2024年10月7日月曜日

自民に激震「比例重複認めず」 非公認対象広がる 党勢後退すれば首相の責任問題も―【私の論評】安倍晋三 vs. 石破茂:リーダーシップの対比と高市現象の必然

自民に激震「比例重複認めず」 非公認対象広がる 党勢後退すれば首相の責任問題も

まとめ
  • 石破首相の方針: 政治資金収支報告書に不記載の自民党議員を公認しても、比例代表との重複立候補を認めず、非公認の対象が拡大する。
  • 旧安倍派の影響と党内対立: 不記載事件に関与した旧安倍派の議員が狙い撃ちされ、党内の対立が深刻化する見込み。
  • 選挙戦の厳しさと責任問題: 非公認となる議員は選挙戦で厳しい状況に直面し、落選が続けば首相自身が責任を問われる可能性がある。
パーティー収入不記載事件に関係する議員の衆院選公認を巡る方針を発表する石破茂首相=6日午後、党本部

石破茂首相は、政治資金収支報告書に不記載が確認された自民党議員を次期衆院選で公認しても、比例代表との重複立候補を認めない方針を固めた。これにより非公認対象が広がり、有権者の不満を抑える狙いがあるが、選挙での当選確率が下がるため、自民党内に動揺が広がっている。

特に旧安倍派議員への影響が大きく、安倍晋三元首相との距離を理由に狙い撃ちと見られている。非公認によって厳しい選挙戦が予想され、衆院選で落選する議員が続出した場合には、首相自身が責任を問われる可能性もある。

自民党内では、首相の決断が党勢後退を招くのではないかと懸念する声も強まっており、刺客を送り込まない現状では議席数の減少が避けられないとの意見も出ている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】安倍晋三 vs. 石破茂:リーダーシップの対比と高市現象の必然

まとめ
  •  石破茂は心のなが見通せるという意味では「正直者」だが、彼の行動は復讐心から来ており、あからさまな「報復人事」を実行した。
  • 石破は安倍派の議員を冷遇し、彼らを選挙でも追い詰める厳しい選挙戦略を採用している。
  • 高市早苗の人気は、グローバリズムに対する反動であり、国際的な自国第一主義と共鳴している。
  • リーダーは自己を超越し、組織の成功を重視するべきで、石破は自己中心的な振る舞いに陥っている。
石破茂、彼を語るにはまず「正直者」という言葉が浮かぶ。だが、その正直さが単なる無骨さに過ぎないのか、あるいは冷酷なまでに計算された策略の一環なのか、その真意を見極めるのは容易ではない。政治の舞台において、冷や飯を食わされ続けた男が復讐を遂げる瞬間——その劇場の幕が上がった。

報復人事は労基法では禁じられているが、閣僚人事、自民党役員の人事などは適用外

まず、石破茂が登場する舞台、それは人事の世界だ。企業でも官庁でも、人事は組織の成長を左右する最重要課題であり、それを司るのは一握りのエリートたち。彼らは組織を陰で動かし、成功に導く黒幕でもある。しかし、永田町の世界では、人事は一人の権力者の手中にある。

権力の源を握った者だけが人事を操り、己の敵を討ち、味方を引き上げる。その冷厳たるリアリズムこそが政治の本質である。石破はまさにその権力を手にした瞬間、冷や飯を食わされてきた自らの境遇に報いるかのように、絵に描いたような「報復人事」を炸裂させた。

彼は安倍氏を「国賊」として謗った村上誠一郎を重要ポストに抜擢し、一方で、かつて安倍晋三の手下として勢いを振るった旧安倍派を徹底的に冷遇した。そのあからさまな動きは、まるで復讐劇の幕開けを告げるかのようだった。旧安倍派の議員たちが次々とその牙城を崩される様は、かつて彼らが安倍晋三の陰で糧を得ていた日々を思い出させずにはいられない。彼のやり方は実にあからさまで、その復讐の矛先は誰の目にも明らかだった。

旧安倍派幹部

さらに、石破茂の真骨頂はその選挙戦略にあった。彼は、政治資金収支報告書に不記載が発覚した議員たちに対して、比例代表との重複立候補を認めないという厳しい方針を打ち出した。この決断は、ただ単に選挙の公平性や透明性を守るためのものではなく、むしろ旧安倍派有力者たちを狙い撃ちにするためのものだった。彼らが選挙で苦境に立たされるよう仕向けることこそが、石破の狙いであったのだ。

これにより、比例代表というセーフティネットを失った彼らは、個別選挙区での勝負を強いられることとなった。安倍派の中堅議員たちは「これでは政権を支え続ける気力が失せる」と憤りを隠さなかった。石破の選挙戦略は、まさに自らの敵を選挙の場で追い詰めるための策略であり、その冷酷さに驚きを禁じ得ない。

ここで、リーダーシップの本質について考えてみよう。このブロクでも過去に掲載した経営学の大家ドラッカー氏による、真のリーダーの定義とは、仕事そのものに自らを捧げ、己を捨ててでも組織を前進させる者のことである。安倍晋三はまさにその資質を持ったリーダーであった。彼は石破茂をあえて幹事長に据え、表向きは協調路線を演出しながら、徐々に石破の影響力を削ぎ取っていった。その巧妙な手腕は「悪党政治家」と呼ぶにふさわしく、まさに百戦錬磨の政治家たる由縁であった。ここでいう悪党とは、政治家としては、むしろ褒め言葉である。

安倍の冷静さと計画性、それに比べて石破の自己中心的な振る舞いは、政治家としての資質の違いを如実に表している。安倍が持っていたのは、あくまで組織のため、仕事のためという強い信念と覚悟であり、それが彼をして「悪党」としての道を歩ませた。しかし、石破にはそれがなかった。彼の動きはあまりにも感情的で、復讐心に満ちている。虚栄心に支配され、自らの感情をあらわにして報復に走った彼の行動は、リーダーとしての冷静さを欠いている。

リーダーシップとは、自己を超越した存在であり、組織の成功を第一に考えるものでなければならない。チャーチルが後進の育成を最後まで続けたように、真のリーダーは自らを越える者たちを支援し、その育成を惜しまないのだ。石破茂の行動はその逆を行き、自らの敵に対して怨念を燃やし、組織を分断させることになるだろう。

自民党総裁選の決選投票を前に演説する高市早苗氏

そうして「高市現象」は単なる国内政治の一部ではなく、国際的な流れの一部なのだ。グローバリズムの影響で広がる社会の分断と、それに反発する動きの象徴として、高市早苗の主張が多くの国民に支持されている。日本もまた、自国第一主義の時代(これは単なるモンロー主義などとは異なる、ただ長くなるのでここでは説明しない)に向かいつつあり、それが新しい政治の形を生み出そうとしている。これは「時代が求める強きリーダー像」への希求であり、世界が新しい形のリーダーシップを渇望している証拠なのだ。

結局のところ、石破茂と安倍晋三、そして高市早苗——彼らの違いはどこにあるのか。それは、リーダーとしての資質と覚悟、そして組織を超えた目的意識にある。石破は、自己の怨念を晴らすために動き、安倍は冷徹に組織を強化するために行動した。

そして高市早苗は、時代の要求に応えるために立ち上がった。これこそがリーダーシップの本質であり、石破茂にはそれが足りなかったと言わざるを得ない。最後に残るのは、リーダーとしての覚悟の違いが、彼らの運命を大きく分けることになるだろうとの結論である。

以下に総裁選で高市氏に投票した議員そうでいない議員のリストを掲載します。

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