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2015年3月22日日曜日

首相 防衛大卒業式で訓示「安保法制整備進める」―【私の論評】時代が変わった!防大卒業式第一回目の訓示は吉田首相による「日陰者」発言だった!このような理不尽は二度と繰り返すな(゚д゚)!



安倍総理大臣は、神奈川県横須賀市にある防衛大学校の卒業式で訓示し、「不戦の誓いを­現実のものとするためには決然と行動しなければならない」と述べ、集団的自衛権の行使­を可能とすることなどを含む、安全保障法制の整備を着実に進めていく考えを示しました­。

この中で、安倍総理大臣は「戦後、わが国は、ひたすらに平和国家としての道を歩んでき­た。しかし、それは平和国家ということばを唱えるだけで実現したものではない。日米安­全保障条約の改定、国連PKOへの参加など、果敢に行動してきた先人たちの努力のたま­ものだ」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「行動を起こせば批判にさらされる。過去においても『日本­が戦争に巻き込まれる』といった、ただ、不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返さ­れてきた」と指摘しました。

そのうえで、安倍総理大臣は「大量破壊兵器の拡散やテロの脅威など、国際情勢は絶えず­変転している。不戦の誓いを現実のものとするためには、先人にならい決然と行動しなけ­ればならない」と述べ、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを含む、安全保障法制­の整備を着実に進めていく考えを示しました。

ことしの防衛大学校の卒業生は、留学生を除いて472人で、このうち任官を辞退したの­は25人でした。

【私の論評】時代が変わった!防大卒業式第一回目の訓示は吉田首相による「日陰者」発言だった!このような理不尽は二度と繰り返すな(゚д゚)!

安倍総理の防衛大学卒業式における訓示の内容は以下のとおりです。
 本日、伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、今後わが国の防衛の中枢を担う諸君に対し、心からのお祝いを申し上げます。 
 卒業おめでとう。 
 諸君の礼儀正しく誠にりりしい姿に接し、自衛隊の最高指揮官として大変頼もしく大いに誇りに思います。本日は、卒業生諸君が幹部自衛官として新たな一歩を踏み出す、門出の日でありますので、一言申し上げたいと思います。 
 その日のガダルカナル島には、70年前と同じように雲1つなく、強い日差しが降り注いでいたそうであります。昨年秋、練習艦「かしま」のタラップをのぼる諸君の先輩たちの胸には、かの地で収容された137柱のご遺骨がしっかりと捧持(ほうじ)されていました。そして、ご遺骨に無事祖国へのご帰還いただく。今回の練習航海ではその任務に当たってくれました。
海自艦でガダルカナル島から帰国した遺骨
(2014年10月24日午前10時36分、東京都中央区の晴海ふ頭で)
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 遠い異国の地において、祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場で倒れられた多くの尊い命。そのご冥福を、戦後70年という節目の年に幹部自衛官への道を踏み出す、諸君たちとともにお祈りしたいと思います。そして、こうした尊い犠牲の上にわが国の現在の平和がある。そのことを私たちは改めて深く胸に刻まなければなりません。二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。私たちにはその大きな責任があります。

