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2015年1月10日土曜日

安倍政権に奪われた雇用政策 日銀法改正を主張する気概を 民主党代表選 ―【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!


民主党代表戦の告示を伝えるテレビ番組のキャプチャー画像

5日の仕事始めでちょっと変わった風景が見られた。労働組合の中央組織である連合の新年交歓会に、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁と岩田規久男副総裁が招かれたのだ。

この伏線は、昨年の春闘後、岩田副総裁が連合幹部と意見交換していたことにある。本コラムの読者であれば、日銀の金融政策は、実は雇用政策であり、真の意味で雇用を創出しているのは日銀だということをご存じだろう。

この意味では、労働界と日銀はもっと頻繁に意見交換していても当然である。そうした当たり前のことが、これまでなかったところに、日本における金融政策の無理解がいかにひどかったのかがわかる。

この新年会には、黒田日銀総裁のほか、榊原定征経団連会長も招待されており、出席した人は「こういう風景は初めてだ」と異口同音に話していた。黒田総裁、榊原会長ともに、スピーチでは古賀伸明連合会長と歩調を合わせて賃上げの重要性を指摘していた。

日銀・経団連トップが連合新年会に初参加(2015/01/06)
こうした中で、影が薄かったのは、民主党の枝野幸男幹事長だった。それもそのはずで、枝野氏は金融引き締めこそが経済を成長させるという奇妙な論を持っている。

安倍晋三政権で金融緩和に転じてから、雇用が増加したのであるから、連合としては民主党の金融政策を冷ややかに見ているのではないか。

 そうした中で、民主党の代表選が7日告示され18日に実施される。岡田克也代表代行と細野豪志元幹事長、長妻昭元厚労相の3氏の経済政策や野党再編などはどうなるのだろうか。

3氏のうち誰が代表になっても、連合を引きつけるような金融政策を主張するとは思えないのは、かなり残念である。2年前の衆院選で自民党の安倍総裁がインフレ目標2%を打ち出したような大きな政策転換が欲しい。

古賀連合会長は、かつて雇用確保のための日銀法改正に大いに興味を持っていた。民主党の勉強会であったが、筆者は目の前でその意見を聞いたことがある。日銀法改正ぐらい誰か主張しないと、民主党らしい政策基盤はできない。

安倍政権が金融政策という左派政策を取り込んだのであるから、それを奪い返すくらいの気概が必要だ。特に、優勢と伝えられる岡田氏に挑む細野氏や、リベラルを旗印とする長妻氏には、大胆な政策主張が欲しい。

となると、政策というより政界再編のスタンスが3氏の差別化になってくる。政界再編について、岡田、長妻氏は消極的、細野氏は積極的といわれる。ところが、細野氏は政界再編を前面に出さない作戦といわれており、これも代表選の争点になりにくい。

このままでは、政権交代を期待できるような人が代表にならない公算が大きい。それこそ民主党の真の危機である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

この記事は要約です。詳細は、こちらから!!

【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!

上の記事では高橋洋一氏の語るように「日銀の金融政策は、実は雇用政策でもあり、真の意味で雇用を創出しているのは日銀である」というのは、真実であり、これは世界の常識です。

日本や、アメリカのような国であれば、インフレ率が数パーセント上がっただけで、他には何をしなくても、一夜にして数百万の雇用が生まれます。これは、統計的にもフィリップス曲線として古くから理解されている事実です。



このグラフを見ていても、良くわかります。日本がデフレに入ってから以降、物価上昇率はマイナスになっていて、失業率は高くなっています。日本がデフレに入る前の1995年よりも、前の時点では、消費者物価上昇率はプラスで、失業率も低いです。

そうして、これは、統計的に確かめられているだけではなく、日本以外のまともな先進国では、インフレ率と雇用との間には密接な関係があり、雇用確保のために緩やかなインフレ政策をとるというのが、金融政策の常道です。

無論、いつでもインフレ政策をとるというわけにはいきません、場合によってはこれ以上のインフレ政策を実行すれば、ハイパーインフレになるという場合もありますから、その場合はインフレ政策をとれないにしても、少なくともデフレ政策はとらないというのがまともな政策です。

雇用状況を悪くしないように、金融の舵取りをするのが、中央銀行の使命でもあります。それは、日本以外の国では、誰もが当然としていることです。日本だけが、世界の例外でした。

