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2012年2月18日土曜日

【きょうの名言】何でもテスト好きな文部科学省−【私の論評】高学歴社会ではない日本で、大学間格差を放置して、学力テストを導入してもほとんど意味はない!!

【きょうの名言】何でもテスト好きな文部科学省:

文部科学省

大学生に「成長度テスト」というものが課されることになるようだ。国民もそこまで、何も知らないわけではない。もう、ウンザリだが、やはり次のとおりだろう。(上の写真は文科省)

@gorohさんがツイートする。

「兎に角、何でもテスト好きな文部科学省だ。このためにまた協会や法人ができて予算が使われる。要するに天下り機関の新設以外の目的はない。成長度とはいったい何を指すのか」

文部科学省が、学生に入学後と卒業前に受験させれば、学習成果が客観的に把握わかるようになる。それで、カリキュラム作成に役立てたいようだ。

ちなみに悪評高い、独立行政法人の大学入試センターは、理事長の年収約1100万円、理事の年収約940万円。1回あたりのセンター試験で約100億円の「売上」がある。それなのに、サービスは悪すぎる。

【私の論評】高学歴社会ではない日本で、大学間格差を放置して、学力テストを導入してもほとんど意味はない!!


日本で、教育というと、意外と知られていない事実があります。それは、欧米と比較すると、日本は高学歴社会ではないということです。多くの人は、そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、これは、日本と欧米との比較の上で厳然とした事実として、受け止めなければまともに教育論など論議などできません。

ハーバード大大学
ハーバード大キャンバス

まずは、高学歴社会の欧米では、大学卒とい経歴では、けっして高学歴社会などとはいいません。大学院卒ではじめて、高学歴とみなさされます。日本のように、東大、京大、早稲田、慶応なの有名大学を卒業したからといって、高学歴者などとはみなされません。たとえば、アメリカでは、大学は、大学であり、ハーバード大、スタンフォード大であろうが、コロンビア大であろうが、大卒は大卒であり、それ以上でも、以下でもないという扱いです。

スタンフォード大学
スタンフォード大キャンパス

有名大学の工学部を卒業していようが、どこかの州立大を卒業していようが、工学学士は、工学学士であり、特にどの大学を卒業したからといって、優秀であり、どこの大学を卒業しても、優秀ではないということはありません。(下の写真は東京大学安田講堂)



このような条件が整っていれば、上記のような「成長度テスト」しても、意味があると思います。しかし、日本の場合は大学間格差がありすぎます。日本は決して、高学歴社会社会というわけではなく、大学間格差あるというのが、本当の位置づけです。東京大学と、たとえば、こちらは、函館なので、地元の私立大学である、函館大学とでは、同じ大学を卒業しているからといって、同列には扱われません。また、実際に同列に扱うわけにはいかないと思います。学力にあまりにも差がありすぎます。

韓国では、さらにこの大学間格差が激しいです。韓国では、有名大学を卒業していなければ、有名企業には、なかなか入社できませんし、入社できても、出世の見込みはほとんどありません。そのため、韓国では、「あなたはどこの大学出身か」という質問をしてはいけないそうです。この質問は、韓国では、「お前は、どの程度の人間なのか?」と聴いているのと同程度に失礼にあたるからだそうです。


だからこそ、韓国では、大学受験のときに、あのような大騒ぎになるのです。なにしろ、大学受験で、その後の人生のほとんどが決まってしまうのですから、加熱するのは無理もないことです。韓国も、日本のように、高学歴社会ではありません。大学格差のある国ということです。しかも、その格差が日本の比ではないということです。

函館大学

たとえば、教養課程における、英語教育などみてもわかります。私は、実際に函館大学(上記写真)の学生に英語の教材を見せていただいたことがありますが、その内容は、はっきり言って、中学英語の復習というようなものでした。これは、何も函館大学に限らず、また科目くも英語に限らず、全国の無名大学などでは珍しいことではありません。もともと、大学教育などには、ふさわしくないほど基礎学力がありません。さらに悪いことには、アメリカでは、日本の有名大学入学者のように、受験勉強をあまりしないので、大学に入りたてのころは、それこそ、日本の受験勉強のように日々何時間も勉強しないと追いつけないので、かなり勉強しますが、日本の無名大学の学生には、そのような習慣もないようです。ただし、一部の大学ではこれを厳しく実施するようになってきたようです。

日本の大学は、「成長度」がどうのこうのという前に、この大学間格差がありすぎであることを是正しなければならないと思います。今単純に、「成長度テスト」を実施したとしても、この大学格差を放置しておいては、全く意味がありません。すべての大学に対して一律で試験を行うとすれば、理系や文系の何学部という区分程度しかできないと思います。各大学の特色など、考慮するようなテストはできません。そうして、テストをすれば、最高点、最低点、平均値、中央値、偏差値などがもっともらしくでてくると思います。しかし、この結果がでても、結局大学間格差がさらにはっきりみえてくるだけです。

だとすれば、最初からわかりきっていることをわざわざ大掛かりにテストをするということは、上の名言でも語られているように、テスト機関の設立そのものが目的だとしか思えません。役人に、儲け口や、天下り先を提供するだけのものと受け取られても仕方ないと思います。

このブログにも従来から幾度か掲載してきたように、今世紀に入ってから、私たちの社会は、それまでの社会とは大きく変貌してしまいました。その中でも、知識か富の源泉である、知識社会に突入したことに、日本の教育システムは、ほとんど対応していないと思います。

これは、以前のブログでも述べたことですが、詳細はこれをご覧いただくものとして、知識社会には、以下の三つの特質があります。
知識は資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界もない社会となる。
万人に教育の機会が与えられるがゆえに、上方への移動が自由な社会となる。
万人が生産手段としての知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではないがゆえに、成功と失敗の並存する社会となる。

これら3つの特質のゆえに、すでに変質した社会は、組織にとっても1人ひとりの人間にとっても、高度に競争的な社会となりました。

勉強熱心な女子学生?

こうした、競争的な知識社会に入ったからには、まずは、万人に教育の機会が与えられるようにしなければなりません。まずは、アメリカなみに、大学間格差をなくす必要があります。そうして、大学院教育が当たり前である、高学歴社会にしたほうが良いと思います。

さらには、誰もが大学教育、大学院教育を受けられる体制をつくりだすべきです。また、社会人になっても、大学・大学院教育が受けられるようにすべきと思います。大学や、大学院にいかないで、就職した人でも、ある一定条件を満たせば、大学・大学院教育を受けられるようにし、さらには、大学・大学院を卒業した人にあっも、社会人になってから、これからが必要であれば、再度大学や、大学院に戻って教育を受けられるようにすべきと思います。

それにしても、どのように条件を整えても、もともと勉強嫌いの人はいますが、そういう人に関してまで、全部救う必要はないと思います。やる気とものごとをやり通すというある程度の規律はあっても、やり方がわからない人には救いの手をさしのべて、そうではない人までは、何もかも平等うに扱う必要はありません。大学側だって、やる気がなく、基礎学力もない若者のを受け入れるのは、嫌でしょう。それくらなら、社会で揉まれて、ある程度実践的知識をつけ、やる気のある社会人を受け入れるような体制をつくれば良いと思います。そうすれば少子高齢化による学生不足に悩まされることもなくなります。実際にこのようなことを実現している、大学や大学院など少数ながら存在します。

いずれにせよ、こうした日本の教育の問題について、改善・改革をしようという気もないままで、単に「成長度テスト」を導入しても無意味です。


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