2024年1月2日火曜日

〝世襲政治〟が日本をダメに 日本保守党・百田尚樹氏、有本香氏 無税で相続できる「政治資金管理団体」の世襲の見直しにも言及―【私の論評】日本保守党の理念と日本政治改革:統治と実行の分離がもたらす可能性と挑戦

〝世襲政治〟が日本をダメに 日本保守党・百田尚樹氏、有本香氏 無税で相続できる「政治資金管理団体」の世襲の見直しにも言及

まとめ
  • 自民党派閥の収入不記載事件に対する怒りと新党結成の動機
  • 日本政治の凋落と「家業政治」への批判
  • 岸田文雄首相への違和感と日本保守党の新たな挑戦
  • 政治家の世襲化や金権政治への反対とその是正方法についての提案
  • 日本保守党の活動方針や公募に関する展望

 百田尚樹氏が率いる日本保守党は、2023年10月に結成されたばかりの政党である。同党は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件や、LGBT法の成立をきっかけに結成された。

 百田氏は、自民党の腐敗と世襲政治に強い怒りを抱いており、日本保守党を「世襲・金権政治」を打倒するための新たな選択肢として位置づけている。

 百田氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件について、「国民を馬鹿にしている」「腐っている」「笑えた」と厳しく批判した。同氏は、この事件を「政治の裏金問題」と位置づけ、徹底的な捜査と処罰が必要であると訴えている。

 また、百田氏は、LGBT法の成立について、「日本社会の伝統や文化を否定するものだ」と批判した。同氏は、LGBT法は「同性婚を推進するためのもの」であり、「日本を同性愛国家にしようとするもの」であると主張している。

 日本保守党は、これまで名古屋、東京、大阪などで街頭演説を行い、一般市民からの支持を集めている。同党の街頭演説では、「世襲政治を打倒する」「日本を守る」といったスローガンが唱えられ、聴衆からは大きな拍手が送られている。

 百田氏は、岸田文雄首相の鈍感力や、内閣支持率の低下にも疑問を呈している。同氏は、岸田首相が「国民の声に耳を傾けず、日本を衰退させている」と批判した。

 日本保守党は、今後も街頭演説や集会などを通じて、世論を喚起して、政治を国民の手に取り戻すことを目指していく。同党が、自民党の牙城を崩すことができるのか、注目が集まっている。

この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】日本保守党の理念と日本政治改革:統治と実行の分離がもたらす可能性と挑戦

まとめ
  • 日本保守党の理念は、国民の利益を守り、日本を豊かに強くすることである。
  • そのためには、政府は統治に専念し、実行は民間企業や地方自治体に委ねるべきである。
  • 政府は、社会の方向性を定め、実行の邪魔にならないようにすべきである。
  • 政府は、民間組織、地域コミュニティ、個人に力を与えることで、社会と経済を活性化することができる。


日本保守党の理念は、(党規約と綱領)に以下のように掲載されています。
結党宣言(別紙)に基づき、日本の国民と、領土・領海、国体を守る。日本を豊かに、強くすることにより、国民福祉の向上と世界平和への貢献を企図する。

私は、この理念には大賛成であり、日本保守党には多いに期待しています。本当に頑張っていただきたいです。百田氏の指摘は正しく、これを是正すれば、日本はかなり良くなることでしょう。

ただ、このブログにも書いたように、チマチマしたことが嫌いで、大きな括りで、物事を考えるのが好きだった故安倍晋三氏に倣って考えてみると、「日本を豊か、強く」するために、特に政治の世界では絶対に実行しなければならないことがあります。

それは、このブログでも過去に何度か掲載してきたこともある、政府は統治(ガバナンス)に集中し、その他は政府の外に出してしまうということです。これなしに、たとえ「世襲・金権政治」を打破したとしても、現在の政治体制のままでは、また「世襲・金権政治」が復活するか、あるいは特定の集団の特定の利益を生み出そうとする集団が、新たなスキームを作り出し、同じようなことを繰り返すことになりかねません。

無論、日本保守党にはそのようなことも視野に入れているとは、思います。ただ物事には順番があって、最初に統治(ガパナンス)などということを言い出すと、日本ではこれが良く理解されていないため、混乱を招くためと、現在はわかりやすく「世襲・金権政治」打破ということを主張しているだけなのかもしれません。

政府を統治にのみに集中させる体制を築けば、世論・金権政治のようなことはなくなります。そうして、これはすでに民間企業では実施されています。いくつかの仕組みはありますが、本社と事業会社を分離して、本社は統治に専念するという方式です。このような大企業においては、世襲や金でものごとが決まるということは、ほとんどありません。

