2008年7月2日水曜日

貴州省の暴動に見る壊れた中国の実態


ネット記者に懲役4年 中国、秩序かく乱罪(内容を熟知している方は読み飛ばしてください)
【北京1日共同】中国語のニュースウェブサイト「博訊」(本部米国)によると、南京市の裁判所は1日までに、秩序かく乱の罪などで、同サイトに記事を提供していた南京市の孫林氏に懲役4年の判決を言い渡した。

孫氏は地元紙の記者出身で、「博訊」などのニュースサイトに人権問題や社会の不正を告発する記事を発表。南京市当局に記者証を没収された後も記者活動を続けていたという。

「博訊」は6月末に貴州省で起きた暴動も写真付きでいち早く報道。中国内ではアクセスできないよう遮断されている。
2008/07/01 21:10 【共同通信】

貴州暴動 五輪前に怒り噴出 ネット「中国は腐敗社会」
(内容を熟知している方は読み飛ばしてください)
北京=野口東秀】貴州省甕安(おうあん)県で28日に発生した数万人規模の暴動をめぐり、中国当局は30日、参加者に自首を呼びかける一方、暴動のきっかけとなった女子中学生(15)に対する強姦殺人疑惑の調査を必ず実施すると宣伝し、事態の沈静化を図ろうとしている。当局は北京五輪を前に他の地域への波及を防止するため力で押さえ込む構えで、人権団体は約300人が拘束されたと伝えた。「暴動は庶民の絶望感の表れ」(北京の知識人)と指摘され、官僚腐敗に対する鬱積(うっせき)した怒りが噴き出したともいえそうだ。

「金のある者、権力者は何でもできる腐敗社会。中国はまさに“黒”だ」。

暴動に関するインターネットの書き込みは、大部分が地元当局の司法腐敗を非難、「民衆の怒りを知ったか!」と暴動に賛同する内容が多い。

当局は暴動を撮影したビデオなどをもとに参加者を拘束しているようだ。関係サイトによると、拘束された中には30人の生徒も含まれているという。当局は武装警察ら2000人を投入し、催涙弾と高圧電流警棒などで鎮圧。米政府系の自由アジア放送は「発砲で4人が死亡」との説が現地で流れていると伝えた。

消息筋によると、30日、多くの商店が店を閉め、街頭を武装警察が隊列を組んで行進し威圧。群衆に襲撃され炎上した公安庁舎や政府庁舎の周囲は同日午後から二重に封鎖され、一般の人々は近寄れない。

暴動について同日付の地元紙「貴州日報」は「少数の者が真相を知らない群衆を扇動し政府部門を襲撃した重大事件」と位置づけ、公安局はテレビで暴動参加者に対して自首を繰り返し求めている。一方で現場周辺では当局の広報車が走り、「事件の公正な調査をする」と宣伝している。

暴動のきっかけは、女子中学生の死亡。家族や同級生は、政府または公安幹部の親族とみられる男ら2人組による暴行殺害と疑い、2人がすぐに釈放されたことに対し、数百人の生徒らが集団で公安当局前で抗議行動を繰り広げたが、逆に武装警官らに殴打され、これに群衆が反応したとの見方が多い。「連続女子暴行事件、鉱山をめぐる汚職などへの不満も背景」との説も流れている。

胡錦濤指導部は「調和社会」構築を掲げ社会の安定を図ろうとしているが、チベット族の騒乱に続く今回の暴動で、中国社会の不安定さが改めて露呈した形だ。「農地収用問題や官僚腐敗、当局者の横暴、退役軍人の福利問題など社会の底辺にたまった不満のマグマはいつでも噴出する」(北京の法律家)といわれ、今後も大規模な抗議行動や暴動が発生する可能性は否定できない。
2008年7月1日(火)08:15 * 産経新聞

法治国家化、民主化、政治経済分離の三点セットは喫緊(きっきん)の課題!!
さて、チベット以外にも中国には、私がかねてから主張しているように、国家分裂の種はたくさんあります。今回の貴州暴動もその例です。

この暴動は、たまたま女子中学生の強姦事件をきっかけとしていますが、これは引き金に過ぎません。中国の異常ぶり、腐敗ぶりは我々の常識の及ぶ範囲ではありません。この腐敗振りなどは普通の国家なら犯罪です。しかし、中国の場合実質上法治国家ではないため、人の裁量で罪になったり無実になったりします。こんなことでは、いつまでたってもまともな主権国家にはなりえません。中国で外国企業が活動を行っていて、前と同じことをしていても、高級官僚の人が入れ替わったりすると法律違反になったりすることは日常茶飯事です。こんなことを続けている限り民衆の怒りや鬱積は堪り続けるでしょう。中国では全国各地でこのようなことが続いています。

