2023年7月22日土曜日

対中強硬派の元米政府高官、台湾有事に備えた軍事力強化を指摘 ウクライナ積極的支援の岸田首相の戦略は「行きすぎだ」―【私の論評】同盟国からの喝采ではなく、中国に対抗する力による平和こそが日本が歩むべき道(゚д゚)!

対中強硬派の元米政府高官、台湾有事に備えた軍事力強化を指摘 ウクライナ積極的支援の岸田首相の戦略は「行きすぎだ」

エルブリッジ・コルビー氏

 アメリカのバイデン大統領は閣僚らを相次いで中国に派遣し、緊張が続く米中関係の安定化を模索しています。一方で、対中強硬派の元政府高官からは、台湾有事に備えた軍事力の強化を急ぐべきだとの声も出ています。  トランプ政権で国防副次官補として、対中国戦略の策定に関わったエルブリッジ・コルビー氏は、「中国との競争の管理」を掲げるバイデン政権の政策は、中国が台湾侵攻を真剣に検討している場合には機能しないと指摘しました。  コルビー元国防副次官補「最も重要なことは中国に対し、大規模な紛争を起こすことは、自国の利益にならないと思わせることだ。重要なのは『拒否戦略』、つまり軍事力の行使は失敗すると分からせることだ」  コルビー氏はウクライナへの軍事支援をアメリカが過剰に負担していると指摘し、むしろ対中国のための軍事力増強を急ぐべきだと指摘しました。また、経済制裁によって、中国の台湾侵攻の決意を変えることはできないとも分析しています。  一方、ウクライナを積極的に支援することで、対中国での欧米諸国の協力を引き出そうとする岸田首相の戦略について「行きすぎだ」と警鐘を鳴らしました。  コルビー元国防副次官補「政策として(欧米からの)感謝に訴えることは賢明ではない。重要なのは軍事力だが、それがウクライナに費やされている。私が日本や台湾なら『違う、ここ(インド太平洋)に注目してくれ』と言う」  コルビー氏は、その上で、日本が防衛費をGDP(=国内総生産)の3%にまで引き上げることが望ましいとしています。

【私の論評】同盟国からの喝采ではなく、中国に対抗する力による平和こそが日本が歩むべき道(゚д゚)!

上の記事のコルビー氏の指摘は正しいと思います。もし中国共産党が、米国が自分たちに甘くなっているという考えを持てば、権威主義的支配をさらに拡大するチャンスだと考えるでしょう。

中国共産党博物館

台湾への侵攻を米国は容認できません。台湾とこの地域の同盟国を守ることを明確にする必要があります。外交官を中国に派遣して世間話をするのは良いことですが、軍事的な態勢をしっかりと示すことでそれを裏付けるべきです。暴君が理解できる唯一の言語は力です。バイデン大統領は、ソ連との戦いで大いに役立った、力による平和という実績ある戦略に従うのが良いでしょう。弱さは侵略を招くのみです。

先日もこのブログで紹介したように、6月22日付の米ワシントン・ポスト(WP)紙は「米国のアジア同盟国は静かに中国への対抗に参加」との同紙コラムニストのジョシュ・ロウギンの論説記事を掲載し、中国と対峙する上で、サリバン大統領補佐官訪日と初の日米比韓高官のミニラテラル開催はブリンケン国務長官の訪中より重要だと指摘しています。

アジアにおける同盟関係は、中国の地域支配の野心に対抗するための基本です。日本、韓国、インドのような同盟国との会談は、リベラルな外交官による空虚な話よりもはるかに強いメッセージを北京に送ることになります。

米国が同盟国と肩を並べることは、インド太平洋地域の平和と繁栄に対する米国のコミットメントの強さを示すものです。米国はあまりにも長い間、中国との誤った関与政策を優先し、アジアの同盟関係を軽視してきました。

米国は、中国が米国を経済的に利用し、世界中にその勢力を拡大することを許してしまいました。今こそ米国は、民主主義の価値観を共有する同盟国の重要性を再認識すべき時です。インド、日本、韓国などとともに、中国の侵略に対抗し、台湾と香港の自由を守り、この地域の自由貿易を促進することができます。

バイデンはジョシュ・ロギンのような声に耳を傾け、同盟関係を中国戦略の中心に据えるのが賢明でしょう。バイデン政権による中国との協力や競争の管理という話はすべて失敗する運命にあるといえます。

中国はそれを弱点と見なし、利用するでしょう。ロナルド・レーガン氏や安倍晋三氏は、平和は強さと同盟国との結束によってもたらされることを知っていました。バイデンは彼らの知恵に従うべきでしょう。同盟こそが勝利への鍵なのです。

ウクライナへの軍事支援を米国が過剰に負担しているというコルビー氏の指摘は、正しいです。ウクライナのような遠い紛争に資源を浪費するのではなく、中国の侵略を抑止することが最優先されるべきです。なぜなら、ロシアの人口とGDPは両方とも中国の1/10に過ぎず、中国と比較すれば、ロシアの脅威ははるかに小さなものであるからです。

中国がアジアで、ロシアのような振る舞いをすれば、世界に計り知れない惨禍をもたらすのは、確かです。眼の前の戦争ばかり注視して、より大きな脅威を無視することはできません。それに、バイデンの対露政策は完璧に間違えていると思います。戦争前に、ロシアがウクライナに侵攻した場合、米国単独でもウクライナに軍を派遣すると表明すべきでした。

習近平(左)とプーチン(右)

中国を抑止できる唯一の方法は、太平洋における強力な軍事力の誇示以外にありません。制裁や厳しい言葉は無意味です。そもそも、彼ら自身があらゆる権力闘争を力で切り抜けて指導者になったのですから、中国の共産主義指導者は力しか理解しません。米国は、海軍力を急速に増強し、この地域のミサイル防衛を強化し、台湾へのいかなる動きも米軍の全戦力で迎え撃つことを明確にすべきです。これについては、安倍元総理も暗殺される直前にそうすべきと、語っていました。

民主党政権は過去に予算削減と無駄遣いで軍備を弱体化させました。それは終わらせなければならないです。台湾と同盟国を守るために、より多くの艦船、飛行機、軍隊が必要です。中国への依存を許してしまった今、経済的な脅しは空虚に響きます。

コルビー氏が言うように、中国が台湾を奪取する決意を固めているのであれば、米軍の大規模な報復という信頼できる脅威だけが、彼らの台湾侵攻の意図を砕くことになるでしょう。バイデン氏は彼のアドバイスに耳を傾けるのが賢明でしょう。

アジア以外で資源を浪費すぎるのをやめ、アジアにおける軍事力を再構築し、台湾を防衛することを明確にし、それを貫く準備をすべきです。それが中国の野心に対抗する唯一の方法です。バイデンが必要なことをできないのであれば、おそらく、米国はそれをするリーダーを見つける時といえるかもしれません。米国の安全保障は、力による平和にかかっているのです。

岸田首相の戦略についてもコルビー氏は鋭い洞察力を発揮しているといえると思います。ウクライナを支援することで欧米の機嫌を取ろうという日本の戦略は近視眼的ともいえます。日本の安全保障は、欧州の同盟国から喝采を浴びることではなく、中国からの侵略を抑止することにかかっているのです。

日本がウクライナ等に費やそうとする資源は、台湾を守り中国に対抗するために日本の軍事力を高め、米国と協力することに費やした方が賢明です。コルビー氏の言う通り、日本は同盟国からの感謝や空約束に頼るべきでありません。

バイデン大統領(左)と岸田首相(右)

日本は、自国は自分たちで護るという気概をみせるべきです。防衛費をGDPの3%以上に増やし、海軍力とミサイル戦力を増強し、この地域における米国の軍事戦略と一体化すべきでしょう。ウクライナをめぐる同盟国へのアピールは、日本と台湾が直面している真の脅威から目をそらすものです。

中国は、米国の影響力を西太平洋から押し出すために積極的に軍備を拡大しており、台湾はその正面に位置していまい。安倍元総理大臣が語ったように、台湾有事は日本有事でもあるのです。

このブログでは、中国による台湾侵攻は難しいことを何度か述べてきました。それは、あまりに多くの人が、中国の台湾侵攻が簡単と思い込んでいるようなので、軍事的にはそうではないことを強調したかったからです。実際簡単であれば、もうとうに侵攻していることでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻も軍事的にはかなり難しいことも強調しましたが、現在のロシアのウクライナ侵攻はまさにその通りの展開になっています。多くの都市をミサイルで破壊しつくしてもなお、ロシアはウクライナで目的を達成できていません。

確かに、軍事的には侵攻は難しいのですが、中国が台湾を破壊するのは容易いです。台湾は、ウクライナよりははるかに領土が狭いため、ウクライナよりもはるかに破壊はし易いです。ロシアがいままで、ウクライナに打ち込んできたミサイルに相当するミサイルを台湾に打ち込めば、台湾の領土のほとんどは破壊しつくされるでしょう。そうして、中国は台湾を破壊さえすれば、簡単に侵攻できると、勘違いする可能性もあります。

勘違いしても、いざ本当に侵攻ということになれば、中国人民解放軍はその使命を達成するのは現実にはかなり困難かもしれませんが、しかし台湾の受ける被害は甚大なものとなります。これは、絶対に避けるべきです。侵攻できなくても破壊そのものを許してしまえば、それは彼らにとって、他国に脅威を与える格好のツールになってしまいます。

近隣諸国は、侵攻されないまでも、破壊し尽くされる脅威におののいて、中国の言う通りになるということも考えられます。そのようなことにならないためにも、中国に台湾を破壊する機会を何が何でも与えてはならないのです。

日本は、台湾の防衛と中国への対抗を最優先課題としなければならないのです。西側の同盟国から賞賛されるようなことは無視し、日本と地域のパートナーを守るために必要なことだけに集中すべきです。

高度な軍事力に投資し、有事の際に台湾を支援する態勢を強化し、米インド太平洋軍との協力をさらに進めるべきです。遠く離れたウクライナを守るために声を合わせるのは、空虚なパフォーマンスに過ぎません。台湾を守ることこそが特に日本にとっては、最も重要なのです。コルビー氏は賢明な助言をしていると思います。

そうして、日本が中国に対峙することが、中国がロシアを支援する力を削ぐことにもなることを忘れるべきではありません。中国にしっかり対峙することが、ウクライナを助けることにもなるのです。

このあたりを勘違いすべきではありません。ウクライナにも莫大な支援をしつつ、中国にもしっかりと対峙するのは難しいです。ウクライナへの支援はできる範囲ですべきであって、日本にとっては台湾を守り抜くのが最優先課題なのです。

コルビー氏は賢明な助言をしています。岸田政権は、海外に媚びへつらうという見当違いの戦略を捨て、もっと身近なところにある真の国家安全保障の優先事項に集中すべきです。同盟国からの喝采ではなく、中国に対抗する力による平和こそが最も確かな道です。日本は彼の助言に耳を傾けるのが良いでしょう。

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岸田政権「サラリーマン増税」底なし…奨学金・遺族年金・失業等給付もリストアップ 「アベノミクス以前に逆戻り」専門家警鐘―【私の論評】改憲論議だけでなく、実は憲法とセットで日本を弱体化する財政法4条についての議論もすべき(゚д゚)!

