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2019年2月16日土曜日

米「反日」韓国にいら立ち 日韓関係改善の糸口見えず―【私の論評】日本バッシングの背後に、韓国の脱米と対中従属の加速あり(゚д゚)!

米「反日」韓国にいら立ち 日韓関係改善の糸口見えず

会議の前に握手する河野太郎(左)と韓国の康京和外相=15日,ドイツ・ミュンヘン市内のホテル

 1月に続く今年2回目の日韓外相会談は、いわゆる徴用工判決やレーダー照射事件など昨年来の問題に、韓国国会議長の不適切発言も加わり、日韓関係が一段と悪化した中で開かれた。河野太郎外相は康京和外相に一連の問題への誠実な対応を求めたが、康氏は韓国側の主張を譲らず、関係改善の糸口は見えなかった。米朝首脳再会談を控え、米国では北朝鮮問題での連携をよそに「反日」路線にひた走る韓国・文在寅(ムンジェイン)政権へのいら立ちも表面化してきている。

 河野氏「1965(昭和40)年の日韓請求権協定に基づく2国間協議にぜひ応じてほしい」

 康氏「そのことについては綿密に検討している」

 河野氏は会談冒頭から、2国間協議に応じるよう強く求めた。徴用工判決は日韓関係の根幹を覆しかねないだけに韓国政府の適切な対応が不可欠だが、康氏は従来の主張を繰り返すばかりだった。同席者の一人は「議論は平行線だった」と振り返った。

 関係悪化の原因となった一連の問題は韓国側がつくったものだが、文大統領は支持率下落に歯止めをかけようと「南北統一に向けた取り組みと『反日』で支持率回復を狙っている」(日本政府関係者)とされる。このため、日韓間の一連の問題について外相会談で韓国側が歩み寄ってくる可能性はそもそも低かった。

 それでも日本外務省幹部は「北朝鮮問題への日韓協力を外相同士で確認する意味はあった」と語る。

 河野氏が会談で「北朝鮮関係に関してもしっかりと意見交換したい」と切り出し、連携の重要性を強調したのも、日韓関係がこれ以上悪化すれば、北朝鮮の完全な非核化に向けた日米韓3カ国の連携に深刻な影響が出かねないからだ。

 すでに米議会では超党派議員が「建設的で前向きの日韓関係」の重要性を強調する決議案を上下両院に提出するなど、不満を募らせている。

 日本外務省幹部は「米国議会の決議案は韓国にとってインパクトのあるメッセージになっている」と指摘し、対北朝鮮での韓国との連携維持に期待を示す。

 ただ、関係改善の展望はなお見えないのが実情だ。河野氏は、来月に「3・1独立運動」から100年を迎える懸念を伝え、文政権が反日ムードを盛り上げようとする動きを牽制(けんせい)した。(ミュンヘン 力武崇樹

【私の論評】日本バッシングの背後に、韓国の脱米国と対中従属の加速あり(゚д゚)!


いわゆる慰安婦問題を巡って「天皇陛下の謝罪」を求めた韓国の文喜相国会議長。米国の首都ワシントンを皮切りにニューヨークや西海岸のロサンゼルスを訪問し、在米韓国人との交流を行ったほか、米国の政治家に韓国側の立場を説明しました。

安倍総理が文議長の発言に対して抗議し「謝罪と撤回」を求めた翌日ワシントン郊外の焼き肉店に文議長は韓国メディアを集めて会見を開き「確実で明らかなのは謝る事案ではないということ」などと開き直りました。

日本に対する非礼ともいえる一連の言動は何を意味するのでしょうか。韓国文政権で今、何が起きているのでしょうか。

これらは、一見すると戦後補償の問題のようですが、本当の狙いはそれではなかもしれません。韓国側の行動を長期的にみると、慰安婦、徴用工、旭日旗、自衛隊機へのレーダー照射など、文政権になってそれら全部が計画的ともいえるように一つ一つ積み上げられてきました。

サンデー・モーニングで提示されたフリップ

韓国国会議長による「天皇陛下の謝罪」要求にしても、日本政府は抗議したうえで発言の撤回を求めていますが、韓国政府は文氏の発言を擁護するなど事態を収束させようとする意思は見られないです。まるで収束することを望んでいないかのようです。ここで、一つ考えられるのは韓国側が意図的に日本との緊張を高めているのではないかということです。

これには、韓国が考える世界の将来像と関係しているかもしれないです。韓国は日本とは世界の将来像に対する考え方が根本的に違うようです。今後、世界で米国の影響力が落ちていったらどうなるかと考えた時、日本では米中で世界の覇権を争う「G2論」と、一方で米中以外の多くの国が登場し、世界はいろんな形で争う、または協力する「多極化」の時代に入るという2つの考えがあります。

日本ではこの、「多極化」が進むという考え方が強いです。ところが、韓国は「G2論」のほうが人気があります。韓国は朝鮮戦争という存続にかかわる大きな歴史的な出来事を経験しました。その時、100万の軍隊を入れて北朝鮮を守った中国と、韓国を支援した米国が戦いました。韓国にとって当時から今日に至るまで、米中とどのように関わっていくかは永遠のテーマとなっています。

韓国では「G2」論が優性なようだが・・・・・・

韓国の立場に立って考えると、韓国は過去には米国側にどっぷりと“漬かってきた国ですが、今後米国の影響力が落ちてくると、G2時代に突入すると見ているのでしょう。だとすると、米中に挟まれた韓国はその二つの国の間でバランスをとるべきではないかという考えに帰着します。

しかし、あからさまに米国と距離を置き中国との関係にシフトすれば、米国を怒らせることになります。そこで、米国の同盟国であり、多少緊張を高める行為をとっても無害な日本に、意図的に仕掛けている可能性は排除できないです。

日米韓の協力関係にすきま風を吹かせることで、韓国は中国に対し「私は米国の子分ではありませんよ」というメッセージを送っているのかもしれません。韓国にとって、日本との緊張を高めることは、外交の観点からこうしたメリットが考えられます。

また、内政面でも、日本と対峙する大統領は人気が上がる傾向があるため、人気回復手段となっているというのはこれまでもよく言われてきたことです。ただし、これは最近文在寅の支持率が落ちてきたことをみても、あまりうまくは行っていないようです。

なぜ韓国が日本をバッシングしても良いと考えるのかという、背景には韓国の軍事力の伸びもあると思われます。

ストックホルム国際平和研究所のデータによると、韓国の国防費は過去10年で30%近く伸びています。一方日本は4.4%しか伸びていないです。このままの勢いで行くと、韓国の国防費が日本の国防費を上回る状態が近い将来に起きるということです。

韓国は「日本に追いついて追い越すのだ」という雰囲気の中で日本への政策を決めているのではないでしょうか。日本との間で、もし何か間違いが起きて緊張が高まったとしても、韓国にとってそれほど怖い相手ではないという判断がなされる可能性が、この韓国の国防費の伸び率と関係しているということも言えると思います。

ちなみに、以下にそのデータをあげておきます。
■出処:スウェーデンのストックホルム国際平和研究所 
10年間の国防費の伸び率(2008年~2017年) 
韓国 29%UP 392億ドル(2017年国防費)
日本 4.4%UP 454億ドル(2017年国防費)
韓国は、米国と少し距離を置き、中国とのチャンネルを太くしようとする目的のために日本が利用しているという可能性が高いです。こうした動きは米国が弱体化していくことを見越したうえでの対応で、単純に日本軽視という問題ではなく米国の国力が見下されているということです。

しかし、この見方は正しくないと思います。現在の世界の超大国は米国一国だけです。現状は超大国でもない中国が、超大国である米国に冷戦を挑まれているのです。中国に勝ち目はないです。このような歪んだ見方は、朝鮮では昔から中国に従属しようとする姿勢があったことによるものでしょう。

ただし、このブログにも過去に何度か掲載しているように、北朝鮮の金正恩は、中国を文在寅のようには見ていないようです。

そもそも、金正恩は、中国の影響力を極力排除しようとしています。北朝鮮の核は日米だけではなく、中国にも向けられています。北朝鮮の核は、結果的に中国の浸透が朝鮮半島全体に及ぶことを阻止しています。北朝鮮がこのようになったのは、やはり建国の頃から中国に干渉を受け、特に金一族は滅亡の危機を感じていたからでしょう。

中国がは、国が北の核を脅威と感じる以上に、はるかに大きく脅威を感じています。北の核は、ICBMでなくても、中短距離のミサイルだけで中国の大部分を標的にすることができます。

この状況と中国に接近しようとしている韓国が半島の南に存在するという状況は、対中国冷戦を挑んでいる、米国側から見れば、戦略的には非常に良い状況です。最悪なのは、朝鮮半島全体が中国の覇権の及ぶ範囲になることです。これだけは、米国は何としても防ぎたいと考えていることでしょう。

2月27、28日に2度目の米朝首脳会談の開催が決まりました。北朝鮮の非核化は進展するのでしょうか、日本にとって拉致問題の進展につながるのでしょうか。

トランプ米大統領はこれまで大統領選での公約を実行してきましたが、北朝鮮問題は大統領選当時、米国民に意識されていなかったので争点にならず、公約はありません。

ただ、米国の歴代政権は北朝鮮に軍事オプションなしの宥和策を取ってきたために、北朝鮮が核兵器や大陸間弾道ミサイルをほぼ手中にするまでになりました。

これまでのトランプ政権は、北朝鮮の非核化が達成されるまで最大限の圧力をかけるというセオリー通りの行動でした。しかし、上記で述べたような現実もあるため、その戦略がここに来て変化があるのかもしれないです。

