輸送揚陸艦ポンスに備えられたレーザー兵器システム「LaWS」 |
まるでテレビゲーム
「LaWS」(レーザー兵器システム)と呼ばれる新兵器は、ペルシャ湾に展開する輸送揚陸艦ポンスに配備されている。見た目は望遠鏡のようで“武器らしい”威圧感はない。
米海軍が行った試射の様子を独占取材した米CNNテレビ(電子版、7月18日)の映像では、海上に飛ばしたドローンにレーザーが照射されると、翼から突如炎が上がって打ち落とされた。レーザーは目に見えず、音らしい音もない。担当者がモニターを見ながらコントローラーを操作する様子は、まるでテレビゲームのようだ。
大量の陽子が光速で照射され、その速さは大陸間弾道ミサイル(ICBM)の5万倍になるという。射程5500キロ以上のICBMは再突入時の速度がマッハ24とされている。
輸送揚陸艦ポンス 写真はブログ管理人挿入 |
低コストで低リスク
LaWSを担当するカール・ヒューズ大尉はCNNに、「風、射程などを気にする必要はない。オートフォーカスなので、目標を定めるだけでターゲットを無力化できる。ビームも見えないし、音もしない」などと説明。悪条件下でも極めて正確な攻撃が可能で、米海軍は、二次的な被害を抑えることができるとしている。
経済性も驚きだ。システム全体は4000万ドル(約44億4000万円)だが、1発当たりの費用はわずか1ドル。必要なのは小さな発電機で供給される電気と、わずか3人の乗員だけだという。ちなみに、4月に米軍が実験したICBM「ミニットマン」は1発当たり約700万ドルとされている。
2020年代初めまでに配備拡大
現時点では、過激派組織など対テロリスト戦で、車や船で近づく敵をピンポイント攻撃することを想定しているとみられるが、その用途は拡大しそうだ。
CNNの報道を元に同兵器について報じた米国政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」(7月19日、電子版)によると、米海軍は2020年代初めまでに他の艦艇にも追加配備する計画で、さらにミサイルなどを標的とする技術を開発しているとしている。
米防衛大手ロッキード・マーチン社は、複数のレーザーを組み合わせて強力なビームを照射できる出力60キロワットのシステムを開発中で、複数のドローンやミサイルを同時に迎撃することも可能になるという。
同社のホームページは、「レーザー兵器は繰り返し何度も撃てる。基本的には無限に尽きない弾倉のようなものだ」としており、砲弾やミサイルを使わない攻撃の有効性をアピールする。
米国以外でも開発が進んでいる。英国は1月、英軍が欧州の防衛企業とレーザー兵器の試作品を造る3900万ドルの契約を結んだと発表した。
各国で着々と開発、配備が進むレーザー兵器。米海軍専門紙「ネイビー・タイムス」(電子版、7月19日)が表現したように、「もはや単なるスター・ウォーズのファンタジーではない」のだ。
【私の論評】日本は世界最大高出力レーザーで核を無効化できる(゚д゚)!