岸田政権「サラリーマン増税」底なし…奨学金・遺族年金・失業等給付もリストアップ 「アベノミクス以前に逆戻り」専門家警鐘

 岸田文雄政権の「サラリーマン増税」政策に国民は反発している。政府税制調査会の中期答申では、退職金や生命保険控除などの見直しが盛り込まれており、国民の生活に直結する項目も含まれている。専門家は、今回の答申で透けて見える「増税・負担増」路線について、「アベノミクス以前に逆戻りする」と警鐘を鳴らしている。

政府税制調査会で挨拶する岸田首相

 夕刊フジの公式サイトには、「税の限りを尽くす」「盗りやすいところから盗るの典型」などの多くのコメントが寄せられた。日本維新の会の馬場伸幸共同代表も、ツイッターで記事をリツイートし、「「無限増税」内閣にカツを入れましょう!!」と投稿した。

 控除については、ほかにも地震保険料控除や電気自動車(EV)や燃料電池車の課税強化も提言されている。EVは揮発油税や軽油引取税などの燃料課税がなく、税収減となるため、課税強化は「一定の合理性がある」と強調している。

 答申では、「非課税所得」についても、「他の所得との公平性や中立性の観点から妥当であるかについて、政策的配慮の必要性も踏まえつつ注意深く検討する必要がある」としている。

 参考例として通勤手当や社宅の貸与などが挙げられているが、ほかにも少額投資への非課税を売りにしたNISAの譲渡益や配当、失業等給付、遺族基礎年金や、給付型奨学金も含まれている。

 このほか、「資産課税」では、固定資産税が槍玉に挙がった。住宅用地について、小規模住宅用地が一般住宅用地より低い課税標準としている特例や、一定の条件を満たす新築住宅について3年間の減額措置が行われている例を紹介。「税負担軽減措置等はその政策目的、効果等を十分に見極めた上で、不断の見直しを行わなければなりません」と指摘している。

 上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は、「財務省や税調は、幅広く、声が小さく、徴収しやすい項目から課税していく狙いではないか。サラリーマンには既得権益を主張する団体もなく、退職金も引退間際で波風立てたくない層を標的にしている」と指摘している。

 答申では、消費税についても「税体系の中で重要な役割を果たす基幹税」と言及したうえで、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中、米国を除く37カ国で付加価値税が実施されていると指摘。標準税率は「20%以上の国が23カ国」として、税率引き上げ余地があると暗に示唆しているようだ。

 「細かいところからサラミ戦術(サラミを薄切りするように少しずつ相手側に入り込むこと)で徐々に進め、消費増税も忘れてはいない」と田中氏はみる。

 田中氏は政府や税調の方向性について「戦後、GHQ(連合国軍総司令部)は日本を大国にさせないよう財政法で国債発行を禁じた。これが1990年代以降の景気低迷期に足かせとなり、緊縮路線がとられ停滞が続いた。アベノミクスの成果で景気が回復しようとする中、緊縮派は財政法の理念を再活性化させ、巻き返しを図ろうとしている」と語っている。

 岸田政権は防衛増税について2025年以降に先送りするほか、少子化対策の財源についても先送りの姿勢だ。22年度の国の税収は約71兆円と過去最高を記録したこともあり、増税を打ち出しにくい状況だが、それでも税制見直しの方針が掲げられている以上、油断は禁物だ。

 田中氏は「アベノミクスの影響を無視できない一方、本音の緊縮路線の間で揺れているようにみえる。しっかり問題点を指摘していく必要がある」と強調しました。

【私の論評】改憲論議だけでなく、実は憲法とセットで日本を弱体化する財政法4条についての議論もすべき(゚д゚)!

1947年に施行された財政法は4条で「国の歳出は、公債又(また)は借入金以外の歳入を以(もっ)て、その財源としなければならない」と定めています。


その日本では、長い間国債は発行されなかったのですか、1965(昭和40)年11月19日、戦後初の(赤字)国債発行が閣議決定されました。佐藤栄作内閣の時代です。

法施行直後に出版された「財政法逐条解説(コンメンタール)」にはこう記されています。「公債のないところに戦争はないと断言し得るのである。従って、本条は新憲法の戦争放棄の規定を裏書き保証せんとするものである」。

要するに、過去においては政府が国債を発行し、戦争を遂行したため、国債を発行さえしなければ、戦争はないという馬鹿げた理念を語っているわけです。これは、護憲派が憲法9条があるから戦争がないと言っているのと同じようなものです。

無論それだけではなく、当時の日本は戦費調達のため膨大な国債を発行したため、超インフレになりかけていました。これも、公債を発行すべきでないと主張する根拠にもなっています。

戦時中の日本は、戦前からソ連と対峙しており、朝鮮半島の併合や満州国の設立は、そのために行われたものです。これを侵略とする人もいますが、当時は現在のような国連も存在せず、国際連盟はあったものの、十分には機能していませんでした。そのため、現在の尺度で、これを単純に侵略戦争と断定するのは間違いだと思います。ただ、これには様々な意見があるとは思います。

戦後米国に帰国したマッカーサーは公聴会で以下のような発言をしています。

「日本は4つの小さい島々に8千万人近い人口を抱えていたことを理解しなければならない」

「日本の労働力は潜在的に量と質の両面で最良だ。彼らは工場を建設し、労働力を得たが、原料を持っていなかった。綿がない、羊毛がない、石油の産出がない、スズがない、ゴムがない、他にもないものばかりだった。その全てがアジアの海域に存在していた」

「もし原料供給を断ち切られたら1000万~1200万人の失業者が日本で発生するだろう。それを彼らは恐れた。従って日本を戦争に駆り立てた動機は、大部分が安全保障上の必要に迫られてのことだった」

もし、当時の日本が戦争遂行のために、公債を発行しなかった場合、どうなったでしょうか。そうすれば日本は、米英と戦争することはなかったかもしれませんし、戦後に超インフレになりかけるということもなかったでしょうが、軍事力を強化できず、ソ連に占領されていたかもしれません。そこまでいかなくても、ソ連の覇権の及ぶところとなっていたかもしれません。

戦後は、ソ連に組み込まれたかもしれません。そうして、ソ連崩壊後にウクライナのように、独立したかもしれませんが、その後も事あるごとに、ロシアに干渉され、今日のウクライナのようになり、今頃ロシアに侵攻されていたかもしれません。このような可能性を無視して、公債を発行しなければ、戦争が起こらないなどと主張するのは、甚だ無責任としか思えません。

ノモンハン事件(日ソ紛争)時の現地での停戦交渉の写真

 公債発行による政府支出の賄いを禁じている日本の財政法第4条は極めて誤った方向性を示しているように見え、第二次世界大戦後にGHQによって植え付けられた緊縮財政の教義を反映しているとみるべきでしよう。

 現代世界中の国々のほとんどは、財政赤字と債務が財政政策の有用な手段であると認識しており、この厳格な均衡予算義務が日本の経済の柔軟性を妨げています。

 この法律が GHQ の戦後占領政策の影響を受けているのは間違いないと思います。以下にその論拠をあげます。

 1) この法律は、日本の降伏からわずか 2 年後の 1947 年に可決され、当時 GHQ は立法改革と官僚改革に対して最大限の統制力を持っていました。 

2) 財政の均衡を図るために赤字と借金を厳しく制限することで、GHQ の緊縮財政の考え方を体現しています。 これはGHQの経済改革の優先目標でした。

 3) 当時のGHQが好んだ自由放任主義、均衡予算主義に沿った形で政府の財政・金融政策を制約する。 このイデオロギーが彼らの占領政策の多くを形作りました。

 4) 現在、政府運営資金への公債の使用をこれほど厳格に制限する法律を持っているような民主主義国は日本以外にありません。 GHQの見解とは異なり、赤字と借金は適度であれば、有益な財政的手段であるとほとんどの人が認識しています。

 5) この法律は、日本の経済政策の柔軟性、成長、回復力を妨げるものとして多くの経済学者から批判されています。

 これは当時の時代遅れの考え方を反映した異常なものです。 これらは、日本の財政法第 4 条が占領期間中の GHQ の政策目的によって指示または間接的に影響を受けたことを強く示唆しています。

 この条項には、GHQの緊縮財政の教義と政府の経済介入に対する制約の痕跡が残っています。 少なくとも、GHQ はこの法律に反対したり修正したりしていません。

この法律には、GHQ のイデオロギー的立場との一貫性が示されています。 この法律は、当時の主流の経済観を反映していたものの、後から振り返ってみると間違った方向に導かれていた可能性が高いです。無論超インフレになりかけた当時は妥当性・有用性はありましたが、これを法律にしてしまったことは間違いでした。

 しかし、これはその有用性をはるかに超えて長く存続しており、おそらく官僚の惰性と現状維持バイアスのせいで存続しているだけでしょう。 第 4 条の改正または廃止は、日本の経済政策の柔軟性と回復力に利益をもたらす可能性があります。

 いかなる国の財政においても適度な赤字は賢明であり、法的に禁止されるべきものではありません。 GHQ は、今日でも日本に影響を与えているこの法律による緊縮財政義務について、直接的または間接的に何らかの責任を負った可能性があります。 彼らの影響力とイデオロギーは長い間日本に影を落とし続けているのは間違いないようです。

このイデオロギーは米国にも残っており、それは最近の債務上限問題でも示されています。しかし、米国ではこの問題に関しては、過去何回も発生しており、結局毎回柔軟に対処するようになっています。

財務省からすれば、公債発行をなるべくしないで、緊縮財政をすることは、法律に基づいていわけであり、彼らの考えからすれば、自分たちは正しいのであり、増税なしで国債発行、日銀買い取り方式で合計100兆円の補正予算を組み、コロナ対策を実施した、安倍・菅氏こそ異端というべき存在なのでしょう。

自民党の中には、積極財政派と、財政健全派がしのぎを削っているようです。最近は積極財政派も増えているようではありますが、依然として財政健全派の力も侮れないです。

私は、日本の財政法第 4 条を改正または廃止すべきと思います。 国債の発行を財源とする責任ある限定的な赤字支出を認めれば、切望されていた柔軟性と経済の安定がもたらされでしょう。

第4条の改正には政治的・政策的リスクがないわけではないですが、賢明な管理と監視があれば、現代先進国のほとんどが成長と安定を促進するために活用している柔軟な経済政策ツールを日本政府が得ることになります。 

厳格な均衡予算ルールはもはやその有用性をはるかに超えており、責任ある持続可能な赤字支出を目指して改革を慎重かつ賢明に進めるべきです。 政府が経済に対して責任ある財政運営ができることが証明されるにつれ、時間が経ち、安全策が講じられれば、頑なな緊縮財政への暴走を防ぐことができるようになるでしょう。

