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2018年4月5日木曜日

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸―【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸

代議士会に臨む希望の党の玉木雄一郎代表=3月29日午後、国会内

 希望の党が民進党との合流に向け、分党について協議すると報じられた。民進党も新党結成構想について全会一致で了解を得たという。衆院で野党第1党の立憲民主党を含め、展望はあるのだろうか。説明を追加

 希望と民進の協議に関する報道を見たとき、筆者はエープリルフールの冗談かと思ったくらいだが、関係者は「新しい民主党」に真剣なようだ。その時点で、一般人と感覚がずれていると思う。

 今からわずか半年前、昨年10月の総選挙で、小池百合子都知事が立ち上げた当初の希望の党は台風の目となり、その人気目当てに民進は分裂した。

昨年10月、希望の党の立ち上げ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 いち早く駆け込んだ人は希望、入りたかったが小池氏が「排除」したので入れなかった人が立民、そのままの人が民進-と大ざっぱに分けられる。このときの分裂は、結局選挙目当てが最大の動機だったのは間違いない。

 ところが、小池氏が、「排除」発言で大きくこけて、希望は伸びなかった。総選挙後に希望は、創設者だが既に人気がなくなった小池氏を「排除」した。「排除」の過程で、希望と立民をかろうじて分けていた、リアルな安全保障や憲法改正について、どちらも変わらなくなっていった。

 変節は有権者に見透かされており、次期総選挙では希望の消滅は確実との見方もある。そのような情勢で、希望と民進の合流話が出てきているのだが、やはりこれも「選挙互助会」を作りたいということだ。半年の間に、こうした分裂や再編を繰り返せば、有権者の信頼を失うだけだろう。

 それでも、希望と民進は合流するだろう。というのは、両者は今のままではじり貧だからだ。衆議院の勢力をみると、希望51、民進12(党籍を持っている無所属)、立民55である。ここで、希望と民進が合流すれば、立民を抜いて衆院で野党第1党になる。

 そうなると、立民はどうするのか。財務省による文書改竄(かいざん)問題などでは野党6党で一致団結している。野党6党とは、立民、希望、民進、共産、自由、社民の各党だが、共産を除く5党は、一般の有権者から見れば、もはや政策の違いがわかりにくい。

 希望と民進の合流がうまくいけば、その次には立民も合流してもおかしくない。民進分裂の原因であった小池氏がもういないので、元の鞘に収まっても不思議ではない。

 とはいえ、立民は合流話に乗らないだろう。というのは、小池氏の「排除」発言によって、結果として勢いを増したので、「排除」した側の希望には乗れないからだ。昨年の総選挙の際、希望と立民について「偽装分裂」との見方もあり、やはりそうだったのかといわれないためという理由もあるだろう。

 となると、似たもの同士の希望と立民が合流しないという、政治的には奇妙な状態となる。

 政策はどうでもよく目先の選挙だけで右往左往する野党に、有権者はとても政権を委ねられない。これは日本の民主主義にとって不幸なことだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望、立民、民進党の行動を考えるには、やはり労組の動きを理解しないと十分に理解できないと思います。

その中でも、連合とこれらの党の関係を理解すべきです。連合(正式名称:日本労働組合総連合会)は、1960年代後半から繰り返し志向されてきた社会党系の日本労働組合総評議会(総評=社会党右派を中心に中間派・左派を含む)、民社党系の全日本労働総同盟(同盟)、中間派だった中立労働組合連絡会議(中立労連)、全国産業別労働組合連合(新産別)の労働4団体の統一によって結成されたものです。

但し、1986年の「日本社会党の新宣言」採択まで長くマルクス・レーニン主義を掲げ、自衛隊違憲・解消、日米安保反対、非武装中立、日の丸・君が代反対、脱原発を主張した社会党系の総評(公務員労組中心、日教組・自治労など)と、民主社会主義と反共を掲げ、自衛隊や日米安保、日の丸・君が代、原発に賛成していた民社党系の同盟(民間労組中心)とは水と油の関係であり、基本政策のすり合わせをしないままに行われた統一でもありました。

当該4団体等による「労働戦線統一」の動きは、1982年12月14日の全日本民間労働組合協議会(全民労協。初代議長は竪山利文・電機労連委員長)の結成により大きく進展しました。

