上は、蕎麦屋でマイ箸を取り出すところの動画。マイ箸最近はやっているようだが、割り箸に対して正しい認識を持っている人は少ないようだ。
マイ箸は、最近流行っているようですが、これは、最近できたものではありません。20年くらい前からその考え方はありました。でも、その後廃れてしまい、また最近脚光を浴びるようになってきました。しかし、この背景よく考えないと、方向を見誤る可能性が大です。今日はマイ箸の背景を掲載します。
日本の割り箸は、昔もそうして今でも、世界に誇るべきエコ商品です。これを聴いて「えっ!」と思う方は、自分のエコに対する知識を疑ってください。そうして、これから掲載することの意味を良く理解していただきたいです。
日本の割り箸は、江戸時代後期から間伐材(森林適度に育てるために必要な伐採による木材、これは現在では建築用などの端材など捨てる木材としたほうが良い)を用いているものであり、しかもその収益は昔から森林保護にあてられています。そのため、世界でも類稀な、歴史の古いエコ商品です。これは、今でも変わりありません。天皇陛下も昔から伝統的に、和食には、日々割り箸を用いられています。
割り箸は日本の食文化の一部といっても、過言ではありません。割り箸にもいくつも種類があり、定食屋さんで使うようなものから、高級料亭でつかうものまで、さまざまです。今でも、良心的でモノを知っている老舗料亭では、日本製の高級割り箸を用いています。(最初赤字で書いてあるところは、高級料亭としましたが、最近では高級料亭の職人でも低級なのがいて、このへんのことを全然知らずに、割り箸を使わないところもあるので敢えて変更。ちなみに私の会社では、レストランも運営していますが、日本製高級割り箸を使っています:10月20日加筆)
さて、日本の割り箸については、十分述べましたが、割り箸の現状についてお話します。現在日本で出回っている割り箸のうち9割以上は、実は中国製です。中国の割り箸の原料は、間伐材ではなく、通常の森林資源です。だから、中国産の割り箸は完全な非エコ商品です。使えば、使う程、森林資源の無駄遣いとなります。さらに悪いことには、多くの中国製割り箸には、有害な漂白剤が用いられていることもあります。(赤字部分このへんももう一度真偽を確かめる必要がありそうです24日加筆)
いまから、20年以上前なら、割り箸は世界に冠たるエコ商品であり、マイ箸を使う人の中には、そうした理屈も知らない愚かな人もいると、はっきり言うことができました。しかし、最近では事情が変わってきています。嘆かわしいことです。
現状では、日本国内の割り箸のほとんどが、中国産です。日本製の割り箸は本当に高級なもの以外は作られておらず、日本市場の数パーセントにすぎなくなりました。これは、中国産割り箸におされたことも原因ですが、日本であまり間伐がおこなわれなくなったことも原因です。皆さん、間伐とマツタケの関係ご存知ですか。マツタケは、間伐などして手入れが行き届いた森林に多く育つものです。最近山に手をいれなくなったため、マツタケが日本でとれなくなっているのです。日本のマツタケの収穫量、ご存知ですか?年間でわずか60数トンです。(赤字の部分もう一度調査してみる価値がありそうです。24日加筆)
日本の割り箸というより、「日本の割り箸によるエコ循環システム」は、古の人々の叡智の結晶です。人の手によって育てられる人工林は、定期的に間伐をします、間伐することにより木が育ちやすくなります。この間伐した木は、建築資材などに用いることはできません。大昔には、捨てていたのかもしれません。ところが、頭の良い人が、この捨てられている間伐材を用いて、割り箸等を作りはじめたのです。
もし、間伐材を捨てていたら、どうなったでしょうか、おそらく江戸時代あたりなら、大量投棄で自然破壊につながったと思います。あるいは、これを一時に燃やしていたらどうなったでしょうか。煤煙などで、大気汚染が生じたかもしれません。しかし、この頭の良い人は、これらの問題を一挙に解決しただけでなく、割り箸という、今でいうエコ商品として販売し、販売した収益は森林保護にまわしていました。
