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2012年8月27日月曜日

脱原発に必須の天然ガス調達で中部電と大ガスがあけた風穴 - Close Up―【私の論評】東電・国グループは、中部電力・大阪ガスグループに太刀打ちできるか?

脱原発に必須の天然ガス調達で中部電と大ガスがあけた風穴 - Close Up:



原子力発電所の停止でフル稼働が続く火力発電所の主燃料となるLNG(液化天然ガス)。そのコストは電気料金の値上げ、電力各社の赤字の原因になっているが、中部電力と大阪ガスがLNGの調達で風穴をあけた。天然ガスの大量産出で、ガス価格が大幅に低下している米国での契約にこぎ着けたのだ。

中部電力
LNGは原子力発電所の停止でフル稼働している火力発電所の主燃料で、その価格は電気料金に直接跳ね返る。では、何がサプライズなのか──。

まず1点目は、天然ガス価格が現状、圧倒的に安い米国から調達するということだ。

大阪ガス本社
米国では近年、従来の天然ガスとは別の地層から産出される「シェールガス」が大量生産され、ガス価格が大幅に低下。これまで天然ガス価格は原油価格に連動するのが一般的だったが、米国だけ全く違う値動きをする「シェールガス革命」が起こっている。

一方、日本は原油価格連動で購入している上に、福島第1原発の事故以降、調達に走り回った結果、売り主に足元を見られて、LNGの高値掴みを余儀なくされた。日本の輸入価格は、米国の天然ガス価格の約6倍にも達し、「ジャパンプレミアム」と呼ばれるほどだ。

中部電力カーリング部
この構造を打ち破るべく動いたのが、中部電と大ガスだった。現在の価格で見ると、米国の天然ガスを輸入すると液化加工や輸送費を含めても通常の輸入価格より4割は安くなる計算。「既存の枠組みでの価格交渉には閉塞感もあり、突破口が欲しかった」と大ガス資源・海外事業部の揚鋼一郎ゼネラルマネジャーは動機を話す。

ただ、こうした動きは特に電力業界では珍しかった。「数年前まで米国のほうが価格は高かった」(電力会社幹部)と過去を振り返るだけで、中部電を除くと動きは皆無。資源エネルギー庁は「そもそも電力業界には1円でも安く調達しようという気合がない。中部電は異端だ」と指摘する。

2点目は、燃料調達の“プロ”である商社を頼らずに、新たな契約を実現したことだ。

国内ではガス権益だけでなく、LNGも商社を通して購入するケースが大半を占める。米国からの調達は三菱商事や三井物産などが交渉を主導している。だが、「商社は価格下落へのエンジンにはならない」(橘川武郎・一橋大学教授)のが実情だ。商社は、高く販売できたほうがよいからだ。関係者の1人は「もちろん商社は今も必要だが、今回は商社がいたら成功しなかっただろう」と指摘する。

3点目は、天然ガスの「生産者」としての権利を手にしたことだ。

これまでの調達契約は、生産基地から一定量のLNGを購入し、日本に運ぶだけというのが一般的だった。だが、今回の契約では米国内の好きな場所で天然ガスを購入した後、生産量を調整して転売などトレーディングの材料として活用することもできる。


今年初め、韓国のガス公社が米国で別の調達契約を決め、日本では「また韓国に先にやられた」との批判が上がったが、中部電燃料部の佐藤裕紀部長は「あの件はただの調達契約。最初から契約の幅が広いフリーポートに狙いを絞っていた」と打ち明ける。

今後は上流のガス田との関係構築やパイプライン輸送を直接手がけることもできる。佐藤部長は「これまで一部のメジャー企業だけがやっていた未知の領域が自分たちでできるようになり、日本にとっての調達のあり方が抜本的に変わる」とその意義を強調する。

最後のサプライズは、電力会社とガス会社が共同で動いたことだ。共同調達は「そう簡単にはできない」と敬遠する声ばかりだったが、条件がそろえば短期間で実現可能なことを、両社は証明した。

「市場を変えていくんだという意気込みのある人と巡り合えた」と成功の秘訣を語る佐藤部長。両社があけた風穴が業界全体に広がれば、今後日本のエネルギー価格は適正に低下していくかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)

【私の論評】東電・国グループは、中部電力・大阪ガスグループに太刀打ちできるか?