全民労協が1986年11月の第5回総会で翌年秋の連合体移行を確定したことを受け、まず同盟が1987年1月の第23回年次大会で解散方針を決定し、総評、中立労連、新産別の3団体も秋までに「連合」への合流を決定しました。


1989年11月21日、東京厚生年金会館で日本労働組合総連合会の結成大会を開き、初代会長に情報通信産業労働組合連合会(情報通信労連)委員長・山岸章を選出しました。 総評系産別を加えて78産別、組合員約800万人を結集させ、労働4団体等の統一を完成させました。なお、山岸は“労働戦線統一の功績”により2000年4月に勲一等瑞宝章を受章しました。

山岸章氏

他方、連合の発足を「労働界の右翼的再編」「反共・労使協調路線」と攻撃する日本共産党系の「統一労組懇」等は、これに対抗して連合結成と同じ1989年11月21日に全国労働組合総連合(全労連)を、総評左派系(社会党左派系)の一部は12月9日に全国労働組合連絡協議会(全労協)を結成しました。

さて、この連合は昨年衆院選で特定の政党を支援せず、立憲民主党や希望の党(結党メンバーを除く)、無所属で戦った民進党出身者らを個別に推薦し、このうち99人が当選しました。


しかし選挙戦では連合傘下の産別労組のうち、自治労など左派色の強い旧総評系が立憲民主党、自動車総連など旧同盟系が希望の党の支援を目立たせるなど、組織に長年潜んでいた対立構図も浮き上がりました。

希望の党で当選した民進党出身の衆院議員は「連合から推薦を受けたが自治労などはほとんど現場で動かなかった」と打ち明けています。

立民、希望、民進3党がそれぞれ地方組織をどう構築するのかも見通せず、高い集票力を持つ連合の組織力は宙に浮いたままです。今年の通常国会では連合が強いこだわりを持つ「働き方改革」の関連法案も審議される見通しで、神津氏らは焦りを募らせています。

希望の党は小池元代表の「排除発言」だけでコケたというわけではない。その背後になは何が?

さて、ここであれだけ台風の目になった希望の党がなぜ選挙戦中でコケてしまったのか、もう一度振り返っておきます。ブログ冒頭の記事では、小池氏が、「排除」発言で大きくコケてしまったとありますが、無論表面的にはそのような面もありますが、それだけではありません。

何と言っても、まずは、希望の党の公約に示された経済政策があまりにもお粗末であったことと、希望の党が改憲勢力でもあることから、希望の党が躍進すれば、国会で改憲勢力がさらに大きな勢力を占めることに危機を抱いた、マスコミが選挙戦途中から希望の党を徹底的に叩きはじめたことの両方によるでしょう。

それでも、経済政策がまともであれば、いくらマスコミが叩いたとしても、保守派などでも擁護する人がでてきた可能性がありますが、あまりに酷い経済政策であったためその動きもなかったことが致命的になったと考えられます。

その、希望の党の経済政策を以下にあげておきます。

希望の党の政策集『私たちが目指す「希望への道」』には、消費税増税について「凍結する」と明記しているのですが、同時にこう書いていたのです。
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間活力を引き出す『ユリノミクス』を断行する」「日銀の大規模金融緩和は当面維持した上で、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」。
大規模な金融緩和によって現在の景気回復があるのに、その金融緩和を止める方向を模索するというのです。しかも「財政出動」にも否定的です。仮にこうした「緊縮財政」政策が採用されたら、日本は再び不景気へと転落し、再びデフレスパイラルのどん底に沈みことが予想される内容でした。

特にひどいのが「内部留保」課税でした。政策集には「300兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす」とあります。

内部留保とは、そもそも法人税(国税)と事業所税(地方税)を払った後の残りです。これに課税するのは二重課税であり、租税原則に反するものです。

しかもこの内部留保は、必ずしも現金として手元に残っているわけではなく、設備拡充や技術開発などの再投資に回されている場合が多です。ただし内部留保が積み上がり、現預金の比率が高くなってきていることも事実ではありました。このため、麻生財務大臣のように「金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか」と問題視する声もありました。

そもそも企業が設備投資を拡大しないのは、2014年に消費税を8%にあげて個人消費を縮小させてしまったからです。よって政府がなすべきことは個人消費を拡大する政策、つまり消費税減税と、日銀による更なる金融緩和による環境整備であるはずです。