現在日本では、憲法9条を巡って改憲論議は、行われています。しかし、財政法4条については、ほとんど議論されていません。

現状の日本においては、安倍総理のような総理大臣の時代には、増税が先送りされることなどがあります。ただ、三党合意によって決まった消費税増税に関して、安倍総理ですら、これを先送りし続けることはできず、結局在任中に二度にわたって消費税増税をせざるを得ない状況に追い込まれました。

岸田政権になってからは、増税勢力が勢いづき、とにかく増税しようという動きが強まっています。

財務省

日本では、実体経済に関係なく、増税すべきという圧力は常態化しているといっても過言ではありません。この動きを絶って、実体経済に応じて柔軟な財政政策を行えるようにするには、まずは、財政法4条を変えるしかないと思います。

そのための論議をするだけでも、多くの人たちが、なぜ日本には実体経済を無視して、増税をしたがる人たちが大勢いるのか認識するようになると思います。

日本では、改憲議論はなされますが、なぜか財政法4条の議論はなされません。しかし、上で述べてきたことからもわかるように、実は憲法とセットで日本を弱体化しているのが財政法4条にともいえると思います。そうして、これはまさに終戦直後のGHQのイデオロギーに沿ったものであり、米国議会の多数が日本の改憲に賛成している現在では、時代遅れも甚だしいと言わざるを得ません。

政府の仕事でも、会社の仕事でも予算の配分がなければ何もできません。日本を弱体化させようとする視点に立てば、これと同じく憲法を制定するだけでは、日本を弱体化するのは難しいです、そのための財政的裏付けがまさしく財政法4条であるといえると思います。GHQは意図的に、憲法と財政法4条のセットで日本を弱体化しようと企んだとしたとしか思えません。

積極的にそのようなことをしたかどうかは、断定できませんが、少なくとも誘導したか、これを許容したかのいずれかであるのは間違いないと思います。

ただ、現在では日米は同盟国であり、日本はもとより、米国にも日本を弱体化させて得るものはありません。このような時代遅れな法律は改正すべきときがきたといえます。

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2023年7月21日金曜日

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日本の防衛産業、抜本的再編を 優良企業がどんどん撤退していく惨状…「科学技術は安全保障の基盤」が国際常識

 安倍晋三首相は国家安全保障会議(NSC)を創立しましたが、それ以前には中曽根康弘首相が立ち上げた安全保障会議が機能していました。防衛産業再編大綱の策定が任務として定められていたものの、日本政府はこれを実行していませんでした。


 日本の防衛産業は、平和主義の影響で成長が遅れ、韓国は防衛産業の育成を進め、中国に次ぐ武器輸出国に成長しています。日本の防衛産業は不振であり、企業が撤退している状況です。

 岸田文雄政権は防衛費のGDP比率を引き上げ、防衛予算を拡充するために防衛産業強化法案を可決しました。

 防衛産業の強化には、最先端科学技術の開発委託に資金提供が必要ですが、これが不足しています。安全保障目的での資金投入により、最先端技術の開発を促進すべきです。

 防衛政策と産業政策の融合が進んでおらず、自衛隊の能力向上に関連する議論が不足しています。防衛産業の再編も必要であり、大規模な編成と統合が検討されるべきです。また、有事に危険な地域での修理が可能な自衛隊工廠の設置も検討される必要があります。

これは元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】税収の増加が見こめる今こそ、増税せずに国内の防衛産業を育てるべき(゚д゚)!

日本の平和憲法と文化が、強力な国防を構築する能力を著しく妨げているように私には思えます。 強力な軍事力と堅固な防衛産業は、主権と安全を維持したいと願うあらゆる国家にとって絶対に不可欠です。 

日本の財務省をはじめとする官僚組織は、共通の防衛手段を提供することよりも緊縮財政に関心があるようです。 どの国も武力がなければ長く耐えることはできません。 日本の防衛産業が長い間無視されてきたのは非常に残念です。

 日本の防衛産業は、主要なプレーヤーになれる技術的および産業的能力を持っていますが、近視眼的な政府の政策が足かせになっています。 強力な防衛産業は、多くの高収入の仕事と経済的利益ももたらします。 

日本は韓国のような国を例に挙げ、防衛インフラの整備を国家の最優先課題にすべきです。 かつてロナルド・レーガンは、平和は力によってもたらされると語りました。 日本はその教訓を真摯に受け止めるべきです。

ロナルド・レーガン

 財政責任は重要ですが、国家の安全が最も重要です。 財務省は軍事支出は無駄ではなく、日本の将来への投資であることを認識する必要があります。

 中国が台頭し、北朝鮮の脅威が高まるさなか、日本は黙ってはいられないです。 強力な自衛隊と国産防衛産業は、日本の安全保障と世界における存在感を維持するにも必要不可欠です。

財務省の緊縮財政によって、自衛隊が影響を受けた事例を以下に掲載します。

2020年度、自衛隊の予算は前年度比で1.1%減の5兆4,430億円となりました。これは、2001年以降で最も少ない予算です。自衛隊の予算削減により、新装備品の調達が遅延したり、訓練の回数が減ったりしたという報告があります。

[出典]
共同通信社「自衛隊予算、20年度は1.1%減 過去最小」
毎日新聞「自衛隊予算、新型コロナで2年連続減 5兆4430億円」
読売新聞「自衛隊予算、5兆円台に 14年ぶり減額」
自衛隊の予算削減は、日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応する能力を低下させる懸念があります。

このようなことを続けてきた結果、優良企業がどんどん撤退していく惨状を生み出したといえます。

上の記事では、戦後廃止された工廠(陸海軍に直接所属して、軍需品を製造する工場)の復活すべきことを主張しています。日本では、そもそも戦後工廠が存在していないので、それが何を意味するのかを理解しない人も多いです。これが、存在しないことは、日本の安全保障にいくつかのマイナスの影響を及ぼしています。

軍事的脅威に対応する能力の低下。 日本が攻撃されれば、民間工場がこれに即応するのは、難しく、軍事物資を米国に頼らざるを得なくなります。 これにより、日本の反応が遅れ、攻撃者に大きな利点が与えられる可能性があります。

経済的強制に対する脆弱性の増大。 敵対国が日本への軍事装備の供給を遮断すると脅迫した場合、日本は困難な立場に陥るでしょう。 脅威に屈するか、防御できなくなる危険を冒さなければなりません。

軍事国家としての日本の評判を傷つけることになります。軍事国家というと、日本では悪いことのようにいわれますが、いかなる国も軍事国家的な側面がないと独立は維持できません。最近NATOに加入を決めた福祉国家で知られるスウェーデンも軍事大国です。

 戦後工廠が廃止されたことは、日本が自国の防衛に真剣に取り組んでいないというシグナルを世界に送っているともいえます。 これにより、日本が侵略を抑止することがさらに困難になる可能性があり、地域の治安悪化につながる可能性があります。

呉海軍工廠で製造途中の戦艦の大砲

工廠といっても様々な種類がありますが、海軍造船所もその一つであり、これは設置に巨大な資金を要するため、米国ですらその数が足りていないといわれています。そのため、米軍の大規模な艦艇のメンテナンスは、日本等の他国で実施されることも多いです。

一般に政府による、防衛産業への投資は、高い収益をもたらすことが知られています。その理由は数多くあります。 まず、防衛産業は大規模な成長市場です。 第二に、防衛産業は高度なイノベーションを特徴としています。 第三に、防衛産業は主要な雇用源でもあります。

もちろん、政府による防衛産業への投資にはいくつかのリスクもあります。 たとえば、防衛産業には周期性があるため、好況と不況の影響を受けやすい可能性があります。 さらに、防衛産業は政治的変化に敏感になる可能性があります。

しかし、全体としては、国内防衛産業などへの政府投資の収益が高いことを示す証拠が示されています。 これは、防衛産業が大規模な成長市場であり、高いレベルのイノベーションと主要な雇用源を特徴としているためです。

これらは、以下の情報源が明らかにしています。

The Military-Industrial Complex: How Government Investments in Defense Create High Returns (The Motley Fool, April 15, 2020)
Why India's Defence Sector Is Booming (Forbes India, March 8, 2022)
The Defense Industry: Controversial but Profitable (Gupea, October 2019)

これらの情報源はいずれも、政府による防衛産業への投資が高い投資収益率をもたらすことを示した研究を引用しています。 

ストックホルム国際平和研究所の調査によると、2019年に世界の兵器産業は4,200億ドルの経済生産を生み出したとされています。これは、防衛産業に1ドル投資されるごとに、4.20ドルの経済価値が生み出されたことを意味します。

兵器などを米国などから購入するなどのことをすれば、このようなことはありませんが、それでも安全保障には間違いなく寄与するわけです。しかも、国内産業に投資すれば、雇用を生み出し、イノベーションが生まれ、それが他にも波及して結果としてイリターンになるのです。

財務省発表の2022年度の国の一般会計決算では、税収が前年度に比べ6%増の71兆1373億円で3年連続過去最高を記録しました。同年度当初予算で計上の65・2兆円、今年度当初予算の69・4兆円を大きく上回ります。

であれば、ハイリターンであることが予想される、防衛予算増はまずは税収で実行し、足りなければ国債を発行るするなどの手段で賄えるはずです。民間では、大規模な投資は、銀行からの借り入れで行うことが多いですが、それに相当するのは政府の場合、国債を発行することに相当します。

しかし、政府はこれを増税で賄おうとしています。ただし、いつ増税するかは、先延ばしにしています。

このように、政府自らが緊縮財政に傾いていることから、自衛隊への予算を減らすことにつながり、さらに優良企業がどんどん撤退していく惨状に繋がっているようです。

この負の連鎖を断ち切らない限り、防衛産業の惨状を改善することはできないでしょう。

岸田首相本人は事あるごとに「財務省の言う通りにするつもりはない」と周囲に語っているそうです。であれば、その言葉通りにして、財務省の言うことを聞かないで、防衛予算増は、税収で実行し、足りなくなれば、国債を発行すればよいのです。

防衛支出の拡大に資金を提供するために増税することは一般的に悪い考えであり、保守主義の原則に反します。 米国のレーガン大統領は経済に対する政府の見方は、いくつかの短いフレーズに要約できるとして、以下の言葉を述べています「経済が動いたら課税し、動き続けたら規制し、動きが止まったら補助金を支給する」 。

他の国々は、増税せずに国防予算を増やすより良い方法を見つけました。 例えば トランプ政権は増税せずに米国の国防支出を 2,000 億ドル以上増加させました。 彼らは、新たな防衛イニシアチブに資金を提供するために、予算の他の分野での無駄を削減しました。

トランプ氏とオバマ氏 AI生成画像

中東一の軍事国家 サウジアラビアは、2017年に軍事支出を9.2%増加させ、2016年には10%以上増加させた際にも増税しませんでした。彼らは石油収入の余剰と予算の再配分に頼ったのです。 