シェール・ガス・オイルに関しては、このブログにも過去に記事としてとりあげたこ とがあります。そうして、そのときには掲載しませんでしたが、当然日本でもこれを活用するところもあるのだろうと、思っていましたが、まさに、それを行ったのが、中部電力と大阪ガスということです。 本日は、中部電力カーリング部の画像とともに掲載させていただきます!!

この柔軟な動き、政府や他の役所よりも役所といわれている、電力会社やガス会社ではできなかったということです。特に東京電力には無理だったようです。

以下に、最近の東電の状況をまとめておきます。

政府は31日、原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力に1兆円の公的資金を投入し、50.11%の議決権を取得して実質国有化を完了しました。東電の経営破綻を回避し、福島第1原発事故の賠償や、電力安定供給に支障がないようにすることが目的です。政府はリストラなどで黒字転換させた後、1兆円の公的資本を回収する方針ですが、再建が暗礁に乗り上げた場合、機構が立て替えている1兆円余りの賠償資金すら回収できず、2兆円規模の国民負担が生じる懸念もあります。
東京電力本社
「いずれは純粋な民間企業の形に戻ってもらう」。枝野幸男経済産業相は31日の会見で公的管理は「一時的」と強調。しかし、公的資本の回収は「相当長期にわたる」と述べ、具体的な言及を避けました。

『超整理手帳』でも有名な野口悠紀雄氏
経済学者の野口悠紀雄氏は、戦時経済が確立した「1940年体制」が日本経済を蝕んでいると主張してきましたが、競争を否定する思想が根強い電力業界こそその象徴だとみなしています。これに関して、このブログでも以前掲載したことがあります。

国有化を通じて東電に民間活力を取り戻させるという逆説的な取り組みは、日本経済が市場重視の体質への転換が進むかどうかの試金石になるのでしょうか?
老朽火力更新で改革へ布石
約100ページに及ぶ総合計画の中には今後の電力市場改革の起爆剤になる可能性がある項目が含まれています。原発の再稼働が容易に見込めない中で、東電が安定供給を果たすには火力発電の高効率化に注力する必要があります。ただ、1兆円の公的資本注入を受ける東電には、従来通り電力事業のための高水準の設備投資を続ける資金的な余力はありません。 
このため、総合計画では東電が老朽火力設備を他社に売却したり、設備更新を他企業と共同で取り組み、パートナー企業にその主導権を握らせるプランが盛り込まれました。東京湾岸だけで、更新投資が必要な古い火力設備は1000万キロワット程度と中国電力(9504.T: 株価, ニュース, レポート)全体の発電規模に迫ります。「都市ガス、商社、石油、鉄鋼などがパートナーとして参加することに関心を示してる」(関係者)といいます。 
これらの発電設備が最新鋭の高効率火力に生まれ変わるには7年程度の期間を要しますが、いずれ東電以外の資本に主導権が移り、 新電力(特定規模電気事業者)や卸電力取引所に供給することも想定されます。枝野幸男経済産業相は、総合計画の認定を表明した後の記者会見で、火力関連の項目について、「関東エリアにおける電力事業の改革が、(日本)全体のシステムに先行する行動として大きなインパクトを持つと期待している」と語りました。 
競争と統制の歴史
明治期に始まった日本の電力産業は、時代の変遷とともに大きく姿を変えてきました。大正(1912―1925年)末期には、東京電灯、関西地盤の宇治川電気、東海と九州北部が地盤だった東邦電力など「5大電力」が激しい顧客争奪戦を繰り広げました。
戦時色が深まった1939年(昭和14年)には電力国家管理体制のもと全国の発電から送電まで手掛ける日本発送電が設立され、1942年(同17年)には配電統制令に基づき全国に9配電会社が発足しました。9社の地域ブロックは「現在の電力9社の供給エリアと基本的には変わっていません。戦後から現在に至る電力体制は、戦前に東邦電力を率い、「電力の鬼」といわれた松永安左エ門が再編を主導し、1951年に確立しました。 