日本にとって最悪のシナリオは、北朝鮮は米国の領土に到達する核兵器を廃棄するが、それ以外には縛りがないという状況です。

中距離核については、米露の協定が破棄されました。冷戦時には、存在しなかった、中国や北朝鮮の中距離核が今や100以上も存在しています。これでは、米露だけでの協定では意味がないからです。

少なくとも米露中で新たな合意策でもあればいいのですが、そうした兆候はないです。こうした世界情勢では、北朝鮮の中距離核だけを規制しにくいのが現実です。

日本としては、北朝鮮の非核化について何らかの関与をしたいところです。非核化には多額の費用がかかるので、極東アジア諸国も相応の負担を求められるかもしれないです。日本は積極的に応じるという選択が適切でしょう。

軍事力を行使できない日本でも経済力で補うことで北朝鮮の非核化に関与できるからです。その延長線で北朝鮮の中距離核の非核化までを展望すべきでしよう。そうして、北の中距離核が非核化できるまでは、日本も何とかして、米国の中距離核をドイツのように、日本にも設置できるようにして、これもドイツのように日本の許可がないと米国は発射できないようにするとともに、その核について日本側も発議できるような状態にすべきです。

これは、すぐにはできなくても、まともに論議するようにすれば、それだけでもかなりの抑止力になります。中国、北朝鮮、韓国もこれを警戒するようになるでしょうし、韓国によるレーダー照射のような挑発はこれだけでなくなるかもしれません。

このような、日本の関与は結果として拉致問題への取り組みにも役に立つでしょう。日本は米国頼みで北朝鮮問題を解決するのは無理であり、相応のリスクと負担を持って、当事者として北朝鮮に対応しなければいけないです。

そうして、韓国に対しては無視を貫き通すことです。韓国が傍若無人な態度を取れば、韓国に対して抗議は当然すべきですが、韓国の歴史修正主義も含め、国際世論に訴えていくべきでしょう。韓国に対しては、抗議をするだけであとは無視、北朝鮮とは交渉するという姿勢で臨むべきです。

ただし、中国、北朝鮮、韓国の軍事的挑発はこれからも増すことはあっても、減ることはないでしょうから、防衛予算の1%枠など取り払い、軍事力を強化すべきでしょう。

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2018年11月26日月曜日

グローバル企業時代の終焉!? 加速する「自国第一主義」の流れとは? 国際投資アナリスト・大原浩氏が緊急寄稿―【私の論評】今後の世界は、自由で公平な貿易をしつつも、国民国家を主体とした体制に戻る(゚д゚)!


カルロス・ゴーン

カルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕で表面化した日産自動車と仏ルノーの主導権争いは、グローバル企業にも越えられない「国境の壁」が存在することを明らかにした。一方、韓国の自称・元徴用工の異常判決は、国家間の約束も反故にされることを示す。国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、グローバリズムのひずみが生じているとして、「自国第一主義(国民ファースト)」の流れが強まると指摘する。

 ゴーン容疑者逮捕のニュースは世間を騒がせた。色々な憶測が飛び交うが、ことは個人の脱税問題などにとどまらず、場合によっては日仏の覇権争いにまで及ぶのではないだろうか。ゴーン容疑者がフランス(国民)の利権を擁護し、日本(国民)の国益を害する行動をとったと日本政府が判断したことが、今回の事件の背後に見え隠れする。

 これまで「国境など関係ない」というような顔で、国家(国民)をないがしろにしてきたグローバル企業に対する国家(国民)の反撃が始まったのだ。

 現代の国家のあるべき姿として、「民主主義」を否定するのは極端な偏向思想を持った人物だけだろうが、民主主義の基本概念はジョン・ロックの名著『市民政府論』(1689年発刊)にまでさかのぼる。「政府は国民の委託を受けているからこそ、統治を行う権利がある」ということが最も重要な概念である。

 左派のマスコミなどから「自国第一主義」と呼ばれ、批判的に語られるトランプ米大統領が掲げる自国民を大事にする政策は、正しくは「国民ファースト」政策である。

米国の大統領は、中間選挙も含め膨大な費用と労力をかけた国民の審判によって選ばれるのだから、「国民第一」の政策を行うのが当然だ。オバマ政権のように外国や外国人を優先するかのようなやり方こそ「反民主主義的」な全体主義政策だといえる。

 トランプ大統領が、国境を越えようとする「移民」たちを「侵略者」と呼び、軍隊や「壁」で対抗する施策にも批判は強いが、これこそ「民主主義」を守る闘いだとみることもできる。

 ジャーナリスト、安田純平氏の事件もさまざまな議論を巻き起こしたが、日本政府が多大な費用と労力をかけて彼を救ったのも、彼が「日本国民」だからである。

 「二重国籍」についても、いったいどちらの政府が彼らを守るべきなのかという問題が生じる。外国政府に守ってもらえるのなら、わざわざ日本国民の血税(場合によっては救助担当者の命の危険)を使って二重国籍保有者を守る必要はないという議論が当然起こる。

 これは二重国籍企業、すなわちグローバル企業も構図は同じだ。税金を逃れるためだけに本社を海外に移転することなど許されなくなる。国民が税金として得るはずであった資金を盗む行為だからだ。今後、グローバル企業が最終的にどこの国に帰属するのか、大問題になるだろう。

現在の「自称・徴用工」問題にも同じ構図がある。日本政府は韓国政府に対し、はるか昔に問題解決のため多額の費用を支払った。韓国政府がその事実を国民に知らせなかったのなら、韓国の国民が攻撃すべきは韓国政府であり、ひどい政府だというのなら韓国政府を打ち倒す権利がある。これが前述したロックの「自然権」だ。虚偽の事実をもって日本国民や政府を誹謗(ひぼう)・中傷する権利など、これっぽっちもない。

 日本、そして日本企業は日本人のものであり、国益を害したり不法行為を行ったりする国や企業については拒絶すべきである。

 おおはら・ひろし 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」を連載中。

【私の論評】今後の世界は、自由で公平な貿易をしつつも、国民国家を主体とした体制に戻る(゚д゚)!

世界の新たな枠組みづくりが進んでいます。トランプ米大統領が仕掛けた米中貿易戦争は、そのきっかけであり、グローバルサプライチェーン(世界的供給網)の再構築を招き、グローバリズムの終焉を加速させるものになります。

グローバリズムとは、ヒト・モノ・カネの移動の自由化であり、これは東西冷戦の終結により成立したものです。1980年代後半、資本主義・自由主義陣営の西側と、社会主義・共産主義陣営の東側との価値観の戦いは東側陣営の敗北で終わりました。

東側陣営の象徴であったソビエト連邦は崩壊し、ベルリンの壁は壊れ、中国は改革開放路線に切り替えました。これにより、世界は一つになるかと思われました。

平成元年(1989年) ベルリンの壁崩

そして、冷戦の最大の勝者である米国のルールで世界は動くかに見えました。日本も米国発のグローバルスタンダード(世界標準)の掛け声に踊り、会計基準の変更や金融ビッグバンによる金融市場の開放に動きました。

グローバリズムの最も大切な成立要件は世界が一つのルールで動くことであり、ルール違反を許さないことであります。これは、スポーツに例えれば分かりやすいです。一つの大会で複数のルールの採用は許されていません。中国は改革開放の名の下に、段階的な自由化を行い、最終的には西側陣営のルールに従うとして、自由主義市場への参入を許されました。

しかし、中国はこの約束を守りませんでした。為替一つをとってみても、中国は為替の自由化を約束し、人民元がドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨となりましたが、いまだそれが実現されず、今後も実現する見込みはたっていません。

市場開放も同様であり、中国資本による米国企業の買収や他国市場への投資は行われていますが、中国市場にはいくつもの規制がかかっています。土地売買も同様であり、中国人が日本の土地を買うことはできるのですが、中国人にすら土地の所有を許していないのです。これは著しく不公正であるといえます。

そうして、グローバリズムによる恩恵を受けて発展した中国は、「新時代の中国の特色ある社会主義」をうたい、「中華民族の偉大なる復興」と「中国の夢」の名の下に、中国が支配する新たな秩序を生み出そうとしています。当然、これは米国のみならず、資本主義・自由主義への挑戦であり、今の世界秩序の破壊行為にほかなりません。そして、米国はこれを阻止するために動き出したのです。

中国の夢

繰り返しになりますが、グローバリズムの成立要件は、世界が自由主義に基づく一つのルールで動くことであり、ルールを守れないのであれば退場してもらうしかないのです。これが米中貿易戦争の本質であり、ある意味では価値観の対立であるとも言えます。

昨今、米国は自由貿易ではなく、自由で公平な貿易という言葉を多用していますが、これは単なる貿易赤字等の数字の問題ではなく、ルール違反を許さないという意味が込められているものと考えられます。そして、これはまだ始まりに過ぎないのです。米中貿易戦争、これは単なる貿易摩擦ではなく、大きな価値観の対立の側面が大きいのです。

グローバリズムにともなう人の自由な移動に関しても、国民国家が制限するのは当然のことです。トランプ大統領が掲げる「自国第一主義」に対する非難をよく聞きますが、「自国第一主義」は民主主義の原則に従った行為です。

民主主義の基本は主権者と被支配者(国民)が一致することです。したがって、国民から選ばれた代表が統治するのが民主主義ですが、この国民の中には外国人はもちろんグローバル企業も含まれていません。一部で「外国人参政権」などという奇妙な運動が行われていますが、これはもちろん、反民主主義的行為です。

