2015年7月19日日曜日

民主「パフォーマンスだ」 安倍首相を批判 新国立競技場―【私の論評】呆れてものが言えない、頭悪すぎパフォーマンス政党「民主党」。またブーメランで蹂躙か(゚д゚)!

民主「パフォーマンスだ」 安倍首相を批判 新国立競技場

2015.07.19

民主党岡田代表

民主党は18日、安倍晋三首相が新国立競技場建設計画の白紙撤回を表明したことについて「都合のいいことだけのパフォーマンスだ」(安住淳国対委員長代理)と批判を強めた。国会などで追及する構えだ。

代表は仙台市で記者団に「(撤回は)遅すぎた。もっと早く決断するチャンスはあった」と強調。枝野幸男幹事長はさいたま市で「最終的に(撤回を)決断できたのだから、責任は首相にある」と指摘した。

安住氏は仙台市での街頭演説で「首相は(安全保障関連法案と違い)数で押し通さず、内閣支持率を上げようと思って見直した」との見方を示した。岡田氏も「そういう面があるのは間違いない」と記者団に答えた。

【私の論評】呆れてものが言えない、頭悪すぎパフォーマンス政党「民主党」。またブーメランで蹂躙か(゚д゚)!

新国立競技場問題に関しては、安倍総理としては、不人気の集団的自衛権の参院での審議を間近に控えているため、これ以上支持率を落とさないためにも、この問題も早期に解消しようとして、白紙撤回を表明したのだと思います。

しかし、これをパフォーマンスと呼ぶのはいかがなものでしょうか、さらに民主党の幹部がこのようなことを言い出すのは、本当にいかがなものかと思ってしまいます。

なぜなら、元々新国立競技場問題が起きるきっかけを作ったのは、民主党だからです。これについては、つい先日このブログでも解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

新国立、計画見直しへ 民主政権下密室での“スルー”が高コストに ―【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!
白紙撤回直前の案が上手右のもの、これでも相当経費がかさんだ
 要するに、民主党政権下の初期段階で、コスト計算の専門家がいなかったこと、情報公開をせずに密室で決定したことが致命的なミスだ。その時点で都市計画や五輪招致立候補ファイルなどは既に決定済みであった。当時のスケジュールでは、デザイン決定後に、基本設計・実施設計で約2年、実施設計と同時に解体工事、その後、建設工事で3年半。19年ラグビーW杯にはギリギリというタイトなスケジュールだった。 
 その後、政権交代があり、安倍晋三政権では、民主党時代に決まったデザインで五輪招致を行った。それと同時並行していた基本設計で、コスト問題がようやく発覚したのだろう。13年9月、20年の東京五輪が正式決定した後、コスト増の問題が表面化した。
まさに、民主政権下密室での“スルー”が高コストの原因だったわけです。ただし、この記事では新競技場問題に関して、私自身はほとんどの人が全く考える余地がないように判を押したかのように反対している姿をみて、多くの人々に「公共工事=悪」という考えが色濃く残っているのではないかと危惧していることも掲載しました。

そのため、新競技場問題に関しては、積極財政という観点からのアプローチと、現下の公共工事の供給制約という状況を踏まえたアプローチが必要であることを主張しました。

それを安倍総理が今になって白紙撤回したからといって、このような観点など全く抜きにした安倍総理の「パフォーマンス」だと、どの口が言うのかと思い本当に呆れ果てて二の句が継げません。

このような批判は、私のみならず、様々な人が展開しています。岩田温氏は以下のようタイトルの記事で民主党政権を批判しています。
パフォーマンスに終始しているのは安倍総理ではなく、民主党議員だろう

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、岩田氏は、民主はパフォーマンス止め政権担当能力示せと主張しています。まさに、このとおりだと思います。

「自民感じ悪いね」「安倍政治を許せない」ない等、あの国会を埋め尽くしたプラカードも所詮場フォーマンスに過ぎません。

最近のアンケート調査でも、あれだけパフォーマンスを繰り返しているにも関わらず、民主党の支持率はほとんど上がっていません。

民主党は政権与党の時から、「事業仕分け」などのパフォーマンスを繰り返し、とても政権与党とは思えない醜態を晒してきました。野党になっても、その本質は変わらないです。同じことを繰り返しているだけです。やはり、頭が悪いのでしようか。

民主党の議員の中にはまともな人もいますが、幹部が馬鹿なせいでしょうか。党としての行動となると、無責任極まるものばかりで、全く反省も何もありません。



もう民主党は、パフォーマンスはいい加減にやめて、岩田氏が主張するように真の政権担当能力を魅せつけることをしなかった場合、様々な政治利用パフォーマンスがブーメランとして自分たちに帰ってくるだけであることを自覚すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

民主党政権はどのように酷い政権だったのか、喉元すぎれば熱さを忘れの格言通り、忘れている人も多いです。しかし、民主党の本質は政権与党時代から何の反省もなく、そのままです。その本質を表す書籍三冊を以下にチョイスさせていただきました。

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2015年7月18日土曜日

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)―【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)

宮崎正弘氏のメルマガより

発行日:7/18



ついに強欲凶暴な中国が日本に再度、近寄る必要に迫られたのだ
****************************************

安保法案は衆議院と通過した。弐ヶ月後、成立する運びとなる。

中国は静かに反対の態度を表してはいるものの、いつものような絶対反対の絶叫はなく、軍国主義復活などと無謀な宣伝文句もが見られない。不思議である。
 なにかの予兆を示唆している。

香港の『サウスチャイナ・モーミングポスト』などは「日本の法律改正は戦争の機会を増大させたと中国専門家が分析」などセンセーショナルは報道だったが、南シナ海の中国軍の蛮行を前になにをほざくかという印象である。

日本は戦争機会を拡大させたと報じた
サウスチャイナ・モーミングポスト
日中間のささくれだった空気は中国が一方的に醸成したもので、東シナ海にガス井建設の無鉄砲から、さらにエスカレートして尖閣諸島周辺へ中国海監の艦船が出没して領海侵犯を繰り返し、小笠原諸島近海からは赤珊瑚をごっそり盗んでいった。
 劉空侵犯による自衛隊のスクランブル出動も年初来110回以上である。

日本が尖閣諸島の国有化をなすと、言いがかりを付けての反日暴動とやりたい放題。すっかり嫌気がさした日本企業がどっと撤退をはじめ、「チャイナ・プラス・ワン」の合い言葉の元、アセアン諸国からインドへの進出を加速させた。

賃金高騰により「世界の工場」ではなくなった中国は輸出に支えられて高度成長を遂げてきたのに、国有工場で生産した品物は売れ残り、在庫の山が各地でみられ、暴動も頻発し、社会不安が拡大した。

こうした環境の下で、海外からの直接投資が激減しては経済が立ちゆかなくなる。ドイツと韓国以外、中国に投資を増加させた国はない。

苦肉の策として在庫処分と中国企業の海外でのビジネス拡大を目的としてAIIBに、信用格付けの問題から、どうしても日本に加盟して欲しかったが、日本はすげなく、鳴り物入りの銀行の船出となった6月26日の「署名式」では7ヶ国が署名しなかった。