戦後、わが国はひたすらに平和国家としての道を歩んできました。しかし、それは「平和国家」という言葉を唱えるだけで実現したものではありません。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、そして国連PKO(平和維持活動)への参加。国際社会の変化に向き合い、憲法が掲げる平和主義の理念のもと、果敢に行動してきた先人たちの努力のたまものである。私はそう考えます。 
 「治に居て、乱を忘れず」 
 自衛隊、そして防衛大学校の創設の父でもある吉田茂元首相が防大1期生に託した言葉であります。昨日までの平和は明日からの平和を保障するものではありません。大量破壊兵器の拡散や、テロの脅威など国際情勢は私たちが望むと望まざるとに関わらず絶えず変転しています。 
 不戦の誓いを現実のものとするためには私たちもまた先人たちにならい、決然と行動しなければなりません。いわゆるグレーゾーン(事態)に関するものから集団的自衛権に関するものでまで、切れ目のない対応を可能とするための法整備を進めてまいります。 
 行動を起こせば批判にさらされます。過去においても日本が戦争に巻き込まれるといった、ただ不安をあおろうとする無責任な言説が繰り返されてきました。しかしそうした批判が荒唐無稽なものであったことは、この70年の歴史が証明しています。 
 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」 
 この宣誓の重さを私は最高指揮官として常に心に刻んでいます。自衛隊に与えられる任務はこれまで同様、危険の伴うものであります。しかし目的はただ1つ。全ては国民の命と平和な暮らしを守り抜くため。そのことにまったく変わりはありません。 
 その強い使命感と責任感を持って、これから幹部自衛官となる諸君には、それぞれの現場で隙のない備えに万全を期し、国防という崇高な任務を全うしてほしいと思います。 
 東日本大震災をはじめ相次ぐ自然災害のたびに自衛隊は昼夜を分かたず、また危険を顧みず、救助活動にあたってきました。自衛隊に対する国民の信頼は、今や揺るぎないものとなっています。 
2011年4月11日、宮城県気仙沼市で津波の被害者に黙とうをささげるため整列する自衛隊員
 「軍事力は戦うためだけのものである」という発想は、もはや時代遅れであります。災害救援に加えて、紛争予防、復興人道支援。あらゆる機能を備えた軍事力の役割は、国際社会において大きく広がりつつあります。 
 24年前、ペルシャ湾における掃海活動から、自衛隊の国際協力活動の歴史は始まりました。湾岸戦争で敷設された1200個もの機雷がわが国にとって死活的な原油の輸送を阻んでいました。 
 「『爆破成功』の声で、世界は日本の存在を知った」 


 派遣された隊員の言葉からは、当時の誇らしげな気持ちが伝わってきます。気温50度にも及ぶ厳しい環境、それも海の中では石油パイプラインが縦横に走る、緻密さが要求される現場で、3カ月以上にわたり稼働率100%。自衛隊の高い士気と能力を、見事に世界に示してくれました。 
 内戦によって傷ついたカンボジアでは、初のPKO活動に臨みました。自衛隊が作った道路や橋が平和を取り戻し復興するための大きな力となったことは間違いありません。部隊が(カンボジアの)タケオの町から撤収する日には、感謝し、別れを惜しむ現地の皆さん、大勢の子供たちで沿道はあふれていたそうであります。 
カンボジア・タケオ市で、地元市民の協力を
得てPKO活動を行う自衛隊員(1992年10月8日)
 今この瞬間も自衛隊は灼熱のアフリカにあって、独立したばかりの南スーダンの自立を助けるため、PKO活動にあたっています。 
 (南スーダン首都)ジュバの町で自衛隊員が通う病院。その運営はカンボジアのPKO部隊が行っています。内戦から復興したカンボジアは今、PKO活動に積極的に参加し、ともに汗を流すパートナーとなっています。その隊長が現地の自衛隊員にこう語ってくれたそうであります。 
 「UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)での日本の活躍は母国カンボジアの人々の記憶に今も鮮明に残っている。このカンボジア病院も本当は誰よりも日本人に使ってほしい。私たちは日本人のためならば24時間いつでも診療する用意がある」 
 これまでの20年以上にわたる自衛隊の国際協力は間違いなく世界の平和と安定に大きく貢献している。大いに感謝されている。私は自信を持ってそう申し上げたいと思います。そしてのべ5万人にのぼる隊員たちの揺るぎない使命感と献身的な努力に心から敬意を表したいと思います。 
 海の大動脈アデン湾における海賊対処行動では本年5月、戦後初めて自衛隊から多国籍部隊の司令官が誕生します。これはこれまでの自衛隊の活動が国際的に高く評価され信頼されている証に他なりません。 
アデン湾を航行する貨物船(奥)と警戒監視活動を行う自衛隊P-3C哨戒機
 世界が諸君に大いに期待しています。世界が諸君の力を頼みにしています。その誇りを胸に自衛隊にはより一層の役割を担ってもらいたいと思います。 
 本日ここにはインドネシア、カンボジア、タイ、大韓民国、東ティモール、フィリピン、ベトナムそしてモンゴルからの留学生の皆さんもいらっしゃいます。言語や習慣の異なる中での生活、学びの日々は、大変なものであったと思いますが、この日を迎えられたことを心からおよろこび申し上げます。 
 それぞれの母国に戻ってからも、どうか、この(防衛大学校の所在地である横須賀市の)小原台で培った絆を大切にしてほしい。皆さんの母国とわが国との防衛協力を、さらに発展させていくため、皆さんの活躍を期待しています。 
 そして日本は、皆さんの母国をはじめ、国際社会と手を携えながら戦後70年を機に積極的平和主義の旗を一層高く掲げ、世界の平和と安定に、これまで以上に貢献していく覚悟であります。 
 南太平洋に浮かぶパラオ・ペリリュー島。この美しい島は、70年前の大戦において1万人を超える犠牲者が出る激しい戦闘が行われた場所であります。守備隊長に任ぜられた中川州男(くにお)中将は本格的な戦闘が始まる前に1000人に及ぶ島民を退避させその命を守りました。いよいよ戦況が悪化すると部下たちは出撃を強く願いました。しかし、中川中将はその部下たちに対してこのように語って生きて持久戦を続けるよう厳命したそうであります。 
ペリリュー島守備隊長に任ぜられた中川州男(くにお)中将
 「最後の最後まで務めを果たさなければならない」 
 諸君の務めとは何か。それは二度と戦争の惨禍を繰り返さない。そのために自衛隊の中核を担う幹部自衛官として常日頃から鍛錬を積み重ね隙のない備えに万全を期することであります。そしていかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くことであります。 
 私は諸君の先頭に立ってこの責務を全うする決意であります。どうか諸君におかれても全身全霊をかけてこの国民への務めを果たしてほしいと願います。 
 ご家族の皆様。皆様の大切なご家族を隊員として送り出していただいたことに自衛隊の最高指揮官として感謝に堪えません。 
 皆こんなに立派な若武者へと成長いたしました。これは防衛大学校での学びの日々だけでなく、素晴らしいご家族の背中を彼らがしっかりと見て育ってきた。その素地があったればこそだと考えております。本当にありがとうございます。大切なご家族をお預かりする以上、しっかりと任務を遂行できるよう万全を期することをお約束いたします。 
防衛大卒業式で訓示する安倍晋三首相
 最後となりましたが、学生の教育に尽力されてこられた国分(良成)学校長をはじめ、教職員の方々に敬意を表するとともに、平素から防衛大学校にご理解とご協力をいただいているご来賓、ご家族の皆様に心より感謝申し上げます。 
 卒業生諸君の今後のますますの活躍、そして防衛大学校の一層の発展を祈念して私の訓示といたします。
防衛大学校の卒業式で、高々と帽子を投げ上げる卒業生たち

