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2017年8月16日水曜日

なぜか北朝鮮に核廃絶を呼びかけない日本の反核運動―【私の論評】もはやまったなし核武装も視野に入れるべき(゚д゚)!

なぜか北朝鮮に核廃絶を呼びかけない日本の反核運動

北朝鮮や中国を非難せず、矛先は日本政府に


古森 義久


長崎の平和公園
 8月9日の長崎「原爆の日」、朝日新聞に掲載された田上富久・長崎市長の「平和宣言」を米国の首都ワシントンでじっくりと読んだ。内容は核兵器廃絶への訴えである。

 ワシントンでは今、北朝鮮の核兵器にどう対応するかが必死で論じられている。超大国の米国にとっても、北朝鮮の核は「明白な危機」とされる。まして日本にとって、北朝鮮の核武装はまさに目の前に迫った脅威だろう。核兵器の廃絶を訴えるならば、北朝鮮の核兵器廃絶を最優先で求めるべきである。

 ところが長崎市長の宣言に北朝鮮の核兵器への言及はなかった。世界にとって最も切迫した問題である北朝鮮の核の危機には一言も触れていない。代わりに強調されていたのは、日本国政府への非難だった。

 違和感を禁じえなかった。日本にとって目の前の脅威である無法国家の核武装をなぜ非難しないのだろう。

 核廃絶に向けた具体的な政策は?

 私は被爆者やその家族の方々の苦しみを人一倍理解し、同情を寄せているつもりだ。

 1994年に私は米国のCNNテレビの討論番組に出演し、「長崎への米軍の原爆投下は、きわめて非人道的な戦争犯罪だ」と主張したことがある。CNNの「クロスファイアー」という人気討論番組だった。番組には広島、長崎両方の原爆投下ミッションに参加したチャールズ・スウィーニー退役将軍が登場した。司会は元大統領首席補佐官のジョン・スヌヌ氏だった。

 米国側の参加者たちは、「徹底抗戦する日本に対して本土上陸作戦での大被害をなくすために、原爆投下で降伏を早めることが必要だった」という意見を述べた。私はそれに対して核兵器の非人道性を強調しながら、以下の趣旨を述べた。スピーディーなやり取りの討論番組なので、一段と熱を込めて話したことを覚えている。

「原爆投下の時点では、アメリカ側はもう日本の降伏を確実だとみていた。ソ連の参戦もあり、特に2発目の長崎への投下は、戦争の早期終結が目的ならば不必要だった。もし日本側に原爆の威力を示すことが目的ならば、無人島や過疎地に投下すれば十分だったはずだ。合計20万以上の民間人の犠牲は、戦争継続の場合の戦死者の予測数では正当化できない」

 米国の原爆投下に対する私の基本的な考え方は今も変わらない。

 その点を強調したうえで、日本側の「平和宣言」や「反核宣言」への違和感を説明したい。

 長崎市長の今回の「平和宣言」は、日本の核抑止政策や世界の安全保障政策を非難している。それならば、核廃絶に向けた政策を語るのが自然だろう。ところがその政策論がない。

 長崎市長は、「核兵器を持つ国々と核の傘の下にいる国々」に「核兵器によって国を守ろうとする政策を見直してください」と述べる。また、日本政府に対しては「核の傘に依存する政策の見直しを進めてください」と述べていた。だが、これらの記述はいずれも政策論ではない。ただ「してください」と訴えるだけで、安全保障政策を変えるプロセスも代替政策もまったく示していないからだ。

 一方、ワシントンではトランプ政権を中心に、北朝鮮の核の脅威をどう抑え、どう取り除くかについての政策論が、経済制裁から軍事攻撃まで具体的に展開されている。戦争の危険までを冒して北朝鮮の核兵器開発を阻もうというのだ。他方、長崎市長は単に現実の政策を「見直してください」と訴えるだけである。

 核廃絶につながらない「核兵器禁止条約」

 そこでは当然、2つの疑問が浮かんでくる。

(1)日本の被爆者の訴えを、どのように北朝鮮や中国の核兵器廃絶へ結びつけるのか。

(2)日本の安全保障から米国の核抑止の保護を排した場合、北朝鮮や中国の核兵器の脅威からどのように日本を防衛するのか。

 まず(1)についてだが、長崎市長は、「被爆者が長年積み重ねてきた努力」によって「核兵器禁止条約」が採択されたという。核兵器禁止条約は今年7月、国連全加盟国の6割に相当する122カ国の賛成で採択された。

 この条約はその名のとおり核兵器の保有も実験も導入もすべて禁止している。だが、強制的な力はない。

 核保有国はどの国も、自国や同盟国の防衛のために核兵器を保有しているのであり放棄や破棄は絶対にできない、という立場を明らかにしている。そのうえで核保有国は今回の条約に対して次のような声明を出した。

「この条約は国際的な安全保障環境の現実を無視しており、1つの核兵器の削減にもつながらない」(米国)

「わが国の安全保障政策は核抑止に基づいている。核の放棄は弱さを認めることであり、この条約には署名も批准もすることはできない」(フランス)