そして上海株暴落が開始された。

中国は焦りだした。

▲中国は本格的に焦っているのだ

華夷秩序のフォロアーと思っていたフィリピン、ベトナムが鮮やかに反旗を翻し、シャングリラ対話では米国から名指しの非難を受け、四面楚歌の状態にあることを中国はやっとこさ認識できた。 

14年11月の北京APECでは安倍首相と会談した習近平のよそよそしい態度が際立ったが、15年4月のインドネシア会議を利用しての日中首脳会談は、むしろ中国側から呼びかけてきた。

習は気味悪いほどに、にこにこ笑っていた。

そして5月、自民党の二階総務会長は安倍親書を携えて訪中した。三千人の人民大会堂での夕食会に、習近平が忽然と現れ、日中友好は子々孫々までと、あっと驚くようなおべんちゃらをのうのうと言ってのけた。

こうした変化を背景に、安倍密使として谷内安全保障局長が密かに北京入りした。

7月16日に中国外交を司る楊潔チ国務委員(前外相)と五時間以上も会談した。これにより九月初旬の安倍訪中に関しての事前調整の大筋がみえてきた。

そして17日、李克勝首相と谷内は35分間会談した。政治家でもない政府高官と首相がじきじきに会談するのは異例のことである。

それだけ中国は日本に秋波を送りたいのである。いや、日本に近づかなければ行けない事情が国内にあるからだ。

記者会見によれば、安保法案、安倍談話などの話はまったく出なかったというが、他に喫緊の議題はない。要はこれで九月初旬の安倍訪中の段取りが殆ど決まったとみて良いだろう。

【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

中国はかつて約束していた保八(経済成長率8%)すら達成できなくなっている

中国は本当に焦っています。いやそれどころか、切羽詰まっています。経済は不調で、当面回復する兆しは全くありません。上海株式市場は、政府の強引な介入によっても、暴落は止められそうにもなく、近いうちに大暴落します。AIIBは確実に失敗するか、失敗までしないものの、有名無実になる可能性がかなり高いです。中国西端には、第二イスラム国の脅威が間近に迫っています。

中国の金融は空洞化しいている

これらについては、このブログでも掲載してきました。最近は、日本のメディアなど安保一色で、他の成果情勢の変化などほとんど報道しないので、中国の変化についてもほとんど認識されていません。しかし、上のニュースはかなり重要なものと思います。

背に腹を変えられない中国は、そろそろ日中首脳会談にて中国は日本との関係改善をさせたいとの打診をしてくると考えられます。

これは、安倍総理にとって大きなチャンスになると考えられます。まず考えられるのは、中国が最近の日本に安保法制の改定に関して、反対するのは取り下げて支持を表明することが考えられます。そこまでいかなくても、黙認ということも考えられます。

中国共産党による安保法案賛同です。この可能性はゼロではないどころか、大いにありそうです。安倍首相がプーチン来日を成功させ日露関係が飛躍的に発展すれば、中国にとっては、西からのイスラム国の脅威、北からのロシアの脅威、東からの日本の脅威という地政学的に非常に困難な状況になると考えられます。

であれば、少なくとも、日ロの脅威は取り除きたいと考えるはずです。日、ロ、第二イスラム国の脅威を考えた場合、交渉などによってもっとも容易にとりのぞけそうなのは、日本の脅威です。

それにしても、安倍総理は全く焦る必要も何もありません。鷹揚に構えて、中国が譲歩するとこは、譲歩するなら、それに対して日本も応分の何かをするという考えで良いと思います。譲歩しないというのなら、全くのノータッチで良いと思います。

日本側からは、何も言わず、中国側が何か言ってきた場合、それに応分の何かをするという程度で十分と思います。間違っても、こちらがわから譲歩したり、経済援助を申し出るようなことはすべきではありません。

安倍総理は、安全保障のダイヤモンド構想を着々と進めて、かなりの成果をあげています。過去の日本の総理大臣とは180度異なる、安倍総理の態度と行動には、中国共産党幹部もかなり危機感を抱くとともに、今の中国の状況を考えると、それこそ、疲労困憊していると思います。


それにしても、中国が安保法制に関して、まかり間違えて賛意を評したり、そこまでいかなくても、黙認した場合、あれだけ反対した、朝日新聞をはじめとする日本のメディアや、民主党をはじめとする野党、左翼の連中はかなり狼狽すると思います。

頭はほとんど使わなかっにせよ、あれだけ精力を費やして中国にとって良くない安保法制改正を阻止しようとしたのにもかかわらず、中国が黙認したり、賛意を評したりしたら、とんでもないことになってしまいます。まさに、青天の霹靂です。

中国に釣られて、安保法制改正が違憲だとか、戦争法案だとどんちゃん騒ぎをして、盛り上がったと思ったところでしれっとハシゴを外されるのですから、たまったものではありません。



もしそうなったら、安保反対などの運動や、デモなどもいずれ下火になることでしょうが、かなり急速に下火になるどころか、反対した人たちもかなり興ざめして、多くの人々が今後は扇動されにくくなることでしょう。

日本のメディアなど、中国に右に倣えというところが多いですから、もし中国が賛意を評したりしたら、日本のメディアも豹変して、いきなり安保賛成ということになるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

本日の元記事の筆者である、宮崎正弘氏の著書など以下に三冊チョイスさせていただきました。宮崎氏は長年中国に実際に足を運びながら、中国に関するレポートを発信する、日本では中国問題の第一人者ともいえるエキスパートです。


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2015年7月17日金曜日

新国立、計画見直しへ 民主政権下密室での“スルー”が高コストに ―【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!



 新国立競技場の建設費用が2520億円に膨らんでいることが話題になっている。

 建設案が浮上した発端は、2011年2月、超党派による19年ラグビーW杯の際、新国立競技場を8万人収容に改築するという議員連盟の決議だ。11年4月に石原慎太郎氏が東京都知事に再選され、20年東京五輪への再立候補を表明すると、新国立の建設案が具体化した。

 時の民主党政権はこの動きを後押しした。文部科学省は新国立競技場建て替えの調査費を予算要求し、12年度予算に盛り込んだ。12年3月、文科省の天下り団体の日本スポーツ振興センター(JSC)で、森喜朗氏(自民)、鈴木寛氏(民主)、遠藤利明氏(自民)らの国会議員、石原都知事、建築家の安藤忠雄氏らをメンバーとし、元文科事務次官の佐藤禎一氏を委員長とする有識者会議を慌ただしくスタートさせた。

 これには、文科省も奥村展三文科副大臣を出席させるなど、相当な力を入れていた。その会議と並行して、12年7月にコンペ実施、11月にデザイン決定となっている。

 この間の文科大臣は、予算要求が中川正春氏、予算化は平野博文氏、デザイン採用は田中真紀子氏といずれも民主党政権下だ。特にデザイン採用では、予算が1300億円となっていたが、競技場の屋根の特殊なキールアーチ構造がコスト高になるという点について、専門的な知見のある人は皆無だったのが痛かった。しかも、民主党政権下での有識者会議は非公開になっており、この密室作業によって、外部からの専門的な指摘もなく、大きな判断ミスを犯してしまった。
 要するに、民主党政権下の初期段階で、コスト計算の専門家がいなかったこと、情報公開をせずに密室で決定したことが致命的なミスだ。その時点で都市計画や五輪招致立候補ファイルなどは既に決定済みであった。当時のスケジュールでは、デザイン決定後に、基本設計・実施設計で約2年、実施設計と同時に解体工事、その後、建設工事で3年半。19年ラグビーW杯にはギリギリというタイトなスケジュールだった。

