まとめ
- 岸田首相は今国会での解散を見送る方針だが、総選挙で勝利し総裁選で再選を狙う環境にはない
- 政治改革法の成立過程がグダグダだったため、これを政権の成果と胸を張れない
- 岸田政権にできることは時間稼ぎしかなく、国会を大幅延長し憲法改正や北朝鮮訪問などに取り組むことが期待されている
- 北朝鮮訪問が実現すれば転機になりうる。また国際貿易の無秩序に対応する法改正も検討課題
- 国会延長ができなければ総裁選に向け動き出すが、岸田首相の再選は極めて難しく、複数の候補による混戦となる公算が大きい
岸田首相 |
岸田首相は今国会での解散を見送る方針だが、内閣支持率の低下や自民党の補選敗北が続いていることから、衆院選で勝利し9月の総裁選で再選を狙う環境にはない。
政治資金規正法改正でも与野党の調整がうまくいかず、自民党内からも不満が出るなど、成立過程がグダグダだった。こうした経緯で成立した政治改革を「岸田政権の成果」と胸を張って解散総選挙に打って出るのは難しく、造反があるだろう。
このため、岸田政権にできることは時間稼ぎしかない。ベストは今国会会期を8月中旬~下旬まで2か月程度大幅に延長し、憲法改正や北朝鮮への電撃訪問など「先送りできない課題」に取り組むことだ。
北朝鮮訪問が実現すれば転機になりうる。また、米国の対中関税引き上げなどを受け、日本も国際貿易の無秩序に対応できる法改正も検討課題になるかもしれない。
憲法改正や北朝鮮訪問の実現可能性は低いが、岸田政権はそこに賭けるしかない状況に追い込まれている。国会延長ができなければ、総裁選に向け一気に動き出すが、その場合、岸田首相の再選は極めて難しく、上川陽子外相や高市早苗経済安保相、茂木敏充幹事長ら複数の候補の出馬が想定され、混戦になると予想される。
この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。
【私の論評】大胆な経済対策と官僚支配からの脱却が岸田政権の最大の起死回生策
まとめ
- 憲法改正や北朝鮮訪問の実現可能性は低いが、岸田政権はこれに賭けるしかない状況に追い込まれている。
- 消費税減税や積極財政、異次元の包括的緩和への再度の移行が、経済改善と内閣支持率向上の鍵となる可能性が高い。
- 財務省と日銀の緊縮、引き締め路線が、日本経済の成長と国民の所得向上を阻害しており、国民の批判が高まっている。
- 減税、所得補償、公共投資、日銀の人事権行使など、大規模な経済対策が必要であり、これにより経済的自由の実現と官僚支配からの脱却が期待される。
- 財務省の強力な壁を突破することが岸田政権の支持率向上と総裁選での有利な立場につながる可能性があり、首相のリーダーシップが鍵となる。
上の記事では、憲法改正や北朝鮮訪問の実現可能性は低いが、岸田政権はそこに賭けるしかない状況に追い込まれているとしています。これは確かだと思います。
ただ、もう一つの可能性もかなり乏しいですが、あると思います。それはとりもなおさず、国民生活に直結する経済の改善です。たとえば、消費税減税を含む、大胆な積極財政です。さらに、利上げなど金融引き締めに走りそうな日銀の暴走をとめて、再度異次元の包括的緩和に戻すことです。これができれば、その後の円安により不利益を被る企業などを救済することは簡単にできるでしょう。
岸田首相はかつて消費税減税は考えていないと発言していたが・・・ |
これによって、多くの国民が、経済が良くなると認識できた場合、支持率が上向く可能性はあり、総裁選を有利に戦える可能性はあります。
こうした経済対策を講じれば、多くの国民が景気回復を実感し、結果として内閣支持率が上向く可能性があります。ただし現状ではこれらの実現は極めて困難に見えます。しかし、岸田首相が経済再生に全力を注げば、一つの起死回生の手段となり得るかもしれません。
