中国チベット自治区ラサのノルブリンカ前をスタートし、民族衣装を着たチベット民族の女性たちから声援を受ける北京五輪の聖火リレー(左端)=21日午前9時12分(共同)
厳戒のラサで聖火リレー チベット暴動から3カ月(内容をご存知の方、既読の方は、読み飛ばしてください)
【ラサ(中国チベット自治区)21日共同】3月に大規模暴動が起きた中国チベット自治区ラサで21日、北京五輪の聖火リレーが行われた。中国政府の暴動鎮圧に対する批判が世界各地で聖火リレー妨害や抗議につながったことを受け、新疆ウイグル自治区で行われた聖火リレーに続きラサでも一般住民を締め出すなど厳戒態勢が敷かれた。リレーは混乱なく終了したとみられる。
沿道は商店の営業が禁止され、約5メートルおきに武装警察官らが立った。見学できるのは許可証を持つ人のみで、周辺の道路は二重の有刺鉄線が張られ、人や車の出入りを厳しくチェックした。
聖火は歴代ダライ・ラマの夏の離宮だったノルブリンカ前の広場を出発。ダライ・ラマの宮殿だったポタラ宮前の広場までのルートで、156人の走者は75人がチベット民族、77人が漢民族、回族が2人など。ゴール地点で、先月チョモランマ(英語名エベレスト)に登頂した聖火と合流。民族服を着た学生らの踊りなどで「民族融和」を演出した。
この内容は、今朝のNHKのニュースでも報道されていましたが、インタビューアーが聖火リレーのイベントに参加しているチベット民族を着た女性にいろいろ、聞いていましたが「私達は、聖火リレーに応援ししなさいといわれいるから、いわれたとおりやっているだけです」と応えていました。男の人にもインタビューしていましたが、この人は困ったような顔をしてインタビューには一切答えていませんでした。
不透明な現在の中国の状況
現状の中国は、チベット問題が北京オリンピックを目の前にして顕在化し、人権問題などまずは、情報開示などの圧力が一気に高まった。ところが、例の四川大規模地震が発生したため、注意がそっちの方に向いてしまい。一時的にチベット問題などかき消されたかのような状況にある。中国政府は、何とか無理やりにでも、チベットなどでの聖火リレーを成功させ、さらには、オリンピックも成功させ、国威発揚の機会としてこれらを最大限に利用しようとしてい。しかし、今回のチベットの聖火リレーの警備のものものしさを見てもわかるように、この問題は消えたわけではない。
中国では、都市部と農村部の格差問題もあまりに大きく、そのまま放置しておけば、分裂の危機に陥る危険性もあったが、8年ほどまえから熱心に西部開発を行ってきた。それに関する記事を下に掲載する。
■「西部大開発が進む中国内陸部」だったのだが?
(2005年9月 掲載 中小企業国際化支援レポート 国際化支援アドバイザー 梶田幸雄)
中国政府が西部大開発計画を策定・実施してから6年目に入っています。この間に西部地区はどのような発展を遂げたのか。そして、なお残された課題は何か。外資の投資対象地域としての魅力と留意点を解説します。 |
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課題のひとつは外国投資の不足 1999年から、中国政府は12省市区から成る西部地区に約1兆円を投入し、交通網、電力網、通信網、水利施設などの基礎インフラ整備を進め、科学技術・教育などの社会インフラの整備にも努めてきました。 この結果、四川省成都市を例に挙げると、1人当たりGDPは2万元に近づき、コンピュータ売上げは北京市中関村に次ぐ中国2位、自家用車保有量は北京、広州に次ぐ3位にまで成長しました。 ただ、表1のように東部と西部の産業構造の比較をした場合、(1)地理的なハンディキャップとインフラの未整備、(2)産業リンケージの発達の遅れ、(3)偏った産業構造、(4)外部からの投資の不足といった課題も指摘できます。 このうち(4)を克服する条件として外国企業が四川省に求める政策は、(1)優遇税制、(2)土地利用優遇政策、(3)輸出入優遇政策であるといわれています。
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表1 東部と西部の産業構造の特徴
| 西部地区 | 東部地区 | 産業構造 | 鉱業、素材産業、重工業、軍事産業が主要産業。貿易能力、資本集積能力が欠如 | 軽工業、消費財産業、貿易が中心産業。産業構造転換能力が高い。 | 所有形態 | 1.国有企業・重工業、軍事産業が主導、地域経済への波及・拡散効果が乏しい。 2.私営企業は規模が小さい。 | 1.非国有形態は既に72%に達し、市場経済が発達 2.産業間の相互関連が強く、地域との関係が密接 | (出所)JICA『中華人民共和国西部地域中等都市発展戦略策定調査進捗報告書2』2004年7月、I-4頁 |
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「遅れ」は確かだが、活性化の動きも 西部地区に進出する企業の狙いはどこにあるのでしょうか。表2にみられるとおり、市場開拓が圧倒的多数を占めています。 |
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表2 西部に進出した東部企業の主な動機 西部進出の動機 | 生産コスト削減 | 西部市場開拓 | 資源開発 | 国家の方針に従う | 企業比率(%) | 10.0 | 74.0 | 12.0 | 4.0 | (出所)JICA『中華人民共和国西部地域中等都市発展戦略策定調査進捗報告書2』2004年7月 V-35頁 |