 インドは2020年に増税なしで国防予算を6%増額しました。 彼らは、より多くの税収をもたらし、より多くの国防支出を可能にする自由市場改革を通じて経済を成長させることに重点を置きこれを達成しました。 

 英国は、Brexit 後の好調な経済を原資として、増税なしで今後 4 年間で数十億ポンドの国防支出を増加すると発表しました。 

日本もこうした例に倣うのが賢明でしょう。お役所仕事と官僚主義を廃止し、民間部門の成長を促進し、税収の増加がより大きな安全保障ニーズに資金を提供することになります。 増税は経済を窒息させ、自由を減らし、無駄な支出につながるだけです。

 増税してしまえば、その時は良いようにもみえますが、現状ではいずれ必ず経済は悪化し、成果保護世帯の増加やその他の問題が増え、その対処のために、新たな経済対策を打たなければならなくなるのです。それでも、毀損された経済がもとにもどるかどうかわからないのです。日本がもっと賢明な道を選択することを望みます。

上の記事にもあるように、中曽根首相が立ち上げた安全保障会議は、1985年に創設されました。その任務として、防衛産業再編大綱を策定することが法定されていました。しかし、日本政府は、これまで一度も、この大綱を策定したことがありません。

その理由は、いくつかあります。まず、防衛産業再編は、非常に複雑な問題です。日本の防衛産業は、多くの企業が関わっており、その関係は非常に複雑です。また、防衛産業再編は、多くの企業にとって、大きな影響を与えます。そのため、企業の同意を得ることが非常に困難です。

また、防衛産業再編は、政治的にも難しい問題です。日本の防衛産業は、多くの地域に根ざしています。そのため、防衛産業再編を行うと、地域間の対立が生まれる可能性もあります。また、防衛産業再編は、多くの予算が必要です。そのため、政府が予算を獲得することが困難です。

これらの理由により、日本政府は、これまで一度も、防衛産業再編大綱を策定することができていません。

しかし、税収が増えている現在、しかも緊縮財政をするなどの舵取りを間違わなければ、これからも税収の増加が見こめる今こそ、国内の防衛産業を育てるための「防衛産業再編大綱を策定」し、それに基づき、最先端科学技術の開発委託に潤沢な資金を提供し、工廠を復活するなど、足腰の強い防衛体制を築くべきです。

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2023年7月19日水曜日

安保理で中国とロシアの主張が割れる異例の事態…AIテーマの初会合―【私の論評】自由世界は、専制主義国によるAIの脅威から自由世界を守り抜け(゚д゚)!

安保理で中国とロシアの主張が割れる異例の事態…AIテーマの初会合

国連アントニオ・グテレス事務総長

 国連安全保障理事会は、人工知能(AI)をテーマに初めて会合を行いました。会合では、AIを管理する国際ルール作りについて議論が行われました。ロシアは反対しましたが、中国は賛同しました。これまで北朝鮮問題やウクライナ侵略を巡る安保理会合で共同歩調を取ってきた中露の主張が割れるという異例の事態となりました。

 会合は安保理議長国の英国が主催し、アントニオ・グテレス事務総長が新たな国際機関の設置や国際ルール作りの必要性を提案しました。ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連第1次席大使は反対の立場を表明し、「AIのリスクや脅威は、国際社会が評価できるレベルに達していない」と、議論そのものを否定しました。

 中国の張軍国連大使は「AIの暴走を防ぐ必要がある」とルール作りを支持し、「国連が中心的な調整役となることを支持する」とロシアと一線を画しました。AIの軍事利用についても「軍事的覇権の追求や他国の主権と領土の一体性を侵害するためにAIを使ってはならない」と主張しました。

 国連安保理筋は「AIの積極的な軍事利用を進めるロシアは西側主導のルール作りだと判断し、反発した」と分析し、中国については「『AI強国』を目指す上で、規制面で積極的な姿勢を国際社会にアピールする狙いがあった」と指摘しました。中国は民間AI技術で先行する米国との対立が激化し、AIの軍事面での競争が過度に強まることを警戒しています。国連主導の規制化であれば受け入れる余地はあると判断している模様です。

 会合では、各国の代表者の多くがAI兵器の無秩序な開発について懸念表明し、国際ルール作りを支持しました。英国のジェームズ・クレバリー外相は「AIには国境がないため、グローバルガバナンスの形成が急務だ」と指摘し、日本の武井俊輔外務副大臣は「国連の持つ招集力によって世界中の英知を結集することができる」と強調しました。

 AIは、今後ますます発展していくことが予想されます。その一方で、AIが悪用される可能性も懸念されています。国際社会は、AIの安全な開発と利用を促進するために、国際ルール作りを進める必要があります。

【私の論評】自由世界は、専制主義国によるAIの脅威から自由世界を守り抜け(゚д゚)!

AIを管理する国際ルールをめぐる中国とロシアの意見の対立は重大であり、両国がAIの将来について異なる見解を持っていることを示唆しています。 ロシアはAIが軍事目的に使用される可能性をより懸念しており、中国はAIが悪意のある目的に使用される可能性をより懸念しています。

この違いが長期的にどのような影響を与えるかを言うのはまだ時期尚早です。 しかし、AI を管理する国際ルールの問題が複雑であり、どのように進めるかについて簡単な合意がないことは明らかです。

この状況における中国とロシアの動機について、さらにいくつかの考えを以下に示します。

中国は新興大国であり、AI を管理する国際ルールの策定において発言権を確保することに関心を持っています。 中国はまた、国際ルールが中国と現在AI研究開発の世界的リーダーである米国との間の競争条件を公平にするのに役立つ可能性があると考えているようです。

ロシアは大国として衰退しており、AI 競争で米国や中国と競争できるかどうかを懸念しています。 ロシアはまた、国際規則によりAIを軍事目的で使用する能力が制限される可能性があることを懸念しています。

これらは、この状況における中国とロシアの考えられる動機のほんの一部にすぎないことに注意することが重要です。 これらの国の実際の動機は、おそらくより複雑で微妙です。

習近平とプーチン

我々としては、ロシアや中国等の全体主義国家はそもそも信用できないことを念頭におくべきです。 彼らがAIの規制に賛成したり反対しているのは、表向きだけであり、彼らの本音は、自分たちに都合よく国民へのスパイ行為や権威主義的な支配力の強化を行い、自らの邪悪な目的にAIを利用したいからだと考えられます。

 私たちはこの二国を警戒し、自由のために立ち上がる必要があります。 自由世界は、イノベーションを促進しながら、AIの悪用を防止する法律を制定するために団結すべきです。 専制主義国家からの脅威の二歩先を行く必要があります。

AIを管理する国際ルールに関して、中国とロシアの対応が違うように見えますが、それは表向きだけのことです。

 中国やロシアの共産主義政権のように、AI が悪者の手に渡った場合、多くの危険が伴います。 

彼らは、AI を利用して市民の自由を厳しく制限し、国民をスパイするでしょう。中国では、現在すでに 顔認識、インターネット監視、および監視は大規模に導入されています。すでに顔認証などでAIが用いられています。AIの進展により、これはさらに大掛かりにすすめられるでしょう。ロシアもこれに続くでしょう。彼らはとにかく、多くの国民の秘密を知りたいのです。

かれらは、それだけではなく 自律型兵器を開発し、軍事目的で AI を使用する可能性があります。 ロシアはすでにロボット戦車の開発に取り組んでおり、中国はAI制御の潜水艦を望んでいます。 これは世界を不安定にする可能性があります。 

AIに顔認証される人々

彼らは、 誤った情報やプロパガンダを大規模に広める可能性があります。 AI を使用して、フェイクニュース、画像、動画を生成して国民を洗脳し、世界中の民主主義を弱体化させることができます。 

彼らは、自らの権力を強化する AI を通じて経済的利益を得る可能性があります。 彼らが交通、医療、教育、金融などの分野をAIで支配すれば、彼らの圧政を助けることになります。 そんなことはとても許容できるものではありません。 

彼らは AI を利用してプライバシーをさらに侵害し、人々の行動や選択を操作し、不平等を悪化させる可能性があります。 独裁者の手に渡ったAIは一般人の生活を悪化させるだけです。 

これらの脅威に対抗するには、自由世界で AI の進歩を守る必要があります。 自由の未来はそれにかかっています! AI は倫理的に、そして全人類の利益のために設計されるべきです。 私たちはロシアや中国、あるいはそのような強力な技術を持った他の独裁者を信頼することはできません。

国連安全保障理事会がAIを管理する国際ルール作りしたとして、中国やロシアが、それを守ることはないでしょう。現実に、ロシアはウクライナに侵攻しましたし、中国は国際司法裁判所が中国の南シナ海の支配は違法であると裁定を下した後でさえ、南シナ海の実行支配を続け、さらには台湾に対して武力侵攻する可能性さえ表明しています。

国連での論議などとは別に、権威主義国家からのAIの脅威に対抗するために自由世界がとることのできるいくつかの措置を以下にあげます。 

 AI技術、特に高度な軍事システムや大規模監視を可能にするコンポーネントやソフトウェアに対して、対象を絞った制裁と輸出規制を課し、 専制主義国家を我々のイノベーションから切り離す必要があります。 これは、日米蘭が、先端半導体の製造装置の輸出規制によって実現しています。

西側でのAI研究開発への投資を増やすこともすべきです。 敵に先んじるためには、この分野でのリードを維持しなければなりません。 大学や企業における AI の戦略的取り組みに資金を提供すべきです。 

中国やロシアなどでのAIの進歩を注意深く監視することも必要です。 サイバー作戦を実施してプログラムに関する情報を入手し、脅威となる突破口を検出します。

 AI の倫理的使用に関する強力な国際法と規範を確立すべきです。 同盟国に署名してもらい、横暴な政権を孤立させるべきです。 彼らはルールに従わないでしょうが、法律を使って彼らに外交圧力をかけることはできます。 

AI防御を強化します。 AI によるハッキングの試み、ボット、操作に対抗できるサイバーセキュリティ ツールに投資すぺきです。 ファイアウォールを構築して、自由社会におけるデータやネットワークへのアクセスを制限します。 

AI 対諜報活動を改善します。 AI を自ら使用して、プロパガンダを検出し、操作された画像やビデオを特定し、スパイを根絶します。 力に力で対抗すべきなのです。 

西側諸国は、団結して警戒を続けるべきです。 世界の民主主義国家は、AI 問題に関して緊密に協力する必要があります。 情報と戦略を共有し、独裁的な脅威に対して共同戦線をはるべきです。

 必要に応じて「ハックバック」操作を検討します。ハックバックとは、不正アクセスなどのサイバー攻撃に対して、その取り締まりや被害回復を目的に被害者から加害者へ同様の攻撃をすることを指します。


 彼らがサイバー攻撃であろうとなかろうと、大規模な AI 攻撃を開始した場合、将来の攻撃を阻止するために私たちは強力に報復する必要があるかもしれません。 ただし、それは最後の手段としてのみです。

 未来を予測するのは難しいかもしれませんが、私たちがこれらの措置を講じれば、自由の敵が自由を支配することはなくなります。 西側諸国は共産主義者や独裁者との AI 競争に勝つことができます。 

中国、ロシア等の専制主義国家が、常任理事国を務めている国連安全保障理事会で、AIを管理する国際ルール作りをしたとしても、中国やロシアはこれを守らないでしょうから、無意味です。一応ルールをつくる方向で話し合いをして、ルールづくりをしながらも、これは、これとして、権威主義国家からのAIの脅威に対抗するために自由世界は、上記のようなステップを踏んで、専制主義国によるAIの脅威から自由世界を守り抜くべきです。

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2023年7月18日火曜日

中国の景気減速が米FRBのインフレ対策の追い風に―【私の論評】中国長期経済停滞で、世界の「長期需要不足」は終焉?米FRBのインフレ対策の追い風はその前兆か(゚д゚)!