官僚にも、多くの政治家にも、マスコミにも、そうして多くの識者といわれる人々までが、そのような認識がありませんでした。だからこそ、過去の日本は、古今東西に例をみない、二十年にも及ぶデフレが許容されてきたのです。

このことについては、このブログでも何回か掲載させていただいたことがあります。その代表的なもののURLを以下に掲載させていただきます。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
この頃、若者の雇用の悪化について言われていたが、日銀
の金融政策と関連づけて語る人はほとんどいなかった。
この記事は、2012年9月に掲載したものです。当時は、無論のこと安部自民党政権でなく、野田民主党政権が与党だった時代です。以下に、この記事から、
雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。
就活の大変さの責任は日銀にあったということを多くの人が知らなかった
日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。
 この記事では、若者の雇用について語ったので、日銀と厚生労働省の二つの雇用対策がマッチして、若者雇用などのまともな雇用対策ができると掲載しましたが、もともと、雇用枠がない場合いくら厚生労働省が何を実施しようとも雇用問題は解決できません。これが、マクロ経済上の常識です。

これは、日本人だけが疎かった世界共通の社会常識でもあります。一般の人の理解が不十分であっても、本来政治家にとっては許されないことです。しかし、民主党の幹部それも、今回代表戦に出馬する人たちはこれを理解していないようです。

これを理解できないようであれば、日銀法改正の意味も理解できないのではないかと思います。日銀法は、改悪されて悪法になりました。

何が悪法なのかといえば、日銀の独立性に関する誤った認識が反映されていることです。本来、中央銀行の独立性とは、金融政策の目標を自由に設定できることではなく、政府が決めた金融政策の目標に従い、日銀は専門的な立場から、手段を他から影響されることなく自由に選ぶことができるということ、すなわち、手段の独立性を意味します。

しかし、今の日銀法では、目標も手段も日銀によって自由に選べるということが日銀の独立性だとされています。これは、全くの間違いです。

そもそも、国の金融政策の目標という国民生活に大きな影響を及ぼす大事な事柄は、選挙で選ばれた人々による政府によって決定されるべきものであって、政府の一下部機関に過ぎない中央銀行が決定すること自体が全くの間違いです。

こんなことが、今でも許されているからこそ、日銀の政策決定委員会のメンバーの人事があるたびに、多くの人が、やきもきするのです。もし、政策決定委員会のメンバーの構成が、まともな金融政策のできない人たちが多数派になれば、またぞろ、日本はデフレのスパイラルのどん底に沈み、中国や韓国が大喜びし、多くの国民が塗炭の苦しみ味わうことになるかもしれないからです。

しかし、金融政策が雇用に及ぼす、影響についてほとんど認識できない、現在の民主党の代表戦候補者では、これも理解不能と思います。

これだと、マクロ経済に関しては、馬鹿を通り越して、愚鈍レベルです。そうは言っても、与党自民党も、増税推進者の集まりでしたから、こんなことも理解できない人が多いのだと思います。

しかし、そんなことをいえば、世の中の多くの、それこそ大会社の経営者にもこれを理解しない人が多かったのですから、多くの国民も理解できなかったのも無理はありません。

そのため、日銀の金融政策が方向違いであるにもかかわらず、そのまま放置され、このようなことも理解できていないから、デフレなのに政府も緊縮財政を行うなどの馬鹿まねが続いて、結局20年もデフレが放置されてしまったわけです。

そのことに、反対の狼煙をあげて、実際に行動しはじめたのが安部総理です。民主党も、民主党全部とはいいませんが、少なくとも代表になる人くらいは、このことを理解して、野党の立場から、狼煙をあげてもらいたいものです。

日銀の政策決定委員会。日本では、日本国の金融政策がこの
会議で決定されるという馬鹿まねが今でもまかり通っている。

それにしても、今まではそうではありませんでしたが、これからは日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であることを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破綻するしかないと思います。

なにしろ、こんな重要なことを理解できないようでは、これだけではなく、他の重要なことがらに関してもそうであって、政治も政局も結局何も理解できないからです。政治家は本当に忙しい仕事のようですから、細かなことまでは理解できなくても良いとは思いますが、それでも、大事な経済・金融の根幹にかかわることですから、最低限このくらいのことは理解しておかなければ、政治家など全く務まらないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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ケインズは、不況のときの金融政策を否定などしていません。むしろ、積極的に行うべきと主張しています。これを理解し、今の日本を理解するためにもケインズの原点にあたるべきと思います。

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