「この条約ができても、わが国が核兵器について負う法的な義務にはなんの変化も起きない。いまの国際情勢下でこの条約は認められない」(イギリス)

 長崎市長は日本政府に対して「核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません」と非難している。だが以上のとおり、核兵器禁止条約は核廃絶という目標からすればまったく無力であるというのが現実なのだ。

 (2)について述べるならば、長崎市長の宣言が指摘する「核の傘」とは、米国による日本への拡大核抑止のことである。もし日本が北朝鮮から核攻撃をかけるぞと脅された場合、米国が核戦力で北朝鮮に報復する、あるいは報復するぞと構えて、抑えつける。そんなメカニズムが「核の傘」として日本の安全保障を支えている。

 だが、長崎市長の主張するように日本が米国の「核の傘」を排すれば、北朝鮮、さらには中国のような核保有国の核の威嚇に対してなんの対応や防御の手段もなくなってしまう。それで国家の独立や自主性が保たれるのだろうか。

 世界の現実から目をそらしてはいけない

 過去70年、広島や長崎で核兵器の廃絶をどれだけ叫んでも、現実の核兵器の削減や廃絶につながることはなかった。反核運動は、その現実から目をそらさず、もっと論理的、合理的に進める必要がある。

 もし、日本が真剣に核兵器の削減や不拡散を求めるならば、まず何よりも北朝鮮の核武装を最重点の抗議対象とすべきだろう。同時に、核戦力の強化を進める中国にも強く反対すべきである。だが、日本の反核運動はそんな動きはみせていない。北朝鮮や中国を非難する声はなぜか聞こえてこない。

 国連の核兵器禁止条約に対して日本政府は明確に反対を表明した。岸田文雄前外相や別所浩郎国連大使ら政府当局者たちは「米国の核の傘に依存する日本が核兵器全面否定のこの条約には賛成できない」「北朝鮮がこんな状況なのに、核保有国の存在を認めない条約には絶対に反対だ」と語っていた。

 この種の発言は、国内の反核勢力から、核兵器自体の容認や核戦略への同調、さらには被爆者たちへの冒涜だとして曲解されることが多い。実際に朝日新聞(8月10日付)は安倍首相が核兵器禁止条約に賛成しないことを非難して、「長崎の被爆者、首相に『どこの国の総理か』」という大見出しの記事を載せていた。だが、日本の安全保障における「核の傘」の効用を無視して、その無条件の放棄を訴えるスタンスこそ「どこの国の新聞か」と反論されても不思議はないだろう。

【私の論評】もはやまったなし核武装も視野に入れるべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、なぜか日本の核兵器廃絶運動では、北朝鮮や中国を非難しません。本当に不思議です。

最近では、北朝鮮のICBMなどばかりがテレビで報道されていますが、中国もれっきとした核武装国です。そうして、以下の中国の核戦略地図のように、中国の核ミサイルは今も日本を標的にしています。日本の核廃絶運動家は、この現実をどうみているのでしょうか。


中国が核を保有する前に、毛沢東は「アメリカの原爆で1000万人や2000万人殺されてもいいのか」と脅しをかけられたことがありました。フランスのドゴール大統領が当時「そうなって心配ないのか」と毛沢東に尋ねると、毛沢東は次のように啖呵を切って、ドゴールを驚かせたそうです。
「1000万人や2000万人が何だ。中国には10億人以上の人口がある。中国は核兵器を保有し独立国として他国の脅威にさらされないことの方がずっと大事だ」。

ドゴールは毛沢東の度胸を十二分に理解していました。第2次大戦後、フランス自身が、米国や西欧諸国にさんざん圧力脅されながら、核保有国への道を強引に突き進んだ経験を持っているからです。

シャルル・ド・ゴール
一度核保有を実現してしまえばどうなるのでしょうか。米国も、そして他の核保有国もホンネはしぶしぶでしょうが、同じ核保有国として「これからは仲良くやろう」と対等の姿勢で語りだすのです。先進国かどうかは関係ないです。カギは核という軍事力を持っているかどうかです。インドに対しても、パキスタンに対しても、そして最近のイランに対してもそうでした。

北朝鮮は核保有国に対するこうした米国などの姿勢の変化を十二分に研究してきました。どれほど自分たちが貧しくとも一度、核を保有してしまえば、もう自分たちは発言権を保持できるようになるのだと彼らは固く信じているのです。

実際、今や北朝鮮は米国大陸を核の射程内に治めることがほぼ確実になっています。米国の都市が北朝鮮の核攻撃にさらされることはあってはならないです。すでに米国はそう感じつつあります。

表面的には「断固、制裁する」と強気なことを言っているのですが、そこに本気の姿勢は感じられません。どこかで折り合いをつける交渉が始まるのではないでしょうか。すでにブッシュ大統領時代から、その空気はありました。

核を保有しているか否か。保有する前に、米国やロシアに脅されようと、それに打ち勝つ度胸があるかどうか、核保有を許されるかどうかは、各国首脳のその度胸にかかっていることを戦後の歴史は証明してしまったのです。



