「プーチン逮捕を警告」記事を掲載した「モスクワ・タイムズ」 |
ロシアの日刊紙「モスクワ・タイムズ」電子版は29日「アルメニア与党、ハーグからの令状でプーチン逮捕を警告」という見出しの記事をアルメニア国民議会のカギク・メルコニアン副議長の大きな写真とともに掲載した。
それによると、同副議長は地元メディアとのインタビューで「もしプーチンがアルメニアへ来れば彼は逮捕されなければならない」と語ったという。
アルメニアは昨年12月に国際刑事裁判所(ICC)への加入のための批准法案をまとめICC入りを目指しており、加入すればICCから逮捕状が出ているプーチン大統領がアルメニアが拘束する義務を負うことになる。
「もし我々がICCに加盟すれば、その義務を果たさなければならないことになる。ロシアの問題はウクライナと解決すればよい」
メルコニアン副議長はこうとも語っている。
同盟国もロシアの侵攻に疑問?
アルメニアは旧ソ連の構成国の一つ。現在もロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国で国内にロシア軍の基地もある。ロシアの軍事同盟国であるわけだが、隣国アゼルバイジャンとの抗争をめぐって戦争犯罪を追及する目的でICCへの加盟に踏み切ったとされる。
一方プーチン大統領は、ウクライナ侵攻でウクライナの子供たちを不法に拉致した戦争犯罪で国際刑事裁判所(ICC)から3月17日逮捕状が出されたが、米国や中国はICCに加盟しておらず主に西欧の123の加盟国を避けて通れば逮捕は免れるので実質的な拘束力はないだろうという見方が有力だった。
しかし、アルメニアはロシアが再三警告したにも関わらずICC加盟を強行したわけで、プーチン大統領自身の威信を損ねることになっただけでなく、大統領の行動範囲を著しく制限することにもなった。
さらにアルメニアの決断はロシアの同盟国の間で、今回のウクライナ侵攻をめぐって疑問が生じていることを物語っていると注目されている。
気になる南アフリカの対応
今のところ、アイルランド、クロアチア、オーストリア、ドイツなどがプーチン大統領が入国すれば直ちにICCの逮捕状を執行することを公言しているが、今注目されるのが南アフリカだ。
南アフリカでは8月後半にBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興経済5大国)首脳会談がダーウィンで開催が予定されている。プーチン大統領は2013年の第6回会議以来参加しており、今回は特にウクライナ侵攻問題が主要議題になると考えられるので出席を希望しているはずだ。
しかし南アフリカはICCの加盟国であり、ICCの逮捕状対象者が入国すれば身柄の拘束に協力する義務が生じる。このため、南アフリカ政府は専門家に対応策を検討させているが今のところプーチン大統領に出席を断念させる以外に手立てはないようだ。
プーチン大統領がロシアに心情的に近い指導者とのこの会議さえも出席できないとなると、その打撃は計り知れない。
形式だけと思われていたICCの逮捕状は、プーチン大統領を国内に缶詰状態にしてその権威を失墜させるという意味では大きな役割を果たしているようだ。
中国、チベット問題に異常な怯え 江沢民氏への逮捕状に過剰反応―【私の論評】中国高官が実際に台湾で逮捕されたこともあるし、中国5人の要人はずっと前から告発されていた!日本でも告訴せよ!これが馬鹿につける最高の良薬かもしれない(゚д゚)!この記事は、2013年11月22日のものです。詳細は、粉の記事をご覧いただくものとして。この記事の元記事より一部を引用します。
スペインの裁判所がチベット族の虐殺に関与した疑いで、中国の江沢民元国家主席(87)ら元幹部5人に出した逮捕状が波紋を呼んでいる。中国政府はかつての国家元首に下された異例のジャッジに「強烈な不満と断固たる反対を表明する」と猛反発。ヒステリックな反応をみせる背景には「世界的な支持を得ているチベット独立運動への強い警戒感がある」(専門家)という。今後、世界中で中国共産党の横暴を告発する動きが広がる可能性もあり、不穏な空気が漂っている。
中国の最高権力者が「お尋ね者」になった。
スペインの国家裁判所に、ジェノサイドと拷問の罪で刑事告訴された江沢民・元国家主席を含む5人の中共高官 |
スペインの全国管区裁判所から逮捕状が出されたのは、江氏のほかに胡錦濤前主席(70)や李鵬元首相(85)ら5人。2006年、スペイン国籍を持つ亡命チベット人とともに同国の人権団体が、1980~90年代にチベット族に対して「ジェノサイド(大虐殺)や拷問などが行われた」として、当時の党指導部の責任を追及する訴えを起こしていた。
告発は、なぜ遠く離れた欧州の地で行われたのか。「スペインでは、人道に対する罪に関しては国外の事件であっても同国の裁判所に管轄権がある。98年にはチリで独裁体制を築いたピノチェト元大統領に、今回と同様に逮捕状が出され、スペイン側の要請で英国で身柄が勾留されたこともある」(外交筋)
ただ、法的拘束力は、スペインと犯罪人引き渡し条約を結ぶ国に限定されるため、実際に江氏らが逮捕される事態は考えにくい。