このような方式にすると、たとえば決算は、事業会社単体のものと同時に連結決算を行うことになり、不正はおこりにくくなります。また、本社が統治を行うことにより、資源を有効に使えるというメリットもあります。余剰人員を他の事業会社に回すということが簡単にできるからです。

このようなことを言うと多くの人は「小さな政府」という言葉を思い出すかもしれません「小さな政府」とは、日本では主に以下のように定義されています。

政府による経済活動への介入を可能なかぎり減らし、市場原理による自由な競争を促すことで経済成長を図る思想・政策。 具体的には公務員、政府組織、政府予算の規模を縮小し、規制を緩和して民間企業にできることは民間企業へ移管する。 税などの国民負担は少なくてすむが、公的サービスの水準も低くなる(低福祉低負担)。

しかし、政府を統治のみに集中させるということは、決してこの「小さな政府」だけを意味するものではありません。

そもそも統治(ガバナンス)という言葉は、かなり曖昧に使われています。様々なガバナンスに関連する文書を読むと、色々と書かれていますが、結局何なのかが理解しにくいものがほとんどです。その定義を以下に掲載します。これは経営学の大家ドラッカー氏による定義です。

晩年のドラッカー氏

経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないとしました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。

 といいます。

昔の政府は、「小さな政府」であり、小さいが故に、統治に専念せざるを得ませんでした。リンカーン政権は、閣僚と通信士をあわせて7人だったと言われています。この小さな政府で、リンカーンは統治に専念し、実行は他の組織にまかせて、多くのことをやと遂げたのです。

これだけ政府が小さいと、不正が割り込む隙はかなり小さいことが理解できるというものです。

このように、一昔前の政府は小さく、それが理由で統治に専念していました。それで多くのこと成し遂げることができのです。そうした政府の効率の良さを民間企業も取り入れはじめました。最初に取り入れたのは、オランダの東インド株式会社でした。

多くの国々で、植民地経営は失敗しましたが、オランダだけは例外でした。ただ、後にオランダも東インド株式会社を政府に取り込んでしまい、オランダの植民地経営も失敗することになりました。

ただ、その後も民間巨大企業は、本社・本部などの統治機構を作り出すことにより、成功しています。

ただ、その後政府は肥大化していって今日のような姿になっています。今日、政府のほうが、民間会社を見習い、政府は統治に専念する体制を作り出すべきなのです。

ドラッカーの語るように、現在の政府は、統治と実行を両立させようとして、統治の能力が麻痺しているのです。しかも、各省庁などの決定のための機関に、実行をさせているが故に、貧弱な実行しかできないのです。各省庁などの機関は、実行に焦点を合わせていないのです。体制がそうなっていないのです。そもそも関心が薄いのです。

であれば、各省庁の統治をする部分のみを政府に含め、政府にある実行の部分を各省庁に振り分け、さらにこれら各省庁を政府の下部機関とするのではなく、外に出すべきなのです。そうして、民営化すべきなのです。そうして、これは突飛な考えとは言えないと思います。

明治政府の人員は、政権が固まった1871年(明治4年)には、約2,000人程度と推定されています。

当時の日本の人口は約3,500万人とすると、人員対人口の比率は約0.055となります。

現在の日本の中央政府の人員は、約25万人です。現在の日本の人口は約1億2,700万人とすると、人員対人口の比率は約0.02%となります。

このように、明治政府の人員対人口の比率は、現在の政府の人員対人口の比率と比べると、約40倍も高いことがわかります。

ただ、人口比だけで比較するとそうはなりますが、それにしても、当時はコンピュータもなく、通信も発達しておらず、機械化も進んでおらず、ITもAIもない状況を考えると、わずか2000人で日本全土を統治していたのは驚きです。

『憲法発布式之図』

明治政府の役割は主に政治や軍事、行政の整備に限られており、また、民間企業や地方自治体に多くの業務を委任していました。明治政府は、統治に専念していたといえます。

単純比較はできませんが、明治維新の最中にあった当時は現在よりもはるかに、多くの決定事項があったと思います。しかし、政府は統治に専念していたのでしょう。だからこそ、現在よりは統治と実行もうまくいっていたと言えると思います。そもそも、明治政府はどの政府よも、改革を成し遂げたといえます。

現在の政府の縮小と分散化により、 民間組織、地域コミュニティ、個人に力を与えることで、社会と経済が活性化します。 政府は方向性を定め、実行の邪魔にならないようにすべきなのです。 その役割は、制御したり細かく管理したりすることではなく、日本を豊かにし、強くすることを促進することなのです。

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