競争を否定する思想
戦後の9社体制への再編、70年代以降の国策民営による原子力の推進と、体制や業容を変化させながら、電力業界は民間セクター最大の設備投資の発注者として産業界と地域経済に絶大な影響力を行使してきました。地域独占に加え、事業コストに一定の利益率を加えた総原価に基づく電気料金の設定が許されてきた電力会社の経営は従来、赤字とはほぼ無縁で、市場競争を仕掛けるインセンティブもありませんでした。2000年の電力小売りの一部自由化の導入で電力会社が営業区域を越えて顧客に電気の供給が可能になっても実例はほとんどなく、競争を忌避する体質が染みついていました。 
戦時体制を確立した1940年体制を「市場経済を否定する考えが基本にある」と、長年にわたり問題視してきた野口悠紀雄氏(早稲田大学ファイナンス大学院総合研究所顧問)は、昨年10月、ロイターの取材に対し、「私がずっと言ってきたことだが、東電は1940年体制の権化だ。さらにいうと、経団連と経済産業省。この3つはワンセットで40年体制の権化だ」と語り、メスを入れる必要性を強調しました。 

中部電力の動向が電力改革のカギ握るか
これまでは原発推進で一枚岩だった電力業界ですが、福島第1原発の事故を契機に結束が弱まる可能性もあります。「国策民営の罠 原子力政策に秘められた戦い」(日本経済新聞出版社)を著した竹森俊平・慶応大学経済学部教授は、中部電力(9502.T: 株価, ニュース, レポート)の動向に注目しています。竹森教授はロイターの取材で、「浜岡原発の再開はどうみても無理だ。中部電は原発の依存度も低くて、経営の方向性がはっきりする」と話しました。 
中部電は昨年5月、大規模な東海地震の発生が予測される浜岡原発について、菅直人前首相の停止要請を受け入れました。現在、津波対策の強化工事を行い再稼働を目指しています。ただ、同原発が立地する静岡県の川勝平太知事は、ロイターのアンケート調査(2月下旬から3月上旬実施)に対し「当面、再稼働を認めない」と答えており、ハードルは高そうです。 
原子力発電のスタンスは「電力会社によって違う」(業界関係者)とされています。竹森氏は「原子力発電は事業として市場経済に合わない。国が原子力発電の運営をやるのでないと、東電だけではなく電力事業そのものが成り立たない」と指摘しています。同氏に限らず「原子力の国有化論」を唱える有識者は多いですが、ある政府関係者は「経済産業省も財務省もそこまで責任を取る気はない」とみています。
市川美余(カーリング)・中部電力主将として、日本カーリング選手権連覇
こうした最中にあっての、上記の風穴である、中部電力と大阪ガスグループによる、天然ガスの「生産者」としての権利の取得です。今回東電は、直接原発の大被害を受けさらに、地域に対する賠償もしなければならなてということで、中部電力などとは根本的に異なるところがありますが、このスタンスやはり、政府主導ではなかなか出てこないものと思います。

このブログでも、以前、政府主導で日本再生戦略を実行することなど不可能であることを掲載したことがあります。これに関しては、一見無関係に見える、NASAによる国際宇宙ステーションの無残な経済性追求の失敗についても事例をあげました。

政府や官僚が、経済性を追求するには、かなり無理があると思います。そもそも、自由経済においては、誰が成功を収めるのかなど、その時々では誰にもわからず、様々な民間企業が、その時々でいろいろなことをやっていて、その中で、うまく適応・適合した企業が次の市場を大きく開拓していくというのが普通です。これに関しては、民間企業も難しいというのに、政府や官僚がこれができると思いこむことに関しては、かなり無理があります。

これができるというのであれば、共産主義、社会主義下の計画経済もうまくいったはずです。私自身は、上の二つの事例をみていて、やはり、中部電力、大ガスグルーブのほうは、なんとかうまくいきそうですが、東電、政府の組み合せは、無理だと思います。

国有化することは、ある程度無理もないところもあると思いますが、やはり、東電・大ガスのようにより柔軟な発想も可能にするようにするため、NASAが、米国議会において、経済性追求の任を解かれ、NGOが担当するようになったように、国が直接関与するよりも、有力NGOや、民間企業などもいれて、新たな市場を開拓することと、ユーザーにとっても最も良い体制を模索すべきと思うのは私だけでしょうか?