以上の安倍総理の訓示。特に論評を付け加えることもない素晴らしい内容だったと思います。過去の先達の話もあり、まさに戦後70年を迎えた今年にふさわしい内容です。

安倍総理の今回の訓示は以下の3点に集約されます。

「平和を唱えるだけでは実現しない」

「戦争に巻き込まれるとの言説は荒唐無稽」

「諸君の務めとは二度と戦争の惨禍を繰り返さないために備えに万全を期すること」

すべて当然のことであり、このどれ一つが欠けても、日本の平和と安定を保つことは困難になります。当たり前といえば、当たり前なのですが、これができなかったどころか、発言すらできなかったのが過去の日本です。

日本の総理が、旧軍のガダルカナルの遺骨帰還やパラオ・ペリリュー島の戦いを、防衛大学校卒業式で言及するなどということは従来は考えられなかったことです。時代の変化が感じられます。

吉田茂総理の自衛隊「日陰者」発言も今や過去のことです。ちなみにこの発言を以下に記載します。
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」 
(吉田茂 昭和32年2月、防衛大学第1回卒業式にて)
昭和32年2月防衛大学校第1回卒業式似て訓示をする当時の吉田首相
日本を守る最前線に就こうとする人たち、日本以外の国ではエリートと目される人たちに、このようなことを言わなければならなかった当時の吉田首相も、何もこのようなことを言いたくて言ったのでないと思います。まさに、戦争に負けたばかりの、当時の日本の世相や空気がそうさせたのだと思います。

ただし、私としては、たとえそうであったとしても、このような発言はしていただきたくはなかったです。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今の日本は70年前の日本とは異なります、自分の仕事に誇りを持って二度と戦争の惨禍を繰り返さないために備えに万全を期していただきたいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年3月27日木曜日

首相「建前論に終始している余裕はない」 防大卒業式で訓示−【私の論評】安倍総理の訓示は歴史的な名訓示となった!(◎_◎;)

首相「建前論に終始している余裕はない」 防大卒業式で訓示


 安倍晋三首相は22日午前、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、「現実から目を背け、建前論に終始している余裕はない。必要なことは現実に即した具体的な行動論と法的基盤の整備だ」と述べた。集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見直しと法整備を進める考えを改めて示したものだ。

