2015年7月20日月曜日

集団的自衛権巡る愚論に終止符を打つ!戦争を防ぐための「平和の五要件」を教えよう―【私の論評】参議院での審議拒否など恥の上塗り、野党はまともな議論を(゚д゚)!

集団的自衛権巡る愚論に終止符を打つ!戦争を防ぐための「平和の五要件」を教えよう

■断じて強行採決ではない

さて、安法関連法案は衆議院を通過した。強行採決とかいわれるが、これは欧米にない言葉で、日本のマスコミによる独特な表現である。普通にいえば、単なる民主主義プロセスである。安倍政権は、集団的自衛権の行使容認の方針について、以前から主張し、それで3回の国政選挙を勝ってきた。

もし、集団的自衛権の行使を法案化せずにあきらめたら、公約違反であり、国政選挙は無意味になってしまう。マスコミは、国民の声は反対というが、安倍政権の3回の国政選挙結果を無視しろというのだろうか。

マスコミは、憲法学者が反対しているというアンケートを掲載しているが、そうしたアンケートの時には3回の国政選挙での投票結果もあわせて掲載すべきだ。そうすれば、憲法学者がいかに民意とかけ離れた集団であるか、または選挙公約をろくに読まずに投票する集団なのか、いずれかがわかるだろう。筆者はおそらく前者であると思う。なにしろ、自衛隊が違憲という時代錯誤の見解をもっている集団だからだ。

■38回の戦争を振り返る

基礎データは、戦争の相関プロジェクト(COW: the Correlates of War Project http://www.correlatesofwar.org/)である。ウェブサイトでデータはすべて公開されている。主要な資料は、1986-2007年の戦争データである。

この場合、戦争の定義としては1000人以上の戦死者を出した軍事衝突が戦争と見なされており、この数量的定義が国際政治学では広く使われている。戦争といっても、国内、国家間、それ以外に分けられている。本稿では、第2次大戦後の国家間戦争を取り上げてみよう(以下では、戦争とは、国家間戦争をいう)。

第2次大戦後、地球上では次表のように、38回の戦争があった。

そうした戦争には、いろいろな国が関与してきた。同一国において同一年で複数の戦争を行った時には複数国としてカウントして、戦後の戦争国数の推移をみると、つぎのようになる。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、コソボ戦争の時に、グラフが跳ね上がっている。戦争の発生は、しばしば時間に関してランダムなポアソン過程であるといわれる。この場合、それぞれの戦争にはほとんど因果関係がないものと示唆されるが、実際にもそうなっていると感じさせられる。

■アジアは戦争の多い地域

次は、戦後の38の戦争について地域分布を示した図と、そのうちアジアでの15の戦争の表を表したものだ。



アジアは、世界の中でも戦争が多い地域であることがわかる。ここで、アジアの戦争について、アジア諸国で関わった延べ年数を表したものが次の地図だ。


ベトナム、中国、韓国、フィリッピン、タイ、カンボジアの回数が多い。また、アジアではないがオーストラリアも多い。これらの国は、世界の中でみても、目立った戦争関与国である。それは、世界の国と比較した次の図からわかる。

アジアは戦争が多い地域であり、しかも、日本のまわりには、戦争関与国が多いことがわかる。特に、中国の脅威は無視できない。例えば、中国機に対する自衛隊のスクランブルは、最近急増している(下図)。

中国を特に重視するのは、国際政治・関係論から見て、十分な根拠がある。それは、本コラムで筆者が再三にわたって紹介してきた民主的平和論(democratic peace theory)だ。それは、民主主義国間では戦争は起こらないという主張だ。

これは、古くはカントの「永遠平和のために」を源流として、筆者がプリンストン大学時代にお世話になったマイケル・ドイル教授(現コロンビア大教授)が現代に復活させ、今や国際政治・関係論では、もっとも法則らしい法則と見なされるものだ。

■戦争を考えるうえで最も重要な理論

アジアにおいては、民主主義とはかけ離れた国として、中国、北朝鮮、ベトナムなどがある。このうち、中国と北朝鮮との距離は目と鼻の先であり、戦争について十分に警戒すべき国である。

民主的平和論については、民主主義の定義が曖昧とか、例外はあるなどという批判を受けてきた。ところが、ブルース・ラセットとジョン・オニールは、膨大な戦争データから、「民主主義国家同士は、まれにしか戦争しない」ことを実証した。その集大成が、両氏によって2001年に出版された "Triangulating Peace" という本だ。筆者はプリンストン大時代に同書に出会うことができて、幸運だった。

同書は、従来の考え方を統合整理している。従来の国際政治・関係論では、軍事力によるバランス・オブ・パワー論に依拠するリアリズムと軍事力以外にも貿易などの要素を考慮し平和論を展開するリベラリズムが対立してきた。

同書では、1886年から1992年までの戦争データについて、リアリズムとリベラリズムのすべての要素が取り入れて実証分析がなされている。すると、リアリズムの軍事力も、かつてカントが主張していた「カントの三角形」も、すべて戦争のリスクを減らすためには重要であるという結論だった。

軍事力は、①同盟関係をもつこと、②相対的な軍事力、カントの三角形は、③民主主義の程度、④経済的依存関係、⑤国際的組織加入という具体的なもので置き換えられると、それぞれ、戦争を起こすリスクに関係があるとされたのだ。

具体的にいえば、きちんとした同盟関係をむすぶことで40%、相対的な軍事力が一定割合(標準偏差分、以下同じ)増すことで36%、民主主義の程度が一定割合増すことで33%、経済的依存関係が一定割合増加することで43%、国際的組織加入が一定割合増加することで24%、それぞれ戦争のリスクを減少させるという(同書。171ページ)。

■国際関係の最終理論

なお、カントの三角形とは、民主主義、経済的依存関係、国際的組織加入が、平和を増すという考え方である(下図)。このうち、民主主義と戦争の関係が、民主的平和論として知られている。

ラセットとオニールによる"Triangulating Peace" は、国際政治・関係論の中になって、すべての考え方を統一的にとらえた最終理論のようにも思える。

①同盟関係については、対外的には抑止力をもつので侵略される可能性が低くなるとともに、対内的にはそもそも同盟関係になれば同盟国同士では戦争しなくなるから、戦争のリスクを減らす。

②相対的な軍事力については、差がありすぎると属国化して戦争になりにくい。

③民主主義については、両方ともに民主主義国だと滅多に戦争しないという意味で、古典的な民主的平和論になる。一方の国が非民主主義だと、戦争のリスクは高まり、双方ともに非民主主義国なら、戦争のリスクはさらに高まるので。アジアにおいて、中国とベトナムで何度も戦争しているが、まさにこの例だろう。

④経済的依存関係、⑤国際的組織加入については、従来のリアリズムから重要視されていなかったが、実証分析では十分に意味がある。

要するに、国の平和のためには、①~⑤までを過不足なく考慮する必要がある。ここで、重要なのは、属国化を望まないのであれば、①同盟関係とカントの三角形③~⑤を両方ともに考えなければいけない。カントの三角形だけで、①同盟関係の代替はできない。しかも、非民主主義国が相手の場合には、カントの三角形が崩れているので、①同盟関係にかかる比重は、ことさら大きくならざるをえない。