CNNがこの「LaWS」を報道した動画を以下に掲載しておきます。
大気の影響を最小化する目的で、ボーイング747に空中発射型のレーザー兵器を開発していたこともあるのですが、レーザーの威力は最大数十キロしか届かず、その範囲にミサイルが通過する前提で防衛網を築くことは非経済的で開発が滞っていました。
しかし、近年そのレーザー光を約12×10-15秒という極めて短いレーザー・パルス状で生成し、その短時間にエネルギーが集約されて100億キロワットに相当するものが開発されました。
この高エネルギー故に衝突する大気中の原資が瞬時にイオン化されてプラズマ状になり、これが大気中でのエネルギーの分散を防ぎ、かなり遠くまで到達可能となりました。
このレーザー兵器を用いれば、航空機や衛星上に搭載する必要もなく、幾何学的に見通しがつく範囲なら地上からのミサイル迎撃が可能になります。
しかも、迎撃の成功失敗は一瞬で判断できる上、相手のミサイルの速度に依存して迎撃確率が変わるミサイル防衛よりも遥かに精度は高く、ミサイルの軌道さえ正確に把握できればほぼ確実に核弾頭の起爆前に破壊して、被害を最小化することができます。
この技術は核抑止力を概ね無効化する技術であり、現在の核保有による軍事バランス崩れることになるでしょう。また更に、戦争の様相も大きく変わることになります。
大型の飛翔兵器であるミサイル、砲弾などはこのレーザー兵器での破壊が可能となり、無意味なものになってしまいます。大型の戦闘機も、戦闘機対戦闘機などの空中戦になる以前にレーザーで破壊可能ですし、携帯式小型レーザーが出来れば、戦車などもあまり意味がなくなるでしょう。
この兵器の登場により、攻撃する側には不利に働き、防衛側には有利に働くようになります。敵を特定できれば勝負はつくので、ゲリラ戦や接近戦など、古典的、アナログ的な戦争が再び主流になるかも知れません。
その際、大規模な軍隊ではなく小規模な戦闘やゲリラ戦、テロ等が実質的な脅威となるでいしょう。生物・化学兵器の重要性が、高まるかもしれません。これらの戦闘は、従来の大規模な戦闘と異なり規模が小規模化するので、交戦開始のハードルは下がり、局所戦の発生確率は高まるかも知れないです。
たとえレーザー兵器の登場によって戦争の方式が変わったとしても、日本の場合は四方を海で囲まれているために陸続きで隣国と接する欧州などよりもかなり有利なことになるでしょう。
この防衛網を破り攻撃するためには、おそらく、潜水艦で日本の沿岸まで深く侵入し、隙を突いて核ミサイルで攻撃するというスタイルが予想されます。ところが潜水艦のステルス能力は日本はずば抜けて高い上に、中国等諸外国の潜水艦はステルス性が低くて探知が容易なのですから、敵潜水艦の接近を防ぐことは比較的容易です。しかも、日本の対潜哨戒能力世界トップクラスとなります。
その上に、上記のようレーザー兵器を日本が持っていれば、かなり日本の防衛はしやすくなります。すでに、防衛省はこの実験などにとりかかっています。
さらに、日本のレーザー技術もかなり進んでいます。2015年には、大阪大学の研究グループが、世界最強のレーザーの生成に成功したことを、主要各紙が報じていました。この「LFEXレーザー」は、全長100メートルほどの巨大装置で生成され、2ペタワット(1000兆ワット)の出力を誇ります。
2ペタワット(1000兆ワット)の出力を誇る「LFFXレーザー」 |
国際エネルギー機関によると、2012年度に全世界が一秒間に消費したエネルギーは約18テラワット(1.8兆ワット)である。そのため、阪大のレーザーはこの500~1000倍の出力を持つことになります。
なぜここまで高い出力を得ることが可能なのだろうか。阪大のレーザーは、電子レンジ2台を2分間作動させたエネルギーを、1兆分の1秒という短い時間内に放出できるのです。同じエネルギーを、より短い時間で放出すれば、瞬間的な出力を上げることができるというわけです。
それまでレーザー出力の記録を保持していた米テキサス大学のレーザーに比べて、出力は倍、エネルギーでは100倍であり、名実ともに世界最強のレーザーです。
なぜここまで高い出力を得ることが可能なのだろうか。阪大のレーザーは、電子レンジ2台を2分間作動させたエネルギーを、1兆分の1秒という短い時間内に放出できるのです。同じエネルギーを、より短い時間で放出すれば、瞬間的な出力を上げることができるというわけです。
それまでレーザー出力の記録を保持していた米テキサス大学のレーザーに比べて、出力は倍、エネルギーでは100倍であり、名実ともに世界最強のレーザーです。
ちなみに米軍が、5万ワットのレーザーによって1マイル(約1609メートル)の距離から無人機を撃墜させる実験に成功していますが、その無人機を撃墜させた5万ワットのレーザーのパワーは、大阪大学が成功したレーザーの100億分の1しかないものでした。日本はすでにスターウォーズのデス・スター搭載の、「スーパーレーザー」を開発できる能力を有していると言っても過言ではないのです。
デス・スターのスーパーレーザー |
このように考えると、20年後の世界は今とはがらりと変わっているかもしれません。日本の技術力は中国や北朝鮮に対しては圧倒的に有利であるのは間違いないです。日本は世界最大の高出力レーザーで核を無力化できるのです。それまでの年月をどう乗り切るのかが日本の課題となるかもしれません。
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