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2011年5月7日土曜日

何でも「想定外」と言えばそれで済むのか?大震災を機に“コンティンジェンシープラン”を考えよ―【私の論評】想定外で済むのは、会社でも、政府でもミドルマネジメント未満だ!!

何でも「想定外」と言えばそれで済むのか?大震災を機に“コンティンジェンシープラン”を考えよ

サーバーがダウンしたときの、コンティンジェンシープラン
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東日本巨大地震が起こした津波や原発事故による被害は、いまだに収束の見通しが立たない状況だ。この未曾有の現状に対する説明を求められ、多くの専門家が異口同音に口にしている言葉がある。「想定外」という言葉である。これに対し、「想定外とは言語道断」「リスク分析が甘すぎる」などと批判が集中している。

想定できなかった原因は色々あるだろうが、その1つは「問題は起きない」と思い込んでしまったことではないか。そのため思考停止に陥り、実際に起きたときの対策が後手に回ってしまった。

想定するためには、どんな完璧な対策を打ったとしても、常に「問題は起こり得る」と考え、問題が起きたときの被害を最小限に食い止めるための対策を、あらかじめ用意しておくという発想が必要である。この対策は専門用語で「コンティンジェンシープラン」と呼ばれ、これを徹底的に考え抜くことこそが、想定外を想定内にする決定打となる。

ところで、そもそもこの横文字の概念は欧米由来のものなのだろうか。論理的思考に関する数多くの著書があり、リスク分析にも詳しい飯久保廣嗣氏は、「実はそうではなく、日本にはもともとこうした発想はある」と話す。「最たるものが『泥縄の教訓』。泥棒に入られてしまうことを想定し、あらかじめ縛り付けるための縄をなうという発想は、まさにコンティンジェンシープランそのものであり、先達の智恵として伝承されてきた」(飯久氏)。

しかし、日本が高度成長期に入り、問題が起こってから対応しても、何とか克服できるだけの体力や勢いが国や企業に備わったために、その智恵は軽視される傾向が出てきた。「この驕りがあり、“うちには泥棒は入らない”と思い違いをしたのではないか。その結果、本来想定しなければならないリスクを想定しない風潮が生まれ、バブル後も残ってしまった」と飯久保氏は言う。

今必要なことは、原点に返り、家の塀を高くしたり、頑丈な鍵を設けたりしたとしても、「泥棒は入り得る」と考えて、予め縄をなっておくことだ。原発事故の収束に向けた工程表が発表されたが、これに対してもその作業が起こすかもしれない問題を想定して、コンティンジェンシープランを考えておくことが必要だ。こうして「問題は起こり得る」ことを常に意識する。そうすれば、思考は「停止」せずにとめどなく「展開」し、対策も緻密に打てるようになる。

ただし、コンティンジェンシープランだけでは充分ではない。この問題が発生した「後」の対策に加えて、問題が発生する「前」にそれを未然に防ぐ対策、つまり「予防対策」も重要である。「江戸の火事に例えれば、予防対策は火の用心を呼びかける“夜回り”であり、コンティンジェンシープランは“火消し”。この2つをペアで考えることが、問題を想定内にして対策を打つための鍵となる」(飯久保氏)。

こうして、先人の智恵である“夜回り”と“火消し”を思考プロセスとしてまとめ、体系的に発想することが、ヌケモレのない対策を打つことにつながる。震災を機に、このことを多くの日本人が心がけるべきだ。

(大来 俊)【ダイヤモンド・オンライン】

【私の論評】想定外で済むのは、会社でも、政府でもミドルマネジメント未満だ!!
コンティンジェンシー・プランの定義を以下に掲載します。

起こりうる不測の事態、特に最悪の事態を想定して立てる計画、対処法です。考慮すべき事態としては、極端な経済要因の変動や法的要因の変化、技術変化、国際紛争、新しい競合企業の登場、極度の売り上げ不振などがあります。

いずれも、その状況に陥ってから対応し始めるのでは既に遅く、日頃の情報収集・分析能力の充実が望まれます。また、天災など全く予測不可能なものにしても、いざという時に効果的に対処できるよう、企業内に危機管理の意識・仕組みを内在化させる必要があります。 これを策定する行為・過程をコンティンジェンシー・プランニングといい、近年の経営環境の複雑化を反映して、その策定能力の重要性は増加しています。

これは、経営学などの本を読んだり、勉強したりしたりしたことのある人なら、一度はお目にかかる言葉だと思います。私の記憶では、これは、非常にコストがかかるとされていると書いてあったのを覚えています。確かにそうでしょう。滅多に起こらないことに対して、ある程度の明確な計画をたてるには、人手もかかるでしょうし、場合によっはシステムをつくるにしても、ある程度の資金が必要になるものと思います。

だからこそ、ほとんどの企業が、実施していないのだと思います。しかし、中小企業ならともかく、大企業ならある程度までのものは作成しておくべきものと思います。それに、国の場合は、政治家や、官僚も沢山いることですし、特に、官僚などは評判が悪いですから、遊んだり、蓄財ばかり考えている人間ばかりではないことを証明するためにも、ある程度のプランはねっておくべきではないでしょうか?

民主党などは、災害対策に対する施設まで、事業仕分けをしてしまって、震災が起こった後では、顰蹙を買っています。スーパー堤防などいらないとした直後にあのような、津波が襲ったのは、本当に象徴的な出来事だと思います。

想定外の災害などに対処するのは、一般国民や、企業などでは出来ないことのほうが多いです。こういうことにこそ、政府があり、そのなかでも官僚の頑張るべきことではないでしょうか?