なお、最近の中国をみると、④経済的依存関係では、戦争のリスクは減少しているが、④国際的組織加入において、中国のAIIBの独自設立は不安定要因にもなり得るだろう。

こうした国際政治・関係論の観点から、民主党の主張を考えてみよう。ここで、集団的自衛権の行使は、同盟関係の強化という点を確認しておきたい。集団的自衛権を行使しないことは、同盟関係を成り立たせなくするのと同じである。この点は、日本で誤解されている。たまたま日本で集団的自衛権の行使をしないと政府がいっても許されたのは、アメリカが日本の再軍備を恐れていたためだということは、本コラムでも再三書いてきた。

いずれにしても、民主党は、集団的自衛権の行使をすると、戦争のリスクが高まるという主張だ。しかし、過去の戦争データでは、先述べたように同盟関係の強化は戦争リスクを減少させると否定されている。

であれば、その理由とそれが説得的なデータを民主党は出す必要がある。維新の党についても同じだ。リスクについて、何か勘違いをしているのではないか(6月1日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43544)。

また、戦争のリスクとの関係で、集団的自衛権を行使すると、戦争に巻き込まれるともいう。この点は、戦後、アメリカが関与した戦争の表を見てみよう。


たしかに、アメリカは単独ではなく複数である。ただし、イギリスやフランスを別にすれば、その地域に密接した国が参加している。例えば、ドイツは湾岸戦争には参戦せずに、コソボ戦争には参戦した。朝鮮戦争は、日本の海上保安庁は機雷掃海しているので、参加国に乗っていても不思議ではないが、所詮その程度までである。

防衛費でGDP1%以内という事実上の枠があったので、自衛隊は十分な戦力投射能力を持っていない。それが現実なので、軍事行動でついてアメリカから期待されることはまずない。地球のウラまでいうのは、現実的にありえない話である。

アメリカが複数国とともに戦争してきたという事実は、日本に対する抑止力向上になる。実際、アメリカはベトナムを除いて同盟国に侵略をさせていない。

(5月25日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43454)。

この3点について、野党の対案は、政府案よりすぐれているのかどうか、是非、参院は良識の府として矜恃を示してもらいたい。

いずれにしても、中国が日本の集団的自衛権の行使に反対するのは、中国の国益から当然である。もし、集団的自衛権行使を日本政府があきらめたら、日米安保条約が実効的でないと白状したようなものと、世界では受け止めるだろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】参議院での審議拒否など恥の上塗り、野党はまともな議論を(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の主張は、結局のところ、平和は①同盟関係、②相対的な軍事力、③民主主義の程度、④経済的依存関係、⑤国際的組織加入という5つの要件によって、維持されるということです。

このブログでは、平和に関しては主に、軍事力によるパランス・オブ・パワーの文脈でのみ語ってきましたが、この5要件を考慮にいれると、なお一層平和に関する認識を深めることができます。

平和は、軍事力の均衡だけではなく、他の様々な要素から構成されており、これらが均衡してはじめて維持されるものということが良く理解できます。


さて、以上のことを考慮に入れた上て、憲法解釈の改変による雌雄団的自衛権の行使に反対する勢力のいわゆる「戦争法案」というレッテル貼の間違いについて掲載します。

「戦争が出来ない国」と「戦争をしない国」は違います。

「戦争が出来ない国」は「戦争に対応できない国」であり、「戦争の当事者にならない国」ではありません。

そうして、「戦争に対応できない国」にも二種類あります。一つは、経済的に恵まれていないなどの理由で、上の記事で高橋洋一氏が示した平和の5要件を備えることが不可能な国です。そのような国は、世界に五万とあります。そうして、過去には何度となく他国に攻め入られて、辛酸をなめています。

もう一つは、戦争に対応しようとすれば、できるにも関わらず、関わろうとしない国です。その典型は、日本です。日本は平和の5要件を満たす、十分な能力があります。しかし、日本では、憲法典の縛りにより、戦争に対応できないかのように多くの人々が思い込んでおり、それが日本が戦争に対応できない状況を生み出しています。

現状の日本は、理由はともあれ「戦争に対応できない国」であり、これは戦争に巻き込まれやすいことは自明の理です。この理屈は小学生でも分かることと思います。

このまま日本が「戦争に対応できない国」のままであれば、上の記事で高橋氏も指摘するように、アメリカの力が相対的落ちつつある現在、中国や北朝鮮の脅威は日々高まるばかりです。

だからこそ、日本が戦争に対応できる国に生まれ変わるためにも、現在政府による憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使が必要不可欠な状況になっているのです。憲法典という文書に書き表された、憲法だけではまともな政治などできません。


だからこそ、憲法解釈をして、その上で法律を作成し、それを施行して、その法律に基づいて、運用されているのではありませんか。それなしには、どこの国でも身動きがとれなくなってしまいます。それは、国の根幹をなす安全保障についても全く同じことであり、安全保障だけが例外という考えは絶対に成り立ちません。

そうして、憲法解釈は憲法学者がするものでもなく、ましてや内閣法制局などの官僚がすものでもなく、民主国家においては、選挙という民主的手続きによって選ばた人々で構成する時の政府によって行うのが、筋です。

この原則は、中国や北朝鮮のような非民主国家では成り立ちませんが、日本や他の戦士九国のような国々では成り立つ正しい原則です。

もし、どうしても政府の憲法解釈が気に食わないというなら、野党も、メディアも反対派の皆さまも、正しい民主的手続きを経て反対すべきです。

まずは、どうしても政府の憲法解釈が気に食わないというのなら、そのような憲法解釈をする自民党政権に野党がとって変われば良いのです。さらには、明らかに違憲というのなら、裁判に訴えれば良いのです。無論国会で審議するのは当たり前のことですが、それにしても、「戦争法案」などと最初からレッテル貼りをする野党にその能力はないと見られても仕方ないです。

このような状況下で、「集団的自衛権」に関する各種法案について、「戦争法案」という素人にはわかりやすいレッテル貼りをしたことは、出来の悪い「ワンフレーズポリシー」以外のなにものでもなく、明らかに、誤解を招くものです。


「戦争法案」というレッテル貼りは、集団的自衛権反対勢力の議論能力の衰退を示すものです。立法府における少数派陣営の能力の低下は深刻です。多数決において勝利し得ない少数派が多数派を説得し、自らの主張を通し、あるいは、一部なりとも反映させる唯一の方法は議論能力だからです。

私は、「集団的自衛権」を巡る議論を混乱させ、本来単純でわかりやすい議論であるにもかかわらず、与党をいわゆる「強行採決」に走らせた原因は、説明責任を尽くさず、単純に「戦争法案」というレッテル貼りをして、結論先にありきな反対論を展開し、与党側が譲歩しにくい状態を作ってしまった野党にあると思います。

さて、現状では、野党は参議院での審議には応じられないなどしているようですが、そんな幼稚な真似をすれば、「戦争法案」というレッテル貼りの以上の恥の上塗りをすることになります。

そんなバカ真似はやめて、ブログ冒頭の記事で、高橋氏が示した「平和の五要件」を念頭に入れて、実りある審議をしていただきたものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年7月19日日曜日

民主「パフォーマンスだ」 安倍首相を批判 新国立競技場―【私の論評】呆れてものが言えない、頭悪すぎパフォーマンス政党「民主党」。またブーメランで蹂躙か(゚д゚)!

