- 2023年のドイツのGDPは、実質でマイナス成長となったが、名目では6.3%増と高い伸びとなった。
- ドイツの米ドル建て名目GDPが日本を抜いたのは、高インフレとユーロ高ドル安による。
- ドイツの経済環境は厳しさを増しており、2024年もマイナス成長が続く見通し。
- ドイツは通貨政策の自由を失っており、為替切り下げによる輸出競争力向上は見込めない。
- 日本は円安を活かすためにも、輸出競争力の向上に取り組む必要がある。
国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」に基づく
ドイツ経済は、2023年の実質GDPが前年比0.3%減とマイナス成長となったものの、名目GDPは同6.3%増と高い伸びとなった。これは、高インフレとユーロ高ドル安によるものだ。
高インフレは、原油や天然ガスなどのエネルギー価格の高騰や、食料価格の高騰などにより引き起こされた。ユーロ高ドル安は、欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めが遅れている一方で、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が積極的に金融引き締めを進めているため、ユーロの価値が下落したことによるもの。
高インフレは、ドイツの輸出企業の収益を圧迫し、輸出競争力を低下させた。また、内需も冷え込み、個人消費や投資の伸びが鈍化した。
輸出先の中国経済も、新型コロナウイルス感染症の再拡大や不動産市場の不振などにより、低迷しています。中国はドイツの最大の輸出相手国であり、中国経済の低迷はドイツ経済に大きな打撃を与えている。
これらの要因により、ドイツ経済は厳しさを増しており、2024年もマイナス成長が続く見通し。
具体的には、以下の点が挙げられる。
- 輸出企業の収益は、高インフレにより原材料費や人件費が上昇したことで、大幅に減少
- 個人消費は、高インフレによる実質所得の減少や、ロシアによるウクライナ侵攻による不安感の高まりにより、伸び悩
- 投資は、高インフレや中国経済の低迷による景気減速の懸念により、減少
ドイツは通貨政策の自由を失っており、為替切り下げによる輸出競争力向上は見込めない。そのため、ドイツ政府は、輸出企業の支援や、内需の拡大に向けた施策を強化する必要がある。
一方、日本は円安を好機として活かすためにも、輸出競争力の向上に取り組む必要があります。具体的には、生産性の向上や、新たな技術の開発などにより、輸出製品の競争力を高めることが重要だ。
また、政府は、円安による物価上昇の影響を緩和するために、賃金の引き上げや、社会保障費の抑制などを行う必要がある。
- ドイツ経済は「欧州の病人」と形容されており、輸出競争力に偏った経済構造が懸念される。
- ドイツの輸出依存度が高く、その経済は主に貿易の状況に左右される傾向がある。
- 輸出先の特定の産業や製品に依存しているため、価格の下落や輸出先の減少が経済に大きな影響を与える可能性がある。
- ドイツ政府は、貿易依存度を下げるために国内需要の拡大や新産業の育成に取り組む必要がある。
- 輸出依存度が高い国は、経済政策においてリスクに備え、国内需要の拡大や輸出先の多様化を促進すべきである。日本は、輸出依存度は高くないが、今は国内需要を伸ばし切るべき
ドイツ経済は今や「欧州の病人」と形容されている |
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ドイツの貿易依存度は、他の主要国と比較して、比較的高い水準にあります。
そのため、ドイツ経済は、主要国野中では貿易の状況に大きく左右されます。他のEU諸国は、越境して働きくる外国人が、輸出をおしあげるなどの特殊要因もあります。
具体的には、以下の点が考えられます。ドイツの輸出品目は、自動車や機械など、比較的高額な製品が多い。そのため、輸出価格の下落や輸出先の減少により、ドイツ経済への影響は大きくなります。
ただし、ドイツの貿易依存度が高いことは、リスク要因として認識しておく必要があります。今後、貿易の状況が悪化した場合、ドイツ経済に大きな打撃を与える可能性があります。
ドイツ政府は、貿易の停滞による経済への影響を緩和するために、国内需要の拡大や新たな産業の育成などに取り組む必要があります。
具体的には、国内の消費を促進するために、所得税の減税や社会保障費の削減などを行う。
新たな産業の育成を支援するために、研究開発への投資や税制優遇措置などを行う。
これらの施策により、ドイツ経済の基盤を強化し、貿易依存度を下げる努力が必要であると考えられます。
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- 貿易の状況が悪化した場合、経済に大きな打撃を受ける。
- 輸出先の減少により、経済が不安定になる。
具体的には、以下の施策が考えられます。国内需要の拡大を図る。
- 新たな産業の育成を支援する。
- 輸出先の多様化を図る。
なお、2018年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大やウクライナ情勢の悪化により、貿易依存度が高い国は、より大きなリスクに直面しています。そのため、これらの施策は、より一層重要となっていると考えられます。
- 国内需要が比較的大きい。
- 輸出先の多様化が進んでいる。
しかし、日本は、依然として需給ギャップが存在しています。そのため、今後は、以下のような施策を積極的に推進することが重要と考えられます。
- 国内需要のさらなる拡大を図る。
- 新たな産業の育成を支援する。
- 消費税減税等や社会保障費の削減などにより、可処分所得を増やす。
- 潜在的な労働力不足を、補うためAI化及びロボット化をすすめる。外国人労働者を大量に受け入れることは、諸外国の例からもわかるように、負の側面が多いことから、これを増やすべきではない
- 研究開発への投資や税制優遇措置などにより、イノベーションを促進する。
- 規制改革などにより、新規事業の参入を促進する。
インフレ目標を2%だが、金融政策によってインフレを誘導するのは当然として、米国やEUのように、インフレ率4%までは様子をみて、それまでは金融引き締めをすべきでないです。緩和は、急ぎ、引き締めは遅めにというのが、マクロ経済学における王道です。
財政政策による公共投資を拡大し、需要を創出します。
これらの施策により、需給ギャップを解消し、経済の拡大を図ることが重要であると考えられます。
これらの施策により、経済の持続的な成長を図ることが重要です。これらのことを実施して、国内の需要伸ばし切ることが最優先課題であり、それ以前に貿易依存度を高めるのは、それこそ、ドイツが現在「欧州の病人」といわれるような状況を招くことになります。実際過去の日本は、現在のドイツとも似通った「失われた30年」経験しています。
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