写真は、西単にある店の様子。西単(シー・ダン)は、天安門から西へタクシーで5分ほど。地下鉄の駅もあるので便利な場所だ。若者が集まるので、北京の渋谷とも例えられる。
中国新人類「80後(バーリン・ホー)」研究会発足
現在の中国市場を牽引しているのは60年代、70年代生まれの富裕層(29~49歳)ですが、中国では次世代新人類が話題を集めています。次代の中国市場は富裕層だけがリードするのではなく、新たに誕生する中流階層が巨大な市場を形成すると言われています。その主役が「一人っ子政策」と「インターネット」により形成された「80後(バーリン・ホ~)」、80~89年生まれ(19~28歳)の若者です。既に、結婚適齢期を迎え、新人類ファミリーを形成しようとしています。
中国で「80後(バーリン・ホ~)」が注目を集めているのは、彼らがそれ以前の世代と全く異なる価値観、嗜好、行動様式を持っており、マーケティング戦略の大転換を余儀なくされているからです。中国の大企業、有名ブランド企業の中で、「80後(バーリン・ホ~)」対策を考えていないところはないでしょう。「80後(バーリン・ホ~)」の人口は約2億人です。
「中国人は派手好き」「中国人は高額品なら良い商品だと思っている」というのは、あくまで70年代生まれ以前の世代の嗜好です。「80後(バーリン・ホ~)」は、彼らを「ダサイ」と切り捨てます。経済的に恵まれ、高学歴で、インターネットの豊富な情報を得ている「80後(バーリン・ホ~)」は、欧米や日本のテイストを自然に受け入れています。
高級ブランドはヨーロッパ企業の独壇場でしたが、「80後(バーリン・ホ~)」により誕生する巨大な中流市場は日本企業の得意分野でもあります。今年の北京オリッピック、2010年の上海万博を経て、中国は大衆消費時代を迎えることが予想されます。また、日本企業の中国市場進出もその時期に本格化することでしょう。
そこで、一足先に、中国の新人類である「80後(バーリン・ホ~)」を研究し、次代の中国市場戦略を共に考えましょう、というのが本研究会の趣旨です。
本研究会は、アジアファッション連合会が主催する、オープンな研究会として、東レ経営研究所「中国ビジネス研究会」主幹の坂口昌章氏の監修のもと、「80 後(バーリン・ホ~)」の中国人女性グループによって運営されます。単なる座学ではなく、リアルな「80後(バーリン・ホ~)」のライフスタイルをビジュアルにご紹介し、双方向の情報交換をしたいと考えています。
2億人を一緒に語ることはできない?
中国全土には、この「80後世代」が実は、2億人いるといわれています。2億人というと、日本の人口よりも多い人数です。この趣旨にも書いてある通り、確かに現在の80後とは従来の中国人とは違った価値観を持っているようです。
それは、間違いのないことだと思います。しかし、この2億人にものぼる人数の中には、さまざまな人がいると思います。個々に嗜好も違えば、学歴も違うし、言語、生活習慣、ライフスタイルも相当違うと思います。ひとつの産業としては、おおぐくりで消費者を捕らえて、商品開発などに生かすことができれば、いろいろなことが容易にできて一見ようにみえます。
日本でも従来までは、その考えで十分やってこられました。大衆というものを想定して、大衆のライフスタイルや嗜好などをとりえて、商品開発などすれば、ヒット商品が続々生まれる時代が確かにありました。特に、団塊の世代がヤングといわれた時代に関してはそうでした。特に、日本ではのこの世代が若い時代には、確かに世界でも稀にみるほど、経済的に平等な時代でした。
そのため、しいて若者を分類しなくても、若者のとひとくくりにしても、商品開発は十分できました。ヒット商品も数多くつくることができました。今から10数年前などは、小物など女子高生(現在の団塊の世代のジュニアにあたる世代)をターゲットにすると、売れるという時代がありました。でも、今では女子高校生自体が多様化したことと、少子高齢化でそのようなことはありません。
しかし、現在ではそんなことはありません。この団塊の世代ですら、ひとくくりにできたのは、団塊の世代という言葉を堺屋太一氏が最初につくった30年ほどまえから、10年~15年くらいのことだと思います。この時代は確かに、この世代の共通点や共通項が多くありました。しかし、同じ世代が今やどうでしょうか?いまや、てんでんばらばらです。それこそ、この団塊の世代にも大衆などというものは存在しません。収入、ライフスタイル、思考様式、嗜好などそれぞれ違うため、ひとくくりにして商品開発などしても売れません。
現在日本の製造業や、小売業の業績が悪いのは、世の中が変わって、もはや存在しない大衆というものを追いかけ、幻の大衆に向かって商品を販売してきたからに他なりません。いまや、同じ団塊の世代といっても、個々によってさまざまです。一人として同じ人はいません。だから、ワン・ツー・ワン・マーケティングなどともいわれいます。ただし、本当に個々人に対してまともに調査などすれば、労力も膨大になり経費倒れになることは明らかです。
'99年春 発売した、女子高生をターゲットとしたタカラトミーの携帯電話「チュチュ」。発想としては、現在の中国「手写筆携帯」と同じであり、最先端を行っていたと思うのだが、ほとんど売れなかった。
だから、ある程度のまとまりは必要です。だからこそ、マーケティングをきちんとやり、自分たちのできることに関してどの程度の人に売れるのか、あるいは売りたい人をはっきり分類することが重要になってくるのです。
この「80後研究会」日本で30年前くらいに、大当たりした、大衆向け商品の開発をすることを旨とするなら、もうその時点で勝敗は決まっています。おそらく、大失敗することでしょう。そうではなくて、自分たちの売りたい人をキチンと特定するなどのことをするなら成功すると思います。
中国の発展は、いわゆる「飛ばし現象」というものがあり、日本などで思われているより、はるかに急激に変化しています。「飛ばし現象」とは、たとえば、電話です。普通の国だと、固定電話が普及した、次に携帯電話が普及するというのが常識のようですが、中国では違います、固定電話を飛ばして、携帯電話がかなり普及しています。
日本では、終戦後の貧しい時代から、高度成長時代に入り、大量生産、大量消費の時代を経てから、価値観やライフスタイルを重んじる層が増えてきて、だんだんに大衆というものの存在がうすれ、ここ、10年ほど前からは、平均的な大衆などはほとんどいなくなりました。そうして、最近のいわゆる格差社会に突入し、いわゆる大衆は完全に姿を消しました。いまや、大衆を想定して、誰にでも売れる商品を作ると、誰にでも売れない商品になってしまいます。ここから抜け出ることができない、メーカーや、小売業が苦戦しています。
中国の場合、いわゆる日本のいわゆる高度成長時代に突入したのと同じ時期に、すでに、格差社会に突入し、最初から大衆などいないといっても良い状態です。食料品でも、安ければそれでよいという、低所得層から、安全に気を使い日本の高い米、野菜、果物を好む高所得層までさまざまです。そんな中で、若者とひとくくりにすると、失敗すると思います。もし、「80後研究会」が失敗するとしたら、このような背景によるものと思います。
今回は、たまたまファッションのことをあげましたが、中国ビジネスで成功しようと思ったら、どの商売でもこうした背景を踏まえて実施すべきだと思います。
この記事には、「団塊の世代」という言葉でてきたので、過去にこの言葉が一言でもでてきた、記事を検索してみました。その結果は以下の反転文字をクリックしてください。当該記事に飛ぶことができます。意外なものもありました。こちらも、是非ごらんになってください。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
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