民主「パフォーマンスだ」 安倍首相を批判 新国立競技場

2015.07.19

民主党岡田代表

民主党は18日、安倍晋三首相が新国立競技場建設計画の白紙撤回を表明したことについて「都合のいいことだけのパフォーマンスだ」(安住淳国対委員長代理)と批判を強めた。国会などで追及する構えだ。

代表は仙台市で記者団に「(撤回は)遅すぎた。もっと早く決断するチャンスはあった」と強調。枝野幸男幹事長はさいたま市で「最終的に(撤回を)決断できたのだから、責任は首相にある」と指摘した。

安住氏は仙台市での街頭演説で「首相は(安全保障関連法案と違い)数で押し通さず、内閣支持率を上げようと思って見直した」との見方を示した。岡田氏も「そういう面があるのは間違いない」と記者団に答えた。

【私の論評】呆れてものが言えない、頭悪すぎパフォーマンス政党「民主党」。またブーメランで蹂躙か(゚д゚)!

新国立競技場問題に関しては、安倍総理としては、不人気の集団的自衛権の参院での審議を間近に控えているため、これ以上支持率を落とさないためにも、この問題も早期に解消しようとして、白紙撤回を表明したのだと思います。

しかし、これをパフォーマンスと呼ぶのはいかがなものでしょうか、さらに民主党の幹部がこのようなことを言い出すのは、本当にいかがなものかと思ってしまいます。

なぜなら、元々新国立競技場問題が起きるきっかけを作ったのは、民主党だからです。これについては、つい先日このブログでも解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

新国立、計画見直しへ 民主政権下密室での“スルー”が高コストに ―【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!
白紙撤回直前の案が上手右のもの、これでも相当経費がかさんだ
 要するに、民主党政権下の初期段階で、コスト計算の専門家がいなかったこと、情報公開をせずに密室で決定したことが致命的なミスだ。その時点で都市計画や五輪招致立候補ファイルなどは既に決定済みであった。当時のスケジュールでは、デザイン決定後に、基本設計・実施設計で約2年、実施設計と同時に解体工事、その後、建設工事で3年半。19年ラグビーW杯にはギリギリというタイトなスケジュールだった。 
 その後、政権交代があり、安倍晋三政権では、民主党時代に決まったデザインで五輪招致を行った。それと同時並行していた基本設計で、コスト問題がようやく発覚したのだろう。13年9月、20年の東京五輪が正式決定した後、コスト増の問題が表面化した。
まさに、民主政権下密室での“スルー”が高コストの原因だったわけです。ただし、この記事では新競技場問題に関して、私自身はほとんどの人が全く考える余地がないように判を押したかのように反対している姿をみて、多くの人々に「公共工事=悪」という考えが色濃く残っているのではないかと危惧していることも掲載しました。

そのため、新競技場問題に関しては、積極財政という観点からのアプローチと、現下の公共工事の供給制約という状況を踏まえたアプローチが必要であることを主張しました。

それを安倍総理が今になって白紙撤回したからといって、このような観点など全く抜きにした安倍総理の「パフォーマンス」だと、どの口が言うのかと思い本当に呆れ果てて二の句が継げません。

このような批判は、私のみならず、様々な人が展開しています。岩田温氏は以下のようタイトルの記事で民主党政権を批判しています。
パフォーマンスに終始しているのは安倍総理ではなく、民主党議員だろう

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、岩田氏は、民主はパフォーマンス止め政権担当能力示せと主張しています。まさに、このとおりだと思います。

「自民感じ悪いね」「安倍政治を許せない」ない等、あの国会を埋め尽くしたプラカードも所詮場フォーマンスに過ぎません。

最近のアンケート調査でも、あれだけパフォーマンスを繰り返しているにも関わらず、民主党の支持率はほとんど上がっていません。

民主党は政権与党の時から、「事業仕分け」などのパフォーマンスを繰り返し、とても政権与党とは思えない醜態を晒してきました。野党になっても、その本質は変わらないです。同じことを繰り返しているだけです。やはり、頭が悪いのでしようか。

民主党の議員の中にはまともな人もいますが、幹部が馬鹿なせいでしょうか。党としての行動となると、無責任極まるものばかりで、全く反省も何もありません。



もう民主党は、パフォーマンスはいい加減にやめて、岩田氏が主張するように真の政権担当能力を魅せつけることをしなかった場合、様々な政治利用パフォーマンスがブーメランとして自分たちに帰ってくるだけであることを自覚すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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民主党政権はどのように酷い政権だったのか、喉元すぎれば熱さを忘れの格言通り、忘れている人も多いです。しかし、民主党の本質は政権与党時代から何の反省もなく、そのままです。その本質を表す書籍三冊を以下にチョイスさせていただきました。

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2015年7月18日土曜日

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)―【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李克強首相が谷内局長と異例の会談)

宮崎正弘氏のメルマガより

発行日:7/18



ついに強欲凶暴な中国が日本に再度、近寄る必要に迫られたのだ
****************************************

安保法案は衆議院と通過した。弐ヶ月後、成立する運びとなる。

中国は静かに反対の態度を表してはいるものの、いつものような絶対反対の絶叫はなく、軍国主義復活などと無謀な宣伝文句もが見られない。不思議である。
 なにかの予兆を示唆している。

香港の『サウスチャイナ・モーミングポスト』などは「日本の法律改正は戦争の機会を増大させたと中国専門家が分析」などセンセーショナルは報道だったが、南シナ海の中国軍の蛮行を前になにをほざくかという印象である。

日本は戦争機会を拡大させたと報じた
サウスチャイナ・モーミングポスト
日中間のささくれだった空気は中国が一方的に醸成したもので、東シナ海にガス井建設の無鉄砲から、さらにエスカレートして尖閣諸島周辺へ中国海監の艦船が出没して領海侵犯を繰り返し、小笠原諸島近海からは赤珊瑚をごっそり盗んでいった。
 劉空侵犯による自衛隊のスクランブル出動も年初来110回以上である。

日本が尖閣諸島の国有化をなすと、言いがかりを付けての反日暴動とやりたい放題。すっかり嫌気がさした日本企業がどっと撤退をはじめ、「チャイナ・プラス・ワン」の合い言葉の元、アセアン諸国からインドへの進出を加速させた。

賃金高騰により「世界の工場」ではなくなった中国は輸出に支えられて高度成長を遂げてきたのに、国有工場で生産した品物は売れ残り、在庫の山が各地でみられ、暴動も頻発し、社会不安が拡大した。