それでも、習近平国家主席体制下の中国はこの決定に敏感に反応し、裁判を起こしたチベット独立勢力を激しく非難。スペイン側の対応を「関係を損ねるようなことをしないよう」と強く牽制した。
2021年9月現在、スペインは世界約100カ国と犯罪人引き渡し条約を結んでいます。つまり、これらの国のいずれかで犯罪に問われた人がスペインに逃亡した場合、スペイン当局は一定の条件のもと、その国に引き渡しをして裁判を受けさせることができます。
その逆に、スペインがこれらの国に犯罪人引渡しを求め、スペイン国内で裁判を受けさせることもできます。100カ国にものぼるわけですから、これは結構厳しいともいえます。
さらに、習近平等の中国の幹部が訪米すると逮捕されるのではないかという懸念を抱いていたことが、あのwikileaksに掲載されていたことも明らかになっています。これもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
<Wikileaks公電流出>習近平次期主席、「訪米で恐れるのは、法輪功に刑事告訴されること」―【私の論評】Wilileaksなどによる暴露などたいしたことではないが、日本でも、中国要人は全員告訴せよ!!
この記事より一部を引用します。
習近平氏による「自分を含めて中国の高官らが訪米で最も恐れているのは、法輪功学習者に刑事告訴されることだ」という発言に関しても、さほど驚くようなことでもないし、Wikileaksで外電として出さなくても、中国に関する日本の報道のみでなくて、海外に目を通している人ならば、何を今更という程度のものです。
2013年2月13日から17日まで中国の習近平国家副主席(当時)は、米国での正式訪問を無事終え、「私は自信を持って自らの訪米が大成功だったと言える」 との言葉を残して満足げに米国を去ったとされています。
同年秋に次期国家主席として中国の新リーダーとなった習副主席の訪米は、胡錦濤国家主席の副主席時代の訪米とは、全く異なる印象を米国民に与え、さらに、昨年の胡錦濤国家主席の訪米とも異なる様相を見せ、中国の対米外交が対等を前提とした新たな段階に入ったと言っていいだろとされていたのですが、この時習近平は逮捕されるかもしれないという疑念を拭いきれずに、訪問したようです。しかし、逮捕はされませんでした。
このときに本当に逮捕して、裁判などしていれば、良かったかもしれません。
なぜ、習近平がこのような懸念を抱くようになったかといえば、台湾では実際に中国高官が逮捕、拘束されたという事件があったからです。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―【私の論評】及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?これは、2010年9月20日の記事です。この記事より、一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。
王作安 |
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。実際に、これら中共高官2人は、拘束され取り調べを受けましたが、結局は解放されています。それでも、これは中国高官の権威を失墜させ、台湾に二度と来れないようできたという点では、一定効果があったものとみられます。
原告側弁護団の朱婉琪・弁護士は検察署に対し、被告人の法輪功弾圧を陣頭指揮した事実をそれぞれ陳述した。それによると、王作安・局長は国内では宗教界、教育界、メディアを通して、法輪功に犯罪の濡れ衣を着せて、悪魔に仕立てる詐欺宣伝を繰り広げ、国民に法輪功への怨恨感情を煽ぎたてたこと、国外では米国や他国との宗教交流活動を通して、同様な宣伝を行ってきたという。
台湾の例も、スペインの例も国内法に基づくものですから、当該国や当該国と罪人引き渡し条約を結んでに赴かない限り、逮捕や拘束されることはないですが、それにしても、心理的負担はかなり大きなものだったでしょう。
習近平も初渡米では、かなり肝を冷やしていたのではないでしょうか。
今回のプーチンへの逮捕状は、ICCによるものですから、その効力は複数の国々に及びます。ローマ規定の締約国がそれにあたります。
国際刑事裁判所ローマ規程の締約国は、国際刑事裁判所ローマ規程(ローマ規程)を批准し、またはその他の方法により同規程に加盟した国家のことです。
締約国は、同裁判所から要請された際には、訴追された者の逮捕および引渡しや、証拠や証人を利用できるようにするといった協力を行うことが、法的に義務づけられています。
締約国は、同裁判所の運営主体である締約国会議に参加し、議事において投票する権利を有しています。
かかる議事には、裁判官や検察官といった構成員の選挙、同裁判所の予算の承認およびローマ規程の改正条項の採択が含まれます。
日本をプーチンが訪問した場合、日本もプーチンを逮捕して、ICCに引き渡す義務を負うことになります。
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