 その後、政権交代があり、安倍晋三政権では、民主党時代に決まったデザインで五輪招致を行った。それと同時並行していた基本設計で、コスト問題がようやく発覚したのだろう。13年9月、20年の東京五輪が正式決定した後、コスト増の問題が表面化した。

 それからのゴタゴタはご存じのとおりだ。今の段階でのデザインの大幅な変更などは、もともとタイトなスケジュールなので、物理的にも厳しい。プロジェクト・マネジメントの観点からも、事故のリスクを考慮する必要がある。

 政府はここにきて、建設計画を見直す方向で調整していると報じられたが、膨らんだ費用は文科省の予算の枠内で対応するしかない。といってもキールアーチの基本構造がコスト高になるという話では、すべての建設費高騰を説明できない。これから、地道にコストアップ要因を取り除く作業が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!

最初この新国立の経費がかかりすぎというニュースを聴いたときには、ほとんどの人が絶対反対という立場だったので、なぜかと思いました。

確かに、高い建築費というのは問題ですが、マスコミから一般人まで多くの人が大反対していて、何やら嫌な感じがしました。なぜかというと、やはりまだまだ「公共工事=悪」というイメージが多くの人に根付いていることが懸念されたからです。

確かに過去のバブル期などの公共工事は、「箱モノ行政」などとも言われ、必要性のないような建物などがどんどん建てられていったというのも事実です。しかし、確かに箱モノ行政は良くないことですが、だからといって、「公共工事=悪」という考えは全くの間違いです。

世の中には、不思議な人たちが大勢いて、国という単位では、お金は「天下の周りもの」であるということを理解せず、国においても公共工事などでお金を使えば、一般家庭と同じように、お金が消えてなくなると信じている人が多いようです。

しかし、国単位ではそのようなことはありません。特に景気の悪い時、ましてやデフレのときなどは、国が公共工事をすることにより、国にお金の流れが生まれ、雇用が生まれ、大勢の人がそれで潤い、経済活動が活発になります。

そうして、経済活動が活発になると、経済が成長して、お金が循環して、税金という形で、政府にまたお金が戻ってきます。過去の中国などは、国内のインフラ投資をして、あれだけの成長をしてきました。

実際、道路や、港湾、建物、電気、上下水道などのインフラがあまり整備されていないときに、これらを実行すると、従来は住むことができなかったところまで住めるようになったり、物流が活発になったりして、経済が発展します。ただし、インフラ整備だけやっていても、いずれは限界が来て、今日の中国のようになってしまいます。

中国の典型的な箱モノ行政によって各地に林立する鬼城と呼ばれる無人の高層住宅
しかし、公共工事は不況のときには、それを克服するためにカンフル剤として用いられ、数々の成功事例があることも事実です。

そうして、「インフラ投資=公共工事=悪」この考えが、いかに過去の日本の多大な悪影響を及ぼしてきたか、枚挙に暇がありません。デフレだというのに、過去の政府は緊縮財政をして、日銀は金融引き締めをひたすら続けるという愚行を繰り返し、過去20年にわたり日本はデフレから脱却することなく、とんでも無い状況に陥ってしまいました。

昨年は、8%増税を実施して、せっかく金融緩和によって、経済が浮揚しつつある日本の経済に甚大な悪影響をもたらしてしまいました。

この傾向は、政権交代前の自民党の頃からそうだったのですが、民主党が政権与党となった、政権交代のときの選挙では、民主党は「コンクリートから人」へというキャッチフレーズをぶち上げ、緊縮財政を宣言し、ただでさえ疲弊している土木・建築業界に追い打ちをかけました。

そのためもあってか、バブル期までは星の数ほどあったこの業界は、半分ほどにまで数が減ってしまいました。だから、今の日本では、公共工事を増やすとすぐに景気が回復するという状況ではなくなってしまいしまた。公共工事を多く実施しようにも、請け負う会社が半減したので、できない状況、すなわち、今の日本には公共工事の供給制約があってできない状況になっているのです。


上の高橋洋一氏の記事には、この公共工事の供給制約があるという状況そのものが、新国立競技場の建築費の高騰の原因の一つにもなっていることは掲載されていませんでした。しかし、私はこの供給制約が高騰の一つの原因にもなっていることは間違いないと思います。無論、それがどの程度であるかまでは、専門家ではないのでわかりませんが、間違いないと思います。

新国立競技場のデザインが決定された当時からみると、円安傾向ですから、輸入建築資材は当然のことながら値上がりしたでしょうし、供給制約により人件費も当時からみれば当然跳ね上がっていることでしょうし、これに、上記で高橋洋一氏が主張しているように、「民主政権下密室での“スルー”」が、さらに高コストに拍車をかけとんでもない高騰につながっているのだと思います。



それにしても、民主党は「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げつつ、実際政権与党のときには、緊縮財政を続け、金融緩和のための舵とりをすることもなく、その一方で、新国立競技場のデザインでは「民主政権下密室での“スルー”」で後に禍根を残すなどとんでもないことをしたと思います。

新国立競技場の建築をめぐっては、上記のような複雑な事情がからんでいます。家庭の主婦感覚で、ただ単純に変更することが正しいと考えるのは間違いだと思います。

この問題の解決には、積極財政推進の側面からのアプローチ、公共工事の供給制約の観点からのアプローチという二方向から検討は欠かせません。

公共工事を単純に悪とみなすとか、デフレのときに金融緩和をすると、ハイパーインフレになるとか、経済成長の前に財政均衡を果たすために増税すべきとか、そういう考えしか浮かばない単純な思考では、この問題は解決できません。

上で述べたことを総合的に勘案して、実際にどうするのか、安倍政権の冷静な判断に期待したいです。とはいいながら、時間も限られていることですから、解決方法には限りがあると思います。しかし、持てる時間の中で次世代の日本を予感させる素晴らしいものになるものにしていただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年7月16日木曜日

又吉直樹さんが芥川賞を受賞 「火花」で―【私の論評】又吉さんのように「小さな変化に気づく人」になることがあらゆる分野での成功への近道だ(゚д゚)!


又吉直樹さん

第153回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は又吉直樹さんの「火花」(文学界2月号)と羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」(文学界3月号)に決まった。

芥川賞の又吉さんは昭和55年、大阪府寝屋川市生まれ。綾部祐二さんとお笑いコンビ「ピース」で活動中。今年1月、自身初の純文学作品となる受賞作「火花」を文芸誌「文学界」に発表。創刊約80年に及ぶ同誌を初の増刷に導き、単行本も新人作家としては異例の64万部に達した。受賞作は、理想や夢を追い求める若手お笑い芸人2人の輝きと挫折を描きだす。

贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。

【私の論評】又吉さんのように「小さな変化に気づく人」になることがあらゆる分野での成功への近道だ(゚д゚)!