もはや核兵器不拡散条約(NPT)などはザル法であることが天下に示されました。後生大事に守っている国はどこでしょうか。核兵器を保有できる技術を持っていない途上国か、先進国ならば日本だけです。

米国もギリギリまで日本の味方をしているようで、危なくなったらアッと言う間に日本を見放す可能性も否定できません。このような世界の現実を、日本国内の核廃絶運動家は理解しているのでしょうか。

そうして、彼らの朝鮮半島に対する認識も甘いといわざるをえません。韓国と北朝鮮は、いまも64年前の朝鮮戦争の「休戦状態」が続いており、戦争は「継続中」です。

朝鮮戦争は、国連軍によって行われており、現在でも日本の米軍施設は国連軍後方司令部として国連軍施設に指定されています。なお、国連軍は、英語の「United Nations Forces」の訳ですが、これは第二次世界大戦での連合国軍と同じ名称です。

他方、北朝鮮と中国は、中朝友好協力相互援助条約を結んだ同盟国関係です。その中には、「どちらか一方が他国に攻撃された場合、もう一方は自動的に他方を助けなければならない」とあります。

こうした関係は、韓国と米国の間にもあるので、お互いの軍事行動が一歩間違えば、米国と中国間の戦争にまで発展する可能性はゼロではありません。このきわどい均衡の上に、朝鮮半島問題は存在しているのです。

朝鮮戦争は終結していない。休戦状態にある。
この複雑な力学を理解せずに、ただただ核兵器廃絶という念仏を唱えても、全く無意味です。

核兵器廃絶運動をしたいなら、核保有国である、米国、ロシア、中国で実施すべきです。さらに、北朝鮮や、核保有論の盛り上がる韓国で実施すべきです。

日本など、今のところ、核兵器のかの字もありません。そんな日本で、核廃絶運動を実施して、日本政府に抗議をするなんて、頭がおかしいとしか言いようがありません。

ブログ冒頭の記事のように、日本の反核運動というのは、反核運動になっていないのです。では、日本の反核運動とは何かと言うと、世界の核武装国はそのままに、日本の核武装化だけ阻止したいという、世界の核支配構造固定化運動としてしか機能していないのです。

その事実だけでも、日本の反核運動に対しては、断固、徹底的に反対します。なぜなら、世界の核支配構造固定化などすべきではないからです。これこそ、不平等です。インド、パキスタン、最近では北朝鮮まで保有しているのになぜ日本だけが持ってはいけないのでしょうか。

核兵器保有していない日本で反核運動など実施すべきではありません。結局そのようなことをするのは、日本弱体化したいからなのでしょう。日本が弱まるなら、反核運動でもなんでもやれということなのでしょう。

核兵器を保有していない日本で反核運動で盛り上がっても、喜ぶのは、既に大量に核兵器を持って武装している日本の周辺の国々だけです。はっきり言って、核非保有国日本にとっては、国内での反核運動はかなり迷惑な存在です。

そんなことよりも、現在の世界情勢を見れば、日本も核兵器保有すべきときに来ているとみるべきです。

北朝鮮が米国に核兵器保有を認められた場合、一体日本はどうなるのか、これはよく考えてみるべきです。国際的には発言権のほとんどない、国際情勢にいつも翻弄される、弱小国になるだけです。


北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射は、オバマ前政権の「戦略的忍耐」による無策はもとより、「核なき世界」という理想論にも再考を迫っています。日韓の核武装を容認する発言をしたことのあるトランプ米大統領は“持論”を封印していますが、米国内では日本の核武装や韓国への戦術核再配備も論じられています。今年末に公表が予定される7年ぶりの「核態勢見直し(NPR)」に向け、核抑止力に関する議論はさらに活発化しそうです。

「韓国に米軍の戦術核を戻すか、日本に独自の核抑止力を整備させる。これほど速やかに中国の注意を引きつけられるものはないだろう」

7月4日のICBM発射を受け、米保守系の有力コラムニスト、チャールズ・クラウトハマー氏はワシントン・ポスト紙への寄稿でこう指摘しました。

トランプ政権は中国に北朝鮮への「最大限の圧力」を期待したのですが、本気で取り組む気配はみられません。それならば、日本や韓国への核兵器配備によって、中国を「日本が核武装しても北朝鮮を保護する価値があるのかという戦略的ジレンマ」(クラウトハマー氏)に直面させようというわけです。

中国やロシアは逆に「朝鮮半島の非核化」で米国に協力するふりをしながら、北朝鮮の核武装に目をつぶり、日本や韓国を保護する価値があるのかという「戦略的ジレンマ」に米国を陥らせようと画策しています。

北朝鮮による核・ミサイル開発の進展は、米主要都市へのICBMによる反撃が予想されても米国の「核の傘」が機能するのかという古くて新しい命題を突き付けています。

冷戦期、欧州諸国はニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)、核使用協議、情報共有により米国が「戦略的ジレンマ」に陥ることを防いできました。脅威の高まりの中で迎えた今年のNPR改定は、アジアでの安全保障に米国を巻き込むための知恵を日本に迫っています。

ここは、日本も踏ん張っていずれ核武装する道を選ぶべきです。

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