割り箸の発明のおかげで、飲食店や一般の人も箸を洗う手間が省けたり、使用した箸は、薪を燃やす時の種火とすることができたりして、非常に便利になりました。また、割り箸という形で、多くの人々に広まったため、使った後に処分するために、一度に一挙に燃やすということもなく、大気汚染も防止できたものと思います。しかも、間伐を定期的に実施することにより、マツタケなどの副産物も手に入り、人々の暮らしに潤いを与えてきました。このことが一般にも周知されたため、日本各地で割り箸が使われるようになってきたのだと思います。もし、これが自然破壊につながったりしたり、浪費につながるものであれば、ずっと以前に淘汰されたと思います。
私は日本の伝統文化である、割り箸文化を捨て去ることは、日本の文化を捨てることだと思っています。その背後にある、文化すべてを見捨てることにもつながることであると思っています。マイ箸派の皆さんにお願いがあります、少なくとも日本を代表する良心的な老舗の料亭などで、割り箸が使われていたら、マイ箸を使うのはやめて素直に割り箸を使ってください。そうした席でマイ箸を出すのは無粋です。モノを知らない愚か者の所業といわれても、文句は言えないと思います。良心的な老舗料亭では、今でも国産の割り箸を使っています。今後いくら値上がりがしても、使い続けることでしょう。
ここで一つ提案があります。日本製の割り箸に限って、割り箸袋や割り箸自体に国産であることの、マークなどつけて中国産などと区別したら良いと思います。マイ箸派は、日本製の割り箸はそのまま使うが、中国産であった場合はマイ箸を使うようにすべきだと思います。
マイ箸派の皆さん、何も考えずにただマイ箸を使うことは、ひょっとするとあなた方の善意に反して、日本の森林破壊を助長しているかもしれません(現実には、たいした量ではないと思いますので、そんなことはないと思いますが・・・。気持ちと理屈の問題です)。それと、日本の伝統的な食文化の破壊を助長しているかもしれません。もっと、日本の割り箸に対する理解を深めていただきたいです。このブログでは、いずれ何回か日本の割り箸そのものついて掲載していきたいと思います。
<20日加筆>
上記のように結論を書いてありますが、その後マイ箸関係のブログをいくつか、見せていただきました。マイ箸を使っている方の中にも、上記のような背景を十分判っていて、なおかつ意図して、意識して使っていらっしゃる方がいました。そのような方に対しては、上記の文章の行間を読んでいただげれば、私の考えはわかっていただけると思いますが、ここで念のため、私は、そのような使い方をされている人達には、上記の結論はあてはまらないと思っていることを、敢えてここに記載させていただきます。
<24日>
ある方のブログに、割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 (ちくま新書 658) (新書)からの引用で、以下のような内容が記載されていました。
70年代以降、中国製の割り箸が日本に入ってくるようになった。その原料は今、ほとんどがロシア産となっている。中国における年間の木材消費量は3億7000万㎥で、そのうち割り箸の生産量が60万㎥で、全消費量の0.16%だ。そして、日本に輸出される割り箸の量は36万㎥ほどで、全消費量の0.09%に過ぎない。さらに、中国では植林活動が活発で、木材生長量は消費量を上回る。これで割り箸が環境破壊の元凶と言えるだろうか?割り箸の消費量を抑えるよりも、はるかに消費量の多い。建築材や紙などの消費を抑える方が効果的だろう。
私自身は、中国の割り箸についてはほとんど実体を知りません。中国の割り箸の実体もう一度調べてみる必要がありそうです。いずれにせよ、環境問題において割り箸などの問題は、「重箱の隅」をつついているようなもののようです。ただし、日本の割り箸文化については、これからも維持すべきものと考えます。いずれ、このブログ内容、中国の割り箸を含めて刷新したいと思います。
林野庁では、以下のような見解を示しています。
【割り箸について、毎日新聞の記事があります】
下は、ベネトンが発売しはじめた、マイ箸。ベネトンらしく、色の種類も豊富だ。全部で10種類の色がある。