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外資誘致に対する政府の熱心さに対して、外資はまだその熱意にこたえられずにいるのですが、その理由はどこにあるのでしょうか。西部進出に当たって東部企業が最も危惧する要素(表3)、つまりさまざまな面での「遅れ」という課題が浮き彫りになっています。 |
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表3 西部進出に当たって東部企業が最も危惧する要素
| 企業が最も心配する障害要素 | 回答企業の割合(%) | 1 | 都市化水準が低く、社会サービスが不十分、インフラ整備の遅れ | 47.41 | 2 | 現地政府の干渉過多 | 43.7 | 3 | 地方保護主義 | 39.26 | 4 | 金融支援が足りなく、資金運転がスムーズに行かない | 33.33 | 5 | 地元の人が排他的で、良好な発展雰囲気が確立できない | 25.93 | 6 | 西部の劣悪な自然環境は東部からの人材導入を妨げている | 25.19 | 7 | 国有企業の改革が遅れ、多くの分野で公平な競争環境の未確立 | 15.56 | (出所)JICA『中華人民共和国西部地域中等都市発展戦略策定調査進捗報告書2』2004年7月)V-38頁(出典)陸立軍ほか『東部企業の西部進出モデルと行動』中国経済出版社、2004年 |
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しかし、マイケル・E・ポーター氏(ハーバード・ビジネススクール教授)のクラスター論を想い起こせば、まさに今、西部地区に進出するメリットがあるといえるのかも知れません。
グローバル時代におけるイノベーション創出のメカニズムとしてクラスターを捉えるポーター氏は、クラスターの形成は中位の所得レベルから先進経済に 移行する過程に起こるといっています。このとき、教育とスキルの水準向上、テクノロジー分野の能力構築、資本市場の開放、制度面などの整備が始まるからで す。企業はこのクラスター形成期に当該クラスターに参入するのが望ましいといわれています。
まだ西安・成都両市に集中している感がありますが、西部地区では、IBM・モトローラ・HPといったグローバル企業と聯想・金蝶など国内有名企業 の双方が、ソフト開発、e-ビジネス、R&Dにかかわる事業を行っています。すでに多くの大学・研究所・科学技術者が存在していることから、さら に頭脳指向型企業が設立される可能性もあります。
「泛珠三角区域」(広東省、福建省、江西省、湖南省、広西壮族自治区、海南省、四川省、貴州省、雲南省、香港、マカオ)は、自らの資源、労働力、 資金力および技術を活用して広域連携を強め、経済を一層活性化しようという議論をしています。このような協働の仕組みが確立されれば、西部地区への投資に も拍車がかかるのではないでしょうか。
■地震による西部大開発の頓挫と中国が抱える五重苦
さてこのまま、オリンピックを開催するということになると、これらの地区の整備は後回しになると思われます。せっかく整備してきたことが、全くの台無しになってしまったことになります。
いや、それどころか、せっかくよくなりつつあったものが、地震で不意になり、しかも、チベットでの聖火リレーにも見られるように、国威発揚のためには、何でも弾圧・抑圧するという姿勢が明らかになっており、事実先日も「おから工事」に関して、インターネット上で批判した四川省の教師が勾留されるという事件も起こっています。「おから工事」による小学校倒壊によってなくなった子供達が、役所に抗議していたというニュースに関して、その後の報道は全くなされていません。おそらく、これなども圧殺されているのだと思います。
そのほかにも不安材料はたくさんあります。このような時期に、原油高、それにともない食料品も値上がりして、中国国内はインフレ基調にあります。湖錦濤主席が訪問する、少し前に温家宝首相が、「中国は未曾有の経済的にある」と発言しています。
さらに、中国内に聖火リレーへの世界各国による妨害による、偏狭なナショナリズムの勃興などもあります。これは、中国人民が自ら行っているというよりは、国威発揚や、国民の目をそらすといった中国情報筋の誘導によるものと思われますが、出所は別にして、実際に勃興しています。
現在の中国は、
1.未曾有の経済的危機(これから本格的なインフレがはじまる。バブル崩壊はもう始まっている、賃金が上昇し世界の工場の座はバングラディシュなどに奪われる、しかし、中国のエンジニアリングの水準は急激には高められない。WTOに加入した中国は、国際経済と深く結びついており、これを国内問題として片付けることはできない。最悪のシナリオでは、米国の経済植民地になる可能性すらある)
2.地震からの復興(湖錦濤主席もある報道で完全復興には10年くらいはかかると語っていた、地震よりも人災による被害に関して国内外からの非難が高まる)
3.オリンピックの開催と開催後の対策(オリンピック後には地方から来た労務者の職が大量に消える、外国からの人の流入で中国の実情が外国に、外国の真の姿が中国人に広まる)
4.チベット問題による外国からの人権問題に関する圧力(WTOに参加した中国は、国内問題として片付けるには無理がある)
5.偏狭なナショナリズムの勃興(中国共産党が他国へと注意をそらすという意味で自ら誘導してつくりあげたものだが、これが一歩間違えると矛先が共産党自体に向く可能性がある。
まさに紙一重ともいうべき状況)という5重苦に悩まされています。このような状況にあるにもかかわらず、膨大な軍事費を計上しています。普通の国なら、もうすでに手をあげているかもしれません。
やはり分裂の筋書きが始まるしかないのか?