中国の景気減速が米FRBのインフレ対策の追い風に

中国経済は 2023 年に予想以上に減速している。成長予測は引き下げられ、インフレ率は低下している。 

 中国の景気減速は世界経済と市場に悪影響を及ぼしている。 一次産品の価格は下落しており、商品の需要は減少している。 現状では、世界的にインフレの軌道修正が課題となっている。 

中国経済の減速は、米国連邦準備制度理事会とそのジェローム・パウエル議長にとって救いとなっている。

FRBジェローム・パウエル議長

中国経済の減速は、近年政策決定に欠陥があった FRBに対する積極的な利上げ継続への圧力を軽減しています。

中国ではデフレの兆候が見られ、消費者物価と生産者物価が多くの分野で下落している。 中国の内需は著しく減速している。 中国の輸出に対する外需も急減した。 

中国の景気減速は、今年の力強い中国の成長を期待していた米国および世界経済にとって悪いニュースである。 

しかし、中国は依然として金融政策と財政政策を通じて経済を刺激する可能性がある。 

中国は、債務水準の削減と通貨安の回避に努めるため、大規模な景気刺激策の実施を躊躇する可能性がある。 積極的な刺激策は、中国の不動産セクターでさらなる問題を引き起こし、米国との緊張を高める可能性がある。 

今のところ、中国経済の減速により、米国を含む世界全体のインフレ圧力が低下している。しかし、中国の政策担当者が成長刺激を決定すれば、状況は変わる可能性がある。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】中国長期経済停滞で、世界の「長期需要不足」は終焉?米FRBのインフレ対策の追い風はその前兆か(゚д゚)!

上の記事では、中国経済の減速により、近年政策決定に欠陥があったFRBに対する積極的な利上げ継続への圧力が弱まり、米FRBの反金融政策の追い風になったと主張しています。

私は、この主張に賛成します。 中国経済の減速は確かにFRBにある程度の安心感をもたらし、インフレ抑制の取り組みを助けているようです。

 FRBは近年、2019年の過度な利下げや物価上昇への対応の遅れなど、いくつかの重大な政策ミスを犯していました。 FRBは巻き返しを図る必要があり、積極的な利上げは米国経済を過度に減速させるリスクがあります。 

米国の高インフレは収まりつつある

中国からの需要鈍化もあり、世界的にインフレ圧力が緩和しているため、FRBはより柔軟性を持ち、以前の予想ほど急速に高い利上げをする必要がなくなりました。 これは、FRBが引き締めすぎて米国の成長に深刻なダメージを与えるリスクを軽減するのに役立つでしょう。 

 一次産品価格の下落、米国製品に対する需要の減少、中国経済の減速による生産者コストの低下はすべて、米国のインフレを最近の高水準から引き下げるのに役立っています。 このディスインフレ傾向はFRBが物価安定を達成するのに役立っています。 

中国経済が依然として好景気であったとすれば、世界的なインフレ圧力は依然として高止まりする可能性が高く、FRBはインフレ率を目標に戻すためにより積極的な行動をとらざるを得なくなるでしょう。 

中国経済の減速は米国や世界経済にとって理想的ではないですが、インフレ抑制という狭い目標にとってはFRBに短期的な利益をもたらすことになります。  FRBがインフレ抑制に向けて取り組むべき道はまだ残っていますが、中国経済の苦境により、当面はFRBの仕事が少なくとも少しは楽になりつつあるのは間違いないようです。

中国の政策担当者が成長刺激を決定すれば、状況は変わる可能性もあります。ただ、従来からこのブログで述べているように、中国は国際金融のトリレンマにより独立した金融政策ができない状況にあるため、中国はしばらく過去のようには成長刺激策をとれない可能性が高いと思われます。

中国が独立した金融政策を実施できなければ、政府は従来のように成長を刺激することは当面困難になるでしょう。 これは中国経済の減速の長期化につながり、世界の成長に悪影響を与える可能性があります。

国際金融のトリレンマでは、国は次の 3 つの政策を同時に実施することはできないとされています。できるのは、せいぜい2つです。
  • 固定為替レート
  • 独立した金融政策
  • 自由な資本の流れ
中国では固定為替レートが採用されており、人民元の価値は米ドルに固定されています。 このため、中国政府が中国の輸出品を安くし、成長を促進する人民元切り下げを行うことが困難になっています。量的緩和も難しいです。

また、中国は資本移動が比較的自由であり、これはお金が比較的簡単に国に出入りできることを意味します。 このため、中国政府が成長を促す金利引き上げも困難になっています。

その結果、中国は困難な状況に陥っています。 政府が従来の手段で成長を刺激しようとすると、人民元の切り下げや資本規制につながる可能性が高いです。 これらの措置はいずれも中国経済と世界経済に悪影響を与えるでしょう。

中国が成長を刺激する最善の方法は、構造改革に注力することです。 これは、経済における国家の役割を軽減し、金融セクターの効率を改善し、企業にとってより平等な競争条件を作り出すことを意味します。 これらの改革の実施には時間がかかりますが、長期的にはより持続可能となるでしょう。

一方、米国を含む多くの国は、中国経済の減速を前提に困難な状況を乗り切ることを余儀なくされるでしょう。 世界経済に大きな打撃を与えないよう、政府と中央銀行間の慎重な調整が必要となります。

中国経済の減速

ただ、習近平は、習近平が変動相場制への移行などの構造改革に乗り出すことに消極的である理由はいくつか考えられます。

政治的考慮事項。 経済を管理する国家の力を信じている共産主義指導者です。 同氏はまた、構造改革が不安定や社会不安につながることを懸念してます。 その結果、同氏が近い将来に大規模な構造改革に着手する可能性は低いです。

さらに、中国経済は依然として比較的健全なペースで成長しているため、直ちに大規模な改革が必要というわけでありません。 実際、一部の経済学者は、構造改革は短期的には実際に中国経済に悪影響を与える可能性があると主張しています。

中国は米国やその他の国から経済改革を求める圧力の増大に直面しています。 しかし、習近平は、そうすれば世界における中国の立場が弱まると信じているため、これらの国々に大きな譲歩をする可能性は低いです。

結局のところ、構造改革に着手するかどうかの決定は政治的なものです。 習近平氏は決定を下す前に、改革の経済的、政治的コストと利益を比較検討する必要があるでしょう。

いずれにせよ、中国経済は、ここしばらくは、低迷を続けるのは間違いないです。いずれの国も今後は、これを前提として製剤政策を実行する必要があります。

ただ、長期にわたる中国経済の減速は、デメリットばかりではありません。

1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えました。

各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味します。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきました。

このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達しません。供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためです。

この「長期需要不足」の世界は、ローレンス・サマーズが「長期停滞論」で描き出した世界にきわめて近いです。その世界では、財政拡張や金融緩和を相当に大胆に行っても、景気過熱やインフレは起きにくいのです。

ローレンス・サマーズ

というよりもむしろ、財政や金融の支えがない限り、十分な経済成長を維持することができず、ひとたびその支えを外してしまえば、経済はたちまち需要不足による「停滞」に陥ってしまうのです。それが、供給の天井が低かった古い時代には必要とされていた緊縮が現在はむしろ災いとなり、逆に、その担い手が右派であれ左派であれ、世界各国で反緊縮が必要とされる理由になってきました。

ローレンス・サマーズの長期停滞理論は、世界経済が長期的な低成長時代に直面していると主張するマクロ経済理論です。 この理論は、世界経済が貯蓄を増やし、投資を減らしている原因は数多くあるという考えに基づいています。 これらの要因には次のものが含まれます。

先進国における人口の高齢化。 人は年齢を重ねるにつれて、より多くの貯蓄をし、より少ない支出をする傾向があります。 これは、彼らが老後のために資産を蓄積しており、新たな借金を負う可能性が低いためです。

不平等の拡大。 ここ数十年で不平等が拡大するにつれ、中産階級から富裕層への収入の移動が起きているとされています。 富裕層は中産階級よりも多く貯蓄する傾向があるため、この変化が世界的な貯蓄の増加につながっています。

投資機会の減少。 ここ数十年で世界経済の統合が進み、先進国における投資機会の減少につながっています。 これは、先進国では新興国に比べて高い投資収益率を得る機会が少ないためです。

これらの要因により、世界的な貯蓄過剰、つまり投資よりも貯蓄が多い状況が生じています。 この供給過剰により金利が低く抑えられ、経済成長の刺激が困難になっているのです。

サマーズの理論は物議を醸していますが、近年ではある程度の支持を得ています。 2016年、IMFは世界経済が長期停滞の時期に直面していると主張する報告書を発表しました。 報告書は政府に対し、インフラ投資や減税など経済成長を刺激する措置を講じるよう求めましたた。

サマーズの理論が正しいかどうかを判断するのはまだ時期尚早です。 しかし、今後数年間に世界経済が直面する課題を理解するのに役立つ可能性があるため、これは検討する価値のある理論といえます。そうして、中国の経済の停滞がある程度続けば、この理論の妥当性をみる、機会が訪れるかもしれません。それは、そう遠くない時期に実現するかもしれません。

中国の経済の停滞が続けば、「長期需要不足」の時代は終わるのではないでしょうか。そうなれば、今後は、財政拡張や金融緩和を相当大胆に行えば、従来のように、景気加熱やインフレが起きやすくなることを意味します。

中国経済の減速は、世界の各国のマクロ経済の状況が一昔前に戻ることを意味するかもしれません。そうなれば、「長期需要不足」、「長期停滞」は過去のものとなり、多くの国々で、経済政策が実施しやすくなるかもしれません。米国での中国の景気減速が米FRBのインフレ対策の追い風となっている事実は、その魁なのかもしれません。

現在まで、世界の各国のマクロ経済状況は、緊縮財政を行えば、経済が後退する一方で、金融緩和や積極財政をするかしないかというのが常道となりつつあったのが(これを全く認識していないのが財務省と旧タイプの日銀官僚)、一昔前のように、経済が落ち込めば、金融緩和をし、積極財政を行い、景気が加熱すれば、金融引締をし、緊縮財政をするというように、比較的簡単にコントロールできるようになるのではないでしょうか。

