米 Amazon.com が、Kindle電子書籍の販売数がプリント版書籍を上回ったことを発表しました。アマゾンによれば、今年の4月1日以降、紙本100冊に対してKindle本は105冊の割合で売れているとのこと。紙本の売上冊数はハードカバーとペーパーバックの両方を合計した数。Kindle本の販売数には無料書籍は含みません。また紙本の売上が落ちたせいで Kindleに抜かれたわけではなく、アマゾンでは紙本の売り上げも成長しているにもかかわらず、とわざわざ付記してあります。
去年の10月には、Amazonの書籍ベストセラーTOP1000についてKindle本の月間売り上げが紙本を上回り、TOP10については Kindle本 2冊に対して紙本1冊に達したことが発表されていました。今回の発表では、Kindleエディションが存在していない本も含むすべての紙書籍の売り上げよりも Kindle 電子書籍のほうが売れていることになります。
ベゾスCEOのコメントは、「( Kindle本の紙本越えは) いずれは訪れるだろうと望みを抱いていましたが、ここまで早く実現するとは想像もしていませんでした」。
また今月発売されたばかりの " Special Offer " 付き114ドル版 Kindle が、広告なし Kindle (139ドル) や大型のKindle DXを含む Kindle製品ファミリでもっとも売れている製品になったこともあわせて発表されています。
【私の論評】ありとあらゆる手段を講じて、キンドル本の売上をあげるAmazon!!
Kindle本(Kindle本を読むハードのことではない)が売れるであろうことは、もうすでに十分前から判っていました。とうとう、今日のこの日をむかえたのは、当然のことでもあります。
とにかく、Amzonは、kindle本が売れるようにありとあらゆる、手段を講じてきました。
昨年の、8月27日には、「Kindle」新モデル登場しています。WiFi専用モデルの「Kindle Wi-Fi」が139ドル(約1.2万円)、3G+WiFi対応版の「Kindle 3G」が189ドル(約1.6万円)で、安くなったぞ!って報道されていましたが、何よりもすごいと思ったのは、日本語対応してしまったということでした。昨年のバージョンアップで、PDF表示ができるようになりました。
Kindleのすごさは、単独ですべてができてしまう気軽さです。Kindleさえあれば、Amazonから本を、その場で買えて、ものの60秒もあれば読み始めることができます。この手軽さは、何もにもかえがたいです。
本屋に行って買うという手間も、Amazonに紙の本を注文して宅急便で受け取る(で、不在通知が入ってて何度も電話のプッシュボタンを押させられる!)という手間もありません。
デバイスも軽く、Eink(電子ペーパー)で目も疲れません。読むことに特化した真の電子書籍端末です。いわゆる、ガジェット好きではなくて、読書好きに向けてつくられたマシンです。
このEinkの良さは、野外で特に、日向で見てみると良くわかります。上の動画のCMはいわゆる、ネガティブキャンペーンのように受け取る方もいるかもしれませんが、EinkのKindleが、そうではない、iPadよりはるかに読みやすいことは事実です。
「未来図書券」は、ほしい本がすぐに届けられる未来の本注文システムでした。とはいえ、注文はハガキに書いてポストに入れるのだから、ドラえもんがいる未来よりももっと便利な世界が到来するということです。
しかし、結局日本の出版社がすぐさまガンガンKindle用の日本語の電子書籍を出すかどうかは、今の時点でもまだはっきりしません。しかし、時間の問題でしょう。出版社側は、ほとんど手間暇がかからず、収益が増えることになります。アップル帝国のiBookなどと違って、わけのわからない理由でリジェクトされることもまずありません。
昨年、出版社等向け説明会で、アマゾンは、「キンドル日本市場参入1〜2年はやりません」と言ったとのことです。これって「我々は十分働きかけた。君達が動かないのなら、君達が自滅する1〜2年先まで待つしかないね。…でどうする?」って意味だと思います。
個人が出版できるAmazon DTPも、いずれ日本語対応するとみられます。そうなれば、個人やチームやエージェントとして、日本語の電子書籍出版が加速することもまちがいないと思います。
そうして、昨年に続き、今年は、kindle本をほとんどありとあらゆるデバイスに対応させてしまいました。これは、以前このブロクにも掲載しました。これで、Kindle本は、kindleは無論のこと、アップルのiPhone、iPad、MacPCなどすべてのデバイスで読めるのは無論のこと、Android端末、WindowsPC、ブラックベリーなど、ほぼすべてのもので読めるようにしていしまいました。
おそらく、日本の出版社など、たとえば、例のガラパゴス端末で読めて、他では読めないようですが、そんなことをやっていては、またまた、電子書籍のガラパゴスになってしまうのではないかと思います。
それに、あまりにも当たり前といいながら、それが、Amazonの強みなのですが、とにかく、書籍の種類、アイテム数が圧倒的に多いです。こんな感じで、日本語の書籍を出したとしたら、日本の業界などほとんど太刀打ち出来ませんね。何か、最初から決着がついてしまったような気がします。
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