2024年9月17日火曜日

なぜ「日本語が話せない」在日中国人が急増しているのか…国内にじわじわ広がる「巨大中国経済圏」の実態―【私の論評】在日中国人の急増と社会・経済圏形成:日本がとるべき対策

なぜ「日本語が話せない」在日中国人が急増しているのか…国内にじわじわ広がる「巨大中国経済圏」の実態

まとめ
  • 日本における中国人の数は増加傾向にあり、2023年末時点で約82万2000人に達し、在日外国人の約3分の1を占めている。
  • 在日中国人の中で、「高度専門職」や「経営・管理ビザ」の取得者が増加しており、20~39歳の働き盛りが全体の半数を占めている。
  • 在日中国人は、内装業や顔認証システムの導入など、中国人向けのビジネスを展開し、独自の経済圏を形成している。
  • 中国系企業は、中国の先進技術(顔認証システムや清掃ロボットなど)を日本市場に導入する役割を担っている。
  • インバウンド事業、特に中国人団体旅行において、来日から観光、買い物まで一貫して中国人が関わる「一条龍」(イーティアオロン)と呼ばれる経済ネットワークが形成されている。
日本に住む中国人の数は年々増加しており、2023年末時点で約82万2000人に達しています。これは山梨県の人口に匹敵し、全在日外国人の約3分の1を占めています。中国人の多くは東京都や神奈川県、埼玉県など首都圏に集中し、特に20〜30代の働き盛り世代が増えており、「高度専門職」や「経営・管理ビザ」を取得している人が多いです。かつてのような不法滞在者や犯罪者は減少し、中国人の経済活動は日本国内でますます活発化している。


在日中国人は日本国内で中国人同士の取引を重視し、独自の経済圏を形成している。たとえば、内装業を営む周勇強氏のケースでは、中国人顧客が口コミで広がり、社員や仕入れ先、顧客のほとんどが中国人で構成されるビジネスモデルを構築している。日本では通常、マンションの内装があらかじめ整えられているが、

中国ではスケルトン状態で販売され、顧客自身が内装を手配する。そのため、日本国内でも中国人顧客が自分の好みに合わせて内装を変える需要があり、周氏の会社はこのニーズに応えている。また、富裕層が日本で不動産を購入した際に内装を依頼するケースも増えており、彼の会社はそれに対応してビジネスを拡大している。

一方、顔認証システムなどの先進技術も中国から日本に持ち込まれている。天時情報システムの武藤理恵氏が手掛ける顔認証システムは、非接触で衛生的であることから、特にコロナ禍で急速に需要が拡大した。このシステムは企業やホテル、スポーツジムなどに導入され、日本国内の中国系企業がその設置を担っている。武藤氏は中国の技術の進展に衝撃を受け、これを日本市場に導入することを決意し、日本におけるビジネス展開を図っている。

さらに、観光業でも中国人同士のネットワークが活発だ。団体旅行客は中国の旅行会社で手続きを行い、来日後も中国系旅行会社によってサポートされている。かつての「爆買い」ブーム時には、中国人観光客をターゲットとした免税店や土産物店が増加し、観光バスのガイドや販売員も中国人が多く従事していた。

また、個人旅行者はSNSを駆使して情報を集め、日本滞在中も中国人経営の違法タクシーなどを利用することがある。これらの中国人向けのビジネスは「中国式エコシステム」(中国語では一条龍"イーティアオロン")とも呼ばれ、中国人だけで経済活動が完結する仕組みが日本国内に広がっている。

このように、日本国内では中国人が独自の経済圏を形成し、観光業やサービス業、技術分野においてもその影響力を強めており、日本社会においても無視できない存在となっている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】在日中国人の急増と社会・経済圏形成:日本がとるべき対策

まとめ
  • 日本のインターナショナルスクールや進学校に中国人学生が増加傾向にあり、中国の中産階級や富裕層が日本の教育機関に注目している。
  • 中国人による高級マンション購入が増加しており、2022年の外国人による新築マンション購入の約7割を占めている。
  • 在日中国人コミュニティが独自の「中国式エコシステム」を形成し、日本のインフラや教育システムを利用しながら経済活動を行っている。
  • 中国の法律が海外在住の中国人に対しても中国政府への協力義務を課しており、これが潜在的な安全保障上のリスクとなっている。
  • 日本は国家安全保障の観点から、ビザ発給基準の厳格化や技術流出防止策の強化など、在日中国人に対する対策を強化する必要がある。
最近、日本のインターナショナルスクールや進学校に中国人の学生が増加しています。インターナショナルスクールは、英語での国際的な教育を求める中国人家庭に人気で、ビジネスや滞在の関係で通うケースも多いです。