こうした五重苦について、中国政府はどうしようとしてるのでしょうか?どの問題一つとっても深刻です。中国は2001年12月11日にWTOに加盟しています。昔の中国のように、いざとなれば、国内でもドンパチやって決着をつけ、ご破算にしてしまうということもできません。特に経済問題に関してはそのようなことはできません。しかし、未だにこれらに対する答えは報道されず、不透明なままです。
普通の常識人であれば、もはや現代中国の国体を維持していること自体が無理であると断じていると思います。しかし、中国はそのようなことはおくびにも出しません。この状況は前に一度見たことがあります。それは、崩壊直前のソビエト連邦であり、その頃の東欧の社会主義国家です。
さて、やはり、現代中国は旧ソビエト連邦のように分裂・崩壊するしかないのだと思います。今後、10年間にわたって、中国分裂崩壊のドラマが展開されていくのだと思います。北京オリンピックは共産中国の分裂崩壊の最期のレクイエムになるのではないかと思います。皆さんはどう思われますか?
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
■「おから工事」批判で国家政権転覆罪-確定した中国分裂の筋書き?
■「80後」は車を買うべきか?-世代をひとくくりにする愚かさ?
■中国核爆発か-高まる情報開示の圧力
■自衛隊機の中国派遣見送り、アジア安全保障会議でも話題に―結果的には日本外交の勝利か?
■自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色-幻の日本軍支援は歴史上の転換点?
■四川大地震:自衛隊機、中国派遣へ・・・政府要請受け入れ―歴史上の転換点になるか?
■自主的に救援活動をする中国の若者たち-80後世代と一つにくくるのは間違い?!
■不可解な中国の報道二題-やらせ義捐金とノーベル平和賞
■中国携帯電話事情-80後世代分類のツールともなるか?
■中国四川省大地震―核施設、ダムは大丈夫か?
■現代史は語る―大地震から始まった中国崩壊の道筋
■中国「イチゴ族」-中国の未来は彼らのもの
■胡錦濤主席の来日-その真の目的は?
■China Fashion week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
■ゼリー世代のミーイズム-体制から身を守る知恵か?
■中国ゼリー層-明日の中国を牽引する原動力となるか?
■チャイナ・アート・バブルにも冷めた見方のできる中国ゼリー世代?
■中国分裂の筋書き-(その10)パクスマリーナが拓く世界の平和と大繁栄
■中国分裂の筋書き-(その9)日本の対応は?
■中国分裂の筋書き-(その8)迫られる中国の選択
■中国分裂の筋書き-(その7)忘れてはいけない中国の不良債権
■中国分裂の筋書き-(その6)現代中国の混乱ぶりを現す動画の数々
■中国分裂の筋書き-(その5)他の人達はどう思っているのか?
■中国分裂の筋書き-(その4)毛沢東を統合の象徴にすることができない中国中央政府の苦悩
■中国分裂の筋書き-(その3)中国バブルの真実
■中国分裂の筋書-(その2)革命でもなければ現代中国は変わらない
■中国分裂の筋書-(その1)繰り返される歴史
■中国"義歯"から鉛「安全に問題」
■中国産原料を使ったヘパリン製剤で自主回収へ・・・・米国では死者21名
■世界一人当たりのGDP(国内総生産)と、一人当たり資産−これでも中国は経済大国か?
■南京虐殺記念館に対する日本政府の申し入れに関して考えた、中国のお家事情
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