円高局面が終わった可能性を指摘する市場関係者が増えている。日銀が14日の金融政策決定会合で追加緩和を決定 したことを受けた円の大幅な下げで、以前は安全な逃避先と考えられた円をめぐってトレーダーが現在、売りのきっかけをうかがっていることがうかがえる。
日銀は長期的なデフレの終結への決意を一段と固め、資産買い入れ基金を10兆円増額する計画を明らかにし、市場を驚かせた。この日銀の政策により、市中の資金量が増え、円安圧力になるとみられる。
日銀の発表を受けて、ドルは対円でテクニカルチャート上の節目を上抜け、14日の日本市場で10カ月ぶりに200日移動平均水準の1ドル=78.03円を上回って通常取引を終えた。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)のジム・オニール会長は、「日銀からの素晴らしい重要な動きだ」と言及。その上で、ドルは対円で今年中に100円に上昇する可能性がある、との見方を示した。
このところ、ドル・円相場は78.46円付近で推移しており、1ドル=100円といった水準はずっと先の話のように思えるかもしれないが、東京のトレーダーらは、この見方は海外市場の地合いをかなり表わしていると指摘した。海外の投資家は通常、日本の投資家と比べ、日本のニュースに反応しやすい。
【私の論評】円高局面は完全に去ったわけではない!!
詳細は、上の記事をみていただくものとて、日銀は、物価安定の定義を変えるとして以下のような内容を14日に発表しています。「中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率として、「中長期的な物価安定の目途」を示すこととする」
そうして、消費者物価指数の対前年比上昇率1%を当面の『目途』と致しました。要するに「インフレ目標1%」ではなく、「インフレ率の目途1%」ということです。なぜ、はっきり言わないのか戸惑うところです。
しかし、日本では、日銀が「インフレ目標」を決めるという法律的な裏付けはなく、はっきり決めてしまえば、権限を逸脱していると、避難されかねないので、「目途」という言葉を使っているのだと思います。それでは、誰が日本のインフレ率の目標を決める権限があるのかといえば、その答えは、誰もいないということになります。
デフレ期にこんなあいまいなことをしていては、どうしようもないと思います。
「物価安定の定義(物価上昇率)は政府が決定し、日銀は独立した手段を以てそれを達成する。達成できuい場合、総裁が説明責任を求められ、説明が不十分な場合は罷免される」
という感じに日銀法を改めなければ、結局のところ日銀は変わらないというより、いままでの通り、結果ととして金融引き締めだけしかできないことになってしまいます。今回の金融緩和は、政治家の間で「日銀法再改正」の機運が高まってきていることを受けて、
「それでは、インフレ率の『目途』を1%に。長期国債も10兆円買い取る」
と、ガス抜きを図っているにすぎないように見えます。しかも、上記の「目途」を達成できなくても、日銀は別に責任を取る必要はありません。あるいは「目途」を達成しても、金融緩和が不十分だった場合であっても、やはり日銀は責任を取る必要はないのです。
私としては、日銀がこのような行動をとることにより、増税後に結局、景気がさらに落ち込み、税収が思ったほど、増えない状況に見舞われたとき、増税後前に日銀はやれるだけのことはやったという実績作りによる責任ののがれをしようとしているように見えます。実際、日銀は、これだけ、震災で円の需要が高まっているにもかかわらず、増刷拒否の姿勢は崩しません。こんなデフレで、しかも、震災復興の時期には、どこの国の中央銀行でも、増刷するのは、当たり前のことです。この時期だと、たとえ、長期国債を10兆円艇と買いとったとしも、円の需要は増すばかりで、基本的に円高基調を変えることはできません。
しかしながら、デフレ脱却の責任を日銀のみに押し付けるのは、これはこれで酷い話です。何しろ、日銀が長期国債を買い取っても、そのお金が民間企業が借りなければ、デフレ脱却への道筋は見えてきません。FRBの量的緩和第二弾のように、株価は上がるとは思いますが、それでは実体経済への影響は限られてしまいます。株式がどれだけ買われたとしても、それは、金融セクターにお金がいくだけの話しであり、それのみでは「雇用」は生まれません。
日銀側として、政府が震災復興、デフレにあっても、緊縮財政を行い財政均衡を優先することにより、増税後に、景気がかなり落ち込み、それによって、税収も思ったほどには増えることはなく、結局過去に民主党政権が何回も繰り返してきたようにすべての約束を反故にしなければならないことになったときに、日銀もともに、避難されるようなことを防ぐために、アリバイづくりをしているのだと思います。
日銀は、官僚の機関であるため、馬鹿な政治家とは異なり、このまま増税すれば、どうなるかなどわかりきっているため、このように、いずれ生じるであろう国民の批判をかわすために、上記のような行動に踏み切ったのだと思います。いずれにせよ、小泉政権のときにも実行して、うまくはいかなかったように、デフレ基調では日銀の金融緩和策だけではうまくはいきません。やはり、政府も緊縮財政をやめて、積極財政を行う必要があります。両方同時に実施しなければ、結局はうまくはいきません。
しかし、財務省は、アリバイづくりは、必要ありません。そりゃそうですね。馬鹿な政治家どもは、自ら、増税路線をまっしぐらです。それに、民主党は、政治主導ということを言っていますから、増税は財務省主導ではなく、政治主導で行ったものだということで、国民の非難はまぬがれます。(下は、外国で捨てられていたお札の束)
ここに、日銀と、財務省の対応の違いがでてくるわけです。こうした仕組根本的に変えなければ、どうしようもありません。政府も、日銀も、デフレのときには、デフレ対応(積極財政、金融緩和)、インフレのときには、インフレ対応(緊縮財政、金融引き締め)を素早くできるような、システムと、それを保証する法律の整備が今の日本には、他の何にもまして、緊急の課題です。
このままでは、一端デフレになれば、かなり長期にわたってデフレが続き、国債為替市場では、円高がとなり、インフレになれば、適度なところで、収束せずに、バブル崩壊ということになってしまいます。
こんなことから、今のままでは、円需要の高まりを根本的に是正はできず、一時的に円高局面は収束したようにみえても、いずれ必ずそれも、近いうちに円高局面になることは、目に見えているものと思います。
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