2008年8月22日0時51分(Asahi.com)
中国が輸出でも、日本にとって最大の貿易相手に浮上してきた。財務省が21日発表した7月の貿易統計(速報値)では、中国向け輸出額が前年同月比16・8%増の1兆2864億円で、景気の停滞が続く米国向けを戦後初めて上回った。中国には米国に代わる日本製品の売り先としての期待がかかるが、高成長に陰りも指摘される。
中国は、輸出入総額で既に日本の最大の貿易相手となっている。対中輸出は05年6月に7330億円で対米輸出の6割程度だったが、以後38カ月続けて増加した。一方、対米輸出はサブプライム問題を機に昨秋以降、減少傾向に転じ、逆転につながった。
景気を下支えしてきた日本の輸出額全体は6月に55カ月ぶりに前年割れとなった。7月に2カ月ぶりに増加したのは、米国向けの落ち込みを中国向けの伸びが補ったためで、「中国頼み」の様相が強まっている。
米中両国への輸出構造は大きく異なる。米国向けは自動車が30%を占めるなど、完成品の消費財輸出が多いが、中国向けでは自動車の構成比は3%。鉄鋼(6%)や電子部品(8%)が多い。中国が日本からの輸入品を用いて製品を生産し、さらに欧米へ輸出する構図だ。このため、今後の対中輸出の推移について「米国景気失速の影響で中国からの輸出が落ち込み、日本の対中輸出が影響を受ける可能性がある」(野村証券金融経済研究所の高橋泰洋エコノミスト)との指摘がある。
一方で、「中国向けの消費財輸出も伸びると見込まれ、米国に代わって中国に頼る構図は続く」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)との見方も強い。中国経済は中長期的には成長は底堅いと見込まれるが、足元では伸び率が低下するとの懸念も出ている。(斎藤徳彦)
中国は未曾有の経済的危機状況にある!
サブプライムの問題などに関しては、中国もかなり影響を受けているとみてしかるべきです。それと、現在北京五輪の最中であるため、表立ってはほとんど報道されませんが、以下のような報道も一部なされています。
金融市場で、中国政府が近く大規模な景気刺激策を打ち出すとの観測が広がっている。世界経済の低迷による外需の一段の減少で、北京五輪後に景気が下振れるのを防ぐためだ。歳出の拡大と減税を合わせて4000億元(約6兆円)規模の財政出動になるとの見方が浮上している。
中国では、湖錦濤主席が訪日する少し前に、温家宝首相が「中国は未曾有の経済的危機にある」と公言しており、実際に、株価が下落したり、不動産価格が下落したりしています。ただし、あまり深刻に見えないのは、現状では国際的威信をかけた五輪も開催中のことから是が非でも中国として、五輪開催中には経済破綻がおきないように、あるいは目立たないように市場操作などを行っているためだと考えられまする
中国が未曾有の経済的危機に陥りそうな原因ははっきりしています。金融アナリストなどは、サブプライムがどうのとか、土地バブルの崩壊だとか、株の下落がどうのこうのと言うでしょうが、その根本原因は別なところにあります。
それは、経済の構造改革の失敗です。上の記事のように、中国が日本の最大輸出先になっているのは、何も中国が車や、機械や食料品を買っているからではありません。これらのものはごくわずかです。対中国輸出の内訳は、上位から資本財・部品、中間財です。(参照:http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rkt/data/rkt03j03.pdf)
資本財とは、ある財を生み出すために投入される財のことです。中間財とは、具体的には住宅設備や部材などで、システムキッチンや洗面化粧台、床材などがその典型です。製品そのものは、生産財と違って完成品ですが、その採用決定権が最終ユーザーになく、中間関与者にあるものといえます。つまり、設計事務所や大工・工務店によって、選択・決定されることが多い製品です。
これは、何も日本に限ったことではありません、他の先進国から輸出されるものも、資本財・部品、中間財が同様の傾向にあます。
これは、手短にいうと、日本や先進国から部品などをかき集めてきて、中国内で安い賃金で組み立てて輸出をしていることを物語っています。いわゆる、中国による「世界の工場」の実践です。
ところが、この世界の工場に陰りがでてきました。そうです、中国などのインフレによる食料品の値上がり、それにつれて賃金の上昇です。こうしたことが続き、賃金はどんどんあがっている状況にあります。
そうなると、「世界の工場」は成り立たなくなります。日本国内の事例でたとえると、日本がテレビの部品を中国に輸出し、中国はその部品をテレビに組み立てて、日本に輸出します。日本では、中国製テレビは廉価でしかも性能的には日本のテレビとほとんど変わらないので、購入します。
しかし、今度は賃金高のため中国のテレビも以前ほどは日本国内でも安くはなくなってしまいつつあるのです。価格が同じ程度、部品も日本製ということになれば、今度は日本の消費者も日本製のテレビを購入する率がたかくなるでしょう。
ひらたくいうと、現在中国はこのような状況に追い込まれていて、中国による「世界の工場」には陰りがでてきています。先ほどは、テレビの例をあげました。これは、わかりやすいのでたたま例としてあげただけで、他の工業製品にもほとんどあてはまります。
これに対処するには、もっと高度な技術を使用した製品づくりに移行することが求められますが、現在の中国ではこの移行がうまくはいっていません。これからもどうなるかわかりません。
リスク分散のためにも、他のアジア諸国も注目すべき!
さて、上記のような状況にある中国先の6兆円で、製造業の構造転換などを含む大々的な経済の大転換を短期間に実現すれば問題はないですが、果たして短期間ではどうなるか、あるいは長期で見てもどうなるかは、今のところ不透明です。
アメリカや、EU諸国もサブ・プライムの問題などで、非常に不透明です。長期的構造不況に陥る危険があります。そうしたなかで、どこがもっとも将来性がありそうかというと、やはりアジア圏です。
アジアというと、いまやオリンピックで中国がどうしても目だってしまいますが、国全体のGDPでみると、中国は12億6千万人もの人口を抱えているので、ダントツの一位ですが、個人あたりのGDPが中国より高い国は、アジアの中にいくらでもあります。こうした国への輸出などにシフトしていくという手もあります。
それにインドなどは、人口が10億人以上です。さらによいことには、中国や韓国、北朝鮮などと違い半日感情はありません。どちらかというと、国民の中に親日感情があります。これは、国民的英雄チャンドラ・ボースが昔独立運動の際に日本に助力を得ようとしたことにも起因していると思いますこの国も見逃せないと思います。将来的に、EUも没落すると思われます。そうなるとやはり、世界の中心はアジアに移るこということになります。
中国だけでは、何か中国に起こったときに非常に危険です。インドを含む国とも、関係を保ち、維持発展させていくことが、日本の選択する道だと思います。
以下にこのブログに掲載した中国関連の記事を提示します。反転文字をクリックすれば、当該記事に飛ぶことができます。私の説明不足から、以上の論考、以下の記事を読んでいないと理解できない部分もあるかもしれません。まだ、読んでいない方は是非ご覧になってください。
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