また、日本の進学校には、中国のエリート層からの入学希望者が増えており、日本の教育システムに合わせた支援を受けることが一般的です。中国の中産階級や富裕層の家庭が、将来の国際的キャリアを見越して、日本の教育機関に注目しています。この動きは教育だけでなく、ビジネスや外交にも影響を与えています。

「億ション」を購入する中国人に関してはテレビも話題に

都内の高級マンション、いわゆる「億ション」を購入する中国人が増加しているという傾向が報告されています。不動産経済研究所の調査によると、2022年の外国人による新築マンション購入のうち、中国人が約7割を占めており、その多くが1億円以上の物件です。東京都心部、特に港区や中央区での購入が目立ちます。

日本の不動産市場の安定性や、円安の影響で割安感が出ていることも要因とされています。これらの購入者は、自社の中国人社員や家族の居住用、または資産運用として物件を取得しており、都心部の不動産価格上昇にも影響を与えている可能性があります。

東京には中国語専門の本屋(写真下)が開店しました。この書店は、在日中国人や中国語を学ぶ人々のために、中国本土や台湾、香港の書籍を約2万冊取り揃えています。書店内には文学作品や学術書、教材などが豊富にあり、訪れる人々は中国茶を楽しむこともできます。この新たな書店の開店は、日本における中国語の需要の高まりを反映しており、在日中国人コミュニティにとって重要な文化的資源となるでしょう。


中国人による「中国式エコシステム」は、日本のインフラや教育システムを利用して独自の経済圏を形成しています。この現象は、上の記事にもある通り在日中国人の増加に伴い、特に20代から30代の「高度専門職」や「経営・管理ビザ」を持つ人々が増えていることに起因しているようです。

彼らは日本でのビジネスや教育を通じて、自己のコミュニティ内で経済活動を行い、口コミを通じて顧客を増やしています。このような状況は、日本社会への統合を妨げる可能性があり、文化的な摩擦や教育システムへの影響も懸念されます。

また、中国系企業が日本市場で成長する一方で、関連ビジネスはほとんど中国人によって占められ、日本経済全体への還元が限定的であるという批判もあります。こうした動きは、長期的には日本社会の調和や国民の一体感に課題をもたらすかもしれません。

ただ、2023年末時点での在日中国人人口約82万2000人は、日本の総人口の約0.66%に相当します。これは日本の総人口の1%にも満たない割合です。そのため、現在のところは、大きな弊害があるとはいえないでしょう。

しかし、今後中国の経済の低迷などから、日本に合法的に移住する中国人が増えるのは間違いないでしょう。いずれ、弊害がかなりでてくることになるでしょう。

しかし、それ以前に日本は、中国人の「高度専門職ビザ」や「経営・管理ビザ」を制限すべきです。以前もこのブログに掲載したように、米台は中国人の移住を厳しく制限しています。これは、台湾に関しては、当然といえば、当然です。これは、中国による浸透を防ぐことが大きな目的であるからと理解できます。

では米国では、なぜ移住を制限しているかといえば、それはスパイの入国を阻止するという意味合いがあります。


2020年5月に発令された大統領布告13936号は、当時の米国大統領ドナルド・トランプ氏によって発令されました。この布告は、中国の軍民融合戦略に関連する学生や研究者のビザ発給を厳しく制限する内容を含んでいます。

具体的には、中国の軍事関連機関と関係のある学生や研究者に対して入国を制限し、スパイ活動や情報収集のリスクを軽減することを目的としています。また、米国の先端技術や機密情報が中国軍に流出することを防ぐため、ビザ発給の審査が厳格化されています。

この政策は、米国の国家安全保障と技術的優位性を維持するための重要な施策として位置づけられています。

米台と比較すると日本は、あまに無防備です。それは、現状では今だ在日中国人の数が少ないということに起因しているのでしょうが、在日中国人の数は今後増えることはあっても今のままでは、減ることはないでしょう。

中国の国家情報法、反スパイ法、国家安全法等の法律が海外在住の中国人を含むすべての中国国民に対し、中国政府への協力義務を課している現状を踏まえると、日本は国家安全保障の観点から、在日中国人に対する対策を強化する必要があります。

具体的には、ビザ発給基準の厳格化、技術流出防止策の強化、情報収集・分析能力の向上、違反者の国外退去等法的枠組みの整備、国際協調などが求められます。これらの対策を、すべての在日中国人、日本へ移住しようとする中国人に対して一律に適用されるべきであり、「日本社会・経済への貢献」、「平等・人権」、「人柄」、「信条」等という主観的・抽象的な判断に基づいて例外を設けるべきではありません。

日本は自国の安全と利益を最優先に考え、潜在的なリスクを最小限に抑えるための措置を講じる必要があります。

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