの年月が必要かもしれません。
先ほどは、中国は 20、30年かけてゆっくり民主化したほうが良いような書き方をしましたが、これも正しい正しくないとは言い切れません。10年後に中国が崩壊したとしても、どのような形であれ、新しい国家が生まれてくると思います。そうなれば、かえって良いのかもしれません。中国では、ずっと以前から非民主的で多くの人民が苦しめらてきました。それが、どんな形であれ、民主化されれば、救われる人民も多くいると思います。結局は、どんなに強大な権力者がどんなに謀略をしようと、権謀術数を駆使しようが、大きな歴史の流れは変えることはできません。歴史には必然があるからです。そして、歴史には「もし」はないからです。
でも、もしかしたらという目で見ているといろいろな事件が自分の考えに関連付けられてきて面白いと思います。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
■IOC、中国は環境問題の約束を果たせると確信-人民の煮えたぎるマグマはどうするのか?
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■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
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