ところが希望の党は、大企業に対して「設備投資を拡大しないのなら内部留保に課税するぞ」と恫喝する政策を打ち出したのです。内部留保を積み上げる大企業に対して罰金を課そうという発想は社会主義特有のものであり、極めて恐ろしいものでした。これでは、保守層は反対にまわるのも無理はありませんでした。

もしこの内部留保課税が具体化するならば、優良企業は国外へと逃げ出すことになったでしょう。そしてそれは、雇用環境の悪化をもたらすだけでした。これでは、『私たちが目指す「希望への道」』ならぬ、『私たちが目指す「地獄への道」』と言っても良いような内容でした。

希望の党の公約。特に経済政策を読み込むと、それは恐ろしい内容だった

枝野幸男代表の「立憲民主党」の選挙公約における経済政策も、金融政策や財政政策には見るべきものがありませんでした。「所得税・相続税、金融課税を含め、再分配機能の強化」と、金持ちに対する税金を上げて、その一部を貧困層に配る典型的な「社会主義政策」が掲載されているぐらいでした。

企業や金持ちに対する課税強化では、景気は回復しません。そして景気が回復しなければ、福祉を充実させる財源も捻出できません。立憲民主党は、民主党政権時代になぜ景気が低迷したのか、なぜ社会保障を充実させることができなかったのか、まったく学んでいないようでした。

現在の希望の党、立憲民主党、民進党とも、希望の党がなぜ勢いを失ってしまったのかその根本原因を全く理解していないようです。そうして、最初から筋悪の「森友問題」に拘泥し、政局においてすらも何の成果もあげられていません。労働者の生活を脅かす増税キャンペーンを長年にわたって行ってきた財務省に矛先を向ければ、まだ何とかなったのかもしれませんが、とにかく「疑惑」の追求で決定打に欠いて、ワイドショー民にすら飽きられて埋没してしまいました。

デフレ期には、適切な金融政策と政府による財政出動、そして民間企業の活動を阻害する「規制」の緩和で自由な企業活動を支援し、個人消費を拡大することこそが景気回復への道であるはずです。そうして、景気回復によって一番の受益者になるのは、他ならぬ労働組合を組織している労働者でもあることに気づくべきです。

この点について、野党だけではなく、連合自体も気づくべきです。そうして、景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけになることでしょう。無論今の野党に政権を担わせることもできません。

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2017年7月21日金曜日

雇用確保の実績が上げられず…連合、民進離れと政権接近のウラ―【私の論評】連合という支持基盤を失う民進党はまもなく消滅(゚д゚)!

雇用確保の実績が上げられず…連合、民進離れと政権接近のウラ

高橋洋一 日本の解き方

会談前、連合の神津里季生会長(左奥)と握手する安倍晋三首相=先月24日午後、首相官邸
 連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長が安倍晋三首相と会談し、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」について、働き過ぎを防ぐ対策を手厚くする修正を求めた。安倍首相は条件を受け入れたことで、高プロに強く反対してきた連合が容認に転じる方向だという。このタイミングで政権と連合が接近した背景を考えてみたい。

 高プロの対象となる人は、特定高度専門業務(金融商品の開発業務、ディーリング業務、アナリスト業務、コンサルタントの業務、研究開発業務などを厚労省省令で規定)に従事し、使用者との合意で職務が明確に定められている。


 賃金額は平均賃金額の3倍を相当程度上回る水準以上で、具体的には年収1075万円以上を想定している。これらの人には、労働時間に関する規定が適用されず、残業という概念がなくなる。

 国税庁の2015年度民間給与実態統計調査によれば、この水準に入るのは全体の4%程度である。しかも、この数字は、会社役員をも含む数字であるので、労働者に対する割合はもっと低くなるだろう。年収基準は今後引き上げられるだろうが、平均賃金額の3倍を上回るという法律で規定されている基準がある。名目的な金額は引き上げられても、実質的に一部の高額賃金サラリーマンであるのは変わらない。全体に占める割合も今とさほど変わらず、数%程度であろう。

 それにも関わらず、一部マスコミではあたかもすべての労働者に適用されるかのような報道ばかりだった。「残業代ゼロ」とのマスコミのネーミングで、正しく問題を認識できない人が多いのだ。