こうした環境の下で、海外からの直接投資が激減しては経済が立ちゆかなくなる。ドイツと韓国以外、中国に投資を増加させた国はない。

苦肉の策として在庫処分と中国企業の海外でのビジネス拡大を目的としてAIIBに、信用格付けの問題から、どうしても日本に加盟して欲しかったが、日本はすげなく、鳴り物入りの銀行の船出となった6月26日の「署名式」では7ヶ国が署名しなかった。

そして上海株暴落が開始された。

中国は焦りだした。

▲中国は本格的に焦っているのだ

華夷秩序のフォロアーと思っていたフィリピン、ベトナムが鮮やかに反旗を翻し、シャングリラ対話では米国から名指しの非難を受け、四面楚歌の状態にあることを中国はやっとこさ認識できた。 

14年11月の北京APECでは安倍首相と会談した習近平のよそよそしい態度が際立ったが、15年4月のインドネシア会議を利用しての日中首脳会談は、むしろ中国側から呼びかけてきた。

習は気味悪いほどに、にこにこ笑っていた。

そして5月、自民党の二階総務会長は安倍親書を携えて訪中した。三千人の人民大会堂での夕食会に、習近平が忽然と現れ、日中友好は子々孫々までと、あっと驚くようなおべんちゃらをのうのうと言ってのけた。

こうした変化を背景に、安倍密使として谷内安全保障局長が密かに北京入りした。

7月16日に中国外交を司る楊潔チ国務委員(前外相)と五時間以上も会談した。これにより九月初旬の安倍訪中に関しての事前調整の大筋がみえてきた。

そして17日、李克勝首相と谷内は35分間会談した。政治家でもない政府高官と首相がじきじきに会談するのは異例のことである。

それだけ中国は日本に秋波を送りたいのである。いや、日本に近づかなければ行けない事情が国内にあるからだ。

記者会見によれば、安保法案、安倍談話などの話はまったく出なかったというが、他に喫緊の議題はない。要はこれで九月初旬の安倍訪中の段取りが殆ど決まったとみて良いだろう。

【私の論評】中国が安保法案に賛意を評する時に、しれっとハシゴを外される反対派の狼狽ぶりが今から楽しみだ(゚д゚)!

中国はかつて約束していた保八(経済成長率8%)すら達成できなくなっている

中国は本当に焦っています。いやそれどころか、切羽詰まっています。経済は不調で、当面回復する兆しは全くありません。上海株式市場は、政府の強引な介入によっても、暴落は止められそうにもなく、近いうちに大暴落します。AIIBは確実に失敗するか、失敗までしないものの、有名無実になる可能性がかなり高いです。中国西端には、第二イスラム国の脅威が間近に迫っています。

中国の金融は空洞化しいている

これらについては、このブログでも掲載してきました。最近は、日本のメディアなど安保一色で、他の成果情勢の変化などほとんど報道しないので、中国の変化についてもほとんど認識されていません。しかし、上のニュースはかなり重要なものと思います。

背に腹を変えられない中国は、そろそろ日中首脳会談にて中国は日本との関係改善をさせたいとの打診をしてくると考えられます。

これは、安倍総理にとって大きなチャンスになると考えられます。まず考えられるのは、中国が最近の日本に安保法制の改定に関して、反対するのは取り下げて支持を表明することが考えられます。そこまでいかなくても、黙認ということも考えられます。

中国共産党による安保法案賛同です。この可能性はゼロではないどころか、大いにありそうです。安倍首相がプーチン来日を成功させ日露関係が飛躍的に発展すれば、中国にとっては、西からのイスラム国の脅威、北からのロシアの脅威、東からの日本の脅威という地政学的に非常に困難な状況になると考えられます。

であれば、少なくとも、日ロの脅威は取り除きたいと考えるはずです。日、ロ、第二イスラム国の脅威を考えた場合、交渉などによってもっとも容易にとりのぞけそうなのは、日本の脅威です。

それにしても、安倍総理は全く焦る必要も何もありません。鷹揚に構えて、中国が譲歩するとこは、譲歩するなら、それに対して日本も応分の何かをするという考えで良いと思います。譲歩しないというのなら、全くのノータッチで良いと思います。

日本側からは、何も言わず、中国側が何か言ってきた場合、それに応分の何かをするという程度で十分と思います。間違っても、こちらがわから譲歩したり、経済援助を申し出るようなことはすべきではありません。

安倍総理は、安全保障のダイヤモンド構想を着々と進めて、かなりの成果をあげています。過去の日本の総理大臣とは180度異なる、安倍総理の態度と行動には、中国共産党幹部もかなり危機感を抱くとともに、今の中国の状況を考えると、それこそ、疲労困憊していると思います。


それにしても、中国が安保法制に関して、まかり間違えて賛意を評したり、そこまでいかなくても、黙認した場合、あれだけ反対した、朝日新聞をはじめとする日本のメディアや、民主党をはじめとする野党、左翼の連中はかなり狼狽すると思います。

頭はほとんど使わなかっにせよ、あれだけ精力を費やして中国にとって良くない安保法制改正を阻止しようとしたのにもかかわらず、中国が黙認したり、賛意を評したりしたら、とんでもないことになってしまいます。まさに、青天の霹靂です。

中国に釣られて、安保法制改正が違憲だとか、戦争法案だとどんちゃん騒ぎをして、盛り上がったと思ったところでしれっとハシゴを外されるのですから、たまったものではありません。



もしそうなったら、安保反対などの運動や、デモなどもいずれ下火になることでしょうが、かなり急速に下火になるどころか、反対した人たちもかなり興ざめして、多くの人々が今後は扇動されにくくなることでしょう。

日本のメディアなど、中国に右に倣えというところが多いですから、もし中国が賛意を評したりしたら、日本のメディアも豹変して、いきなり安保賛成ということになるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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本日の元記事の筆者である、宮崎正弘氏の著書など以下に三冊チョイスさせていただきました。宮崎氏は長年中国に実際に足を運びながら、中国に関するレポートを発信する、日本では中国問題の第一人者ともいえるエキスパートです。


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2015年7月17日金曜日

新国立、計画見直しへ 民主政権下密室での“スルー”が高コストに ―【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!



 新国立競技場の建設費用が2520億円に膨らんでいることが話題になっている。

 建設案が浮上した発端は、2011年2月、超党派による19年ラグビーW杯の際、新国立競技場を8万人収容に改築するという議員連盟の決議だ。11年4月に石原慎太郎氏が東京都知事に再選され、20年東京五輪への再立候補を表明すると、新国立の建設案が具体化した。

 時の民主党政権はこの動きを後押しした。文部科学省は新国立競技場建て替えの調査費を予算要求し、12年度予算に盛り込んだ。12年3月、文科省の天下り団体の日本スポーツ振興センター(JSC)で、森喜朗氏(自民)、鈴木寛氏(民主)、遠藤利明氏(自民)らの国会議員、石原都知事、建築家の安藤忠雄氏らをメンバーとし、元文科事務次官の佐藤禎一氏を委員長とする有識者会議を慌ただしくスタートさせた。