今回の震災の津波の被害について、私自身は、十分予想はつきました。なぜなら、奥尻島地震ともよばれる北海道南西沖地震(ほっかいどうなんせいおきじしん)の最に、奥尻島に30メートルを超える津波が襲ったという事実を鮮明に覚えていたからです。


この地震は、1993年(平成5年)7月12日午後10時17分12秒、北海道奥尻郡奥尻町北方沖の日本海海底で発生した地震です。マグニチュードは7.8、推定震度6(烈震)で、日本海側で発生した地震としては最大規模でした。震源に近い奥尻島を中心に、火災や津波で大きな被害を出し、死者202人、行方不明者28人を出しました。さらに、ロシアでも行方不明者3人でました。震度が推定になっている理由は、当時の奥尻島に地震計が置かれていなかったためです。

奥尻でこの規模の津波が来るなら、次に似たような規模の地震がどこかで起こった場合、発生源が海底にあれば、このような規模の津波が起こる可能性は十分あると考えていました。だから、今回の津波に関しては、この予想が見事にあたったわけです。

この地震に関しては、発生した時間帯が午後10時過ぎのことで、残念ながら、今回のように、津波に直接襲われている写真や、動画などは撮影されていません。だからこそ、人々の記憶から消えていったものと思います。私は、この地震が発生したときに函館にいましたし、その後、実際に被災された方の話や、救難活動にあたった海上保安官の皆さんからも話をきいていました。

それに、私は、地震の数年前に、奥尻のある旅館に泊まったことがありました。その時、旅館のすぐ裏に、山が切り立っており、あまり木もはえていないので、旅館の人に「この山大丈夫なんでしょうか」などと聴いたところ、その旅館の人は、「大丈夫ですよ」と笑っていたのをはっきり覚えています。その旅館、地震直後のテレビの映像で、裏山がくずれて、その瓦礫で押しつぶされぺしゃんこになっているが放映されまた。

しばらくしてからわかったのですが、この旅館は、山崩れの土砂で崩壊して、旅館の人も、泊まり客も全員死亡したそうです。こんなことがあったので、地震の被害や、津波の被害の甚大については、生々しい記憶があります。

だからこそ、今回の震災のような津波については、あり得るものと考えていました。しかし、だからといって、個人レベルでは何もしようもなく、企業レベルにおいても、何もしておらず、今回も、10店舗程度の店舗が犠牲になりました。ただし、人命が失われるとか、怪我をした人がいなかったのは、不幸中の幸いでした。それに、過去においては、かなり大きな地震があったという記録など古文書などにも残っています。

これに関しては、このフログの読者の方から寄せていただい情報の一部をコピペしておきます。

◆以下、三陸沖大地震〔発生日時、震源、規模、震度(最大)、津波(最大)〕の歴史を示しておこう。
▽貞観地震(貞観11年5月26日=869年7月9日、震央 8.3 ~ 8.6、-、-、 死者約1000人)
▽慶長三陸地震(慶長16年10月28日=1611年12月2日14時頃、震央、 8.1 -、20m? 死者2000 ~ 5000人)
▽明治三陸地震(明治29年=1896年6月15日19時32分、 震央、 8.2 ~ 8.5 震度3 、38.2m、 死者・行方不明者21959人)
▽昭和三陸地震(昭和8年=1933年3月3日2時30分、震央 8.1 、震度5 、28.7m、 死者1522名、行方不明者1542名)
▽東日本大地震 (平成23年、2011年3月11日14時46分、震央 9.0、 震度7、 37.9m、 死者・行方不明者2万人以上)

三陸沖だけで、過去にこれだけ地震の情報が残っているわけですから、歴史的にみれば、想定外などということはあり得ないということです。

やはり、この程度の地震や津波を予想しておいて、何らかのコンティンジェンシープランは、練っておくべきだったでしょう。これを教訓にこれからは、絶対につくるべきです。関東には、利根川がありますが、この川は、今では、氾濫などしませんが、昔は、大規模な洪水が繰り返し起こりました。この利根川水系など、何百年もかけて改修されています。完璧に終わったのは、明治の頃です。

ちなみに、江戸時代にはこの改修の役を幕府が薩摩藩に指示して、やらせ、最初のうちは、技術者をつかうことも禁止され、数多くの藩士がなくなったり、責任を取るために切腹しました。 このときの、恨みが、後の倒幕にもつながったいるという話は有名です。

江戸幕府は、やり方は悪かったのですが、コンティンジェンシープランを作成し、それに対処していたということです。

さて、今回の震災では国や、地方自治体のコンティンジェンシープランが役立ったなどという話はきいたことがありません。やはり、この20年間ほどで、日本の公共投資はかなり減って、先進国中では最低レベルになっています。だからこそ、今回はそのような話を聞くことがないのかもしれません。まさに、歴代の政権の緊縮財政のつけを今回の被災地の人々がもろに背負わさた構図ではないかと思います。

やはり、国レベル、ある程度の規模以上の大企業では、コンティンジェンシープランを、小さなところでも、計画までは練らなくても、すくなくとも、最悪の事態になったときの腹積もりはしておくべきものと思います。確かに、すべてのことにコンティンジェンシープランを立案するなど不可能です。しかし、重要なことに関しては、想定外で済むのは、会社でも、政府でもミドルマネジメント未満です。やはり、それ以上の人、ましてや、政治家や高級官僚などは、少なくとも腹積もりはしておくべきです。そうして、いざというときに役立つべきです。そんな腹積もりの出来ない人は、最初から人の上に断つべきではありません。

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