又吉さん素晴らしいです。それにしても、又吉さん前からただ者でないと私は睨んでいました。それに関しては、このブログにも過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
パンツやローヒール靴人気急上昇 震災で変わる女性ファッション―【私の論評】時流をつかめ!!本当に意味がわかっていなければ、未来はつくれない!!
2011年都内でバレーシューズを履いた女性

この記事は2011年8月のものです。震災直後であることと、日銀はまだ金融緩和に転じておらず、デフレの真っ最中でした。

そのような時代背景に、ファッションも大きく影響を受けて、ファッション雑誌を含む大方のファション業界筋の人々の予想ははずれ、女性もののバレーシューズがはやり、アパレルでは、ゆったり着られるもの。それと同時に、好まれる色も白やベージュ、サックスブルー(淡い青)が中心になったことを掲載しました。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、こうした当時の大方のファション業界筋の予測の外れについては、やはり時流の変化をつかみ切れなかったことに原因があることを指摘しました。

そうして、将来を予測する方法についてのドラッカーの至言と、その事例として又吉さんの例をあげました。それに関連する部分のみを以下にコピべさせていただきます。
将来を予測するのは、不可能、できるとすれば、すでに起こった未来を見つけるか創るしかない(ブログ管理人注:経営学の大家ドラッカーの言葉)
これは、商売の世界だけではなく、政治の世界でも同じ事だと思います。有権者がどのように変わりつつあるのか、政治家も政争にあけくれるだけではなく、こうした変化の底流はなんなのかを見定めていく必要があると思います。

そうでなければ、上の雑誌(ブログ管理人注:ファッション雑誌)の編集者のように、時流を見誤まるおそれがあります。さて、皆さんは、この現象をどのようにご覧になりますか?

ドラッカーは、「未来を予測することなど誰にもできない。できるとすれば、すでに起こった未来(まだ、少数であるが、将来主流派になるような事象)をつかむか、未来を自分でつくる(長期計画で変化をおこす計画をたてて、そのとおり実施すること)である」としています。

さて、ドラッカーのこの至言を実行するためには、時流をつかめなければ不可能だと思います。時流とは、直近の世相や、人々の変化と捉えるべきです。時流は過去と分断して、突然起こるものではありません。過去を知らなければ、時流を知ることはできません。時流を知ることができなれば、すでに起こった未来をみいだすことも、未来をつくりだすこともできません。

最近NHKテレビのテレビ番組で、「仕事ハッケン伝」で芸人の又吉さんがでているのを見ました。これは、6月9日(木)に放映された、「 ピース 又吉 × コンビニ業界」というタイトルでした。
ローソンの企画本部で自らの企画を説明する又吉さん
これは、お笑い芸い人のピース又吉氏がローソンの商品企画部に入社し新商品のキャッチコピーや販売促進方法を考えるという企画ものの番組でした。又吉氏の考えたコピーは、本職の期待をいい意味で裏切り、300点の出来と評されました。(ちなみに、コピーは最近ローソンで販売されたばかりのミニパスタのもの)
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女性に大人気のショートパスタ
あちこち取材をし、深く考えるという姿勢が高く評価されていました。
その次の仕事は、高齢者にコンビニに来ていただくというものでした。TVでは、又吉氏が「ムードローソン」というコンセプトの店づくりを提案していた。年輩の方の持つ「お店で話を聞いてほしい」というニーズに応えるものです。しかし、又吉は、この「ムードローソン」の要員に、「薬剤師」をと言ってしまったため、薬剤師を置くという案は否定されてしまいましたが、「ムードローソン」というキャラクターを店舗に設置する事は受け入れられています。

さて、この中で、特に、ローソンのショート生パスタのキャッチコピー、又吉さんが考えたキャッチコピーは、

「末っ娘が生まれました。かわいがってください。」

「命名:ショート生パスタ、双子姉妹です。」

担当女性社員に、バカ受けし、「絶対、売れる!!」と、大好評でした。さて、皆さんはこの事実をどう捉えますか。

なぜ、又吉さんが、300点もの点数を上司からいただいたのでしょうか?普通の人なら、このようなことはあり得ないと思います。無論、又吉さんに優れているところがあるからです。

一体どこが優れているのでしょうか?そうです。又吉さんが、芸人であることに多いに関係しています。良く考えてみてください、芸人というものは、お客が笑ってくれなければ、商売になりません。お客がどういう話をきけば、笑うのか、いつも考えているはすです。

そうです、又吉さんは、芸人という立場で、又吉さんなりのやり方で、時流をつかんでいるのです。だからこそ、高得点をあげることがてきたのです。これが、時流をとらえていない人が適当にやれば、このようなことには絶対になりません。
後日確認したのですが、このミニパスタは確かにバカ売れししました。この頃から、又吉さんは、ただ者ではないと感じていました。後で、無類の読書好きであることから、芸人の仕事のほかにもきっと何か大きなことをするに違いないと思っていたら例の「火花」が出版されました。そうして、今日の芥川賞受賞です。

この快挙には、いろいろな要因があると思います。今回の芥川賞受賞の評価対象となった、書籍の書評や、又吉さんの生い立ちなどのことは他のメデイアに任すこととして、ここでは私の得意な方向からこれに迫りたいと思います。

人々から支持され成功する、経営者、政治家、芸人、作家というよりあらゆる分野で支持され成功する人材になるためには、実はある一つの共通の特性があります。それは何かといえば、「小さな変化に気づける人になる」ということです。 又吉さんには、間違いなくその特性があります。そうでなければ、上記のような企画ができるはずもありません。

しかし、これだけでは何のことやらおわかりならないと思いますので、下に若干説明を加えます。

いつの時代でも、頭が良いだけでも、情報・知識が豊富であっても、この「小さな変化」にまず気づかなければ、将来の大変化、それもすでに現在身の回りに起こっていて、それが将来大変化になるような変化、いってみればあらゆる仕事に必要な最も重要な変化に気づくことはできません。

小さな変化に本当に気づく人は、変化が大きくなる前の小さな変化の時から気づきますから、今の時代の流れ、すなわち「時流」を知ることができます。このような能力を欠くと、芸人はもとより、他の仕事でも人でも本来の務めを全うすることができません。

それぞれの立場において、「小さな変化に気づく人々」の後塵を廃するだけで、いつまでたっても周りの人や、世間から認められ、支持されるようにはなることができません。

政治家もそうです。現在の日本の安全保障の環境は過去から現在までの間に大きく変わっているのに、左翼やメディア、それに野党政治家などのように、その変化にはかなり鈍感です。60年安保のときと、ほとんど変わっていません。このような人たちには、永遠に「時流」を知ることはできません。

時流はもとより、小さな変化に鈍感な人々
いわゆる市場関係者や、与野党を含めた政治家、官僚、マスコミの多くは過去においては、デフレが日々人々の生活を悲惨なものにしつつあったという「小さな変化」を見逃し、それどころか、リフレを批判し、大増税キャンペーンを実行し、とうとう昨年4月には8%増税が実行され、最初から予想された通り大失敗しました。

「時流」をつかめない人が、まともな仕事をしようとしても、できるものではありません。その逆に「時流」を本当に知ることができる人は、政治家や経営者、芸人、作家などあらゆる方面で成功することができます。

