2024年9月11日水曜日

手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖 製薬各社が国産急ぐ深刻理由―【私の論評】日本が直面する戦争の危機と医療供給のリスク - 抗菌薬不足が示す現実

手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖 製薬各社が国産急ぐ深刻理由

まとめ
  • 抗菌薬の原料・原薬のほぼ100%を中国に依存している現状から脱却し、国産化を進める取り組みが加速している。
  • 明治Seikaファルマが岐阜工場で約30年ぶりにペニシリン原薬の生産を再開し、2025年から本格製造、2030年までに量産を目指している。
  • 過去の供給トラブルにより、抗菌薬の供給不足が医療現場に混乱を招いた経験があり、供給リスクが高まっている。
  • 技術者の協力を得ながら、抗菌薬製造のノウハウを次世代に継承することが国産化において重要視されている。
  • 国は経済安全保障の一環として抗菌薬の国産化を支援しているが、事業継続には薬価の見直しやさらなる支援が必要とされている。

手術室 AI生成画像 設備の整った手術室でも抗菌薬がないと手術はできない

 抗菌薬の原料・原薬の「脱中国」に向けた取り組みが進んでいる。抗菌薬は感染症治療や手術に不可欠で、供給が途絶えると日本の医療に深刻な影響を与えるため、政府は経済安全保障の観点から抗菌薬を「特定重要物資」に指定した。中国依存のリスク軽減が求められ、製薬会社が国産化を急いでいる。

 明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマは、岐阜工場で約30年ぶりにペニシリン原薬の生産を再開した。同社は年間200トンの原料生産を目指し、2025年に本格製造を開始、2030年までに量産体制を整備予定だ。岐阜工場は昭和46年にペニシリンの生産を開始し、平成6年に一度撤退したが、国の支援を受けて生産再開に向けた準備を進めている。設備の自動化や最新技術の導入により、若い世代や女性も参入しやすい環境が整えられている。

 ペニシリンなどのベータラクタム系抗菌薬は、原料のほとんどを中国に依存しており、過去には中国での製造トラブルが原因で供給が途絶え、国内の医療現場に混乱をもたらした。抗菌薬の薬価が安く、採算性の問題から国内生産が困難な状況が続いている。シオノギファーマは岩手県の金ケ崎工場で原薬の試験製造を開始し、国産化を進めているが、技術継承も課題だ。

 政府は抗菌薬の安定供給に向け、約550億円の予算を確保し、国産化支援を行っている。長期的な事業継続には、薬価の見直しや国による買い上げなどの支援が求められている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。「まとめ」は、元記事の要点をまとめ箇条書きにしたものです。

【私の論評】日本が直面する戦争の危機と医療供給のリスク - 抗菌薬不足が示す現実

まとめ
  • 日本の日常生活が平和であるのは現在の国際情勢によるものであり、ウクライナの例のように、他国からの侵攻や攻撃によって一変する可能性がある。
  • 中国が日本を弱いと判断すれば攻撃の可能性があり、特に抗菌薬などの医療供給への依存は日本の脆弱性を示している。
  • グローバル経済から「戦争経済」への移行が進む中、経済活動は安全保障を考慮する必要がある。特に、日本企業の中国依存はリスクを孕んでいる。
  • 軍備の増強や戦略物資の自給自足化が求められており、これは日本が地獄のような状況に陥るのを防ぐために急務である。
  • これからの経済活動は、効率や利益だけでなく、安全保障を最優先に考えるべき時代が来ている。
日本の多くの人々は、戦争の危機が迫っていることに気づいていないかのようです。私たちの普通と思っている日常生活が続けられるのは、日本が平和だからです。しかし、ウクライナでは突然のロシアの侵攻により、日常が一瞬で崩壊しました。これはロシアがウクライナを弱いと見なした結果です。

私達が日常生活を送れるのは日本が平和だから AI生成画像

同様に、日本が弱いと中国の習近平が判断すれば、日本もウクライナのように攻められる可能性があります。このブログで主張してきたように、中国による台湾侵攻や尖閣侵攻などは、日米の対潜水艦戦争(ASW)能力が相対的にかなり高いので、メディアが喧伝しているのとは異なり実際には難しいです。

軍事的にも経済的にも、他国の領土を占拠すること、しかも日本や台湾のような島国を占拠することは非常に難しいです。現実にロシアは未だに陸続きのウクライナを屈服させることができていません。にもかかわらず、メディアなどはこのような危機ばかり煽っています。

しかしながら、中国はロシアがウクライナで実行しているように日本や台湾の国土を破壊することは簡単にできます。そんなことはありえないと多くの人は思うかもしれませんが、日本が弱り、国際情勢が変われば、これは現実に十分に起こり得るシナリオです。

AI生成画像 中国が日本に侵攻するのは容易なことではないが・・・・・・

さらに、そこまでいかなくても、中国は日本や台湾を弱らせるためのいくつもの方策を実行できます。その格好の事例が抗菌薬です。抗菌薬の原料・原薬のほとんどを中国に依存している現状は、日本の医療をも脅かすリスクとなります。これは、すぐにも起こり得る現実的な脅威です。

このままでは医薬品供給が途絶え、平和な日常が崩れる可能性があるのです。そのため、日本が地獄のような状況に陥らないためにも、軍備の増強や戦略物資の自給自足化は急務です。世界は今、「グローバル経済」から「戦争経済」(国家が安全保障を最優先に軍事支出を増やし、経済活動を軍事目的にシフトさせる状態。具体的には、兵器や軍需品の生産が増え、労働力や資源が軍事に動員され、経済全体が安保強化に向けられる)に移行していますが、中国とのビジネスに依存し続ける日本企業は、そのリスクを十分に認識していません。早急にこの危機感を共有するべきです。

私自身も最近、喉が痛くなり、少し熱もあったので、医師に診察してもらいました。コロナではないことがわかって安心したのですが、それでも熱があり、喉が痛いという症状がありました。そこで、近くの調剤薬局で薬を受け取ったのですが、初回は特に何も言われませんでした。

調剤薬局 AI生成画像

しかし、2回目に行ったときには、抗菌剤が不足しているため、5日分しかもらえませんでした。正直、このようなことが起こるとは驚きでした。その後、熱が下がり、喉の痛みもなくなったので、事なきを得ましたが、同じことが再び起きたらどうなるかと不安を感じました。

グローバル経済は国境を越えた自由な取引や投資に基づき、効率を追求していました。しかし、抗菌薬の事例が示すように、投資先が自国の安全を脅かす存在であれば、命が最優先されるべきです。供給が滞ることで医療現場が混乱し、命に直結する事態が発生するリスクが現実のものとなりつつあります。これからの経済活動は、効率や利益だけでなく、安全保障を最優先に考えるべき時代が来ています。

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