2024年1月3日水曜日

米英メディア、乗客全員の脱出「奇跡」 航空機衝突事故で―【私の論評】羽田空港 衝突事故 乗客全員脱出 訓練・規律・準備が功を奏す 今後の安全対策に課題も

米英メディア、乗客全員の脱出「奇跡」 航空機衝突事故で

まとめ
  • 2024年1月2日、羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上した。
  • 日航機の乗客367人全員が脱出した。
  • 米英主要メディアは、このことを「奇跡」と称賛した。
  • 乗員らの迅速かつ的確な避難誘導が、乗客の全員脱出に大きく貢献したことが評価された。
  • この事故は、日本の航空安全の水準の高さを示すものとして、世界中から注目を集めた。

乗客が撮影した脱出直後の写真

 羽田空港での航空事故で、日航機の乗客367人全員が脱出したことは、米英主要メディアからも「奇跡」と驚きを持って伝えられた。乗員らの迅速かつ的確な避難誘導が、乗客の全員脱出に大きく貢献したことが評価された。

 具体的には、米ニューヨーク・タイムズ紙は、航空専門家の話として、「乗員が乗客全員を脱出させたのはまさに奇跡だ」と指摘。乗客と乗員の協力が成功の要因だとした。米CNNテレビは、衝突時や、煙に包まれる日航機内の様子を繰り返し放送。女性キャスターは、乗客に犠牲者がいなかったことについて「驚くべきことだ」と伝えた。専門家は、乗客が荷物を持たずに脱出シューターから機外に出ていたことなどを挙げ、「お手本のような対応」だったと語った。

 英BBC放送でも、キャスターや有識者が乗客の全員脱出は「奇跡的」と表現。避難誘導した乗員を「極めて効率的だった」「素晴らしい仕事をした」と褒めたたえた。

 この事故は、日本の航空安全の水準の高さを示すものとして、世界中から注目を集めた。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】羽田空港 衝突事故 乗客全員脱出 訓練・規律・準備が功を奏す 今後の安全対策に課題も

まとめ

  • 2024年1月2日、羽田空港でJAL機と海上保安庁機が滑走路上で衝突した。
  • 乗客367人全員と乗務員12人が脱出したが、海上保安庁機の乗員5人が死亡した。
  • 海外メディアは「奇跡」と称賛したが、これは「訓練と規律の勝利」といえよう。
  • 日本の文化には、緊急事態における迅速かつ協調した行動の重要性が深く根付いている。
  • 今後も、このような悲劇が繰り返されないよう、さらなる安全対策の強化が求められる。

今回の事故と似たような空港の滑走路内の衝突事故には以下のような事例があります。

テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故 横たわるKLM機

このような事例があるからこそ、米英主要メディアは、今回の事故で死者がいなかったことを「奇跡」と称賛したのでしょう。

英米以外の報道は以下のようなものです。

中国国営新華社通信
日航機の乗客367人全員が脱出したことは、航空安全の面で大きな成果であり、日本の航空安全の水準の高さを示すものである。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「航空安全の面で大きな成果」と評価し、日本の航空安全の水準の高さを示しているとしています。
インドのテレビ局「NDTV」
日本の航空安全の水準の高さを示す、驚くべき出来事である。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「日本の航空安全の水準の高さを示す、驚くべき出来事」と評価しています。
フランスのテレビ局「TF1」
乗客全員が脱出したことは、奇跡に近い。日本の航空安全の水準の高さが、この事故を未然に防いだと言えるだろう。

この報道は、日航機の乗客全員が脱出したことを「奇跡に近い」と評価し、日本の航空安全の水準の高さが、この事故を未然に防いだと述べています。
なお、他にも、ドイツのメディア「デア・シュピーゲル」や韓国のメディア「中央日報」なども、乗客全員の脱出を「奇跡」と称賛する報道をしています。

あの出来事は、不幸中の幸いであったことは間違いないです。しかし、私自身はこれを「奇跡」と単純に片付けるのには躊躇します。

むしろ、私は、訓練、規律、準備への揺るぎない決意が、日本の文化に深く根付いていることの証だと信じます。私自身、大きな被災の経験はないのですが、2018年6月6日の北海道胆振東部地震のときには、北海道ほぼ全域が停電になったときには、札幌におり、そのときに近所のコンビニに行ったのですが、そのコンビニの前では、行列ができており、多くの人達が店に入る順番を待っていました。下の写真がそのときの写真です。

2018年9月6日北海道胆振東部地震で停電になった直後、札幌のコンビニの前で行列をつくり並ぶ人々(筆者撮影)


コンビ二では、お客が一度に入れる数を制限していました。しかし全員が、慌てることもなく、落ち着いて順番を待っていました。東日本大震災においては、やはり行列ができていたという話を聞いていたので、これは札幌でもそうなのだと、思い感心しました。

他国だとこういうときには、我先に店に入ろうとしたり、挙句の果てに略奪に走るものもいると聴きますが、そのようなことは一切ありませんでした。

今回の事故でも、航空機の脱出はこのように沈着冷静に行われたのだと思います。他国だと、我先に出ようとしたり、荷物を持って出ようとする人もいるのかもしれません。

日航の脱出訓練

乗務員の明らかに効果的な避難手順と、乗客の緊急事態手順の遵守こそが、この出来事の本当の主人公なのだと思います。この両方がなければ、今回も犠牲者が出ていた可能性が高いと思います。

自然災害の多い日本列島に住むことは、間違いなく、緊急事態における迅速かつ協調した行動の重要性を、日本人に深く認識させていえると思います。

したがって、この出来事は、神の介入による「奇跡」というよりは、綿密な準備と集団責任の勝利の輝かしい例といえると思います。

おそらく、これらの重要な側面に焦点を当てることで、奇跡のような説明を求めるのではなく、将来、このような肯定的な結果を理解し、再現するのに役立つことでしょう。

一方、海上保安庁の方々は機長一人だけが生存しつつも重症で、他の五人は亡くなったいうこ大変残念な結果となりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りさせていただくとともに、機長の早期の回復を願いたいものです。

この出来事は、日本の航空業界や社会全体にとって、貴重な教訓となりました。今後も、このような悲劇が繰り返されないよう、さらなる安全対策の強化が求められるでしょう。

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