まとめ
- ドイツ経済省は、2024年の経済成長率見通しを0.3%のプラス成長から0.2%のマイナス成長に下方修正し、これにより2年連続のマイナス成長が予測されている。
- ドイツの主要経済研究所も、2024年のGDP成長率予測を0.1%減に修正しており、経済省はこれらの予測を反映した見通しを10月9日に発表予定。
- 経済省の報道官は、今回の経済予測が経済情勢や基礎データに基づいた包括的な評価であり、詳細な説明を提供するためのものであると述べた。
ドイツのフォルクスワーゲンの工場 |
ドイツ経済省は、2024年の経済成長率見通しを従来の0.3%のプラス成長から0.2%のマイナス成長へと下方修正することを発表した。この発表は南ドイツ新聞の報道を確認する形で行われ、ドイツ経済が今後さらに厳しい状況に直面することを示唆している。2023年の国内総生産(GDP)はすでに0.3%減少しており、ユーロ圏の主要国の中でも特に低迷していたことから、これで2年連続のマイナス成長となる見通しだ。
また、ドイツの主要経済研究所であるIFO経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、およびライプニッツ経済研究所(RWI)の5つの研究機関も、2024年のGDP成長率を0.1%減に下方修正する予測を示しており、これを踏まえてドイツ経済省は新たな経済見通しを10月9日に公表する予定だ。
経済省の報道官は、この経済予測が経済情勢や見通し、そしてその背後にあるデータや分析に基づいた包括的な評価を提供するものであり、より詳細な説明が可能になるようにする意図があると述べた。
【私の論評】ドイツ経済の危機を招いた脱原発政策:日本が学ぶべき教訓
また、ドイツの主要経済研究所であるIFO経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、およびライプニッツ経済研究所(RWI)の5つの研究機関も、2024年のGDP成長率を0.1%減に下方修正する予測を示しており、これを踏まえてドイツ経済省は新たな経済見通しを10月9日に公表する予定だ。
経済省の報道官は、この経済予測が経済情勢や見通し、そしてその背後にあるデータや分析に基づいた包括的な評価を提供するものであり、より詳細な説明が可能になるようにする意図があると述べた。
【私の論評】ドイツ経済の危機を招いた脱原発政策:日本が学ぶべき教訓
まとめ
- 最近マスコミは、ドイツが日本のGDPを追い越したと報道していたが、それは名目GDPのことである。名目GDPは物価変動を考慮しないため、実質GDPと比較すると経済の実態を反映しない。名目GDPの高低で国の経済力を判断することは無意味である。
- 現実のドイツは不況にあえいでいる。ドイツは「脱原発」を進めた結果、エネルギー不足や高騰する電力料金に直面し、経済成長が損なわれている。
- さらに再生可能エネルギーへの過剰依存がエネルギー供給の不安定さを引き起こし、企業や家庭にさらなる経済的負担をかけている。
- 移民問題の経済的影響: 大量の移民や難民を受け入れたことで、ドイツの社会が混乱し、経済的な負担が増大している。
- ドイツが全原発を廃炉にしたことは、新しい原子力技術への道を閉ざし、エネルギー安全保障を脅かす結果となっている。日本も同様の誤りを繰り返すべきではない。
テレビで報道されたテロップ |
最近、マスコミでは「ドイツが日本のGDPを追い抜いた」と報じられることがあるが、実はそれは名目GDPの話である。名目GDPとは、物価変動を考慮しないそのままの数字であり、実質GDPとはインフレーションを調整したもので、経済の実際の成長を反映するものだ。名目GDPの比較は、物価の違いや経済構造の違いを無視しているため、あまり意味がないとされている。
国際通貨基金(IMF)のデータでも、名目GDPは短期的な変動に敏感であり、経済の実体を示すものではないとされている。このため、名目GDPが高いからといって、その国の経済が強いわけではないのだ。名目GDPでドイツの経済が大きくなったようにみえたのは、物価の高騰によるところが大きい。
上の記事にもあるように、今やかつての経済大国ドイツが不況の泥沼にはまり込んでいるのをご存じだろうか。その原因の一つは、はっきり言って「脱原発」という愚策の極みとも言える選択にある。ドイツは、エネルギー政策において左翼的な思想に基づいた判断をしてしまい、その結果、現在の苦境に陥っているのだ。
原子力は、非常に安定したエネルギー源であり、多くの国々が経済成長の土台として活用してきたものである。実際、国際エネルギー機関(IEA)のデータによれば、原子力はCO2排出量が少なく、安定した供給能力を持つエネルギー源であるとされている。
しかし、ドイツの左派勢力は、科学的事実や合理的な視点を無視し、いわゆる「グリーン・アジェンダ」という環境主義の名のもとに恐怖を煽り立て、原発の廃止を強引に進めた。その結果、ドイツは貴重なエネルギー源を自ら手放すという、大きなミスを犯してしまったのだ。