 首相は、日本近海の公海上で米軍イージス艦が攻撃される事態を例示し「机上の空論ではなく現実に起こり得る。その時に日本は何もできないでよいのか」とも指摘。自身が掲げる積極的平和主義を踏まえ、「自衛隊の高い能力をもってすれば、もっと世界の平和と安定に貢献できる。世界は諸君に大きく期待している」と激励した。

 平成25年度の卒業生は448人で、任官辞退者は10人。留学生はカンボジア、インドネシア、モンゴルなどの計14人だった。

【私の論評】安倍総理の訓示は歴史的な名訓示となった!(◎_◎;)



上の記事の安倍総理の訓示の内容、以下すべて掲載させていただきます。
 本日、伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、これからの我が国の防衛を担うこととなる諸君に、心からお祝いを申し上げます。 
 卒業、おめでとう。 
 諸君の、誠に凛々しく、希望に満ち溢れた勇姿に接し、自衛隊の最高指揮官として、心強く、頼もしく思います。 
 また、学生の教育に尽力されてこられた、國分学校長をはじめ、教職員の方々に敬意を表します。日頃から防衛大学校に御理解と御協力を頂いている御来賓・御家族の皆様には、心より感謝申し上げます。 
 本日は、諸君がそれぞれの現場へと巣立つ、良い機会ですので、内閣総理大臣、そして自衛隊の最高指揮官として、一言申し上げさせていただきます。 
 今日は、22日。15年前の11月、中川尋史空将補と、門屋義廣一等空佐が殉職したのは、22日でありました。まずは、諸君と共に、お二人の御冥福を心よりお祈りしたいと思います。 
 突然のトラブルにより、急速に高度を下げるT33A。この自衛隊機から、緊急脱出を告げる声が、入間タワーに届きました。
 「ベール・アウト」 
 しかし、そこから20秒間。事故の直前まで、二人は脱出せず、機中に残りました。 
 眼下に広がる、狭山市の住宅街。何としてでも、住宅街への墜落を避け、入間川の河川敷へ事故機を操縦する。5000時間を超える飛行経験、それまでの自衛官人生の全てを懸けて、最後の瞬間まで、国民の命を守ろうとしました。 
 二人は、まさに、命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を、私たちに示してくれたと思います。 
 「雪中の松柏、いよいよ青々たり」という言葉があります。 
 雪が降り積もる中でも、青々と葉をつけ、凛とした松の木のたたずまい。そこに重ねて、いかなる困難に直面しても、強い信念を持って立ち向かう人を、たたえる言葉です。 
 もちろん、このような事故は二度とあってはならない。我々は、そのために全力を尽くさねばなりません。 
 しかし、国家の存立にかかわる困難な任務に就く諸君は、万が一の事態に直面するかもしれない。 
 その時には、全身全霊を捧げて、国民の生命と財産、日本の領土・領海・領空は、断固として守り抜く。その信念を、堅く持ち続けてほしいと思います。 
 そのために、どんな風雪にもビクともしない、あの松の木のごとく、諸君には、いかなる厳しい訓練や任務にも、耐えていってもらいたいと思います。 
 厳しい冬の中で、松の木の青々とした姿は、周囲の見る人たちを、大いに励ましてくれるものであります。 
 2月の大雪災害において、雪で閉ざされ孤立した集落の人たちが、昼夜を分かたず救助活動にあたる自衛隊員の姿に、どれほど勇気づけられたことか。 
 昨年、豪雨被害を受けた伊豆大島でも、行方不明者の捜索を懸命に続ける自衛隊員の姿は、国民に大きな勇気を与えてくれました。 
 今ほど、自衛隊が、国民から信頼され、頼りにされている時代は、かつてなかったのではないでしょうか。 
 諸君には、その自信と誇りを胸に、どんなに困難な現場にあっても、国民を守るという崇高な任務を全うしてほしい。そして、国民に安心を与える存在であってほしいと願います。 
 常に国民のそばにあって、気高く存在する、「雪中の松柏」たれ。諸君には、こう申し上げたいと思います。 
 自衛隊を頼りにするのは、今や、日本だけではありません。 
 マレーシアでは、行方不明となった航空機の捜索に協力しています。フィリピンの台風被害では、1200人規模の自衛隊員が緊急支援にあたり、世界中から感謝の声が寄せられました。 
 ジブチや南スーダンでも、摂氏50度にも及ぶ過酷な環境のもと、高い士気を保つ自衛隊の姿は、国際的に高い評価を受けています。 