そのためには、小さな変化に気づけることが、時流に気づく第一歩となります。これは、性別、学歴、年齢はいうまでもなく、個々人が前もってもっている知識、情報にかかわらず、最も重要な要素です。

そのためにも、最初はまずは、身の回りの「小さな変化」に気がつくようにならなければなりません。それが、大きな変化に結びつくのかどうかは、別にしてまずは小さな変化に気づく人になり、いくつもの変化を察知して、それがどうなっているかをみていくうちに、いずれ必ず将来の大きな変化にたどりつくことができます。

まずは、自分の周りの人たちの変化に気づくことができない人や無関心な人は、どのような「小さな変化」に気づくことはできないでしょう。あなたの周りの人も、絶えず変化しているはずです。髪型、ファッション、態度、言葉遣い、その他いろいろあります。これを日々見逃しているようでは、もう時流からはかなり乗り遅れていると自覚すべきです。


みなさんは「ゆでガエルの法則」をご存知でしょうか。ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつです。

2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れます。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡するというものです。大きな変化も、最初は小さな緩慢な変化から始まります。しかし、この小さな変化にきづくことができなければ、最悪の場合はゆでガエルになって死んでしまうということになります。

まずは小さな変化に気づけるように、日々努力して、それが社会的に意味のある変化なのかどうなのかを判断できるように訓練して、さらにそれを自分の仕事と関連づけて、認識できるようになれば、いずれ必ず大きな大変化に気づくことができます。その時、世界はあなたのものです。社長にだって、政治家だって、作家でも、芸人でもミュージシャンになっても、何でも成功することができます。

そうして、又吉さんの場合は、暇さえあれば本を読むという無類の読書好きということも加わって、今回の芥川賞選定に結びついたのだと思います。

やはり、読書もどの分野であれ重要です。作家という立場では、当然表現方法を学ぶとか、時代の空気を読むためにも必要不可欠だと思います。それ以外の立場の人でも、読書は重要です。自分では体験できない多くの人の追体験を読書ですることができますし、無論情報を体系的に得ることができます。

ニュースや、ネットの断片的情報だけでは、「小さな変化」を知り、それを自分の仕事に結びつけるということは不可能だと思います。又吉さんのように若い頃から読書に慣れ親しみ、さらに小さな変化に気づくことが重要です。

いつまでも、何も変わらない、変えられなような人になって無為な人生を送るよりは、又吉さんのように、本職でも成功し、場合によっては他の才能を開花させるような人になれたほうが良いに決まっています。

多くの人が、このような精神をもって、これから努力すれば、これから日本にも又吉さんのようにクリエイティブな人がたくさんでてくるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2015年7月15日水曜日

中国の深刻な軍事的脅威を明言するときだ 尋常でないスクランブル回数 屋山太郎氏 ―【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!



安全保障関連法案は15日昼、衆院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党の賛成により可決。法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたいが、この背景として、1990年代以降、国防費を毎年10%前後増加させている中国の深刻な軍事的脅威について、真正面から論じられていないことを指摘する声がある。

「あの数字を見て、理解が進んできたと言い切る自信はあまりない。国民理解が進んでいるとは言えない」「(法案が)極めて抽象的でリアルに考えにくい」

石破茂地方創生担当相は14日の記者会見で、安保法案に関する世論調査結果に触れ、こんな弱気な感想を漏らした。

無理もない。朝日新聞が同日報じた調査結果では、安倍晋三首相による法案の説明が「丁寧ではない」と答えた人は67%で、「丁寧だ」の15%を大きく上回った。他社の調査でも、軒並み同じような結果が出ている。

法案への理解が進まない現状について、評論家の屋山太郎氏は「政府は『中国の軍事的脅威が深刻だ』『沖縄県・尖閣諸島が狙われている』と、はっきり言うべきだ」と指摘する。

「日本は昔からそうだ。戦前の帝国議会でも、ロシアを『北の某大国』と呼んでいた。他国を口汚く罵(ののし)ることを潔しとしない、日本の国民性が背景にあるのかもしれないが、実にくだらない配慮だ。冷静に中国による軍事的脅威を訴えれば、納得する国民も少なくないはずだ」

「国会答弁で『中国の進出を許さない』と明言することは、対外的にもプラスになる。日本がモノを言わないのをいいことに、中国はいい気になっているからだ。『事を大きくしないように』という思いからの配慮が、逆に中国の軍事的脅威を拡大させている」

実際、日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)回数は年を追うごとに増えており、2014年度は過去最多の464回になった=別表。1日1・2回以上という尋常ならざる数字だ。

中国は東シナ海の日中中間線付近でも、ガス田開発の海洋プラットホームの増設を進めており、この1年間で2倍の12カ所に急増した。中谷元(げん)防衛相が「レーダーを配備する可能性がある」と語るなど、軍事拠点化される恐れもある。レーダー網が日本列島に向けてせり出せば、南西諸島などの防衛体制は丸裸になるのだ。

石破氏は前述の会見で「有事となってからでは遅い。極めて厳しい状況の中でバタバタと法改正をする方がよほど危ない」とも述べ、早期の法整備の必要性を唱えた。

戦後70年、日中関係改善に向けた外交的計算もありそうだが、政府・与党は「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきではないか。

【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!

本日は、安全保障関連法案が可決されて本当に良かったと思います。これは、今可決しなければとんでもないことになっていました。中国がつけあがり、尖閣に上陸したり、東シナ海や、南シナ海で我が物顔で、暴走したかもしれません。

屋山太郎氏

ところで、私は、上の屋山太郎氏の記事には、賛同できるところと、できないところがあります。

結論からいうと、賛同できるのは中国による「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきという主張です。賛同できないのは、「法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたい」という点です。

「今そこにある危機」に関しては、確かに日本人の多くの人々が中国の危険性についてあまり理解していません。そもそも、多くの人は、中国を無意識に日本や、他の先進国のような普通の国とみなしてしまっているようです。

しかし、これは根本的に間違いです。これに関しては、以前からこのブログで何回にもわたって、主張してきたことです。詳細は、このブログの過去の記事をご覧いただくものとして、以下では簡単に掲載しておきます。

そもそも、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がほとんどなされていません。この中で、政治と経済の分離に関しては特に理解しにくい面があったかもしれませんが、最近の上海株式市場の暴落に伴う、政府のとんでもない介入によって、暴露されたと思います。

これについては、先日もこのブログに掲載しました。詳細は、その記事をご覧いただくものとして、以下に一部分を掲載しておきます。
上海株式市場が暴落する、すぐに中国監督管理委員会は次々と株価暴落防止政策を発表。私がネット上で把握した限りでも、以下の政策が執行されています。 
・国有企業の株取引を禁止
・大口投資家の株売りを禁止
・金融機関に株担保ローンの継続を指示
・機関投資家に株の買取りを強制
・株の空売りを警察が取り締まり
以上のようなことは、日本を含む、まともな市場主義経済の国々では全部法律違反です。間接的に何かをするということは可能ですが、ここまで直接的に介入するということは絶対にできません。ここからがして、中国がまともな国ではなく、国というよりは、共産党の配下にある組織とでも呼んだほうがよいものです。