「国家は国民のものである」という民主主義の大原則に立ち戻っているのがトランプ大統領の「自国第一主義」です。

この流れで言えば、受け入れを拒否しているのに押し寄せる人々を「移民」と呼ぶことはできないです。

例えば、独立後間もない時期の米国や一時期の欧州などのように「どうぞ来てください」と宣言すれば、移民と呼ぶことができますが、国境に壁を作ったり軍隊を配備して流入を阻止しようとする国に不法に侵入する人々が犯罪者であることは言うまでもないです。ましてや、数千人単位でグループを作れば「侵略者」とでも呼ぶしかないことは、トランプ氏の言葉を待つまでもないです。

個人レベルで言えば、パーティーに招待されて家を訪問するのは合法だが、呼ばれてもいないのに、家のドアをこじ開けて入るのは「強盗」であり撃ち殺されても仕方が無いということです。

現在、人手不足だと騒いでいるのに、日本の若者(労働者)の賃金はさほど上がらないです。グローバル化によって広がった市場において、多くの発展途上国(後進国)が「人間の安売り」=低賃金労働力の供給を行っているからです。

この「低コスト」の恩恵を受けているのは、もちろんグローバル企業です。彼らはどこの国に人間であれ、コストが安いほうが都合がよいのです。「高い賃金を払ってみんなで幸せになろうね!」などという古き良き日本(古き良き米国も・・・)の国民国家の哲学は全く通用しません。

安倍政権の「移民政策」が色々議論されていますが、介護、建設、飲食などの人材が不足しているのは給料が安いからです。だから給料をあげれば(例えば倍にするとか極端なことをすれば・・・)、人手不足などすぐに解消します。

実際、米国においては米アマゾン・ドット・コムは10 月2日、米国内の従業員の最低賃金を時給15ドル(約1700円)に引き上げると発表しました。平時から雇用している25万人に加え、年末商戦向けに短期で雇う10万人も対象とします。急成長を続けるアマゾンに対しては、一部で「利益を従業員や社会に還元していない」「倉庫での労働環境が劣悪」などの批判が高まっていました。

実施は11月1日からです。15ドルは連邦政府が定める最低賃金(7.25ドル)の2倍超にあたります。アマゾンは現在の最低賃金を公表していないですが、ネット上では時給10ドル程度の求人も出ています。アマゾンによると、すでに時給15ドルに達している従業員の賃金も上げるといいます。

これによって、アマゾンは今年の人手不足の年末商戦を、乗り切る予定です。



そもそも、外国人が日本人が敬遠する仕事を自ら進んで行うのは、本国の貨幣価値に換算すれば高給であるからに過ぎないです。彼らも、(本国換算で)給料が安ければそのような仕事に見向きもしません。

長期的には、移民(外国人労働者)政策よりも少子化対策に国民の血税を使うべきだし、より短期的には、そのような業種の企業の経営者が業務の生産性をあげる努力をすべきです。

最近、居酒屋などの飲食店でタブレットによる注文が標準となりつつありますが、介護、建設、飲食などの業種ではこのような生産性向上のタネがいくらでもあるはずです。これまでカイゼンされなかったのは、低賃金労働者が十分供給されてきたからです。

したがって、このような業種の経営者は甘えを捨てて、移民(外国人労働者)などをあてにせず、生産性の向上等による従業員給与の引き上げに努力すべきです。

実際、日本の高度成長期には、中学卒業生が「金の卵」と呼ばれるほどの人手不足が生じましたが、当時(基本的に)移民や外国人労働者を受け入れていなかった日本は、「自動化」「機械化」で乗り切りました。逆にそのことが、日本の機械産業やロボット産業を刺激し「高度成長」を牽引したのです。

逆に欧州では安くて豊富な(少なくとも当時はそう見えた)移民(外国人労働者)を潤沢に使えたため、機械産業やロボット産業で日本の後塵を拝し、しかも「移民問題」という、現在の欧州における最大級の問題の原因を作ってしまいました。

日本政府は、このような歴史に学ぶべきです。

グローバリズムは、ルールを守らない拝金主義の中国という怪物を生み出し、人の移動の自由の美名のもとに様々な混乱をもたらしました。

トランプ氏の戦いは、「アメリカファースト」と言いながら、やはり国民国家をもう一度見直すということを提起しているのだと思います。

関税のない「自由貿易」は、グローバリズムという資本主義の発展形に見えました。しかし、現実は、庶民と労働者を貧しくし、代わりに、中国に莫大な貿易黒字を許したのです。

トランプ大統領は、この反省に基づき、反グローバリズムへ、そして、中国の覇権阻止、自由で公平な貿易を尊重しながらも、ナショナリズムの回帰へと、国家戦略を大転換しているのです。これは、トランプ政権が終わった後にも、大部分が継承されるでしょう。

無論完璧なナショナリズムへの回帰という事はあり得ないですし、できないです。ただ、今まで、世界の多くの人々がグローバリズムこそ理想と無邪気に考えてきたことは、間違いであることが認識され、再度世界はナショナリズムに振れることになるということです。

今後の世界は、自由で公平な貿易をしつつも、国民国家を主体とした体制に戻っていくことになります。EUもいずれ崩壊することになります。国民国家の富を簒奪するための装置でもあるタックス・ヘイブンもこの世から消えることになるでしょう。そうして、国民国家の富を簒奪するごうつくばりの中国共産党の幹部や、カルロス・ゴーンのような人物は居場所を失うことになります。

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2018年11月20日火曜日

日産ゴーン逮捕で日米英による「フランス切り捨て」加速か…マクロン大統領への報復―【私の論評】ゴーンの逮捕劇は、米国による対中冷戦Ⅱと無関係ではない(゚д゚)!

日産ゴーン逮捕で日米英による「フランス切り捨て」加速か…マクロン大統領への報復

渡邉哲也/経済評論

工場を見学するカルロス・ゴーン(一番手前) 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

カリスマ経営者から容疑者へ――ルノー・日産自動車・三菱自動車工業の会長を兼務するカルロス・ゴーン容疑者と日産代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の逮捕が株式市場に動揺を与えている。昨日、ルノー株は一時、前日比15%安まで急落し、日産と三菱自も夜間取引で終値の8%安まで下落した。

 周知の通り、ルノーはフランス政府が15%の株式を保有しており、そのルノーが日産に43.4%出資、日産がルノーに15%出資という構図になっている。ゴーン容疑者の逮捕を受けて、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が「フランス政府はルノーの株主として、ルノーと日産の提携関係の安定性を注意深く見守っていく」と述べるなど、国際的に余波が広がっている状況だ。

 そもそも、フランス政府が支援することで経営を立て直したルノーに対して、日産側は連合関係の見直しを求めていたが、フランス側が拒否し、政府がルノーの筆頭株主になったという経緯がある。3社連合の関係見直しが叫ばれるなか、つい先日も、アニエス・パニエルナシェ経済・財務副大臣が「フランス政府が持つルノー株を売る計画はない」と語っており、フランスとしては自国の生産拠点を拡大する意向を示していた。

記者会見に臨む日産西川広人社長

 しかし、急転直下の逮捕劇で事態は大きく動いたといえる。今回の不正発覚は内部通報によるものであり、日産はすぐにプレスリリースを発表した上、西川広人社長が記者会見を開いて経緯を説明した。この流れを見る限り、今回の件は裏で相当な時間をかけて動いていたのだろう。逮捕容疑である金融商品取引法違反のほかに特別背任罪と脱税の疑いも指摘されており、有罪となれば実刑という見方も強い。

 本来、有価証券報告書の虚偽記載は日産という企業全体の責任が問われる問題でもあるが、検察当局との司法取引も取り沙汰されており、企業としての責任は限定的になるとみられる。また、これを機に連合関係の見直しが進む可能性が高く、日産は再び“日の丸資本”となるかもしれない。

 フランスに反発する日米英のメリット

 そもそも、日米は「国家が企業を支援するのはフェアではない」というスタンスだ。それは日米首脳会談やアジア太平洋経済協力(APEC)などでも繰り返し確認されていることであり、たとえば、9月の日米首脳会談後に発表された共同声明には、以下のような文言がある。

9月の日米首脳会談

 「日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は、WTO改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、また日米欧三極の協力を通じて、緊密に作業していく」

 これは主に中国を想定したものではあるが、必ずしも中国のみが対象というわけではなく、フランスのルノーも該当するということだろう。政府が筆頭株主である企業が提携関係にある他国の企業を支配しようという動きは、この文言に該当するのだと思われる。

 仮に日産が日の丸資本に戻れば、欧州連合(EU)離脱の渦中で開発と生産の拠点があるイギリスとしては、「フランスよりこっちにおいで」という話がしやすいし、製造業を復権させたいアメリカにとっても同様にメリットがある。特に、マイク・ペンス副大統領の出身母体であるラストベルトにとって日本企業の誘致は必須であるため、日産と三菱自の生産工場の拡大などは願ったり叶ったりだ。また、フォード・モーターやゼネラルモーターズ(GM)も提携先を探しており、その選択肢としてもいい候補となるだろう。

 つまり、日産のリスタートを機に、日米英としてはウィンウィンの関係を構築できるわけだ。そして、その裏にはフランスへの反発がある。

 米国を敵視するマクロンへの“報復”も?