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成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!




2012年8月24日金曜日

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来:


NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。


しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。

成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。



しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。


1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。

他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。

・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・

要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!

さて、上の記事を読まれて、皆さんはどうお感じになられたでしょうか。結局実験室とその設備の管理を官僚機構のNASAが行なってきたということに問題の根源があるのだと思います。経済的な活動に関して、官僚組織が、主導権を握って、官僚の考える開発をやるというのでは、経済的な利益の追求など最初から土台無理な話だったのです。


この管理が、NGOの宇宙科学進歩センター(CASIS)に移るということで、かなり改善がされると、思います。宇宙旅行もそのプログラムにも含まれるというのも、当然のことだと思います。さて、本日は、上の記事のように、宇宙旅行も身近になると考えられますので、当然女性の宇宙進出も増えるとかんがえられるため、女性の宇宙進出に関連する画像とともに、掲載させていただきます(笑)。

これに関して、最近の日本でも、事柄は一見全く異なるように見えて、同じようなことが繰り返されようとしています。それに関しては、以前このブログでも、記事を掲載したことがあります。


【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!


この記事の詳細は上のURLをから記事そのものをご覧いただくものとして、この記事と今回の記事との関連する部分だけ、以下にコピペしておきます。



この記事では、まずは、政府の「日本再生戦略」に関する,高橋洋一氏の考えを掲載しました。それが、以下です。
政府は「日本再生戦略」の原案を公表した。それは2020年までに環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、630万人の雇用を創るという政府の目玉の成長戦略だ。7月末までの閣議決定を目指しているという。 
11分野を具体的にいえば、グリーン成長戦略、ライフ成長戦略、科学技術イノベーション・情報通信戦略、中小企業戦略、金融戦略、食農再生戦略、観光立国戦略、アジア太平洋経済戦略、生活・雇用戦略、人材育成戦略、国土・地域活力戦略。これはほぼ全省庁の守備範囲だ。 
これだけ広範囲になると、「戦略」という名前がすたってしまう。戦略とは選択と集中が伴うものだが、政府のものは総花的で戦略の名に値しない。まるで、各省庁が予算獲得のために「一丁目一番地」(各省庁の優先政策事項)を束ねたものに見える。

そうして、高橋氏の主張に関して、私は、以下のように論評しています。
上の記事で、高橋洋一氏は、「成長する産業としない産業が政府でわかるなら旧共産圏の計画経済は失敗しないはずだ。もし本当に政府が分かるなら苦労はない」と語っていますが、まったくその通りと思います。 
成長する産業は、政府はおろか、優秀な民間企業でさえ、見抜けないことがあります。たとえば、あの世界を携帯電話で、席巻したNOKIAです。

そうして、NOKIAは、アップルがこの世にiPhoneや、iPadを出す数年前に、すでにそれらとほぽ近いものを開発していたにもかかわらず、市場に投入する時期を間違えたばかりではなく、iPhoneや、iPadが発表された後にも、しばらく市場に投入することもなく、今日すっかり、スマホ、タブレットの分野で、アップルに負けたどころか、かなりの市場を失ったことを掲載ました。



そうして、さらに、以下のように論評を続けました。
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。 
スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。 
スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。 
そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。 
それに、本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。

以上のように国が、直接民間の産業育成に関わっても、成功する見込みは、全くないのです。 そうして、官僚組織の下部組織である、NASAが、国際宇宙ステーションを牛耳って、NASAが、将来儲かるでろうと、判断した開発事業は、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションが単なる金食い虫に終わってしまたっということで、このことを雄弁に物語っています。