 冷戦後の地域紛争の増加、テロによる脅威。変わりゆく世界の現実を常に見つめながら、自衛隊は、PKOやテロ対策など、その役割を大きく広げてきました。 
 自衛隊の高い能力をもってすれば、もっと世界の平和と安定に貢献できるはず。世界は、諸君に、大きく期待しています。 
 今日、この場には、カンボジア、インドネシア、モンゴル、フィリピン、大韓民国、タイ、そしてベトナムからの留学生諸君がいます。 
 日本は、諸君の母国とも手を携えて、世界の平和と安定に貢献していきたい。ここでの学びの日々で育まれた深い絆をもとに、諸君には、母国と我が国との友情の架け橋になってほしいと願います。 
 日本を取り巻く現実は、一層、厳しさを増しています。 
 緊張感の高い現場で、今この瞬間も、士気高く任務にあたる自衛隊員の姿は、私の誇りであります。 
 南西の海では主権に対する挑発も相次いでいます。北朝鮮による大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威も深刻さを増しています。 
 日本近海の公海上において、ミサイル防衛のため警戒にあたる、米国のイージス艦が攻撃を受けるかもしれない。 
 これは、机上の空論ではありません。現実に起こり得る事態です。その時に、日本は何もできない、ということで、本当によいのか。 
 戦後68年間にわたる、我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。現実から乖離した観念論を振りかざして、これまでの歩みを踏み外すようなことは、絶対にない。我が国の立場は、明確です。 
 しかし、平和国家という言葉を口で唱えるだけで、平和が得られるわけでもありません。もはや、現実から目を背け、建前論に終始している余裕もありません。 
 必要なことは、現実に即した具体的な行動論と、そのための法的基盤の整備。それだけです。私は、現実を踏まえた、安全保障政策の立て直しを進めてまいります。 
 全ては国民と主権を守るため。諸君におかれても、その高い意識をもって、いかなる現場でも、現状に満足することなく、常に高みを目指して、能動的に任務にあたってもらいたいと思います。 
 「唯 至誠を以て 御奉公申上ぐる一事に至りては人後に落ちまいと 堅き決意を 有している。」 
 日露戦争のあと学習院長に親任された乃木希典・陸軍大将は、軍人に教育などできるのか、との批判に、こう答えたと言います。 
 どんな任務が与えられても、誠実に、真心を持って、全力を尽くす。その一点では、誰にも絶対に負けない。 
 その覚悟をもって、諸君には、これからの幹部自衛官としての歩みを、進めていってもらいたいと思います。 
 その第一は、何よりも、諸君を支えてくれる人たちへの感謝の気持ちです。 
 乃木大将は、常に、第一線にあって、兵士たちと苦楽を共にすることを、信条としていたと言います。諸君にも、部下となる自衛隊員たちの気持ちに寄り添える幹部自衛官となってほしい。 
 同時に、諸君を育んでくださった御家族への感謝の気持ちを、忘れないでほしいと思います。 
 今日も、本当に数多くの御家族の皆さんが、諸君の晴れ舞台を見るために御参列くださっています。 
 私も、最高指揮官として、大切なお子さんを自衛隊に送り出してくださった皆さんに、この場を借りて、心から感謝申し上げたいと思います。 
 お預かりする以上、しっかりと任務が遂行できるよう万全を期し、皆さんが誇れるような自衛官に育てあげることをお約束いたします。 
 最後となりましたが、諸君の今後の御活躍と、防衛大学校の益々の発展を祈念し、私の訓示といたします。 
平成二十六年三月二十二日
 内閣総理大臣 安倍 晋三

「建前論に終始している余裕はない」という、安倍総理の上の訓示がが示すように集団的自衛権は喫緊の課題です。3/22の防衛大学卒業式の首相訓示は歴史的な名訓示となったと思います。
安倍総理の、演説素晴らしいです。何も、解説するひつようなどないとおもいます。

本日は、札幌に、所用があってきていましたので、ここくらいで終わりにさせていただきます。

ごじつまた、何か付け加えるかもしれません。よろしくお願いします!

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