 かねてマクロン大統領は、中国、ロシアに加えてアメリカを敵対視する動きを見せている。第1次世界大戦終結100年の記念式典では、ドナルド・トランプ大統領らが出席するなか、「ナショナリズムは愛国心への裏切りだ」などと自国の利益優先主義を痛烈に批判した。また、欧州独自の防衛体制と安全保障の一貫として「欧州軍」の創設をうたっているが、これには北大西洋条約機構(NATO)を率いる立場のトランプ大統領が「侮辱的な話だ」と反発するなど、大きな国際問題になっている。

 そのように、アメリカを敵国扱いするマクロン大統領に対する“報復”として、今後は“フランス切り捨て”が始まると言ったら言い過ぎだろうか。

 いずれにせよ、大物経営者の逮捕という事態はショックではあるが、日本としてはチャンスにもなり得るわけだ。ルノーとの関係見直しを踏まえた財政的支援などを含め、適切な対応が待たれる。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】ゴーンの逮捕劇は、米国による対中冷戦Ⅱと無関係ではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもでてきた、9月の日米首脳会談後に発表された共同声明を以下に再掲します。
 日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は、WTO改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、また日米欧三極の協力を通じて、緊密に作業していく。
これを簡単にわかりやすくざっくり、解釈すると
“どこの国”とは言わないが、日本、米国、以外の“とある国”が、国家ぐるみで市場経済を無視した強引な手段を使って不公正な行いをしている。それに対抗するために、日本は米国に協力しろ。
ということです。

確かに、どこの国とは言っていませんが、「日米以外の第三国」、「知的財産の収奪」、「国有企業によって 創り出される歪曲化」

こういうキーワードを拾っていくと該当する国は一つしかありません。そう中国です。ただし、「国有企業」ということでは、当然ながらフランスも含まれていると考えるべきです。

また、これと符合するように米Newsweekの記事では米国商務長官が、先に締結された新しい北米自由貿易協定に中国との貿易協定締結を阻止する「毒薬条項(ポイズンピル)」が盛り込まれており、日本や欧州連合(EU:当然フランスも含まれる可能性がある)などとの貿易協定にも取り入れる可能性がある、と述べています。

敢えてツッコミを入れるとすれば、「“可能性がある”も何も既に共同声明に盛り込まれてるではないか」と指摘したいところですが、それはさておき、この「毒薬条項」が日米共同声明に盛り込まれたということは何を意味するのでしょうか。

それは、米国の「対中冷戦Ⅱに本気で取り組むし、国有企業に関しては、フランスにも問題がある、フランス等にも制裁するかもしれないから、日本も協力しろよ」という強い決意に対し、日本政府は「分かりましたー! 米国に全力でついていきます!!」と宣言したということです。つまり、国を挙げて中国との貿易戦争と、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処すると宣言したわけです。

いわゆる主要メディアでは今回の日米首脳会談について、物品貿易協定(TAG)の話に終始していましたが、こちらの方がよほど大きなトピックかもしれません。

日本政府、特に安倍首相は「共通の価値観」を有する同盟国として、米国との友好関係を重視してきました。そして、その共通の価値観とは、いわゆる「民主主義」、「自由」、「平等」、「公正」というような言葉に代表される価値観です。

そのような価値観に従うのであれば、本来中国が不公正な手法で経済を活性化させ、市場を席巻することは容認しがたいということです。特に「自由」といった場合、多くの人は勘違いすることもあるのですが、「自由」には責任が伴うものであり、その責任を中国は果たしていません。

経営学の大家ドラッカーは「自由」について以下のように述べています。
 自由とは楽しいものではない。幸福、安心、平和、進歩のいずれでもない。それは選択の責任である。権利ではなく義務である。真の自由は何かからの自由ではない。それでは特権にすぎない。 
 自由とは、行なうことと行なわないこと、ある方法で行なうことと他の方法で行なうこと、ある信条を持つことと逆の信条を持つことからの選択である。楽しいどころか重荷である。それは、自らの行動と社会の行動にかかわる選択の責任である。
共同声明に用いられらている「自由」とは無論ドラッカーの言う「自由」に近いものです。何もかも手前勝手な中国の振る舞いを許容する言葉ではありません。

今回の宣言で米国は、名指しこそしていませんが、どう考えても中国は市場の公平さを歪ませ、貿易の不均衡を生むとし、それに対抗する措置を日米欧で協力して行っていく方針を打ち出したのです。無論、フランスによる私企業の国有企業化による歪みについても、意識しています。

当然中国はこれに対し、自らの経済政策の正当性と、日米の措置が自由貿易の理想に反するものだと批判するでしょう。フランスも当然そうすることでしょう。

中国のビルの壁にかかれている「社会主義核心価値観」

日本や米国、そして欧州諸国のグローバリズム的な政策により、多くの企業が中国との関わりを昔より大きくしています。

中国産の商品が世界を席巻しているという面だけではなく、中国の人件費の高騰から今では東南アジア諸国などに工場が移りつつあるものの、多くの民間企業が中国国内に工場を留めたまま。そしてその膨大な人口に裏付けされた巨大な市場に多くの企業が前のめりに進出をしているのが現状です。

そのような中で政府はその方針をグローバリズム的政策から反グローバリズム的な政策へと転換すると明言したのです。これは、日本にとっても中国が市場の公平さを歪ませ、貿易の不均衡を生み、明らかに日本にとって不利益であることと、米国は日本の最大の同盟国でもあるからです。

そうして、フランスの国営企業であるルノーと日本の日産は提携関係あることから、日本は非市場志向型の政策の被当事者であるといえるわけです。

民間企業の多くはこれから中国政府、フランス政府と日米の新たな方針の狭間で揺れ動くことになるでしょう。

このような重大な方針転換を日本政府は「外務省HP」において公表したりしているものの、その重要性を知ってか知らずか日本のメディアは、一切報じません。そのためもあるのでしょうか、今回のカルロス・ゴーン氏逮捕劇に関しては、多くの当事者が表面的にしかとらえていないようです。

今回の事件の背後には、ブログ冒頭の記事で渡辺氏が主張するように、マクロン大統領への報復の一環として、日産ゴーン逮捕で日米英による「フランス切り捨て」加速している側面があることをあまり理解していないようです。

安倍総理塗膜論大統領

日米からみれば、仮にも自由主義陣営フランスによる私企業の国有企業化による歪みは、中国の無法な振る舞いを助長するようなものであり、許容できるようなものではないです。

ところが、米国がペンス副大統領の演説にもあるように、冷戦Ⅱに本気で取り組むことをはっきり主張したにもかかわらず、安倍総理の訪中に嬉々として、随行し日中友好にほくそえんでいるような財界人や、それを手配した政治家などが存在しているわけですから、これを理解できないのは、むりからぬところなのかもしれません。

安倍総理としては、訪中に積極的に日本の財界人を随行させたわけではなく、自民党の有力政治家が随行を手配したので、無下にもできず、許容しただけでしょう。共同声明ではっきりと、宣言した事柄に背くことはできないでしょう。要するに、中国とは自己責任で商売しろということです。

ここではっきり断言しておきます。今回のカルロス・ゴーン氏逮捕は、表面上は冷戦Ⅱとは無関係のようにもみえますが、これははっきりと何らかの関係があります。そうして、これからも日本国内でこのようなことは十分にあり得ます。

日中友好でぬか喜びしていると、ある日突然カルロス・ゴーン氏のような目にあう経営者がでてくるかもしれません。

あるいは、日中友好ということで善行をしたつもりが、中国に対して米国の高度技術や、日本の高度技術を提供して、中国に利益をもたらしたという理由で、米国から制裁を受ける企業がでてくるかもしれません。

国際的に活動する企業や人は今後、この点に配慮しなければ、それこそ第二のカルロス・ゴーンになる可能性もあります。

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2018年5月13日日曜日

イラン・イスラエル戦争が始まる? 核合意離脱で一気に不安定化する中東―【私の論評】北朝鮮との和平に向けた動きが加速すればするほど、イラン攻撃が近くなる(゚д゚)!

イラン・イスラエル戦争が始まる? 核合意離脱で一気に不安定化する中東


クリスティナ・マザ

イスラエル軍のダマスカスへのミサイル攻撃(5月10日)


<トランプ政権のイラン核合意離脱を受けて、イランがイスラエルへの攻撃を開始。この軍事衝突は戦争へと発展するのか>
シリア国内に展開するイランの革命防衛隊が、ゴラン高原を占領するイスラエル軍拠点をロケット弾で攻撃した。これに対してイスラエル軍はシリア領内のイランの軍事拠点数十カ所を報復攻撃した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

ドナルド・トランプ米大統領がイラン核合意からの離脱を表明して以降、これがイランとイスラエルの間の最初の軍事衝突となる。イランと敵対するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、トランプの核合意離脱を強く支持していた。ホワイトハウスは10日に出した声明で、イラン側のロケット弾攻撃は非難したが、イスラエル側からの報復攻撃については言及しなかった。

「アメリカはイラン政府によるシリア領内からのイスラエル市民に対する挑発的なロケット攻撃を非難し、イスラエルの自衛行動を強く支持する。イラン政府による、イスラエル攻撃を目的としたロケット弾、ミサイルシステムの配備は、中東地域全体にとって受け入れ難く、極めて危険な状況だ」と声明は述べている。

「イランの革命防衛隊には、今回の無謀な行動の結果の全ての責任がある。アメリカは革命防衛隊と(シーア派武装組織の)ヒズボラなど関連の軍事組織に対してこれ以上の挑発行動に出ないことを要求する」

