2024年10月13日日曜日

海自の護衛艦に「SFの兵器」搭載!? 防衛省が“レーザーシステム”研究へ 大群で襲ってくるドローンも無力化―【私の論評】安倍総理の貢献と安保新時代:日米協力と先進技術が描く未来

海自の護衛艦に「SFの兵器」搭載!? 防衛省が“レーザーシステム”研究へ 大群で襲ってくるドローンも無力化

まとめ
  • 防衛省は、小型無人機やドローン・スウォーム攻撃に対応するため、2024年度から「艦載用レーザーシステム」の研究試作を開始し、コスト効果の高いソフトキル能力を開発する予定です。
  • 2025年度から2029年度まで研究試作を行い、2027年度から2030年度に試験を実施して成果を検証し、既存の艦艇にも搭載可能な小型化・モジュール化を目指します。

防衛省は、小型無人機の脅威に対応するため、「艦載用レーザーシステム」の研究試作を2024年度から開始することを発表しました。無人機の発展や「ドローン・スウォーム攻撃」に対する費用対効果の課題を解決するため、レーザーによるソフトキル能力を持つ新兵器を開発します。

レーザーは連続発射が可能で、弾薬を必要とせず、対処コストが低いのが特徴です。2025年度から2029年度まで研究試作を行い、2027年度から2030年度にかけて試験を実施し、成果を検証する予定です。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】安倍総理の貢献と安保新時代:日米協力と先進技術が描く未来

まとめ
  • 新時代の防衛戦略: 陸上自衛隊が弾道ミサイルや極超音速兵器への対策を強化。10年以内の導入を見据え、無人機への対抗手段として高出力レーザー兵器の研究が進行中。
  • 日米防衛協力の深化: IBCSとADCCSの統合運用を通じて、日米防衛協力が一層強化。共同訓練と装備の相互運用性がキーとなる。
  • 艦載用レーザーシステムの開発: 小型無人機やドローン・スウォーム攻撃に対抗するため、艦載レーザーシステムの研究が進展。
  • 安保法制改正の影響: 集団的自衛権の限定的行使を可能にした改正が、日米の防衛協力と統合運用を支える。
  • 技術革新と戦略的対応: 三菱電機が無人機対策技術を開発し、防衛戦略の新たな局面を切り開く。

ドローンのスウォーム(集団)攻撃の想像図

陸上自衛隊は、弾道ミサイル防衛や極超音速兵器への対策を強化する計画を進めている。これらの新世代システムは、来るべき10年以内に実装される予定だ。しかし、現状では無人機のようなコストパフォーマンスに優れた兵器が大きな脅威と化しており、防空システムもこれに対応する必要が増している。

無人機への対抗策として、コスト効率の高い装備が求められる。そのため注目されているのが高出力レーザー兵器である。高出力レーザーは無人機に対して非常に有効だが、その効果を最大限に発揮するためには、少なくとも5秒以上の連続照射と、正確な追尾能力が不可欠だ。三菱電機は他企業と協力しながら、レーザー兵器の効果的な運用のためのセンサー技術や大気計測技術の開発を推進している。

さらに、現代の戦闘は各軍種が独立して活動する時代ではなく、陸海空を統合的に運用することが求められる。この「統合運用」を実現するためには、各種装備をネットワークで結びつけ、リアルタイムで情報を共有するシステムが必要となる。

そのため、米ノースロップ・グラマン社が開発した「統合防空ミサイル防衛戦闘指揮システム(IBCS)」と、三菱電機が開発した「対空戦闘指揮統制システム(ADCCS)」の統合が不可欠である。

陸自のADCCS(対空戦闘指揮統制システム)指揮車

三菱電機はノースロップ・グラマン社と協力し、日本の防空システムと米軍のIBCSの連携に取り組んでいる。特に、有事に米軍がIBCSを日本に持ち込む可能性を想定し、日米が共同で防空を行うために、これらのシステムが連携する必要がある。この協力は単なるシステムの結合ではなく、日米の防空戦略を一体化するための重要な取り組みだ。

この提携は日米同盟下での防衛産業の新たなステップであり、両国の防空体制を強化することを目指している。こうして日米が装備を連携させ、将来的な脅威に対し迅速かつ柔軟に対応できる防衛システムを構築しようとしている。

艦載用レーザーシステムの研究試作と、日米両国の防空システムの統合は、異なる取り組みではあるが、将来的な脅威への防衛能力の強化を目指す点で関連がある。

艦載用レーザーシステムの開発は、小型無人機やドローン・スウォーム攻撃に対する直接的な対策を目的としている。これは日本が自国の防空能力を強化し、費用対効果の高い新兵器を導入することに焦点を当てた取り組みだ。

一方で、日米両国の防空システムの統合に向けた取り組みは、広範なミサイル防衛や航空機に対する防空能力の向上を目指しており、ノースロップ・グラマン社のIBCSと三菱電機のADCCSの協力関係を含む。この統合の背景には、陸海空の各軍種が連携して戦闘を行う「統合運用」の必要性がある。

したがって、「艦載用レーザーシステム」の開発と日米防空システムの統合は、直接的に同じプロジェクトではないものの、どちらも将来的な脅威への対応を強化し、効果的な防衛を実現するという共通の目標を持っている。両者が最終的に統合されるかどうかは明確ではないが、全体的な防衛戦略において相互に影響を与える可能性は十分にある。

IBCSとADCCSの統合運用の根拠は、日米同盟に基づく防衛協力に強く支えられている。日米安全保障条約とそれに基づく防衛協力の指針が、両国間の防衛関係を基盤としており、これにより日米は防衛資産やシステムを緊密に連携させる体制を築いている。現代の防空戦略では、陸海空の各軍種が情報と装備をリアルタイムで共有する「統合運用」が求められており、IBCSとADCCSの統合はこの要請に応えるものである。

また、日米両軍は定期的に共同訓練を行い、これを通じて指揮統制システムの運用実績を積み重ねている。こうした実績が、システム間の信頼性と相互運用性を高める要素となっており、日本が防衛装備品の共同開発に関する規制を緩和したことで、ノースロップ・グラマンと三菱電機のような防衛産業の協力が進み、これが統合運用の実現を支える技術的な土台となっている。


この背景には、2015年に安倍総理によって行われた安全保障関連法制の改正が大きく影響している。安保法制の改正により、日本は集団的自衛権の限定的な行使を認め、日米間の防衛協力をより広範囲かつ実質的に行えるようになった。これにより、自衛隊が米軍と連携して行動できる範囲が広がり、統合防空システムの運用においても相互連携が強化された。安保法制の改正は、日米の防衛戦略がより一体的に進化するための重要な基盤となり、IBCSとADCCSの統合運用にも大きな寄与をしている。

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