これは、国ではありません。国と考えると、中国の本質を見失います。中国では建国以来、一度も選挙が行われたことがありません。そのため、中国には、厳密な意味での政治家は一人も存在しません。存在するのは、官僚とも呼べないような、悪辣な役人が存在するのみです。それに、中国には普通の国でいうところの軍隊も存在しません。日本の自衛隊のような組織も存在しません。

人民解放軍という軍隊のような組織がありますが、これは軍隊ではありません。そもそも、所属しているのは、各地方の中国の共産党に所属しています。要するに、各地の共産党の私兵です。他の国の軍隊のような、国民や国民の財産を守る国防軍ではありません。

しかも、この私兵が、日本でいうところの商社のような存在で、様々な事業を展開しています。人民解放軍というのは軍隊ではなく、各地方の共産党にある武装した商社というとんでもない存在です。これらが、強力に武装して、中には核武装すらしているという、世界の常識では考えられない組織なのです。

このように中国の異質性を列挙すると、書ききれないくらいありますので、あと一つくらいでやめておきます。最後に言いたいのは、現在中国の版図内に存在する内モンゴル自治区、新疆ウィグル自治区、チベット自治区などは、「自治区」という名称から理解できるように、現在の中人民共和国が建国したときには、中国の版図ではなく、もともとは外国だったのものを後から中国が侵略して、中国の版図に組み入れ「自治区」にしたものです。

自治区などという名称はついていますが、それは名前だけであり、その実すべてが中国共産党が送り込んだ、不正にまみれた、悪辣な官僚がすべてを仕切って、日々「自治区」の人民を弾圧しています。

このような異形の組織、中国ですから、人民の不満はたまりたまっており、それが日々どこかで爆発しています。2010年あたりより、それまで年平均で2万件の暴動が発生していたのが、10万件になったとされています。

10万件というと、中国の人口は日本の約10倍ですから、日本におきかえて考えてみると、毎年約1万件の暴動が起こっていることになります。これは、暴動という次元ではなく、内乱と考えても良いくらいの規模です。

こんな異質な中国の実体を知る日本人は意外と少ないので、私自身驚くことがあります。日本政府としては、こうした国とも呼べないような組織である中国に関する異質性については、日本国内でも説明すべきですし、また中国に向かっても、まともな国になるべきと批判すべきです。

さて、この異質な中国について、政府は「今そこにある危機」を訴えるべきとした、屋山太郎氏の主張には、上に述べたように大賛成です。

中国を国と認識するのは全くの間違いである

しかし、国民の理解が進んでいないという主張には賛成しかねます。昨日のこのブログにも掲載したように、安倍総理は過去の三回の国政選挙においては、すべて憲法解釈の変更により、集団的自衛権を行使できるようにすることを公約に掲げていました。

その前には、民主党が政権与党のときには、二回も有識者会議を開き、集団的自衛権を行使すべきとの、提言が出されています。このほか、自民党も過去に二回同じような会議を開催し、同じような提言を出しています。

さらに、民主党は政権与党時代に、集団的自衛権の行使を認める発言を繰り返していました。しかし、野党になると突然、集団的自衛権に意義を唱え出しました。全くの無責任です。

政治的無関心層にはいくら説明しても理解は得られない

そうして、安倍総理は第一次安倍政権のときにも、集団的自衛権の導入について、発言していました。以上のように、日本国内でその度に様々な論議が繰り返されてきて、周知している人は十分周知しています。

ただし、今回あたかも国民の理解が進んでいないように見えたのは、まずは野党が集団的自衛権の行使について、政治利用をしようとしたため、本来的にはかなりわかりやすい論議を複雑化させたため、理解が進んでいないかのように見えただけです。

そうして、マスコミも野党のこのような動き呼応して、さらに複雑化させ、理解しくいものとしてしまい、これによつてあたかも国民の理解が進んでいないかのような印象操作をしたので、より一層理解しにくいものになったように見えました。

私自身は、多くの国民は一定の理解をしていると思います。砂川判決でも明示されているように、実際の国政レベルでは、憲法解釈は選挙で選ばれた議員で構成する議員が行うなどのことは、当たり前すぎて何の疑問もわきません。中国のような選挙のない国ならいざしらず、政府が憲法解釈ができないなどいう屁理屈は通りません。

しかし、野党やマスコミは、愚鈍な憲法学者が違憲だという、単なる意見を強調して国民を幻惑して、本来は単純な集団的自衛権の論議を複雑化しました。

これによって、幻惑されて安倍内閣支持から、反対に回った国民もある一定数は、存在すると思います。しかし、これもマスコミなどが、集団的自衛権を話題として取り上げなくなればまた元に戻るのだと思います。

いわゆる、政治的無関心層に関しては、いくら懇切丁寧に説明したり、時間をかけて説明しても、関心を示さないから、理解もしないのです。

おそらく、来年になれば、集団的自衛権の論議が紛糾したことも、忘れていることでしょう。さらに、集団的自衛権の行使が実際に現場で可能になったにしても、すぐに戦争になるということは考えられないので、いずれPKO法案のように、話題にもならなくなると思います。

しかし、先に述べたような中国による「今そこにある危機」に関しては、政府・与党とも、国民に対して繰り返し説明し、理解を得ていく必要があるのはいうまでもありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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戦後左翼、リベラルは、結局終戦直後から何も変わっておらず、デジャブーのようです。そうして、それがまともな安保論議の妨げになっています。そうして、中国の脅威には目をつぶっています。中国の脅威を実感していただくための書籍を以下に三冊チョイスさせていただきました。

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2015年7月14日火曜日

安保「補充審議」シナリオも 官邸と橋下維新に流れる“密約説”―【私の論評】集団的自衛権が世に問われた回数は、安倍総理の三度目の正直をはるか超えていた(゚д゚)!

安保「補充審議」シナリオも 官邸と橋下維新に流れる“密約説”

日刊ゲンダイ

橋本大阪市長

「決めるべき時には、決めるということではないか」――。どうやら安倍首相は、15日(水)衆院の特別委員会で「安保法案」を強行採決するつもりらしい。

審議をつづけるほど国民の反対が増えると、早期の採決に舵を切ったようだ。

「野党から攻められ、支持率も下落し、安倍首相はストレスをためています。これ以上、安保法案の審議をつづけたら、いつキレるか分からない。最近は『舛添さんは、メディアの前で国立競技場のことを批判しているが、なんとかならないのか』と、周囲に当たり散らしています」(官邸事情通)

しかし、15日に採決したら、全野党が「まだ審議は尽くされていない」と抗議し、採決を欠席するのは確実。「強行採決はおかしい」と国民の反対をさらに強めてしまう。

そこで、安倍周辺は、維新の党を採決に引っ張り出す、姑息な“懐柔策”を画策しているという。

「いま囁かれているシナリオは、15日に委員会で強行採決した後、衆院議長が混乱の収拾に乗り出し、与野党に“補充審議”を提案、維新の対案を中心に連日、補充審議を行い、24日に衆院本会議で採決するというものです。たしかに、このシナリオなら、維新の橋下徹氏は『議長の手まで煩わせて申し訳ない。維新の対案を審議してもらったのはありがたい』『維新は本会議の採決に応じるべきだ』と明言する可能が高い。すでに安倍官邸と橋下さんが、このシナリオに合意していても不思議ではありません」(政界事情通)

実際、大島理森衆院議長は「決める時は決めなきゃいけない」と漏らし、橋下氏も「自分たちの意見に沿わないから採決拒否というのは民主主義を堕落させる」と記者団に語っている。維新の「大阪組」は、「将来は自公維の連立政権だ」と吹聴しているという。

維新の党は、安保法案に反対する国民を裏切って、安倍自民党と手を握るのか。国民は監視した方がいい。

【私の論評】集団的自衛権が世に問われた回数は、安倍総理の三度目の正直をはるか超えていた(゚д゚)!