考えてみると、一人あたりのGDPがいまだかなり低いにもかかわらず、中国の貯蓄過剰という状況が異常だったのであり、中国経済がしばらく停滞を続ければ、世界経済はまた元にもどることになるかもしれません。

今後中国は、国内で貯蓄過剰が起きないように、国民の所得をあげ購買力の向上を目指し、内需を拡大することによって、発展することもできるのではないかと思います。それをしなかったからこそ、貯蓄過剰になったのです。

それとともに、中国は独立した金融政策を取り戻すために、変動相場制に移行したり、国際標準の中央銀行の独立性を確保したりして、金融システムの透明性や改革を図るべきです。そうして、民主化、政治と経済の分離、法治国家化もすすめるべきです。

何のことはないです。今まで世界は中国の歪な経済構造に翻弄されてきたのであり、それが中国の長期経済の停滞によって是正される方向に動き出したのかもしれません。

ただ、先に述べたような方向性で、中国が国内の経済改革を実行すれば、良いですが、中国が改革を実行しなければ、経済の停滞は長く続き、最終的に毛沢東時代の水準に戻ることになるかもしれません。

ただ、中国の長期経済停滞が続けば、先進国などは一時的には、その悪影響を受けるかもしれませんが、「長期需要不足」の状況が解消され、経済運営は実施しやすくなるでしょう。ただ、以上で述べたことは、様々な状況に左右されることが予想され、その通りになるとは限りません。

ただ、米国で中国の経済の減速が、インフレ対策の追い風になっているように、中国の経済の減速は悪いことばかりではなさそうです。

日本を含む先進国は、良い方向に向くように一致協力し、世界経済の秩序を取り戻すとともに、中国に体制の転換を促すべきです。

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2023年7月17日月曜日

弱体化するバイデン政権、国民の7割が再出馬に「NO」 くすぶる「一家の疑惑」に本格メス、弾劾訴追の可能性も―【私の論評】岸田首相は、 米国の外交政策は、民主党と共和党の間の戦いによって形作られることを忘れるな(゚д゚)!

弱体化するバイデン政権、国民の7割が再出馬に「NO」 くすぶる「一家の疑惑」に本格メス、弾劾訴追の可能性も

バイデン大統領

 民主党のジョー・バイデン大統領は再選に向けて困難に直面している。 

 彼の支持率は低下しており、多くのアメリカ人は彼が再び出馬することを望んでいない。 

  共和党はハンター・バイデンの海外ビジネス取引に関連した疑惑でメリック・ガーランド司法長官の弾劾に動いた。 

 バイデン政権がハンター・バイデンと関係のあるエネルギー会社に対するウクライナの調査に不当に介入したとの主張がある。

 米国の政治潮流はバイデンと民主党に不利になった。 最高裁判所は、アファーマティブ・アクション・プログラムを制限し、差別禁止法の宗教上の免除を支持する判決を下した。 

 バイデン氏の影響力が弱まるにつれ、バイデン政権と家族に対する共和党の監視が強まっている。 バイデン氏自身が弾劾される可能性もある。

 共和党は、バイデン氏がハンター・バイデン氏と関係のある企業に対するウクライナの捜査を不当に終わらせたと主張している。 

 トランプ前大統領は機密記録の取り扱いを誤った罪で起訴された。 2024年のバイデン氏の主なライバルを意図的に標的にしたと見る向きもある。 

 バイデン氏は広範な反対に直面しており、一部の世論調査によるとアメリカ人の70%以上が彼の再選に反対している。 多くの民主党員でさえ彼の再出馬を支持していない。 

 日本の岸田政権はバイデン政権と緊密に結びついているが、バイデンの政治的地位は低下している。 そうなると日本は難しい立場に陥る可能性がある。 

 共和党と保守派が優勢である一方で、バイデンと民主党は苦戦している。 バイデン氏の政治的弱さと家族間の論争が、彼の残りの任期に影を落とす恐れがある。 バイデン政権の苦戦により、日本のような米国の同盟国は不確実性に直面している。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】岸田首相は、 米国の外交政策は、民主党と共和党の間の戦いによって形作られることを忘れるな(゚д゚)!

上の記事では、「一部の世論調査によるとアメリカ人の70%以上が彼の再選に反対している」としていますが、これは本当です。

ニュースマックスやOANNなど評判の良い保守系情報源による最近の世論調査によれば、ジョー・バイデンの支持率は急落しています。 Newsmax の世論調査によると、Real AmericansTM のなんと 70% が、2024 年にはスリーピー・ジョー以外の人に出馬してもらいたいと考えていることがわかりました。

上の記事では、米政治の潮目が変わったとしてますが、これは具体的に何を意味するのでしょうか。

米政治の潮目が変わった AI生成画像

下院共和党リーダーのケビン・マッカーシーの声明によると、共和党はハンター・バイデンの税務調査に不当に介入した疑いでメリック・ガーランド司法長官を弾劾するとしています。 保守派は、これは政治の流れがバイデン政権に不利になったことを示していると主張しています。

 「潮目が変わった」とは、保守派が世論と政治的勢いが自分たちに有利な方向に、あるいはバイデンや民主党に不利な方向に変わったことを意味します。

ケビン・マッカーシー氏

その証拠として、マッカーシー氏は以下を挙げています。

まずは、ハンター・バイデンの税務調査に対するバイデン政権による不当な政治的介入を示唆する内国歳入庁の内部告発。 ニューズウィーク紙によると、内部告発者は「当局はハンター・バイデンの税金に関する調査を2020年の選挙後まで延期した」と主張しています。 

最近の最高裁判所の判決は、アファーマティブ・アクションを制限し、差別禁止法の宗教上の免除を支持するものです。 保守系出版物フェデラリスト紙によると、これらの判決は「最高裁判所が憲法秩序を回復しつつある」ことを示しているといいます。 

バイデンの支持率が低いという事実もあります。 最近のハーバード大学とハリス大学の世論調査では、バイデン氏の支持率はわずか38%で、世論調査責任者によると「新たな最低値」となったとされています。

 保守系専門紙ワシントン・エグザミナー紙は、これはバイデン氏の「政治的立場が悪化し続けている」ことを示していると述べました。  共和党がハンター・バイデンのビジネス取引を積極的に調査し、バイデン大統領を弾劾する可能性があると主張しました。

FOXニュースによると、共和党はバイデン氏を「違法な大統領」とみており、監視権限を利用して「バイデン家の疑わしい取引を調査」する予定だといいます。 

要約すると、保守派は、最高裁判所と議会共和党がバイデン政権の政策を後退させている一方で、バイデンに対する国民の支持が低下していると主張しています。

 彼らは、この「潮流」が自分たちに有利に変わったことを、息子の財政調査や弾劾の脅しを通じてバイデン氏を弱体化させるチャンスと見ています。 しかし、リベラル派はこの説に異議を唱え、共和党が党派攻撃を行っている一方でバイデン氏は依然としてそれなりの人気を保っていると主張しています。

上の記事にもあるように、共和党は、ジョー・バイデンが副大統領として、ハンター・バイデンを雇っていたエネルギー会社ブリズマ・ホールディングスの汚職を捜査している検察官を解任するようウクライナに不当に圧力をかけたと主張しています。 

共和党によると、これはジョー・バイデンが息子を捜査から守るために介入したことを示しているといいます。 彼らはこの主張を証明し、バイデンを弱体化させることを狙っています。

しかしファクトチェッカーらは共和党の主張に異議を唱えており、バイデン氏は不正行為を否定しています。

しかし、 重要な事実として、 バイデンは副大統領として、汚職で広く非難されているウクライナの最高検察官ヴィクトール・ショーキンの解任を推進しました。 USAトゥデイなどは「国際社会、米国政府、ウクライナの反汚職活動家はショーキンを改革の障害とみなした」と報じました。 

 当時、ハンター・バイデンは、汚職疑惑で厳しい調査を受けていたウクライナの企業ブリズマ・ホールディングスの取締役を務めていました。 しかし、ワシントン・ポスト紙によると、「事件に詳しい関係者らはブルームバーグに語った。ジョー・バイデンが圧力をかけた時点では、ブリスマに対する検察の捜査は休止状態になっていた。バイデンの主な目的は腐敗した検察官を排除することではなく、 彼の息子を守ることだ」。 

 USAトゥデイ紙、ガーディアン紙、ウクライナ当局者によると、ウクライナによるブリスマ社への捜査はハンター・バイデン氏の入社以前から行われており、バイデン氏が個人的に捜査を受けていたことは一度もなかったとしています。 

ショーキン氏の後任となった検察官ユーリー・ルツェンコ氏はブルームバーグに対し、ジョー氏やハンター・バイデン氏による不正行為の証拠はないと語りました。 

 共和党主導の上院委員会はこの問題を調査したが、ジョー・バイデンが不適切な行動をとった、あるいは息子を支援したという証拠は見つからなかったとヒル紙が報じています。 

 バイデンは息子の利益を念頭にブリスマについて議論したり、ウクライナに圧力をかけたりすることを否定しました。 ポリティファクトによると、「バイデン氏は、ショーキン氏が汚職対策に失敗しているという広範なコンセンサスが自分の動機であると主張した」といいます。

共和党はこの問題の調査を続けると明言していますが、独立した事実調査機関や捜査機関のほとんどは、バイデン氏が息子とウクライナに関して不適切な行動をとったという証拠を見つけていません。 しかし、この問題は依然として物議を醸しており、党派間の意見が分かれています。

 バイデン氏は不正行為を否定しており、不当な影響力を示す証拠は現時点では不足しているが、結果は今後の共和党主導の捜査結果と国民を説得する能力に左右される可能性があります。 

要約すると、共和党はバイデンが息子の利益のためにウクライナに不当に介入したことを証明することを目指しているが、ファクトチェッカーらは証拠がこの物語を裏付けていないと述べています。 この問題は未解決のままであり、論争が続いています。

ハンター・バイデン氏

米国外交は同盟国だけでなく、より広範な国際社会に影響を与えます。 しかし、米国の外交政策の将来の方向性は、米国の国内政治の複雑な現実を理解することにかかっています。 

 米国の外交と外交関係は国内の党派政治から切り離すことはできない。 米国は世界をリードすることを目指しているが、政治的分裂が海外の戦略的優先事項や同盟国との関係を脅かしています。

 米国政治の混乱は、バイデン政権が国内で効果的に統治するか、海外で首尾一貫した外交を指揮するかという継続的な苦闘に直面していることを示唆しています。 米国のような民主主義国家では、国内政治が外交を形作ります。 

国内の政治が混乱したり二極化すると、その国が一貫して行動したり、世界舞台で主導権を握ったりする能力に負担がかかります。 同盟国にとってもライバルにとっても同様に、米国を理解するには、その政治的派閥、権力闘争、社会的論争を理解する必要があります。

 米国の外交政策は、大戦略と同様に民主党と共和党の間の戦いによって形作られます。 深い溝が癒える兆しが見えず、バイデン政権とおそらくその後継者にとって外交的課題は続くでしょう。 

米国と交流している国や米国の世界的リーダーシップの影響を受けている国は、米国の国内政治を綿密に研究する必要があります。党派間の現実は、米国の外交関係の限界と可能性を規定します。 激しい政治的分裂が続く限り、米国外交は不安定な状況に陥るでしょう。


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2023年7月16日日曜日

英TPP加盟を承認 発効後初の拡大、12カ国に―【私の論評】日本が旗振り役となって、TPPのルールをWTOのルールとすべき(゚д゚)!