 これには、文科省も奥村展三文科副大臣を出席させるなど、相当な力を入れていた。その会議と並行して、12年7月にコンペ実施、11月にデザイン決定となっている。

 この間の文科大臣は、予算要求が中川正春氏、予算化は平野博文氏、デザイン採用は田中真紀子氏といずれも民主党政権下だ。特にデザイン採用では、予算が1300億円となっていたが、競技場の屋根の特殊なキールアーチ構造がコスト高になるという点について、専門的な知見のある人は皆無だったのが痛かった。しかも、民主党政権下での有識者会議は非公開になっており、この密室作業によって、外部からの専門的な指摘もなく、大きな判断ミスを犯してしまった。
 要するに、民主党政権下の初期段階で、コスト計算の専門家がいなかったこと、情報公開をせずに密室で決定したことが致命的なミスだ。その時点で都市計画や五輪招致立候補ファイルなどは既に決定済みであった。当時のスケジュールでは、デザイン決定後に、基本設計・実施設計で約2年、実施設計と同時に解体工事、その後、建設工事で3年半。19年ラグビーW杯にはギリギリというタイトなスケジュールだった。

 その後、政権交代があり、安倍晋三政権では、民主党時代に決まったデザインで五輪招致を行った。それと同時並行していた基本設計で、コスト問題がようやく発覚したのだろう。13年9月、20年の東京五輪が正式決定した後、コスト増の問題が表面化した。

 それからのゴタゴタはご存じのとおりだ。今の段階でのデザインの大幅な変更などは、もともとタイトなスケジュールなので、物理的にも厳しい。プロジェクト・マネジメントの観点からも、事故のリスクを考慮する必要がある。

 政府はここにきて、建設計画を見直す方向で調整していると報じられたが、膨らんだ費用は文科省の予算の枠内で対応するしかない。といってもキールアーチの基本構造がコスト高になるという話では、すべての建設費高騰を説明できない。これから、地道にコストアップ要因を取り除く作業が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「公共工事=悪」の単純な思考では、ままならない新国立競技場問題(゚д゚)!

最初この新国立の経費がかかりすぎというニュースを聴いたときには、ほとんどの人が絶対反対という立場だったので、なぜかと思いました。

確かに、高い建築費というのは問題ですが、マスコミから一般人まで多くの人が大反対していて、何やら嫌な感じがしました。なぜかというと、やはりまだまだ「公共工事=悪」というイメージが多くの人に根付いていることが懸念されたからです。

確かに過去のバブル期などの公共工事は、「箱モノ行政」などとも言われ、必要性のないような建物などがどんどん建てられていったというのも事実です。しかし、確かに箱モノ行政は良くないことですが、だからといって、「公共工事=悪」という考えは全くの間違いです。

世の中には、不思議な人たちが大勢いて、国という単位では、お金は「天下の周りもの」であるということを理解せず、国においても公共工事などでお金を使えば、一般家庭と同じように、お金が消えてなくなると信じている人が多いようです。

しかし、国単位ではそのようなことはありません。特に景気の悪い時、ましてやデフレのときなどは、国が公共工事をすることにより、国にお金の流れが生まれ、雇用が生まれ、大勢の人がそれで潤い、経済活動が活発になります。

そうして、経済活動が活発になると、経済が成長して、お金が循環して、税金という形で、政府にまたお金が戻ってきます。過去の中国などは、国内のインフラ投資をして、あれだけの成長をしてきました。

実際、道路や、港湾、建物、電気、上下水道などのインフラがあまり整備されていないときに、これらを実行すると、従来は住むことができなかったところまで住めるようになったり、物流が活発になったりして、経済が発展します。ただし、インフラ整備だけやっていても、いずれは限界が来て、今日の中国のようになってしまいます。

中国の典型的な箱モノ行政によって各地に林立する鬼城と呼ばれる無人の高層住宅
しかし、公共工事は不況のときには、それを克服するためにカンフル剤として用いられ、数々の成功事例があることも事実です。

そうして、「インフラ投資=公共工事=悪」この考えが、いかに過去の日本の多大な悪影響を及ぼしてきたか、枚挙に暇がありません。デフレだというのに、過去の政府は緊縮財政をして、日銀は金融引き締めをひたすら続けるという愚行を繰り返し、過去20年にわたり日本はデフレから脱却することなく、とんでも無い状況に陥ってしまいました。

昨年は、8%増税を実施して、せっかく金融緩和によって、経済が浮揚しつつある日本の経済に甚大な悪影響をもたらしてしまいました。

この傾向は、政権交代前の自民党の頃からそうだったのですが、民主党が政権与党となった、政権交代のときの選挙では、民主党は「コンクリートから人」へというキャッチフレーズをぶち上げ、緊縮財政を宣言し、ただでさえ疲弊している土木・建築業界に追い打ちをかけました。

そのためもあってか、バブル期までは星の数ほどあったこの業界は、半分ほどにまで数が減ってしまいました。だから、今の日本では、公共工事を増やすとすぐに景気が回復するという状況ではなくなってしまいしまた。公共工事を多く実施しようにも、請け負う会社が半減したので、できない状況、すなわち、今の日本には公共工事の供給制約があってできない状況になっているのです。


上の高橋洋一氏の記事には、この公共工事の供給制約があるという状況そのものが、新国立競技場の建築費の高騰の原因の一つにもなっていることは掲載されていませんでした。しかし、私はこの供給制約が高騰の一つの原因にもなっていることは間違いないと思います。無論、それがどの程度であるかまでは、専門家ではないのでわかりませんが、間違いないと思います。

新国立競技場のデザインが決定された当時からみると、円安傾向ですから、輸入建築資材は当然のことながら値上がりしたでしょうし、供給制約により人件費も当時からみれば当然跳ね上がっていることでしょうし、これに、上記で高橋洋一氏が主張しているように、「民主政権下密室での“スルー”」が、さらに高コストに拍車をかけとんでもない高騰につながっているのだと思います。



それにしても、民主党は「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げつつ、実際政権与党のときには、緊縮財政を続け、金融緩和のための舵とりをすることもなく、その一方で、新国立競技場のデザインでは「民主政権下密室での“スルー”」で後に禍根を残すなどとんでもないことをしたと思います。

新国立競技場の建築をめぐっては、上記のような複雑な事情がからんでいます。家庭の主婦感覚で、ただ単純に変更することが正しいと考えるのは間違いだと思います。

この問題の解決には、積極財政推進の側面からのアプローチ、公共工事の供給制約の観点からのアプローチという二方向から検討は欠かせません。

公共工事を単純に悪とみなすとか、デフレのときに金融緩和をすると、ハイパーインフレになるとか、経済成長の前に財政均衡を果たすために増税すべきとか、そういう考えしか浮かばない単純な思考では、この問題は解決できません。

上で述べたことを総合的に勘案して、実際にどうするのか、安倍政権の冷静な判断に期待したいです。とはいいながら、時間も限られていることですから、解決方法には限りがあると思います。しかし、持てる時間の中で次世代の日本を予感させる素晴らしいものになるものにしていただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年7月16日木曜日

又吉直樹さんが芥川賞を受賞 「火花」で―【私の論評】又吉さんのように「小さな変化に気づく人」になることがあらゆる分野での成功への近道だ(゚д゚)!