さらに、付け加えると、NASAがやって結局このザマですから、言ってしまえば、宇宙でも、共産主義は失敗するということです。役人がこうすれば、経済的利益をあげられると考えて宇宙開発を実施したとしても、結局はうまくはいかないということです。

であれば、結局中国の宇宙開発もうまくはいかないと思います。ただし、利益など度外視して、国威発揚をするとうだけなら十分できると思いますが、アメリカの宇宙開発のように、利益をあげるという目的を達成しようとしても、土台無理だということです。結局金食い虫で終わることでしょう。無論中国は、現在共産主義国家ではなく、国家資本主義というのが正しい認識です。しかし、資本主義の前に国家がつく状況にかわりはなく、官僚、それも、悪徳官僚が幅をきかせているのが、現在の中国です。

しかし、だからといって、中国が、アメリカのようにNGOを宇宙開発の管理主体にしようとしても、これも、結局うまくはいないと思います。中国の場合、本当に不思議なことは、たとえば、民主活動家などといわれる人々が、確かに民主活動をしているのですが、その一方で犯罪行為も行なっているというのがほとんどです。他国には、あり得ないことです。犯罪行為をするなら、民主活動などすべきではないと思うのが、中国以外の一般の人々の考えでしょうが、そのような常識は、中国では通用しません。それに、何事にも、利益優先で、人命軽視ということもあります。それに、常識をはるかに超えた、環境汚染、地溝油をはじめとする、安全ではない食品の蔓延など考えると、中国で、NGOが宇宙開発をはじめたとたん、死人続出ということになりかねません。


さて、日本再生戦略に話を戻します。中国再生戦略のようなものは、中国で過去何回も行われてきて、今のところは、成功してきました。だから、役人主導の日本再生戦略も中国のように成功するだろうと、日本の官僚は思っているに違いありません。


しかし、そこには、大きな落とし穴があります。ご存知のように、中国は、日本のように変動相場制ではなく、固定相場制です。その固定相場制の中で、不況になれば、元を大量に擦り増し、官僚主導で景気対策を行い、すぐに景気を浮揚させることができました。景気が良くなりすぎれば、今度はすかさず、元の流通量を減らし、インフレ対策を行いました。そうして、景気が悪くなれば、また、元の大増刷を行うという具合で、この繰り返しをしつつ、経済を大きくしてきたというのが、中国です。

本当に簡単で安易な経済対策です。では、日本でもこのような簡単なことができるかといえば、そんなことはありません。まずは、日本は変動相場制です。それに、中国のようにやろうとすれば、たとえば、増刷してインフレになれば、国民が騒ぎ出します。通貨の流通量をいきなり減らせば、インフレは、すぐに収束します。しかし、その都度の国民の反発をかい、政治家は、そんなことをすれば、次の選挙でではまけてしまうかもしれません。だから、どんな場合でも、あまりに極端なことはできません。

しかし、中国ならば、そんなことはお構いなしにできます。国民が騒ぐどころか、暴動になったとても、すぐに、警察権力を使ったり、人民解放軍を使ったりして、すぐに鎮圧すれば良いだけです。とにかく、政府のやり方に反対する輩は、逮捕したり、殺したりすれば良いのです。なにせ、地方でも、中央でも、選挙というものがない国です。だから、中国は厳密な意味で、政治家など存在しません。全部官僚です。だからこそ、中国、いままでは、どんなことがあっても、不死鳥のように、経済を回復してきました。しかし、このようなやり方、そろそろ、限界にきて、中国もバブルが崩壊、深刻な経済不況に見舞われるのは、必至の状況になっています。

中国のようなことができない日本では、やはり、官僚が考えた、「日本国家再生戦略」など、絵に描いた餅にすぎず、やれば、必ず失敗します。壮大な無駄遣いをすることになり、金食い虫と言われるだけになります。絶対にやめるべぎです。


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