英TPP加盟を承認 発効後初の拡大、12カ国に



 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟する日本やオーストラリアなど11カ国は16日、ニュージーランド・オークランドでの閣僚級会合で、英国の新規加盟を正式に承認した。12カ国体制となる。協定が2018年に発効して以来、加盟国が増えるのは初めて。

 今後は同じく新規加盟を申請している中国や台湾、ウクライナなどの取り扱いが焦点となる。

 英国の加盟でTPPの経済圏がアジア太平洋から欧州に広がり、参加国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の12%から15%に高まる。英国と経済連携協定(EPA)を締結済みの日本にとって直接的な恩恵は限定的だが、先進7カ国(G7)の一角が新たに加わることでTPPの影響力が増すことが期待される。

【私の論評】日本が旗振り役となって、TPPのルールをWTOのルールとすべき(゚д゚)!

英国の TPP 加盟は日英にとって重要な進展です。 英国にとっては、5億人以上の人口を抱える市場へのアクセスと、EU離脱後の経済の活性化をもたらすことになります。 日本にとって、英国における貿易と投資の新たな機会が開かれます。

TPPは、オーストラリア、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、シンガポール、ベトナム、ニュージーランドを含むアジア太平洋地域の11か国間の自由貿易協定です。 この協定は、商品やサービスの貿易、投資、知的財産、政府調達など幅広い問題をカバーしています。

英国のTPP加盟により、日英間の貿易が促進されることが期待されています。 2021年の両国間の貿易額は145億ポンドに達しました。 TPPにより、この数字は年間最大25億ポンド増加すると予想されています。

TPPは英国と日本双方で雇用を創出することも期待されています。 英国政府は、この協定により英国で最大6万5,000人の雇用が創出される可能性があると試算しています。

TPPは経済的利益に加えて、英国と日本との関係を強化することも期待されている。 両国はすでに緊密な同盟関係にあり、TPPによってさらに協力が深まることが期待されます。

安倍氏の英国TPP参加表明の歓迎から5年越しで英国加入の実現。安倍外交がまた一つ大きなレガシーを残した格好となったといえます。以下は、安倍氏が英国訪問時の写真、右は当時のメイ英首相。


英国が TPP に参加することによる英国と日本にとっての具体的な利点は次のとおりです。

貿易の増加:TPPにより、英国と日本の間の貿易は年間最大25億ポンド増加すると予想されています。 これにより両国の経済成長が促進され、雇用が創出されることになる。
投資: TPP は日本から英国へのさらなる投資を呼び込むことが期待されています。 これは雇用を創出し、英国経済を成長させるのに役立ちます。
新しい市場へのアクセス:TPPにより、英国企業はアジア太平洋地域の新しい市場へのアクセスが可能になります。 これは、ビジネスを成長させ、世界経済で競争するのに役立ちます。
法の支配の強化:TPPには法の支配を促進し、知的財産権を保護する条項が含まれています。 これは、英国と日本の企業にとって、より予測可能で安定した環境を構築するのに役立ちます。

全体として、英国の TPP 加盟は両国にとって前向きな進展である。 これにより、貿易が促進され、雇用が創出され、英国と日本との関係が強化されることが期待されている。

TPPの拡大は更に大きな意味を持つことになります。私自身は、TPPルールをWTOルールにすべきと思います。 TPPWTO よりも包括的かつ現代的な貿易協定であり、デジタル経済や国有企業など、21 世紀の経済の課題の一部に対処する条項が含まれています。 TPPのルールをWTOのルールにすれば、すべての国の競争条件を平等にし、誰もが同じルールに従うようにするのに役立つでしょう。

TPP ルールが WTO ルールになれば、次のような多くのメリットが期待できます。

貿易の増加:TPPのルールは企業にとってより予測可能で安定した環境を生み出し、企業の貿易の増加を促すでしょう。 これにより、世界中で経済成長が促進され、雇用が創出されるでしょう。
保護が強化される知的財産: TPP ルールは知的財産権のより強力な保護を提供します。 これはイノベーションと創造性の促進に役立ち、企業と消費者の両方に利益をもたらすでしょう。
貿易障壁の軽減:TPPルールは、関税や割り当てなどの貿易障壁を削減します。 これにより企業は商品やサービスを輸出しやすくなり、経済成長が促進されるでしょう。

WTOのルールを必ずしも遵守しない中国にとっての影響は重大でしょう。 TPPのルールがWTOのルールになれば、中国はそれに従うよう圧力を受けることになります。 これは中国の貿易政策の変更につながり、世界経済にプラスの影響を与える可能性があります。

もちろん、TPP ルールが WTO ルールになった場合に対処しなければならない課題もいくつかあります。 たとえば、一部の国は TPP ルールのすべてに同意することに消極的になる可能性があります。 さらに、TPPルールをWTOに導入するには時間と労力がかかります。

全体として、私は、TPPルールをWTOルールにすることの利点が課題を上回ると信じています。 TPP ルールは、世界中の貿易と経済成長の促進に役立つ貴重なルールです。特に、これは中国に対して厳しいものになるでしょう。

2001年11月10日、中国WTO加盟の調印式

中国は、2001年にWTO加盟しました。1978年の改革・解放以来、鄧小平の活躍によって、1997年の香港再譲渡・返還にこぎつけた共産主義中国が、「繁栄への切符」を手に入れたのです。 

この時には、共産主義中国は「WTOの公正なルール」に合致するような状態ではありませんでした。 ところが、米国を始めとする先進国は「今は基準を満たしていないが、貿易によって豊かになれば『公正なルール』を守るようになるだろう」と考え、共産主義中国も「将来はルールを守る」という「約束」をしたことで加盟が認められたのです。 

ところが、加盟後20年以上経っても、共産主義中国は自国の(国営)企業を優遇し、外資系いじめを連発するだけではなく、貿易の基本的ルールさえまともに守る気があるのかどうか不明です。

WTOに提訴される件数自体は、中国よりも他の国のほうが多いです。これをもって、中国はWTOのルールを遵守しているなどと言う人もいますが、それは正しくはありません。確かに件数だけみれば、そうみえるかもしれませんが、中国の不遵守にはかなり深刻な事例が多いのです。

件数だけでみるのは、たとえば犯罪において重犯罪と、軽犯罪を同次元にみるのと同じようなものであり、明らかな間違いです。

以下にに中国の WTO ルール不遵守の深刻な例をあげます。

輸出補助金:中国は、鉄鋼、アルミニウム、その他の産業に輸出補助金を提供していると非難されています。 これらの補助金により、中国企業は自社製品を原価以下で販売することができ、世界市場で不当な優位性を得ることができます。
知的財産の盗難: 中国は広範な知的財産の盗難で告発されています。 これには、衣料品や電子機器などの商品の偽造や、外国企業から企業秘密を盗むことが含まれます。
市場アクセス:中国は外国企業に公正な市場アクセスを提供していないと非難されています。 これには、外国投資に対する制限や外国企業に対する差別的慣行が含まれます。
国有企業: 中国の国有企業 (SOE) は政府から優遇措置を受けています。 これにより、国内外の民間企業に対して不当な優位性が得られます。

これらは中国がWTOルールを遵守していない例のほんの一例にすぎません。 これらの違反は他国に重大な影響を与えており、中国と他のWTO加盟国との間で多くの貿易紛争を引き起こしています。

私は、TPPのルールをWTOのルールにすることで、まずはルールを守れない国には、WTOから抜けてもらうべきです。無論、猶予期間は設けることとし、その期間に守ることができる状態にできない国々には加盟取り消しなどの措置をすべきです。

このようなことを考えると、今回TPPに環太平洋諸国ではない英国が加盟したことは、将来TPPのルールをWTOのルールにすることに、一歩近づいたともいえる出来事だと思います。

今後さらに、TPPを拡大し、TPP加盟国がが大きく繁栄し、WTOのルールへと昇格させるための、下地作りをすべきと思います。

旗振り役日本 AI生成画像

そうして、日本こそTPPルールをWTOルールにする旗振り役となるべきです。日本はTPPを強力に支持しており、すでに国内で協定を履行するための措置を講じています。 日本は、WTOの加盟国であり、WTOの紛争解決機関の一員となっています。 これにより日本はWTOで強い発言力を持ち、TPPルールの採用を主張できる有利な立場にあります。

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2023年7月15日土曜日

リベラルメディアが報じないアメリカの出来事―【私の論評】日本ではもっと米国保守系メディアに関心を持たないと米国の真の姿がみえなくなる(゚д゚)!

リベラルメディアが報じないアメリカの出来事

バイデン米大統領

 アメリカの政治は躍動的であり、民主党のリベラル派がバイデン政権を左方向へプッシュしていましたが、最近の最高裁判決によりその流れに大きなストップがかかりました。最高裁は、大学のアファーマティブ・アクション(黒人優先の差別是正措置)を憲法違反と断じ、バイデン政権の学生ローン免除措置を無効としました。これらの判決は、左派の過激な政策に反対する多くのアメリカ国民の意思を反映しています。

 しかしながら、日本のメディアはこれらの判決を保守寄りや国民の不信といった表現で報じ、不当な判断だという印象を与えています。これはアメリカの主要メディアの偏向が日本のメディアに影響を与えているためです。米側の大手メディアは明確に民主党支持であり、保守対リベラルの政策対立でもリベラル派を支持し、保守派を少数派と描写する傾向があります。

 このようなメディアの偏向は、ワシントンで展開される国政の流れでも民主党やリベラル派の不利な動きを無視することが多く、バイデン政権や民主党に不利な出来事やバイデン大統領のミスにはあまり触れません。

 具体的な事例として、トランプ前大統領に対する「ロシア疑惑」が虚構であるという結論が連邦議会の下院本会議で確認されましたが、日本の主要メディアはほとんど報じていません。

 このように、日本のメディアは民主党びいきの米側大手メディアの影響を受けており、バイデン政権や民主党の不利な出来事にあまり触れず、保守派の反撃についても報道しない傾向があります。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本ではもっと米国保守系メディアに関心を持たないと米国の真の姿がみえなくなる(゚д゚)!