又吉直樹さん

第153回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は又吉直樹さんの「火花」(文学界2月号)と羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」(文学界3月号)に決まった。

芥川賞の又吉さんは昭和55年、大阪府寝屋川市生まれ。綾部祐二さんとお笑いコンビ「ピース」で活動中。今年1月、自身初の純文学作品となる受賞作「火花」を文芸誌「文学界」に発表。創刊約80年に及ぶ同誌を初の増刷に導き、単行本も新人作家としては異例の64万部に達した。受賞作は、理想や夢を追い求める若手お笑い芸人2人の輝きと挫折を描きだす。

贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。

【私の論評】又吉さんのように「小さな変化に気づく人」になることがあらゆる分野での成功への近道だ(゚д゚)!

又吉さん素晴らしいです。それにしても、又吉さん前からただ者でないと私は睨んでいました。それに関しては、このブログにも過去に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
パンツやローヒール靴人気急上昇 震災で変わる女性ファッション―【私の論評】時流をつかめ!!本当に意味がわかっていなければ、未来はつくれない!!
2011年都内でバレーシューズを履いた女性

この記事は2011年8月のものです。震災直後であることと、日銀はまだ金融緩和に転じておらず、デフレの真っ最中でした。

そのような時代背景に、ファッションも大きく影響を受けて、ファッション雑誌を含む大方のファション業界筋の人々の予想ははずれ、女性もののバレーシューズがはやり、アパレルでは、ゆったり着られるもの。それと同時に、好まれる色も白やベージュ、サックスブルー(淡い青)が中心になったことを掲載しました。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、こうした当時の大方のファション業界筋の予測の外れについては、やはり時流の変化をつかみ切れなかったことに原因があることを指摘しました。

そうして、将来を予測する方法についてのドラッカーの至言と、その事例として又吉さんの例をあげました。それに関連する部分のみを以下にコピべさせていただきます。
将来を予測するのは、不可能、できるとすれば、すでに起こった未来を見つけるか創るしかない(ブログ管理人注:経営学の大家ドラッカーの言葉)
これは、商売の世界だけではなく、政治の世界でも同じ事だと思います。有権者がどのように変わりつつあるのか、政治家も政争にあけくれるだけではなく、こうした変化の底流はなんなのかを見定めていく必要があると思います。

そうでなければ、上の雑誌(ブログ管理人注:ファッション雑誌)の編集者のように、時流を見誤まるおそれがあります。さて、皆さんは、この現象をどのようにご覧になりますか?

ドラッカーは、「未来を予測することなど誰にもできない。できるとすれば、すでに起こった未来(まだ、少数であるが、将来主流派になるような事象)をつかむか、未来を自分でつくる(長期計画で変化をおこす計画をたてて、そのとおり実施すること)である」としています。

さて、ドラッカーのこの至言を実行するためには、時流をつかめなければ不可能だと思います。時流とは、直近の世相や、人々の変化と捉えるべきです。時流は過去と分断して、突然起こるものではありません。過去を知らなければ、時流を知ることはできません。時流を知ることができなれば、すでに起こった未来をみいだすことも、未来をつくりだすこともできません。

最近NHKテレビのテレビ番組で、「仕事ハッケン伝」で芸人の又吉さんがでているのを見ました。これは、6月9日(木)に放映された、「 ピース 又吉 × コンビニ業界」というタイトルでした。
ローソンの企画本部で自らの企画を説明する又吉さん
これは、お笑い芸い人のピース又吉氏がローソンの商品企画部に入社し新商品のキャッチコピーや販売促進方法を考えるという企画ものの番組でした。又吉氏の考えたコピーは、本職の期待をいい意味で裏切り、300点の出来と評されました。(ちなみに、コピーは最近ローソンで販売されたばかりのミニパスタのもの)
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女性に大人気のショートパスタ
あちこち取材をし、深く考えるという姿勢が高く評価されていました。
その次の仕事は、高齢者にコンビニに来ていただくというものでした。TVでは、又吉氏が「ムードローソン」というコンセプトの店づくりを提案していた。年輩の方の持つ「お店で話を聞いてほしい」というニーズに応えるものです。しかし、又吉は、この「ムードローソン」の要員に、「薬剤師」をと言ってしまったため、薬剤師を置くという案は否定されてしまいましたが、「ムードローソン」というキャラクターを店舗に設置する事は受け入れられています。

さて、この中で、特に、ローソンのショート生パスタのキャッチコピー、又吉さんが考えたキャッチコピーは、

「末っ娘が生まれました。かわいがってください。」

「命名:ショート生パスタ、双子姉妹です。」

担当女性社員に、バカ受けし、「絶対、売れる!!」と、大好評でした。さて、皆さんはこの事実をどう捉えますか。

なぜ、又吉さんが、300点もの点数を上司からいただいたのでしょうか?普通の人なら、このようなことはあり得ないと思います。無論、又吉さんに優れているところがあるからです。

一体どこが優れているのでしょうか?そうです。又吉さんが、芸人であることに多いに関係しています。良く考えてみてください、芸人というものは、お客が笑ってくれなければ、商売になりません。お客がどういう話をきけば、笑うのか、いつも考えているはすです。

そうです、又吉さんは、芸人という立場で、又吉さんなりのやり方で、時流をつかんでいるのです。だからこそ、高得点をあげることがてきたのです。これが、時流をとらえていない人が適当にやれば、このようなことには絶対になりません。
後日確認したのですが、このミニパスタは確かにバカ売れししました。この頃から、又吉さんは、ただ者ではないと感じていました。後で、無類の読書好きであることから、芸人の仕事のほかにもきっと何か大きなことをするに違いないと思っていたら例の「火花」が出版されました。そうして、今日の芥川賞受賞です。

この快挙には、いろいろな要因があると思います。今回の芥川賞受賞の評価対象となった、書籍の書評や、又吉さんの生い立ちなどのことは他のメデイアに任すこととして、ここでは私の得意な方向からこれに迫りたいと思います。

人々から支持され成功する、経営者、政治家、芸人、作家というよりあらゆる分野で支持され成功する人材になるためには、実はある一つの共通の特性があります。それは何かといえば、「小さな変化に気づける人になる」ということです。 又吉さんには、間違いなくその特性があります。そうでなければ、上記のような企画ができるはずもありません。

しかし、これだけでは何のことやらおわかりならないと思いますので、下に若干説明を加えます。

いつの時代でも、頭が良いだけでも、情報・知識が豊富であっても、この「小さな変化」にまず気づかなければ、将来の大変化、それもすでに現在身の回りに起こっていて、それが将来大変化になるような変化、いってみればあらゆる仕事に必要な最も重要な変化に気づくことはできません。

小さな変化に本当に気づく人は、変化が大きくなる前の小さな変化の時から気づきますから、今の時代の流れ、すなわち「時流」を知ることができます。このような能力を欠くと、芸人はもとより、他の仕事でも人でも本来の務めを全うすることができません。