 ちなみに「残業代ゼロ」の代わりに、「年収1000万円以上の人については、時間外労働の所得税課税が100%になる」といえば、反対する人もいなくなるだろう。

 実を言えば、これまでの日本でも、(1)労働基準法上の管理監督者(2)企画業務型裁量労働制(3)専門業務型裁量労働制がある。

 (1)は年収700万~800万円とされ、労働基準法による労働時間の規定が適用されない。(2)と(3)は、対象者の年収制限はないが、実労働時間にかかわらずあらかじめ決めた労働時間を働いたものとみなす。

 もちろん、欧米でも労働規制の適用除外がある。欧米における適用除外対象者の労働者に対する割合は、米国で2割、フランスで1割、ドイツで2%程度といわれている。

 こうしてみると、高プロの導入は世界から見れば当たり前、むしろ適用対象が少ないくらいだ。

 さすがに連合も、理不尽に高プロに反対し続けるのは無理と判断したのだろう。安倍政権が、就業者数の増加、失業率の低下、有効求人倍率の上昇など、過去の政権の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げているのも大きい。連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるのだ。一方、民進党は雇用確保の実績が上げられず、情けないものだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】連合という支持基盤を失う民進党はまもなく消滅(゚д゚)!

ブログ冒頭高橋洋一氏の記事では、「最後に安倍政権が、就業者数の増加、失業率の低下、有効求人倍率の上昇など、過去の政権の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げているのも大きい。連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるのだ。一方、民進党は雇用確保の実績が上げられず、情けないものだ」としめくくっています。

確かにそうです。たとえば、世界的にみれば、安倍政権の実行してきた金融緩和策は、雇用を改善するものとして、労働組合や左派が賛成する政策です。

縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となるという経験則が昔から知られています。そうして、この曲線をフィリップス曲線と呼びます。

フィリップスが初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていましたが、物価上昇率と密接な関係があるため、縦軸に物価上昇率を用いることが多いです。

これは、短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味しています。(インフレーションと失業のトレードオフ関係)。つまりフィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線です。

以下に日本のフィリップス曲線を掲載します。無論日本でもこの関係は成り立っています。


期待インフレ率が上昇すると、名目賃金には硬直性があるため、実質賃金(=名目賃金/予想物価水準)が低下します。完全雇用が達成されていない短期においては、この労働力価格の低下を受けて雇用量が増加し、失業率が減少します。その後に実質賃金もあがるようになります。

民進党などはこのからくりを知らないので、日銀が金融緩和をして実質賃金が下がったことをもって、「緩和しても実質賃金が下がっている」などと頓珍漢な批判をしていました。事実は「金融緩和すると雇用が増えて一時実質賃金が下がるの」のは正常なことです。金融緩和の効果があったということです。

さらに単純に言えば、日本のようなある程度人口の多い国で、金融緩和策でインフレ率を数%上昇させることができれば、その他は一切しなくても、たちどころに数百万の雇用が創設されます。

無論、雇用のミスマッチなどはありえますが、とにかく雇用が生まれるのは間違いありません。フィリップス曲線は、無論日本でも成り立っています。これは、否定しようのない現実です。

期待インフレ率と失業率の間には右下がりの関係が描けるのです。そして一般に、期待インフレ率が変化すると実現するインフレ率もそれに応じて変化するため、実現したインフレ率と失業率の間においても右下がりの関係が表れることとなります。

その他にも、不完全情報モデル等様々に導かれる総供給曲線を、オークン法則と組み合わせることなどにより、フィリップス曲線を得ることが出来ます。

このように、金融政策と雇用には密接な関係があります。日本ではなぜかこのことがほとんど認識されておらず、そのことを認識しているのは、政治家では安倍総理とその側近などを含むほんの少数派です。


しかし、欧米ではこのことは良く理解されていて、雇用が悪化すると多くの人々は、まずは中央銀行の金融政策を問題視します。日本では、雇用が悪化すると、厚生労働省の問題とされますが、それは全くの見当違いです。

雇用枠そのものは、はあくまで、日銀が確保すべきものであって、その確保された雇用枠内で、雇用のミスマッチなどを解消するのが、本来の厚生労働省の役割です。厚生労働省は雇用そのものをを生み出すことはできません。

このことを全く理解していないのが、多くの政治家です。自民党の政治家らもほとんど理解していないのですが、安倍総理を含む少数は理解しており、だからこそ、金融緩和をおしすすめ、雇用が劇的に改善して今日に至っています。