その背景には、長年にわたる財務省や日銀による過度の緊縮路線の弊害があります。既得権益を重んじるこれらの官僚組織が、国民の意思を無視し続けてきた結果、日本経済の成長と国民の所得向上が阻害されてきたのです。まさにこれこそが民主主義の毀損であり、権力の私物化と言えるでしょう。
実際、財務省主導の下、法人税増税や社会保障費の負担増、公共投資削減など、国民と企業に重荷を課す政策が続けられてきました。また日銀による金融引き締め姿勢が、デフレ脱却を遅らせる要因ともなりました。こうした一連の緊縮路線が、国民の実質賃金の伸び悩みにつながっています。
この矛盾から、有権者の間で財務省主導の緊縮路線への批判が高まるのは当然です。国民の間に景気と所得回復への強い願望がありながら、岸田政権がこれに応えられていないことが、政権の支持率低下を招いているのが実情です。
つまり財務省と日銀の既得権益擁護が、国民の期待と現実の乖離を生み出し、結果として政権不支持につながっているという構図が見え隠れします。この異常な官僚支配からの脱却が不可欠な状況となっており、岸田首相による強力な改革が求められています。
今や財務真理教教祖ともいわれる財務次官茶谷 |
具体的には、国会など既存のプロセスを無視し、首相自らの権限で大規模な経済対策を打ち出すことが必要かもしれません。減税や所得補償、公共投資の発注、日銀の人事権行使と異次元緩和の強制、財政ファイナンスの実施など、あらゆる手段を講じる覚悟が問われます。
これは従来の規範からの決別を意味しますが、そもそもその現在の規範自体が官僚主導の民主主義否定そのものです。マスコミに対する適切な情報発信と、国民への丁寧な政策説明が重要となります。これを並行して行えば、「官僚支配からの脱却」「経済的自由の実現」をアピールできるでしょう。
権力の専横的行使には弊害もありますが、国民生活改善が最優先である以上、岸田首相には強い覚悟が求められています。長年の官僚支配からの決別を体現し、真に民主的な経済政策の実現者となることが首相や政府に期待されているのです。
岸田首相がこれまでに取った行動や政策から、首相が政権維持のために積極的な手段を講じることがある得ることは確かです。良い、悪いは別にして、政権維持のため旧統一教会への措置や党内人事、内閣人事や派閥解消など、物議を醸すことも厭わずに行動してきたことは、その一例です。
岸田首相が財務省が自分の味方ではなく、政権維持や総裁選のためには大きな障害になるとはっきり認識した場合、財政政策において大胆な手段を取る可能性も考えられます。特に、経済成長を促進するための積極的な財政出動や、大規模な経済刺激策を導入することも考えられます。
安倍首相が、第一次安倍政権の失敗で学んだことは、経済を良くしなければ、国民の支持は得られないことです。だからこそ、第二次安倍政権では、アベノミックスを実行したのです。
ただし、安倍首相ですら、財務省の意向や三党合意の壁は超えられず、在任中に二度延期したものの、結局二度の消費税増税をせざるを得なくなりました。それだけ財務官僚の壁は厚く、高いのです。ただし、アベノミックスの金融緩和は継続されたため、雇用環境は劇的に改善しました。
安倍首相 |
これも、憲政史上最長となった安倍政権を支えたのは間違いないでしょう。ここで、動機が何であれ、岸田首相が、財務省の厚くて高い壁を破ったとすれば、これは既存の秩序を壊す大インパクトであり、戦後最大の政治上の出来事になることでしょう。これは何にも増して、岸田首相の総裁選を有利に運ぶことになるでしょう。
これとともに憲法改正も行えば、岸田首相は憲政史上に名宰相として、名を刻むことになるでしょう。
最終的には、岸田首相のリーダーシップスタイルや政策優先順位、そして彼の周囲の助言者や政権内の権力バランスによっても大きく影響されるでしょう。ただ、全くありえないことではないとだけは言えると思います。
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