イスラエル軍によると、10日未明に革命防衛隊が約20発のロケット弾でゴラン高原のイスラエル軍拠点を攻撃。イスラエルのミサイル防衛システムがそのうち何発かを撃ち落としたが、何発かは軍事施設にも着弾して被害が出た。イスラエル側での負傷者は報告されていない。

これに対してイスラエルのアビグドール・リーベルマン国防相は、2011年のシリア内戦勃発以降、最大規模の攻撃をシリア領内で実施し、シリア国内のイランの「ほとんどすべて」の軍事拠点を攻撃したと語っている。

人権団体の「シリア人権監視団」は、イスラエル軍の攻撃によってシリア全土でシリア兵士ら少なくとも23人が死亡したとしている。しかしシリア軍は、イスラエルのミサイル攻撃はほとんど迎撃され、攻撃による死亡者は3人だけだったと発表した。

中東情勢の専門家は、米トランプ政権がイラン核合意からの離脱を決めたことで、イスラエルと軍事衝突しても失なうものは少ないと感じたイラン側が攻撃に出たと見ている。

アメリカの核合意離脱には、イランの反米強硬派も反発している。強硬派の指導者からは、他の締結国が合意を継続しなければ核開発を再開するという発言も出ている。

イランが核合意の条件を破棄すれば、1年以内に核兵器を保有することが可能だと専門家は見る。

イスラエルはこの数カ月間、シリアに展開するイランの軍事拠点への攻撃を行っている。4月にはシリア軍基地でアサド政権への軍事支援を行っていたイラン軍兵士らが攻撃を受けて死亡し、両国の緊張が高まっていた。10日のイラン側からのロケット攻撃は、シリア領内の軍事拠点への攻撃に対するイラン側からの最初の報復攻撃となる。

軍事専門家は、両国間の軍事衝突が今後どこまでエスカレートするか注視している。

【私の論評】北朝鮮との和平に向けた動きが加速すればするほど、イラン攻撃が近くなる(゚д゚)!

5月8日、トランプ大統領は公約通り、2015年にイギリス、フランス、ドイツ、そしてロシアも参加してイランと締結した核合意からの離脱を発表しました。IAEA(国際原子力機関)による度重なる査察によって、イランの核兵器開発の事実がないとされていましたが、トランプ政権は、イランがいまだに核兵器開発を秘密裏に行っているとして、核合意から一方的に離脱しました。そして、最大限の制裁をイランに課すとしています。


本来、これは5月12日には発表されるとしていましたが、4日も前倒しで行われました。

この発表とまさにタイミングを合わせるように、イスラエルによる攻撃が一斉に始まりました。まず、8日にシリアの首都、ダマスカス南部のキズワにあるイラン革命防衛隊も使っている基地が攻撃され、イラン人8名を含む15名が死亡しました。兵器を輸送しているイラン革命防衛隊が標的にされたようです。

また、シリア北西部の都市、イドリブ西部でも大きな爆発があったことが確認されています。そして、ダマスカス西部のアル・カスラでも攻撃がありました。ダマスカス南部のジャバール・アルマネーでも同様の攻撃があった模様です。

4月13日のトマホークによる攻撃を実質的に撃退したシリア政府軍やイラン革命防衛隊が攻撃されているのは、イスラエル空軍機がアメリカ軍機のトランスポンダーを偽造し、アメリカ軍機のように見せかけて攻撃しているからだと見られています。

いまシリアでは、反政府勢力を支援するアメリカ軍と、シリア政府軍を支援するロシア軍とは同じ空域を飛行しています。

両軍は、それぞれの軍機を識別するトランスポンダーという信号を使い、両軍が戦闘状態になることを回避しています。アメリカ軍機のトランスポンダーであれば、シリア政府軍もロシア軍も攻撃を控えています。

イスラエルは今回この取り決めを悪用し、アメリカ軍のトランスポンダーを偽造して飛行しています。そのため、シリア政府軍やイラン革命防衛隊の防空システムが作動できないようにしているのです。

また、レバノン上空では、アメリカ軍にエスコートされたイスラエル軍機によるシリアの偵察飛行が増加しています。これは、イスラエルによるシリアの大規模な攻撃が近い可能性を示唆しています。

そして、イスラエル軍が偵察しているレバノンの同じ空域では、ロシア軍の戦闘機がイスラエル軍機を牽制するかのようにジグザグに飛行しているのが記録されています。また、イスラエル軍のF15戦闘機に給油するための空中給油機も待機していることが確認されました。

さらに、シリア南部のシリア領で、イスラエルが実行支配しているゴラン高原では、イスラエル軍の予備役召集が開始されました。この命令はいまのところゴラン高原だけですが、イスラエル全土に拡大される可能性もあります。

また、ゴラン高原の防空シェルターにいつでも住民が避難できるように、シェルターの扉の開放が指示されました。そして、シリアと国境を接するイスラエル北部のすべての病院には、戦争警戒体制でもっとも水準の高い「レベルC」が発動されました。

選挙の応援集会で気勢を上げるヒズボラ支持者ら

これらの動きは、イスラエルがイランによる報復を想定し、それに準備していることを示しています。またイスラエルは、シリアではなく先頃選挙で圧勝したヒズボラが支配するレバノンを先に攻撃し、レバノンのヒズボラの拠点の壊滅を狙う可能性も指摘されています。

そして5月9日、シリア領でイスラエルが実行支配しているゴラン高原に、シリア側のイラン系武装勢力の基地から、20発のミサイルが打ち込まれました。イスラエルがこれに報復したものの、どちらの攻撃でも死傷者はいなかった模様です。このためもあってか、戦闘は限定的なものに止まり、拡大する気配はいまのところないようです。

イスラエルが実効支配するゴラン高原

このような状況は4月13日に行われたアメリカ、フランス、イギリスによるシリア攻撃のときよりももっと悪い状況ではないかとする見方も多いです。

それというのも、4月13日の攻撃では、事前にロシアはアメリカに、シリア領内で攻撃してはならないロシア軍の軍事施設を事前に通知し、アメリカ軍がこれを攻撃しない限り自制する構えでした。

それに対し、イスラエルが主導する今回の攻撃では、そうした事前の取り決めがないので、ロシア軍が活発に動いていることです。最悪な状況では、ロシア軍機とイスラエル軍機、またはアメリカ軍機がシリアの空域で戦闘状態になる可能性もあります。

いずれかの軍に死者が出た場合、これがもっと大きな戦争の引き金になる可能性は否定できない状況になるかもしれません。

このような中、アメリカ軍の地上部隊も動いています。すでに4月から4000名のアメリカ軍がヨルダンのシリア国境付近に展開しています。これはヨルダン軍との共同軍事演習のためだと説明されていましたが、演習が終了しても撤退する気配はありません。これは、これから始まるイランの報復に対応するための展開なのではないかともいわれています。

ところで、現在海外にいる4万4000名ほどのアメリカ軍部隊の所在が明らかにされていません。米国外に展開していることは間違いないようですが、具体的な場所は公表されていません。もしかしたら、やはりこれから始まる可能性のあるイランの反撃に備えるために、ヨルダンのシリア国境周辺に配備されている可能性もあると見られています。

無論、対北朝鮮のために韓国に配置されている可能性もあります。あるいは、韓国とシリア国境付近の両方に配置されているかもしれません。

このように、現在は、非常に緊張した状態です。レバノンやイスラエルのシリア国境付近で、いきなり大きな戦闘が始まる可能性が次第に高くなっています。

こうした動きを見ると、明らかにイスラエルはイランを挑発しており、イランによる報復を誘発しようとしています。イランがなんらかの報復攻撃に出ると、イスラエルはこれを口実に、一気にシリア領内のイラン関連軍事施設の全面的な壊滅を目指した大規模な攻撃に踏み切るはずです。

また将来万が一でも、イランが核合意から離脱した場合、核兵器の開発の疑惑を口実に、イラン本土を標的にした攻撃さえも、イスラエルは辞さない可能性もあります。

このような動きは、イスラエルの基本政策である中東流動化計画が過激に遂行されており、それをトランプ政権のアメリカが全面的に支援している状況と関連があるようです。

トランプ政権にとって、イスラエルの安全保障のための中東流動化計画の実現のほうが、北朝鮮の問題よりも優先順位がずっと高いと見てよいでしょう。

しかし、イランを弱体化させ、中東流動化計画を推進するためには、実は北朝鮮の非核化を推進し、アメリカが北朝鮮との敵対的な関係を終わらせることが前提条件になります。

この意味で、北朝鮮とイランの情勢は深く連動しています。北朝鮮との和平に向けた動きが加速すればするほど、イラン攻撃が近くなると見てよいでしょう。

イランのローハーニー大統領が、北朝鮮のキム・ヨンナム
最高人民会議常任委員会委員長と会談  2016年9月18日

このように北朝鮮とイランの情勢が連動している理由は、北朝鮮のイスラエルとイランとの関係を見ると明らかです。

まず北朝鮮とイスラエルとの関係ですが、歴史的に北朝鮮はイスラエルと敵対的な関係にあり、イスラエルを国家として承認していはいません。北朝鮮はイスラエルと対立するアラブ諸国側を長年支援してきました。そして、イスラエルと北朝鮮の戦闘機が激突した歴史まであります。

1973年10月、エジプトやシリアなどのアラブ諸国が1967年の6日間戦争でイスラエルに占領された領土の奪還を目的に、イスラエルを攻撃しました。第4次中東戦争の開始です。