さて、民主化については天安門事件当時から変わらない人権侵害など、これも人民の鬱積は貯まる一方です。まずは、民主化の前提条件として、情報の正しい開示は喫緊の課題です。この女子中学生の強姦事件に関しても正しい情報を開示し、正しい措置をしていれば、あそこまでのことにはならなかったと思います。現在ではいくら情報を統制しようとしても、インターネット、携帯電話の普及がありますから実質上できません。インターネットの場合封鎖したとしても、その前に多数の人が見ている可能性は高いですし、携帯電話などの会話などいちいち全部をモニタリングすることなど不可能だと思います。情報統制などするとかえって憶測や混乱を招くだけです。情報統制は民主の怒りや鬱積をさらに増加させるだけです。

天安門事件の写真


それに、政治経済の分離も絶対に必要です。中国ではこれが分離されておらず、いまでも不鮮明なままです。中国ではいまだ国営企業が幅をきかせていて、健全な経済の成長を妨げています。中国では政府の有力者の息子などが、国営企業の総経理(日本でいうところの社長)になったりすると、その企業の株が高騰することがよくあります。また、国営企業の都合が悪くなると、おかしげな規制がかかったりします。中国の幹部層は、経済のことを良くしらないのでとんでもないことを平気でします。一番酷いのは、幹部の息子など企業を起こすと、たいした能力もないのに、いろいろなところと優先的に取引ができ、それが故に一躍億万長者となり業界の兆児となったりすることです。これでは、一般民衆の怒りはさらに鬱積することになります。

法治国家化、民主化、政治経済の分離の三点セットは喫緊の課題であることが良くお分かりになったことと思います。ところがこの課題がいつまでたっても改善される見通しはたちません。まさに、革命でもなければ中国は変わらないという状況です。

それだけではなく、最近さらに重大問題が顕在化しつつあります。まずは、食料品など生活必需品の高騰です。これが続くと労働者の賃金も上げざるを得ません。というより、もうすでに各地で上がり始めています。そうなると、賃金の安さで維持できた、世界中から部品を集めて中国で部品を組み立てて製品化して輸出すという、いわゆる世界の工場の役割はいつまでも維持できなくなります。繊維製品の分野では現在すでにバングラディシュが台頭してきています。ただ部品を組み立てるだけでなくもっと高度な工業製品をつくるとか、繊維製品でも付加価値をつけるなどのことが重要になっています。そうしなければ、現在の経済の規模を維持したり、人民の生活水準を発展させるどころか、下落させることにもなりかねません。

中国は現在すでに、バブル崩壊が始まっています。上海市場も下落し、土地なども下落を続けていながら、生活必需品は値上がりしています。これら経済の構造改革を、怒りが鬱積し続けてフィードバックすることなく、正のフィードバックだけで鬱積がさらに堪りつづけるの現在の中国の社会において実施することは至難の業です。

でも、何とかしなければ、おそらく革命が起こることになると思います。そのことに、現代中国政府の幹部が早く気づいてくれれば良いと思うのですが。先に掲載したニュースなどみていると、そのような気配は一向に見られません。

以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。

■燃えろアタック-排球女将

■中国海軍の日本に対する傍若無人な態度は何を意味するのか?-中国の軍隊は脆弱?

■<北京五輪>空からのテロに備え、地対空ミサイルを配備か-異常行動の中国?

■厳戒のラサで聖火リレー-チベット暴動から3ヶ月-中国の五重苦をどう解消するつもりなのか?

■「おから工事」批判で国家政権転覆罪-確定した中国分裂の筋書き?
■「80後」は車を買うべきか?-世代をひとくくりにする愚かさ?
■中国核爆発か-高まる情報開示の圧力
■自衛隊機の中国派遣見送り、アジア安全保障会議でも話題に―結果的には日本外交の勝利か?

■自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色-幻の日本軍支援は歴史上の転換点?
■四川大地震:自衛隊機、中国派遣へ・・・政府要請受け入れ―歴史上の転換点になるか?
■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!

■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞
■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?

■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?
■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋
■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの
■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?
■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
■中国"義歯"から鉛「安全に問題」
■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名
■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?
■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情

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