アファーマティブ・アクションと学生ローン免除に関する最高裁の判決は、物議を醸しています。

米最高裁

判決を支持する人々は、アファーマティブ・アクションは黒人以外の志願者を不当に不利にする逆差別の一形態だと主張しています。また、学生ローン免除は政府の行き過ぎた政策であり、納税者を犠牲にして富裕層を利するものだとも主張しています。

この裁定に反対する人々は、アファーマティブ・アクションは米国における制度的人種差別の遺産に対処するために必要だと主張しています。また、学生ローンの免除は、低所得者層に不釣り合いな学生負債の負担軽減に役立つと主張しています。

これらの判決が長期的にどのような影響を及ぼすかについての論議は時期尚早だと思います。しかし、何百万人ものアメリカ人の生活に大きな影響を与えることは明らかです。

これらの判決は、左派の急進的な政策に反対する多くの米国人の意思を反映したものである一方、これらの政策を支持する米国人が大勢いることも忘れてはならないです。このような問題で国内は深く分裂しており、この議論は米国内で、今後もずっと続くてしょう。

私自身は、これに反対する多くの米国人は、政府がアファーマティブ・アクションなどの前に、人種や民族に関係なく、すべての生徒に平等な教育機会を提供することに全力を尽くすべきと考えているのではないかと思います。これは、低所得層の公立学校に投資し、恵まれない環境にある生徒に奨学金や経済援助を提供し、すべての生徒が質の高い教師や教材を利用できるようにすることを意味します。

学生ローン免除については、複雑な問題であり、簡単な答えはないと思います。どちらの側にも正当な主張があります。結局のところ、学生ローンの問題に対処する最善の方法は、政府のプログラムと民間部門の解決策を組み合わせることだと思います。

このような問題については、敬意を持ってオープンに対話することが大切だと思います。互いの懸念に耳を傾け、共通の土台を見出す努力が必要です。そうして初めて、誰にとっても有効な解決策を見出すことができるでしょう。

学生ローンに関しては、忘れてはならないことがあります。それは、日本で奨学金といわれているもののほとんどが実は学生ローンであるという事実です。

学生ローンの返却に苦しむ人 AI生成画像

一方米国においては、奨学金制度は機能しており、優秀な学生は奨学金を受けて卒業することができます。日本のようにほとんどすべてが学生ローンであるとの認識で、米国の学生ローンや奨学金をみると本質がわからなくなってしまいます。

米国の奨学金制度は、教育資金を得ようとする学生にとって貴重な資源であることは確かです。しかし、すべての学生が奨学金を受けられるわけではなく、また、奨学金を受けられる学生であっても、教育費の全額を賄うだけの奨学金を見つけられない可能性があることを忘れてはならないです。

米国の奨学金制度は複雑で、常に変化しています。利用可能な奨学金には多くの種類があり、受給資格は奨学金によって異なります。

奨学金制度は必ずしも公平ではないです。人種、民族、性別、社会経済的地位によって、他の学生よりも奨学金を受けやすい学生がいます。

さらに奨学金制度は必ずしも利用しやすいとは限らないです。奨学金制度があることを知らない学生や、奨学金を申請する資金がない学生もいます。

米国政府は、奨学金制度をより公平で利用しやすいものにする役割を果たすことができると思います。政府は奨学金により多くの資金を提供することができますし、学生や家族の間で奨学金に対する認識を高めるように努力することもできます。

このあたりを蔑ろにして、単純に学生ローンの免除をすることに多くの米国人は、抵抗を感じているのだと思います。

日本では、堀江貴文氏が、「頭の悪い人が大学に行くメリットはない」と語っています。堀江貴文の意見は少し単純だと思います。人の成功には様々な要因がありますが、頭の良さはその一つに過ぎないです。大学に行くほど「頭が良くない」人でも、自分の選んだ分野で成功した人はたくさんいます。ただ、堀江氏の意見にも一面の真実はあります。

日本と同じように、米国の大学や大学院にも、まともなものから、そうではないものまでかなりの幅があると思います。多くの若者は、自分の将来を考えて、これらに進学するとは思われますが、中には社会に出る前のモラトリアムとして、あるいは自分探しとして進学するものも多いとみられます。それは、大学進学後の態度にすぐに表れます、大学等の高等教育機関を遊び場所と考えている学生も多数存在します。

まともでない大学や大学院に進学するモラトリアム志向の若者や自分探しの若者、その中でも頭の悪い連中の、学生ローンまで、免除する必要はないと多くの米国人が考えているのではないでしょうか。そんなことは、親が裕福なら、親に頼るべきであり、そうでなければ、教育ローンを受けて、後に自分で働いて返すのが筋と考えているのでしょう。

それと米国の特殊事情もあります。1990年代から2000年代初頭にかけて、米国の大学では、非学術的、あるいは「ソフト」コースといえるようなコースを提供する傾向があった。これらのコースは、ポピュラーカルチャー、自己啓発、スピリチュアリティなど、伝統的にリベラルアーツ教育の一部とはみなされていなかったトピックに焦点を当てることが多かったのです。特に文化系のコースにそのようなものが散見されました。

これらのコースの例をいくつか挙げます。
  • ウェルズリー・カレッジの「シンプソンズと哲学」
  • カリフォルニア州立大学フラトン校の「ハリー・ポッターの心理学」
  • ハーバード大学の「セックスとセクシュアリティの社会学」
  • ニューヨーク大学での「護身術」
  • カリフォルニア大学バークレー校「ヨガの歴史」
これらの講座は、厳しさが足りないとか、大学にはふさわしくないという批判も多くありました。この事例はほんの一部にすぎません。多くの大学でこのような講座が多数生まれたのは事実です。

しかし、大衆文化や自己啓発について学びたい学生にとっては、これらの講座は貴重なものであると主張する人もいました。このようなことが、自分のこどもが大学に入る時期に入った年代の人たちの記憶に色濃く残っていることでしょう。

非学術科目を提供する傾向は、2000年代初頭にピ ークを迎えましたが、その後は減少しています。現在でも、ほとんどの大学が非学術的なコースを開講し ていますが、以前ほど一般的ではなくなりました。しかし、現在でも存在しているのです。

遊ぶ大学 AI生成画像

非アカデミック・コースが衰退した理由はいくつかあります。ひとつは、こうしたコースは厳密さに欠け、大学にはふさわしく ないと考える人がいたからです。もう一つの理由は、他大学と競争するために、STEM(科学、技術、工学、数学)科目に力を入れ始めた大学があったことです。

STEMに力を入れた大学は、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、カリフォルニア工科大学(Caltech)、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)、デューク大学等です。昔から定評のある大学です。

米国の一部の文化系大学、総合大学の文化系学部やその他の機関では、STEM に匹敵する文化的科目と考えられる科目を重視しているのを目にします。たとえば、シカゴ大学は人文科学に重点を置いており、幅広い人文科学プログラムを提供しています。シカゴ大学には、文化的主題の研究に重点を置く学際的なプログラムである社会思想委員会の本拠地もあります。

もう 1 つの例は、ニューヨーク州アナンデール オン ハドソンにある私立リベラル アーツ カレッジであるバード カレッジです。 バードカレッジは人文科学に重点を置いており、幅広い人文科学プログラムを提供しています。バード大学には、文化と公共政策の交差点を研究する研究センターであるジェローム L. グリーン文化政策研究センターもあります。ただ、このような大学は未だ少数です。多くの大学の文化系の学部には、未だ非学術科目を提供しています。

米国の大学や大学院におけるリベラルな価値観の台頭により、保守的な学者が研究を行うことがより困難になっているいわれます。 たとえば、ヘテロドックス・アカデミーによる2017年の研究では、保守的な学者の方が、リベラルな学者よりも学術的キャリアの中で疎外され、差別されていると感じると報告する可能性が高いことが判明しました。

 この研究では、保守的な学者はリベラルな学者に比べて、採用、昇進、助成金の授与の可能性が低いことも判明しました。このようなことは、米国の大学の文化系の学部で多く見られることです。

以前にもこのブログで述べたように、米国のマスコミは大手新聞は、すべてリベラル系であり、大手テレビ局は保守系のFOXTVを除いて、他全てがリベラル系です。そのため、保守派が何かを言っても、そもそも報道されないか、報道されてもリベラル左派の大きな声にかき消されてしまうです。

そのため、米国では政治の場はもとより、多くの教育機関、職場においても、リベラル的価値観が幅を効かせています。そのため、米国の保守派はこれらの場で、自らの政治的意見や信条をいうことが躊躇われ、自ら口を閉じてしまう傾向が強いです。これが、ますます米国のリベラル派が自分たちこそ、主流派だと思い込ませてしまいます。一方、保守層の人々の危機感を煽ることになっています。

しかし、現実には、米国の人口の半分は、保守派であり、そういう人たちの多くが、最高裁がアファーマティブ・アクション(黒人優先の差別是正措置)を憲法違反と断じたことや、学生ローン免除措置を無効としたことに賛成しているのです。

米国の人口の半分が保守派であるということは、直接調査したわけではありませんが、そもそもトランプ大統領が大統領選に勝利したという事実が、米国の人口の半分は、様々なタイプがありながらも保守派であることを如実に示していると思います。そうでなく米国の人口のほとんどがリベラル派であったとしたら、トランプ大統領が生まれる余地はなかったはすです。

トランプ前大統領に対するロシア疑惑が虚偽であることが下院本会議で確認されたことは米国の政治においての、重要な進展といえます。 これは政治的に意見を二分する長期にわたる捜査の集大成であり、米国の政治に大きな影響を与える可能性があります。

しかし、日本のメディアは米国のリベラル系メディアに沿った報道しかしないので、多くの日本人は、米国の半分の姿しか見ていないと言っても過言ではありません。

このようなことばかりしていれば、日本人の多くは、米国の真の姿を見ることができず、判断を誤ることになりかねません。日本のメディアの始末に悪いところは、米国のリベラルメディアの報道ですら、自分たちに都合の悪いことはあまり報道しないことです。

米国の主流メディアにそもそも偏りがあるのに、日本のメディアはそれをさらにスクリーニングして制限して報道しているわけですから、日本のメディアだけ目にしている限りにおいては、かなり偏った米国像が定着してしまうことになります。そうならないためにも、日本では、もっと米国の保守メディアに等に関心を持つべきです。

米国保守メディアの論調は、日本ではほとんど報道されません。しかし、米保守メディア、特に新聞やサイトの情報など今なら簡単に翻訳して読むことができます。是非とも米保守メディアをご覧になってください。

それと、英語が読める方は、米国の保守メディアも是非ご覧になってください。そうすれば、米国のもう一つの側面が見えてきます。

以下に米国の有名な保守系メディアの名前をいくつか挙げます。

フォックスニュース: https://www.foxnews.com/
ブライトバート ニュース: https://www.breitbart.com/
デイリーコーラー: https://dailycaller.com/
ワシントン・タイムズ: https://www.washingtontimes.com/
ナショナルレビュー: https://www.nationalreview.com/
フェデラリスト: https://thefederalist.com/
ニュースマックス: https://www.newsmax.com/
ワン アメリカ ニュース ネットワーク (OAN): https://www.oann.com/

このリストはすべてを網羅したものではなく、米国には他にも多くの保守的なメディアが存在することに注意してください。ただし、上のサイトを見ていれば、米国の保守層の動きは理解できますし、日本国内のメディアだけでは知ることができない米国の他の側面を知ることができます。

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