このとき、北朝鮮はアラブ諸国を軍事的に支援し、20名のパイロットとともに、MIG21戦闘機の編隊をエジプト南部の基地に派遣しました。この戦闘部隊はエジプト上空で、イスラエルのF4ファントム戦闘機と交戦しています。

第4次中東戦争はオイルショックを引き起こしながらも、エジプトとシリアは占領された領土の奪還に失敗し、イスラエルの実質的な勝利で終結しました。

その後、1979年にはエジプトのサダト大統領がイスラエルとの歴史的な和平に応じたため、イスラエルが占領していたシナイ半島をエジプトに返還し、両国の敵対関係は終了しました。

しかし、その後も北朝鮮のアラブ諸国支援は継続しました。

北朝鮮は第4次中東戦争後も、エジプトやシリアに軍需工場を建設し、両国との友好を大切にしました。

そうした支援は、北朝鮮からの一方通行ではありませんでした。エジプトはパイロット派兵の見返りとして、北朝鮮にソ連製弾道ミサイルである「スカッドB」(ソ連名はR-17E)を引き渡したことが韓国国防部によって確認されています。いわゆるノドンやテポドンなどの北朝鮮の弾道ミサイル開発は、ここから始まったと考えられています。


ただし、北朝鮮は最初から弾道ミサイルの引き渡しを求めて派兵したわけではなかったようです。当時の参謀総長であったシャーズィリーによると、北朝鮮の空軍部隊がエジプトに到着したのは1973年6月であったのですが、ソ連の弾道ミサイル旅団がR-17Eとともに初めてエジプトに到着したのは同年7月末のことでした。北朝鮮が派兵を決定した時には、エジプトにはまだ弾道ミサイルがなかったのです。

北朝鮮でミサイル部隊が創設されたのは、エジプト派兵から間もなくと考えられます。974年8月に金日成が、後に戦略ロケット司令部と呼ばれるようになる第639軍部隊を訪問した記録があるからです。

エジプトがいつ、北朝鮮に弾道ミサイルを渡したのかは分かっていません。ただ、エジプトにR-17Eが導入された1973年7月から、金日成が第639軍部隊を訪問した1974年8月までの間であったろうと推定されます。ここから北朝鮮の弾道ミサイル開発が始まり、第639軍部隊が戦略ロケット司令部として対外的に公にされるのは約40年後のことです。

シリアも、ハーフィズ・アル=アサド大統領(バッシャール・アル=アサド現大統領の父)が1974年9月28日から10月3日に北朝鮮を訪問し、朝鮮半島で再び戦争が起これば支援軍を送ることを約束しました。

シリアは現政権においても北朝鮮との友好関係を維持しています。アサド政権と北朝鮮の間には数々の軍事協力があったはずですが、まだ全容は明らかになっていません。

「アラブの春」によってシリアは内戦状態に入り、アサド政権は以前と比べて弱体化しています。それでも、北朝鮮は「イスラーム国(ISIL)」や自由シリア軍、ヌスラ戦線、クルド人勢力などのシリア国内の他の勢力に加担せず、アサド政権を支持し続けています。

アサド政権もまた北朝鮮を支持し続けています。アサド政権はアメリカや韓国と国交を締結していません。さらには対北朝鮮制裁にも反対しており、国連加盟国に要請されている制裁状況の報告にも一切応じていません。

また、2005年12月以来の国連人権委員会や国連総会における北朝鮮人権状況決議でも、アサド政権は一貫して反対票を投じてきました。アサド政権によるシリア国内の人権状況が問題にされていることも原因かもしれませんが、北朝鮮への支持が現在に至るまで変化していないのも事実です。

イランは、イラン・イラク戦争中の80年代半ばに北朝鮮からスカッドミサイルを入手し、独自開発を本格化。イラン指導部の親衛隊的性格を持つ革命防衛隊は2006年、同国は外国の協力なしでミサイル開発を進められるレベルに達していると宣言しました。

両国間の直接的な協力を示す証拠は表面化していないですが、専門家の間では、北朝鮮の経済危機が深刻化すれば、現金や石油獲得のために核実験のデータなどがイランに売り渡される恐れがあるとの声も出ています。

このような歴史からみても、北朝鮮とイラン情勢は深く連動していることがご理解いただけるものと思います。北朝鮮との和平に向けた動きが加速すればするほど、イラン攻撃が近くなると見てよいでしょう。

トランプ政権としては、まずは北朝鮮に核を放棄させるとともに、北朝鮮とイラン、シリアなどの中東諸国との関係を絶たせ、北と和平を結ぶか和平交渉のテーブルにつかせ、その後にイスラエルを支援し、イスラエルがイラン・シリアを攻撃し、様子を見て介入すべきと判断した場合は介入することでしょう。

トランプ大統領は、何としてもオバマ前大統領の「戦略的忍耐」を正す腹でしょう。

【私の論評】

トランプ大統領、イラン核合意からの離脱を発表 欧州説得実らず―【私の論評】米のイラン核合意からの離脱の発表で、正念場を迎えた金正恩(゚д゚)!


2017年4月10日月曜日

民進「離党ドミノ」加速 長島昭久氏まで“離脱”も…ベテラン議員「蓮舫氏は負けても辞めない」―【私の論評】狂った民進党は破棄するしかない(゚д゚)!

民進「離党ドミノ」加速 長島昭久氏まで“離脱”も…ベテラン議員「蓮舫氏は負けても辞めない」

離党表明をした長島昭久氏
 民進党の長島昭久元防衛副大臣(衆院比例東京)が10日、離党届を提出し、国会内で記者会見をした。蓮舫代表が「二重国籍」問題などを抱えて党勢拡大が進まないなか、同党では東京都議選(7月2日投開票)を見据えて、都議や公認内定者の「離党ドミノ」が相次いでいる。ついに、現職国会議員として初めての離党となるが、蓮舫氏周辺には危機感が足りないという。

 「共産党との選挙共闘は譲れない一線だと思ってきたが、(党執行部は)それを越えてしまった。熟慮の末、離党する決断をした」

 長島氏は産経新聞の取材に、こう言い切った。

 共産党は綱領に「日米安保条約を廃棄」「自衛隊解消」を掲げている。安全保障政策に精通した保守派論客である長島氏としては、選挙目当てで「民共連携」に傾く、蓮舫執行部に完全に愛想を尽かしたようだ。

 関係者によると、長島氏は当面は無所属で活動する。小池百合子都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」との連携も模索する。

 各党は、都議選を準国政選挙に位置づけている。結果が、次の国政選挙に影響するからだ。民主党は2009年7月の都議選で54議席を獲得して第1党となり、翌月の衆院選でも勝利し、政権交代を果たしている。

 ところが、民進党は、都議選の公認予定者36人のうち7人が離党を表明するなど、蓮舫氏のおひざ元で求心力を失っている。このままでは都議選での惨敗必至で、通常なら「代表の責任問題」に発展しかねないが、蓮舫執行部には焦りは感じられないという。

 民進党のベテラン議員は「仮に、都議選でゼロ議席でも、蓮舫氏は代表を辞めないし、辞める気もないようだ。都議選を『地方選の1つ』としか思っていないのだろう」と嘆いた。

 民進党を離党した元都議も「代表が『二重国籍』問題を抱え、戸籍謄本を公開しないような政党では勝てない。支持率も低迷し、逆風しか吹いていない。国会で批判ばかりしていることも響いている」とあきれた。

 離党ドミノに危機感を募らせた支持団体の「連合東京」までが、小池新党と政策合意を結んだ。

 前出のベテラン議員は「蓮舫氏と周辺は『都議選で負けても、次期衆院選で勝てばいい』と踏んでいるようだが、この考えは間違っている。地方議員を増やす地道な活動以外に、民進党の再生はあり得ないのに」と語っている。

【私の論評】狂った民進党は破棄するしかない(゚д゚)!

民進党に離党届を提出し、記者会見する長島昭久氏=10日午前、国会
長島昭久氏、民進党離党会見の詳報に関しては以下の記事をご覧担ってください。この記事では改めて詳細を解説するようなことはしません。
【長島昭久氏、民進離党会見詳報(1)】「『アベ政治を許さない!』と叫ぶことを求められた。熟議も提案もない」と痛烈批判 
【長島昭久氏、民進離党会見詳報(2)】蓮舫代表の対共産党戦略「理解できない」と批判

【長島昭久氏、民進離党会見詳報(3完)】民共共闘「ずっと違和感持っていた」 テロ等準備罪への党対応に「国民はそんなバカじゃない」
長島昭久氏の離党した要因は、あまりにも明らかです。誰でも、長島氏と同じような考えを持ち、民進党に所属していれば、最終的にはこのような結論を出すことになるでしょう。

そもそも、「アベ政治を許さない」という民進党のキャッチフレーズは本当にいただけません。何というか、国民を小馬鹿にしています。私は、このフレーズを聴くたびに馬鹿にされているようでむかつきます。

昨日は、このブログで今回のトランプ大統領のシリアのミサイル攻撃に対して、共和党はもとより、民主党の議員の多くも、その中でもあのヒラリー・クリントン氏も、そうしてトランプ大統領の誕生にはどこまでも大反対してきたメディアですら、大賛成していることを掲載しました。

このようなことは、日本の政治風景を見慣れたものには、異様にうつるのかもしれませんが、本来は当然のことだと思います。どんな国でも、安全保障や経済などの基本的な政策では、たとえ党派が異なっても、基本的なコアな部分では、似たようなものになるはずです。どの党派でも、現実的に問題に対処すれば、根本的なところでは似たようなものになるはずです。