それぞれの立場において、「小さな変化に気づく人々」の後塵を廃するだけで、いつまでたっても周りの人や、世間から認められ、支持されるようにはなることができません。

政治家もそうです。現在の日本の安全保障の環境は過去から現在までの間に大きく変わっているのに、左翼やメディア、それに野党政治家などのように、その変化にはかなり鈍感です。60年安保のときと、ほとんど変わっていません。このような人たちには、永遠に「時流」を知ることはできません。

時流はもとより、小さな変化に鈍感な人々
いわゆる市場関係者や、与野党を含めた政治家、官僚、マスコミの多くは過去においては、デフレが日々人々の生活を悲惨なものにしつつあったという「小さな変化」を見逃し、それどころか、リフレを批判し、大増税キャンペーンを実行し、とうとう昨年4月には8%増税が実行され、最初から予想された通り大失敗しました。

「時流」をつかめない人が、まともな仕事をしようとしても、できるものではありません。その逆に「時流」を本当に知ることができる人は、政治家や経営者、芸人、作家などあらゆる方面で成功することができます。

そのためには、小さな変化に気づけることが、時流に気づく第一歩となります。これは、性別、学歴、年齢はいうまでもなく、個々人が前もってもっている知識、情報にかかわらず、最も重要な要素です。

そのためにも、最初はまずは、身の回りの「小さな変化」に気がつくようにならなければなりません。それが、大きな変化に結びつくのかどうかは、別にしてまずは小さな変化に気づく人になり、いくつもの変化を察知して、それがどうなっているかをみていくうちに、いずれ必ず将来の大きな変化にたどりつくことができます。

まずは、自分の周りの人たちの変化に気づくことができない人や無関心な人は、どのような「小さな変化」に気づくことはできないでしょう。あなたの周りの人も、絶えず変化しているはずです。髪型、ファッション、態度、言葉遣い、その他いろいろあります。これを日々見逃しているようでは、もう時流からはかなり乗り遅れていると自覚すべきです。


みなさんは「ゆでガエルの法則」をご存知でしょうか。ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつです。

2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れます。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡するというものです。大きな変化も、最初は小さな緩慢な変化から始まります。しかし、この小さな変化にきづくことができなければ、最悪の場合はゆでガエルになって死んでしまうということになります。

まずは小さな変化に気づけるように、日々努力して、それが社会的に意味のある変化なのかどうなのかを判断できるように訓練して、さらにそれを自分の仕事と関連づけて、認識できるようになれば、いずれ必ず大きな大変化に気づくことができます。その時、世界はあなたのものです。社長にだって、政治家だって、作家でも、芸人でもミュージシャンになっても、何でも成功することができます。

そうして、又吉さんの場合は、暇さえあれば本を読むという無類の読書好きということも加わって、今回の芥川賞選定に結びついたのだと思います。

やはり、読書もどの分野であれ重要です。作家という立場では、当然表現方法を学ぶとか、時代の空気を読むためにも必要不可欠だと思います。それ以外の立場の人でも、読書は重要です。自分では体験できない多くの人の追体験を読書ですることができますし、無論情報を体系的に得ることができます。

ニュースや、ネットの断片的情報だけでは、「小さな変化」を知り、それを自分の仕事に結びつけるということは不可能だと思います。又吉さんのように若い頃から読書に慣れ親しみ、さらに小さな変化に気づくことが重要です。

いつまでも、何も変わらない、変えられなような人になって無為な人生を送るよりは、又吉さんのように、本職でも成功し、場合によっては他の才能を開花させるような人になれたほうが良いに決まっています。

多くの人が、このような精神をもって、これから努力すれば、これから日本にも又吉さんのようにクリエイティブな人がたくさんでてくるかもしれません。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2015年7月15日水曜日

中国の深刻な軍事的脅威を明言するときだ 尋常でないスクランブル回数 屋山太郎氏 ―【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!



安全保障関連法案は15日昼、衆院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党の賛成により可決。法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたいが、この背景として、1990年代以降、国防費を毎年10%前後増加させている中国の深刻な軍事的脅威について、真正面から論じられていないことを指摘する声がある。

「あの数字を見て、理解が進んできたと言い切る自信はあまりない。国民理解が進んでいるとは言えない」「(法案が)極めて抽象的でリアルに考えにくい」

石破茂地方創生担当相は14日の記者会見で、安保法案に関する世論調査結果に触れ、こんな弱気な感想を漏らした。

無理もない。朝日新聞が同日報じた調査結果では、安倍晋三首相による法案の説明が「丁寧ではない」と答えた人は67%で、「丁寧だ」の15%を大きく上回った。他社の調査でも、軒並み同じような結果が出ている。

法案への理解が進まない現状について、評論家の屋山太郎氏は「政府は『中国の軍事的脅威が深刻だ』『沖縄県・尖閣諸島が狙われている』と、はっきり言うべきだ」と指摘する。

「日本は昔からそうだ。戦前の帝国議会でも、ロシアを『北の某大国』と呼んでいた。他国を口汚く罵(ののし)ることを潔しとしない、日本の国民性が背景にあるのかもしれないが、実にくだらない配慮だ。冷静に中国による軍事的脅威を訴えれば、納得する国民も少なくないはずだ」

「国会答弁で『中国の進出を許さない』と明言することは、対外的にもプラスになる。日本がモノを言わないのをいいことに、中国はいい気になっているからだ。『事を大きくしないように』という思いからの配慮が、逆に中国の軍事的脅威を拡大させている」

実際、日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)回数は年を追うごとに増えており、2014年度は過去最多の464回になった=別表。1日1・2回以上という尋常ならざる数字だ。

中国は東シナ海の日中中間線付近でも、ガス田開発の海洋プラットホームの増設を進めており、この1年間で2倍の12カ所に急増した。中谷元(げん)防衛相が「レーダーを配備する可能性がある」と語るなど、軍事拠点化される恐れもある。レーダー網が日本列島に向けてせり出せば、南西諸島などの防衛体制は丸裸になるのだ。

石破氏は前述の会見で「有事となってからでは遅い。極めて厳しい状況の中でバタバタと法改正をする方がよほど危ない」とも述べ、早期の法整備の必要性を唱えた。

戦後70年、日中関係改善に向けた外交的計算もありそうだが、政府・与党は「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきではないか。

【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!