上の記事、悪意に満ちていると思います。自民党としては、野党に協力を依頼するのは当然のことで、それを密約というのはいかがなものかと思います。

それに、橋下氏はこれに関する密約などしていないと思います。それは、明日になればわかります。きっと、密約などないことなどはっきりすることでしょう。

この記事は、相当おかしいですが、そもそも、最近のマスコミは本当におかしいです。そもそも、集団的自衛権に関して、最近突然降ってわいたかのような報道ぶりですが、そんなことは絶対にありません。

それについては、このブログでも二度にわたって、掲載しています。

昨年2月17日午前、衆院予算委員会で答弁のため挙手する安倍首相=衆院第1委員室
この記事は、昨年2月17のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より安倍総理が集団的自衛権について、最近突然降ってわいたような論議をしているわけではないことを示した部分を以下にコピペさせていただきます。
「政府の最高責任者は私だ。政府の答弁については私が責任を持ち、その上で選挙で国民から審判を受ける。審判を受けるのは、内閣法制局長官ではない」 
集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈見直しをめぐる安倍晋三首相の国会答弁なのだが、なぜか自民党内で問題視されている。
村上誠一郎元行政改革担当相
13日の党総務会で、村上誠一郎元行政改革担当相は「選挙で勝てば、憲法を拡大解釈できると理解できる。その時々の政権が解釈を変更できることになる」と首相の発言を批判。これに、「正面から受け止めるべきだ」(野田毅税調会長)、「拡大解釈を自由にやるなら憲法改正は必要ないといわれてしまう」(船田元憲法改正推進本部長)と村上氏を支持する声が相次いだ。
船田元憲法改正推進本部長
こうした指摘は妥当なのか-。自民党が政権を取り戻した平成24年(2012年)12月の衆院選前に時計の針を戻す。 
同年9月の党総裁選で勝ち上がった安倍首相は、第1次政権時と同じく集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈見直しの必要性に度々言及してきた。衆院が解散した11月16日の記者会見でも「集団的自衛権行使の憲法解釈の変更を、この選挙を通じて堂々と訴えたい」と明言した。他の野党からは「日本は(人を)殺し、殺される国に変わってしまう」などと誇大妄想の批判にもさらされた。 
政権公約には「日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能」にすると明記していただけだが、少なくとも、解釈見直しに取り組む姿勢を有権者に明確にしていたことは明らかだ。首相は政権選択の衆院選で国民にこの是非を問うたのである。 
ただ、当時の自民党を担当していた身からすると、集団的自衛権の行使容認を打ち出した安倍執行部に、表立って異を唱えた議員は寡聞にして知らない。結局、この公約を掲げた自民党は、圧倒的な議席数を得て、有権者の意志により政権を託された。党内の批判は、先の衆院選での約束を自らほごにすることになりはしないだろうか。
菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は14日の記者会見で「行政府の憲法解釈は内閣が責任を持って行うのは当然のことだ。(安倍首相は)首相が内閣を代表し、責任を持って答弁していることを説明したにすぎない」と党内の批判に反論した。

枝野幸男憲法総合調査会長
また、民主党も首相答弁に「最高権力者だから憲法の解釈をどう変えてもいいと取られても仕方のない国会答弁だ。国辱的な発言だ」(枝野幸男憲法総合調査会長)と批判を強めた。だが民主党政権が一時期、「政治主導」の名の下に、法制局長官を国会審議で答弁する「政府特別補佐人」から外し、法令解釈の答弁を官房長官らが担っていたことは指摘しておきたい。 
憲法の解釈権はあくまで内閣にあるのが通説だ。選挙の洗礼を受けない公務員集団の内閣法制局が担えるはずがなく、国民の支持を得た内閣がその権限を有するのが正当性を持った統治のあり方だ。安倍政権は昨年7月の参院選でも勝利を収めた。集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈見直しはすでに2回民意を受けたのである。首相はその民意に従い、粛々と実行に移すことが求められている。
安倍総理は2012年の選挙で政権交代をしたときにも、安保法制改革として集団的自衛権の行使を公約にしました。そうして、大勝利しました。2013年の参院選挙のときにも、 もちろん憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を公約に掲げて大勝利しました。

それにもかかわらず、自民党内では村上誠一郎元行政改革担当相や、船田元憲法改正推進本部長がこれに意義を唱えたわけです。しかし、そんな馬鹿なことが通るはずもなく、今では自民党内で意義を唱えるものはいません。

さらに、昨年暮れの解散総選挙でも、10%増税見送りの他、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使も公約に掲げて、これも大勝利しています。

安倍政権は、もうすでに三度も選挙でこれを訴えて、勝利しています。マスコミや、野党はこの事実を意図的に無視しているとしか思えません。こんな馬鹿なことが、民主主義国で許されて良いのでしょうか。そんなことが許されたら、選挙など有名無実ということになってしまいます。

いまさら、与党議員が、異を唱えたとしたら、選挙による国民の民意を無視したということで、議会制民主主義そのものが壊されてしまいます。

しかしながら、最近テレビ報道などをみていると、余程焦っているのでしょうか、コメンテーターなどが、「自民党内にも反対の議員もいるはずだが、何も言わないが・・・・」などと語っていましたが、こんな馬鹿な主張が通るはずもありません。

以上は、昨年の2月の状況です。過去3回の選挙公約にて、憲法解釈の変更によって集団的自衛権を行使できるようにすると公約を掲げて勝利しているわけですから、もし安倍総理が集団的自衛権に関して、何も推進しなかったとしたら、それは公約違反です。

これに対して、元財務相の藤井裕久氏は、「自民党にも反対のものがいるはずなのに声をあげない、今は小物ばかりになってしまった」などと頓珍漢な論評をして、マスコミに利用されていました。この人が過去には純然たる増税派であり、8%増税は最初の想定通り大失敗であったことを考慮するとこの頓珍漢さも理解できます。

元財務相の藤井裕久氏
こんな当たり前の事実を多くのマスコミや、野党は無視しています。民主党などは、公約違反をするのが当たり前になっているので、こうした矛盾には気づかないのかもしれません。

それから、集団的自衛権に関して、最近突然降ってわいたかのようなものではないことを指し示すもう一つの事例があります。これは、集団的自衛権と民主党に関わるものです。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOと言えない―【私の論評】民主党が今更異議を唱えるのはまったく奇異であるこれだけの理由(゚д゚)!
長谷川幸洋氏
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、長谷川幸洋氏の集団的自衛権に関する主張を掲載しました。