現在の民進党のように、とにかく安倍政権の実施することは何から何まで反対であり、中には民主党政権時代の政策とほぼ同じようなものにさえ反対し、批判することすらあり、多くの国民からブーメランと揶揄されたりしている有様です。

これに関しては、このブログで私の結論を掲載したことがあります。それを簡単にまとめると以下のようなものです。
現在の日本のいわゆるリベラル左派は、民進党やメディアや知識人も含め、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無間地獄に陥って堕落しているのだと思います。 
そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。
無間地獄に陥った民進党
 そうして、民共共闘のキャッチフレーズは「新安保法の廃止」でしたが、共産党の自衛隊観は「自衛隊は違憲だが自衛戦争はする」というものです。こんないい加減な政党があるでしょうか。共産党は、自衛隊と憲法について悩んだことはまったくないのです。

一方の民進党は民主党時代から安保政策に悩み抜き、党内で大喧嘩もやってきました。こういう場合、悩みがなく、教養のない側が強いです。社会主義インターが民社党はOKだが、社会党はダメと峻拒してきた理由も、共産党と結ぶ社会党は共産陣営に属すると分類、断定してきたからです。

蓮舫代表は民共共存を続けても共産は政権党にはなれず、いずれは共産は民進の肥やしになると思っているのでしょう。これに対して保守派は、共産と縁を切ったほうがまとまりのよい政党になり、いずれ政権を展望することになると一段、先を見ているようです。長島昭久も無論このような見方をしていたと思います。

国民の政治常識からすれば、当然共産党は無害などと信じるような人はほとんど存在しないでしょう。共産党には国際共産主義の歴史があり、現共産党においては社会の基本である自衛隊の格付けが不明だからです。憲法改正時、全き非武装論を説く吉田茂首相に対して野坂参三氏(共産党議長)は「国防軍のない国家などありえない」と食い下がりました。

これが政治の常識であって、現実には日本も実質上の国防軍である自衛隊をもつに至ったのです。ところが現共産党は「違憲の自衛隊」と片付けて、一方で新安保関連法廃止で野党を結集しようとしました。

共産党に担がれた現在の民進党が政権党に成長するとはとうてい考えられません。かといって、この民共路線で民進党が衆参両院の選挙区で共産党から229万の票をもらうのが常習となれば、当選第一主義に陥ることでしょう。かつての社共共闘はいつの間にか共産党のみが生き残りました。

民共共闘が定着すれば民進党の消滅ということになるのは必至です。当初、岡田元代表は疑うことなく共産党の支持申し入れを喜んでいました。党内の反発に驚いていた様子でした。岡田氏にも、蓮舫氏にも共産党恐怖症がないようです。このような状況に長島氏が絶望感を抱くのも無理はないです。

民共共闘をきめた岡田氏には共産党恐怖症がない・・・・・・?
最後に、テロ等準備罪への党対応に「国民はそんなバカじゃない」と長島氏が言うのも当然といえば、当然です。これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
【テロ等準備罪】カレー作ったら毒殺準備?…民進が「追及リスト」でイメージ戦略―【私の論評】民進党ブーメラン発売開始しました(笑)!
「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議を控え、国対委員長会談に
臨む自民党の竹下亘氏(中央右)、民進党の山井和則氏(同左)ら=31日午後、国会内
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議入りを控え、民進党が追及姿勢を際立たせ始め、金田勝年法相らが国会答弁で明言を避けたとする内容をまとめた40項目の「追及リスト」を作成し、国会論戦で問いただす姿勢をアピールしたことを掲載しました。

そうして、その「追求リスト」の一部が以下です。


このバカバカしいリストを見れば、長島氏がうんざりしたであろうことは想像に固くありません。連坊代表をはじめ、民進党の幹部や議員が、国会で舌鋒するどいものの、中身のまったく薄い内容で、金切り声をあげながら、与党を追求する姿が今から目に浮かぶようです。

このブログでも何度が掲載してきたように、現在北朝鮮というか、最悪朝鮮半島有事が十分に想定されるような状況です。最悪、北朝鮮から核ミサイルが日本に打ち込まれるかもしれないですし、すでに日本国内に潜伏している北朝鮮の工作員が各地でテロ活動を行う可能性も十分にあります。

そのような緊迫した状況の中で、このような幼稚な議論をやってしまえば、まさに本当に国民を馬鹿にしているとしか思えません。

しかし、国レベルではどうでも良いような森友問題で民進党はあのように時間をかけて、安倍総理をはじめ政治家の関与をうかがわせるようなものは、結局何も出てこなかったという醜態を演じています。

森友問題といえば、この問題を最初に『朝日新聞』が疑惑として報じたのが2月9日でした。それ以降、マスコミも国会もこの問題ばかり取り上げています。しかし、この間、日本周辺でどういうことが起きていたか、彼らはわかっているのでしょうか。無論北朝鮮の問題もありますが、それだけではありません。

2月9日以降をざっと見ても、2月14日~19日と6日間連続で中国海警局の船が尖閣諸島周辺の領海付近を航行しています。うち、1日は領海侵入までしています。こうした船の中には、機関砲のようなものを搭載していることも確認されている。

3月は1日、4、5日、9、10日、17日~19日、22、23日、28日~30日と同様の動きが確認されています。ちなみに、本日午前にも、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船4隻が日本の領海に相次いで侵入し、海上保安本部が直ちに領海から出るよう警告を続けていました。

そんなの毎度のことじゃないか。ニュースにしたって仕方がないし、騒いでも仕方がないなどと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それこそが支那の思うツボです。彼らからすれば、これが『日常的な光景』になるのが都合がいいのです。

メディアもさることながら、腹立たしいのは国会議員です。北朝鮮は2月12日にムスダンと見られるミサイルを発射し、さらに3月6日には4発弾道ミサイルを発射。日本の排他的経済水域に3発が着弾しています。彼らは日本の米軍基地を攻撃対象として想定していると言っています。

その後もミサイル発射実験を行い、核実験の動きを見せ、さらに米韓への先制攻撃まで口にしています。

この大変な時期、こともあろうに国会の『外務委員会』で民進党が何をやっていたのでしょうか。森友学園の理事長夫人と安倍昭恵さんのメールのやりとりの“追及”です。

自分の兄への『殺害指令』を出したとも見られる人物が最高指導者にいる国が、日本への敵対心を隠そうともせず、ミサイルを乱射しています。そんな時に『このメールはどういうことですか!』って、何を考えているんでしょうか。

この間、森友学園の次にニュースになっていたのは、築地市場の問題でした。市場の『安全』よりも大事な『安全保証』の問題があるのがマスコミや、民進党にはわからないのでしょうか。

このような現実を党内部にいてつきつけられては、さすがに中島氏も耐えきれなり、離党の決意を固めたのでしょう。

現在の民進党は、今のまま自己変革ができないというのなら破棄すべきです。これについては、経営学の大家ドラッカー氏の言葉を思い出します。

以下にドラッカー氏の『乱気流時代の経営』からの言葉などを掲載します。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』
 企業経営においてはあらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければなりません。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
これは、無論政治や政党の話ではなく、企業経営に関わるものです。しかし、組織ということでは原則は同じです。

政党組織でも、陳腐化してしまったものは破棄しなければならなのです。民進党もこの原則を貫くべきです。民進党にもそうしたことができる人材もいないことはありません。

長島氏や馬淵氏などその筆頭です。しかし、今回は長島氏が離党ということで、民進党は有為な人材を失ってしまいました。

今のままの民進党がこれからも続くというのであれば、国会でも、森友問題など、 もはや成果を期待できない分野に拘泥し、多くの議員が無駄などうでも良い仕事に拘泥するというようなことがこれからも繰り返されます。

そんなことを防ぐためにも、民進党は変わらなければなりません。しかし、それができないというのなら、今の狂った民進党そのものを破棄するしかありません。そうして、それは有権者が判断して実行すべきものです。私には、もはや自己変革のできない民進党には、有権者が引導を渡すべきと思います。

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2017年4月5日水曜日

北朝鮮「テロ支援国家」再指定なら金正恩氏の「破れかぶれ」が加速する―【私の論評】北が日本に報復の場合、野党はそれを政治利用する?