その影響はどうだったのか?第一に、ドイツはエネルギー不足という深刻な問題に直面している。原発を閉鎖したことで、代わりにロシアからの天然ガスなど、外国からのエネルギーに依存するようになった。2021年のドイツの天然ガス輸入量のうち約55%がロシア産であり、この依存がもたらすリスクは、ウクライナ情勢をきっかけに痛感されることとなった。これはまさに自ら首を絞める行為であり、世界の市場や地政学的なリスクに対して脆弱な立場に追いやられたのだ。
さらに、エネルギー価格が急騰し、一般家庭も企業もその影響を受けている。2022年のエネルギー危機の際には、ドイツの電力料金は過去最高を記録し、欧州の中でも最も高い水準に達した。ドイツ人は高騰するエネルギー料金に苦しみ、企業はコストの高騰により、製造業や化学産業などが深刻なダメージを受けている。これにより、フォルクスワーゲンなど一部の企業は、エネルギーコストがもっと安く済む国への移転を検討するという、まさに国の産業基盤が揺らぐような事態に陥っているのだ。
ドイツでは、2014年時点で再生可能エネルギーの占める発電割合が、過去最高となっていた |
そして、ここに追い打ちをかけているのが、再生可能エネルギーへの過剰な依存である。再生可能エネルギーは、クリーンで環境に優しいと言われているが、その一方で非常に不安定なエネルギー源でもある。
風力や太陽光は天候に左右されるため、安定した電力供給が難しく、2022年にはエネルギー供給の不安定さが原因で電力不足の危機が何度も訪れた。これはドイツの産業界にとって致命的であり、結局は石炭火力やガス火力といった化石燃料への依存を再び高めざるを得ないという皮肉な結果を招いているのだ。
再生可能エネルギーの不安定さが引き起こす問題は、エネルギーの安定供給を妨げ、さらには価格の急騰を引き起こしている。国際エネルギー機関の報告によれば、エネルギー価格の不安定化は欧州全域に影響を与え、特にエネルギーを大量に消費する産業にとって大きな打撃となっているとのことだ。これによって、ドイツ国内の企業や家庭はさらなる経済的負担を強いられている。環境に優しいという名のもとに導入されたはずの再エネが、皮肉にもドイツ経済を揺るがす一因となってしまっているのだ。
さて、こうした経済的混乱に拍車をかけているのが、移民や難民問題である。2015年の移民危機以降、ドイツは大量の難民を受け入れてきたが、その結果、社会が混乱し、経済的な負担も増大している。ドイツ政府によると、2021年だけでも移民にかかる費用は約220億ユーロに上り、これが社会保障制度に大きな圧力をかけている。
移民の多くは、十分な教育や職業スキルを持たず、労働市場に適応するのが難しいため、失業率の上昇や治安の悪化といった問題も引き起こしている。経済的な側面だけでなく、社会の安定をも脅かす結果となっているのだ。
ドイツ・ベルリンで行われた親パレスチナデモ=2023年11月4日 |
さらに、原発を廃炉にしたとしても、そのプロセスには時間がかかり、核物質の管理は依然として大きな課題である。例えば、原子炉の廃炉には通常、数十年もの長い年月が必要であり、その間、放射性物質の管理が必要だ。これに関する研究によれば、廃炉作業が完了するまでには、原発のリスクが依然として存在することが示されている。また、廃炉を決めただけではリスクは低減されず、適切な管理がなければ、放射性物質が環境に漏れる危険性も残るのだ。
そんな中、比較的新しい技術である小型モジュール炉(SMR)が期待されている。SMRは、小型でありながら高い安全性を兼ね備えており、事故が起こりにくい設計がされている。例えば、アメリカのエネルギー省によると、SMRは従来の原発よりも安全性が高く、導入が進むことで電力供給の安定化が図られるとされている。
また、将来的には核融合炉の技術も期待されている。核融合炉は、燃料が豊富で環境への負荷が極めて少ないという特性を持ち、これが実用化されればエネルギー問題は根本的に解決する可能性があるのだ。
しかし、ドイツが全原発を廃炉にし、新たな原発を設置しないことで、新たな小型モジュール炉や核融合炉への道も閉ざしてしまった。国際原子力機関(IAEA)の見解によれば、原子力技術の進化には既存の知識と経験が不可欠であり、過去の原発技術を無視して新しい技術を開発することは非常に難しい。そのため、ドイツが全ての原発を廃炉にすることは、大きな誤りであり、エネルギーの安定供給を図り、経済成長を促進するためにも原子力は重要な選択肢であり続けるべきである。
このように、ドイツの状況は、左翼イデオロギーが国家経済に現実的かつ有害な影響を及ぼす可能性を明確に示している。安定したエネルギー源を放棄することで、ドイツのエネルギー安全保障と繁栄は危機に瀕しているのだ。
こうした時代錯誤の政策に対して、私たちは強く立ち向かわなければならない。原子力発電は、経済成長と国家安全保障を保証する強固なエネルギー戦略の重要な一部である。左翼的な決定がもたらす結果は、広範囲に及び、大きな代償を払うことになるのだ。
したがって、日本はドイツのようになってはいけない。左翼的な政策が経済や社会に及ぼす影響を直視し、正しい選択をすることが求められている。日本の未来のためにも、原子力を含む信頼できるエネルギー源を守り、国家の繁栄を確保していく必要がある。
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