この記事で、長谷川氏は、日米安保条約は集団的自衛権を前提としているのは周知の事実であることを主張していることを掲載しました。。だからこそ、長谷川氏は、日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOとは言えないとしているのです。

以下にこの記事の【私の論評】から一部を引用します。
さらに長谷川氏は、「2010年に暴露された外務省の密約文書によれば、米国は日本と事前協議しなくても韓国に出撃できる約束になっていた。当時は民主党政権(*注)だったから、民主党は事情を知っているはずだ」とも述べています。 
しかし、民主党が集団的自衛権にNOと言えないはずであるとの論拠は他にもあります。これについては、枝野氏が二年前に放った発言が物議を醸しています。 
その動画を以下に掲載します。


これは、平成27年6月22日 平和安全特別委員会の動画です。西修氏が証言をしています。

詳細は、この動画をご覧いただくものとして、以下に、動画の発言の内容を一部掲載します。
1:45~
https://www.youtube.com/watch?v=_Jev3GbdbkY 
西修(参考人、憲法学者) 
「(略)4、集団的自衛権は個別的自衛権と共に主権国家の持つ固有の権利、即ち自然権である点。国連憲章51条であります。不可分であります。 
そこで、枝野幸男、現在民主党幹事長は次のように仰っておられます。 
『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』 
私はもう個別的自衛権とか集団的自衛権とか区別して論ずるのはもうお止めになっていただきたい。 
枝野幹事長のこの言葉、非常に強く重く感じるわけであります。 
敢えてこれについて言うならば、岡田党首は党首討論において最後に『私たちは個別的自衛権はやります!集団的自衛権はいりません!』確かそんな風に仰っていらしたと思います。 
どうしてこれ分けるんでしょうか。どうやって分けるんでしょうか。またやることにどんな意味があるんでしょうか。 
私はあの言葉を聞いてこの枝野幹事長の言葉を思い出した次第であります。この点を是非ご議論頂きたい。こんな風に思うわけであります。(略)」 
0:13~
https://www.youtube.com/watch?v=F148WOYQoX8 
平沢勝栄
「(略)西先生にちょっとお聞きしたいんですけど、西先生、枝野民主党幹事長のご発言に言及されました。 
資料を読ませていただきますと、枝野幹事長は『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』と。 
なかなか立派なこと言っておられるなと思いましたけども、そこで西先生、参考人にお伺いいたしたいと思いますけど、これは文藝春秋の一昨年のやつに出たということ、でしょうね。ですからつい最近のお話ですよね? 
ということを確認させていただきたいというのと、もう一つはこういったお考えについて先生はどうお考えになられたか。それをちょっとお聞きさせてください。」
枝野氏がこのようなことを語っていたというのですから、民主党の集団的自衛権反対というのは無理があります。しかし、それだけではありません。民主党は過去に、集団的自衛権を認める発言をしていました。
・・・・・・〈中略〉・・・・・・
2010年8月鳩山内閣でまとめた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書」で集団的自衛権を行使できないとするこれまでの憲法解釈を批判しまた。

2012年12月野田内閣「国家戦略会議」の報告書で「集団的自衛権の見直しを図るべきだ」と提言していました。 
菅内閣では仙谷官房長官が「内閣が責任を持って憲法解釈変更を国民に提示すべきだ」と発言していました。 
現在の枝野氏は安保法制改正に現在では、大反対していますが、民主党内閣閣僚のときには「内閣法制局の意見は大事だが判断するのは担当大臣の私であり、最終的には閣議だ」と述べています。 
過去の自民党政権で2回。民主党政権で2回。計4回作成された有識者会議の報告書はいずれも政府の憲法解釈変更を提言しています。 
一般には、安保法制改正は、安倍首相が突然言い出したように思われていますが、実は麻生内閣でも民主党内閣でも集団的自衛権は認めるべきだとする方向でした。 
民主党は野党になったとたんに、これまで主張していたことと正反対のことを言い出したのです。
 さて、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使に関しては、このように民主党政権交代以前の自民党政権で2回、民主党政権で2回、計4回作成された有識者会議の報告書により提言されています。

さらに、自民党が政権を奪還直前とその後は、上記で掲載したように、安倍総理は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使について公約に掲げて、三回も選挙に大勝利しています。

これに、歴代の首相や、政府の幹部の発言なども加えると、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使など、何度提言されたり、発言されたかなど数え切れないくらいの回数にのぼります。

最近の、世論調査ではメディアや野党の総動員による、集団的自衛権違憲論の流布により、安倍内閣の支持率は若干下がっていますが、それでも歴代の内閣などと比較するとまだ高いほうです。それに、自民党以外の政党の支持率は上がっていません。

私は、最近にのアンケート調査安倍政権反対派に転向した人々は、結局のところ無関心層なのだと思います。これらの層の人々は、元々政治に無関心で、集団的自衛権などにも無関心で、過去の選挙においては、集団的自衛権の行使などには関心がなく、経済が良くなるかもしれないとか、民主党が嫌だからくらいの認識で安倍政権を支持したのだと思います。

ところが、最近の安保法制審議の前後から、マスコミや野党や左翼が大反対キャンペーンを開始して、それで良く認識もしないまま、安倍政権反対のほうに回ったのだと思います。だからといって、では他の野党を支持するかといえばそんなこともないという具合なのだと思います。こういう層の人々は、また時がたち集団的自衛権がマスコミや野党などが話題にしなくなると、また動き出すのだと思います。

それに、アンケートはアンケートに過ぎないわけで、公的なものでも何でもありません。しかし、選挙は公的なものであり、日本国の政治の根幹でもあります。

それから、現政府の安保法制の根拠とするのは、昭和34年の砂川判決です。砂川判決は「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうること、国家固有の機能の行使として当然のことといわなけければらない」というもので、この判決は「必要な自衛の措置は」個別的自衛権、集団的自衛権も区別しないとしか受け取りようがありません。

砂川判決のが重要視されるのは、判決文にある統治行為論です。「わが国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するものについては、一見極めて明白に違憲無効でない限り、内閣及び国会の判断に従う」このことは、民主主義を成熟させて、内閣と国会が高度な政治的判断をすべきだということを示しています。

中には、奇妙な論理で、これを否定する学者なども存在しますが、私はあの判決文を読んだ限りでは、どのように解釈しようが、何回読もうが、どう考えてもこのように受け取る以外はないと判断しました。疑問を感じる方は、是非一次情報にあたってみてください。

安保法制を戦争法案とする人たちは現代史の修正を行っていることに気づいていない!
選挙による公約や、選挙結果を軽々しく扱うわけにはいきません。また、過去の最高裁判決を軽視するわけにもいきません。だから、今安倍政権が、そうして安倍総理が、憲法解釈の変更による集団的自衛権の可能性を探るのは当然のことであり、これに反対する野党やマスコミは、既成事実を無視するものであり、この点において、歴史を自分たちの都合の良いように捻じ曲げて、勝手に変えてしまう歴史修正主義の中韓と非常に良く似ていると思います。

上で述べたように、憲法解釈による集団的自衛権がこの日本で世に問われた回数は、安倍総理の選挙による勝利という三度目の正直の回数をはるか超えていたという事実は、どう考えても変更しようがありません。否定のしようがありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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