北朝鮮「テロ支援国家」再指定なら金正恩氏の「破れかぶれ」が加速する

高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

金正恩

米下院は3日、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう求める法案を圧倒的な賛成多数(賛成394:反対1)で可決した。法案は今後、上院を通過し、大統領が署名すれば成立する。

可決後、法案を発議したテキサス州選出のテッド・フォー議員は金正恩党委員長を「Little Kim(キムの坊や)」と呼んで小馬鹿にし、敵意をむき出しにした。

法案の内容は、ティラーソン国務長官に対し法案成立から90日以内に北朝鮮がテロ支援国家の要件を満たしているかどうかを調査し、議会に報告することを求めるものだ。

その後、再指定を求める声はあちこちで上がっていたが、北朝鮮と対立を深めたオバマ前政権下においても、その要求は通らなかった。理由はいくつかあるが、北朝鮮が現在進行形でテロに関わっている具体的な証拠がなかったこともそのひとつだろう。

しかし、金正恩氏の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏殺害の背後に北朝鮮がいるのは確実と見られている上、同事件で化学兵器の神経剤VXが使用されたこともあり、トランプ政権ならば、この法案が成立することは十分にあり得る。

北朝鮮は1988年1月から米国政府によりテロ支援国家に指定されていたが、核問題をめぐる6者協議の進展を受けて2008年10月に解除された。当初は米朝関係改善の足掛かりになるとの見方もあったが、結局のところ、状況に対した変化は起きなかった。米国は北朝鮮に対して多数の法律で何重にも制裁をかけており、ひとつを解除しただけではほとんど意味がないのだ。

そこで2009年7月、オバマ前政権のクリントン国務長官(当時)は次のような提案を行った。

「完全かつ後戻りできない非核化に同意すれば、米国と関係国は北朝鮮に対してインセンティブ・パッケージを与えるつもりだ。これには(米朝)国交正常化が含まれるだろう」

インセンティブ・パッケージとは、米国が国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いていたものとみられる。

ところが、北朝鮮はこれにも乗らなかった。理由はおそらく、人権問題である。米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律がある。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものだ。

恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずがない。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

同じ理由から、仮にテロ支援国家に再指定されたとしても、正恩氏はさして痛痒を感じない可能性がある。北朝鮮の人権侵害は、正恩氏の時代になって悪化している部分もあり、「人道に対する罪」に問われかねない立場にある同氏は、国際社会に華々しくデビューすることなどかなわなくなっているのだ。

(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

正恩氏がその状況を理解しているのならば、「テロ支援国家だろうが何だろうが、好きにしやがれ」という心境であるはずなのだ。そしてそうでなければ、衆人環視の中で兄を殺させるようなことはしないだろう。

こう考えてくると、正男氏殺害は核兵器開発や弾道ミサイル発射と同じく、正恩氏の「あきらめ」あるいは「破れかぶれ」による暴走だったとも見ることができる。

いずれにせよ、北朝鮮がテロ支援国家に再指定されれば、正恩氏の暴走は拍車がかかる可能性がある。米国の政治家はこのことをよく考え、正恩氏の暴走に対する「次の一手」を用意しつつ行動してもらいたい。

【私の論評】北が日本に報復の場合、野党はそれを政局利用する?

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、米国下院外交委員会所属の議員らが発議した従来の北朝鮮に対する制裁法をさらに強化した法案に対して、「日増しに非常に強化されるわが共和国の政治的・軍事的威力にあわてふためいた者らのたわいない妄動」と非難する論評を配信しました。

論評は、「敗れた制裁の太鼓をいくら力いっぱい叩いてもまともな音が出るはずがない。 米帝の『制裁万能論』はこの地ですでに粉みじんになり、敵対勢力内でまで対朝鮮『制裁無用論』が台頭しているのが厳然たる現実である」と主張しました。
また、「敵対勢力が決めておいた『時限』内にわれわれは地対地中・長距離戦略弾道ロケット『火星10』の試射、戦略潜水艦弾道弾水中試射、新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出実験、核弾頭爆発実験の相次ぐ大成功で世界を驚かし、核強国の威容を全世界に誇示した」と強調しました。
さらに、「領土があり、党と共和国政府があり、この地に流れる水と空気だけあれば、いかなる制裁・圧迫も粉砕し、自力自強で強盛復興することができるということがわが軍隊と人民の信念、意志である」としながら「われわれには、制裁が絶対に通じない。米国には『新しい法案』が必要であるのではなく、新しい思考、新しい戦略が必要である」と述べたまし。
新しい思考と戦略が必要である 朝鮮中央通信社論評 
【平壌4月4日発朝鮮中央通信】最近、米議会下院が「対北朝鮮取引関連制裁強化法案」を通過させようとしている。 
わが国を国際金融システムから完全に排除しようとする悪らつな目的を追求することを骨子とするこの「法案」は、米国の旧態依然とした反共和国制裁圧殺策動の連続として、別に新しいものではない。 
にもかかわらず、何らの意義でもあるかのように採択劇を考案して奔走するのは、日増しに非常に強化されるわが共和国の政治的・軍事的威力にあわてふためいた者らのたわいない妄動としかほかには見られない。 
特に、問題の「法案」が対朝鮮政策で完全な失敗を自認した前オバマ行政府時期の「2016年対北朝鮮制裁および政策強化法」を修正、補充してつくられたという事実は、米国が窮余の策に執着しているということを自らさらけ出したことになる。 
しかし、敗れた制裁の太鼓をいくら力いっぱい叩いてもまともな音が出るはずがない。 米帝の「制裁万能論」はこの地ですでに粉みじんになり、敵対勢力内でまで対朝鮮「制裁無用論」が台頭しているのが厳然たる現実である。
破たんしきった「制裁強化」騒動で名実相伴う核保有国の政治的・軍事的威信を阻んでみるということ以上に無駄な妄想はない。 
米帝とその追随勢力が昨年3月、新しい「制裁決議」を作り上げて未曾有の制裁を加えれば6カ月内にわれわれが屈すると豪語したが、その判断がいかに愚かだったのかを振り返ってみろ。 
まさに、敵対勢力が決めておいた「時限」内にわれわれは地対地中・長距離戦略弾道ロケット「火星10」の試射、戦略潜水艦弾道弾水中試射、新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出実験、核弾頭爆発実験の相次ぐ大成功で世界を驚かし、核強国の威容を全世界に誇示した。
勇ましい挑戦中央通信社論評なのですが、北朝鮮が国際金融システムから完全に排除されることをかなり恐れていることが、にじみでています。

再度テロ支援国家に再指定された場合には、確かに北朝鮮は核開発どころではなくなります。

アジア大会でのシンクロ北朝鮮チームの演技
北朝鮮の場合、核開発とはいっても国外から工作機械や部品などを購入しなければ、自国だけでは何もできません。北朝鮮のミサイル、核兵器は実は日本製と言っても良いくらのものです。

このことは、昨年の出来事をみても明らかです。北朝鮮のミサイル関連企業に関与した在日研究者が、再入国禁止の対象者とされたのです。

日本政府による北朝鮮への独自制裁で、訪朝後の再入国を原則禁止した在日本朝鮮人科学技術協会(科協)の5人のうち、1人はロケットエンジン開発の権威とされる東大出身の博士号を持つ研究者で、北朝鮮のミサイル関連企業に関わっていた。共同通信による公安関係者への取材で昨年の3月19日、明らかにされたのです。

公安関係者によると、これに関係する企業は北朝鮮の元山市にある「金剛原動機」で、ミサイルのエンジン開発に関与している疑いがあります。経済産業省は大量破壊兵器開発の懸念があるとして、機械や技術を輸出する場合には許可が必要となる「外国ユーザーリスト」に載せています。

このような事実からもわかるように、北朝鮮のミサイルや核兵器の開発の為に、日本国内にある在日社会と、その支援者が物心両面で広く手助けしたに違いないのです。

不思議なことに、日本社会が北朝鮮と在日社会の密接な繋がりを知りながら黙認し続けています。朝鮮総連も朝鮮学校も、何故かそのまま容認されているのです。

かつて北の二代目独裁者、金正日は、「在日朝鮮人の70%が、30兆円市場である日本のパチンコ産業に関わっており、その送金がわが国を支えている」とまで語っていたました(「日本のパチンコ産業が北朝鮮を支えている」…金正日会談議事録)。

日本はそれを放置し続け、ついに北朝鮮は核とミサイルを手にし、日本をその標的とし、いずれ米国をも標的内に収めようとしているのです。

今となっては、手遅れな感もありますが、この問題はなんとかすべきです。

金正恩がまともに論理的に合理的に物事を判断できれば良いのですが、「破れかぶれ」が加速すれば、何をするかわかったものではありません。

このブログにも掲載したように、米国が北朝鮮を攻撃をする可能性が高まっています。その場合、北朝鮮の報復の可能性は高いです。50万発の砲弾が韓国の首都ソウルに降り注ぐといわれていますし、日本には核ミサイルを打ち込むことも懸念されています。さらには、すでに日本に潜伏している北朝鮮の工作員が日本国内で、テロ活動を行う可能性もあります。

北朝鮮による砲撃訓練
そのような最中に、日本の国会では森友問題にばかり時間が割かれ、テロ等防止法の審議も遅れていますし、民進党をはじめとする野党はこれに反対するばかりです。そうして反対する目的は、安倍政権打倒です。

一体野党は、日本と日本人を守るという考えがあるのでしょうか。私が仮に彼らの立場なら、一触即発の北朝鮮情勢を踏まえて、この危機に備えるために、テロ等防止法の時限立法などを立案して、成立を急ぎ今そこにある危機に備えると思います。

このままだと、日本に北朝鮮のミサイルが打ち込まれたり、北の工作員がテロ活動を甚大な被害が出た場合野党は、安倍政権が悪いと糾弾し、政権打倒の道具にしようとするのではないでしょうか。恐ろしいことです。しかし、今のテロ等防止法などへの対応をみているとそのような雰囲気です。

そのようなことは、絶対にないと思いたいところですが、何でも政局に利用する最近の民進党をみていると、本当に人非人のような仕業をするのではないかと思えてきます。

米軍が北朝鮮を先制攻撃したとしても、日本にはほとんど北朝鮮の報復が及ばないということも十分にありえます。その反対に、北朝鮮の報復にあって、日本が甚大な被害にあったとしても、日本国がそれで消滅することはないです。日本はまた立ち直り、復興することになるでしょう。

いずれの場合においても、当面の脅威が過ぎ去るまで、私たちは政治の動きをしっかり見守り、駄目な政党、駄目な政治家のことをしっかり把握しておき次の選挙の判断材料にすべきです。

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