本日は、安全保障関連法案が可決されて本当に良かったと思います。これは、今可決しなければとんでもないことになっていました。中国がつけあがり、尖閣に上陸したり、東シナ海や、南シナ海で我が物顔で、暴走したかもしれません。

屋山太郎氏

ところで、私は、上の屋山太郎氏の記事には、賛同できるところと、できないところがあります。

結論からいうと、賛同できるのは中国による「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきという主張です。賛同できないのは、「法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたい」という点です。

「今そこにある危機」に関しては、確かに日本人の多くの人々が中国の危険性についてあまり理解していません。そもそも、多くの人は、中国を無意識に日本や、他の先進国のような普通の国とみなしてしまっているようです。

しかし、これは根本的に間違いです。これに関しては、以前からこのブログで何回にもわたって、主張してきたことです。詳細は、このブログの過去の記事をご覧いただくものとして、以下では簡単に掲載しておきます。

そもそも、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がほとんどなされていません。この中で、政治と経済の分離に関しては特に理解しにくい面があったかもしれませんが、最近の上海株式市場の暴落に伴う、政府のとんでもない介入によって、暴露されたと思います。

これについては、先日もこのブログに掲載しました。詳細は、その記事をご覧いただくものとして、以下に一部分を掲載しておきます。
上海株式市場が暴落する、すぐに中国監督管理委員会は次々と株価暴落防止政策を発表。私がネット上で把握した限りでも、以下の政策が執行されています。 
・国有企業の株取引を禁止
・大口投資家の株売りを禁止
・金融機関に株担保ローンの継続を指示
・機関投資家に株の買取りを強制
・株の空売りを警察が取り締まり
以上のようなことは、日本を含む、まともな市場主義経済の国々では全部法律違反です。間接的に何かをするということは可能ですが、ここまで直接的に介入するということは絶対にできません。ここからがして、中国がまともな国ではなく、国というよりは、共産党の配下にある組織とでも呼んだほうがよいものです。

これは、国ではありません。国と考えると、中国の本質を見失います。中国では建国以来、一度も選挙が行われたことがありません。そのため、中国には、厳密な意味での政治家は一人も存在しません。存在するのは、官僚とも呼べないような、悪辣な役人が存在するのみです。それに、中国には普通の国でいうところの軍隊も存在しません。日本の自衛隊のような組織も存在しません。

人民解放軍という軍隊のような組織がありますが、これは軍隊ではありません。そもそも、所属しているのは、各地方の中国の共産党に所属しています。要するに、各地の共産党の私兵です。他の国の軍隊のような、国民や国民の財産を守る国防軍ではありません。

しかも、この私兵が、日本でいうところの商社のような存在で、様々な事業を展開しています。人民解放軍というのは軍隊ではなく、各地方の共産党にある武装した商社というとんでもない存在です。これらが、強力に武装して、中には核武装すらしているという、世界の常識では考えられない組織なのです。

このように中国の異質性を列挙すると、書ききれないくらいありますので、あと一つくらいでやめておきます。最後に言いたいのは、現在中国の版図内に存在する内モンゴル自治区、新疆ウィグル自治区、チベット自治区などは、「自治区」という名称から理解できるように、現在の中人民共和国が建国したときには、中国の版図ではなく、もともとは外国だったのものを後から中国が侵略して、中国の版図に組み入れ「自治区」にしたものです。

自治区などという名称はついていますが、それは名前だけであり、その実すべてが中国共産党が送り込んだ、不正にまみれた、悪辣な官僚がすべてを仕切って、日々「自治区」の人民を弾圧しています。

このような異形の組織、中国ですから、人民の不満はたまりたまっており、それが日々どこかで爆発しています。2010年あたりより、それまで年平均で2万件の暴動が発生していたのが、10万件になったとされています。

10万件というと、中国の人口は日本の約10倍ですから、日本におきかえて考えてみると、毎年約1万件の暴動が起こっていることになります。これは、暴動という次元ではなく、内乱と考えても良いくらいの規模です。

こんな異質な中国の実体を知る日本人は意外と少ないので、私自身驚くことがあります。日本政府としては、こうした国とも呼べないような組織である中国に関する異質性については、日本国内でも説明すべきですし、また中国に向かっても、まともな国になるべきと批判すべきです。

さて、この異質な中国について、政府は「今そこにある危機」を訴えるべきとした、屋山太郎氏の主張には、上に述べたように大賛成です。

中国を国と認識するのは全くの間違いである

しかし、国民の理解が進んでいないという主張には賛成しかねます。昨日のこのブログにも掲載したように、安倍総理は過去の三回の国政選挙においては、すべて憲法解釈の変更により、集団的自衛権を行使できるようにすることを公約に掲げていました。

その前には、民主党が政権与党のときには、二回も有識者会議を開き、集団的自衛権を行使すべきとの、提言が出されています。このほか、自民党も過去に二回同じような会議を開催し、同じような提言を出しています。

さらに、民主党は政権与党時代に、集団的自衛権の行使を認める発言を繰り返していました。しかし、野党になると突然、集団的自衛権に意義を唱え出しました。全くの無責任です。

政治的無関心層にはいくら説明しても理解は得られない

そうして、安倍総理は第一次安倍政権のときにも、集団的自衛権の導入について、発言していました。以上のように、日本国内でその度に様々な論議が繰り返されてきて、周知している人は十分周知しています。

ただし、今回あたかも国民の理解が進んでいないように見えたのは、まずは野党が集団的自衛権の行使について、政治利用をしようとしたため、本来的にはかなりわかりやすい論議を複雑化させたため、理解が進んでいないかのように見えただけです。

そうして、マスコミも野党のこのような動き呼応して、さらに複雑化させ、理解しくいものとしてしまい、これによつてあたかも国民の理解が進んでいないかのような印象操作をしたので、より一層理解しにくいものになったように見えました。

私自身は、多くの国民は一定の理解をしていると思います。砂川判決でも明示されているように、実際の国政レベルでは、憲法解釈は選挙で選ばれた議員で構成する議員が行うなどのことは、当たり前すぎて何の疑問もわきません。中国のような選挙のない国ならいざしらず、政府が憲法解釈ができないなどいう屁理屈は通りません。

しかし、野党やマスコミは、愚鈍な憲法学者が違憲だという、単なる意見を強調して国民を幻惑して、本来は単純な集団的自衛権の論議を複雑化しました。

これによって、幻惑されて安倍内閣支持から、反対に回った国民もある一定数は、存在すると思います。しかし、これもマスコミなどが、集団的自衛権を話題として取り上げなくなればまた元に戻るのだと思います。

いわゆる、政治的無関心層に関しては、いくら懇切丁寧に説明したり、時間をかけて説明しても、関心を示さないから、理解もしないのです。

おそらく、来年になれば、集団的自衛権の論議が紛糾したことも、忘れていることでしょう。さらに、集団的自衛権の行使が実際に現場で可能になったにしても、すぐに戦争になるということは考えられないので、いずれPKO法案のように、話題にもならなくなると思います。

しかし、先に述べたような中国による「今そこにある危機」に関しては、政府・与党とも、国民に対して繰り返し説明し、理解を得ていく必要があるのはいうまでもありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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戦後左翼、リベラルは、結局終戦直後から何も変わっておらず、デジャブーのようです。そうして、それがまともな安保論議の妨げになっています。そうして、中国の脅威には目をつぶっています。中国の脅威を実感していただくための書籍を以下に三冊チョイスさせていただきました。

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日本人なら知っておきたい 中国の侵略の歴史 (別冊宝島 2226)
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日本は「排外主義的」と米大統領が批判-移民受け入れに消極的と指摘―【私の論評】バイデンの混乱と矛盾に満ちた移民政策、日本はこれに翻弄されるな

日本は「排外主義的」と米大統領が批判-移民受け入れに消極的と指摘 まとめ バイデン大統領は、移民受け入れに消極的な国として、中国、ロシアに加え同盟国の日本も挙げ、経済的行き詰まりの一因と批判した。 この日本に対する批判的発言は、日米同盟関係に亀裂を生じさせるリスクがある。  バイ...