金融緩和などの施策は、海外では労働者の雇用を促進するということで、労働組合や左派が推進する政策です。

民進党は安倍政権にお株を奪われた形です。民進党はこのことを理解しているのは、馬淵議員と、金子洋一元参議院議員のみです。

それにしても、雇用が悪化したときの金融緩和は、過去において何度も実施されてきて、成功してきた施策です。このように過去に確かめられてきた確実な施策を実行するという点では、何かを改革しようというときに、ウルトラCをするというのではなく、確実で堅実な手を打つということでは、安倍総理はまさに保守中の保守ということができると思います。ただし、2014年春からの消費税増税は大失敗でした。しかし、雇用を劇的な改善したということでは、大成功です。

こうした安倍政権に対して、民進党は金融緩和と雇用との間には密接な関係があるなどということは、全く知らず、安倍政権や金融緩和策に対して、不毛な批判や頓珍漢、奇妙奇天烈な論議を繰り返すばかりでした。

さて、上の記事では、連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるとしていますが、まさにそのとおりです。このままでは、連合は民進党から離れるということも十分に考えられます。

今年3月12日、民進党の定期党大会が行われ、代表の蓮舫氏は「2030年代の原発ゼロ」という目標の前倒しについて基本法案を作成する方針を表明しました。また、次期衆議院議員選挙に関して「政治人生すべて懸け、民進党で政権交代を実現したい」と語ったことが広く報じられました。

3月12日、民進党の定期党大会にて
民進党のエネルギー政策については、安倍晋三政権との差別化を図る意味でも脱原発の推進が基本路線ですが、「30年代」あるいは「30年」と定める原発ゼロ方針には、最大の支持母体である日本労働組合総連合会(連合)の反発もあり、そのゆくえが注目されていました。

「30年代」から「30年」に目標を前倒ししたい蓮舫氏に対して、傘下に全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を抱える連合が「政権担当力に逆行する」と猛反発する構図です。2月には、連合に配慮するかたちで蓮舫氏が党大会での原発ゼロ方針の具体的な表明は断念するという報道もあったのですが、結果的にはこれが打ち出されました。

これでは、連合は蓮舫氏にまた騙されたといって良いです。蓮舫代表は、「30年に原発廃止、を撤回する」ということで一度は話をまとめた連合の顔に泥を塗ったのです。

蓮舫代表は、約束を反故にして党大会で言及しただけでなく、「法案までつくる」と明言しました。これは連合に対する完全な裏切り行為です。支持母体をないがしろにして独断で物事を進める先には、連合の民進党離れもあり得るでしょう。

すでに、民進党内でも動きが出ていました。党大会後、最大会派の旧維新グループが、蓮舫氏と原発政策で同調する江田憲司氏を中心とするグループと松野頼久氏を中心とするグループで分裂したのです。

そもそも、連合はかねて共産党を含む野党共闘に対して反発しており、最近は自民党寄りの姿勢も見せ始めています。一方、民進党は各県連や支部において連合や労組の施設を間借りしているケースがあり、仮に連合が民進党を見限れば追い出される可能性もあるでしょう。


連合は、旧民社党を支持する労働団体である全日本労働総同盟(同盟)と、旧社会党を支持する労働団体である日本労働組合総評議会(総評)の2大団体が合流するかたちで1989年に誕生しました。一方、連合に加盟していない全国労働組合総連合(全労連)は共産党系の労働組合です。

連合と全労連は対立してきた歴史がある上、旧民社党は反共産主義をうたっていました。そのため、一昨年の民共共闘の時点から連合は強く反発しており、大きなアレルギー反応を示す人が多かったのです。

蓮舫氏と連合といえば、昨年10月の新潟県知事選挙をめぐって一悶着ありました。連合新潟が与党系候補を支援し、民進党は「自主投票」とする中、蓮舫氏が突如野党系候補の応援演説に駆けつけ、連合の反発を招いていたのです。

いずれにせよ、連合と民進党の関係悪化がさらに進むことは濃厚です。今後、民進党は連合の組織票を期待するのは難しいでしょう。依然として民進党支持を打ち出すのは、全日本自治団体労働組合(自治労)や日本教職員組合(日教組)など従来の3分の1以下になる可能性もあります。

連合会長の神津里季生氏は、党大会で民進党との対立報道について「真摯に議論を重ね、それぞれにそれぞれの方々が真剣に意見を交してきたものであると理解しております」と説明、「責任ある対応を引き継がれることが、国民の期待とつながるものであると考える」「支持率が急上昇するような秘策はないと思います」と政策に釘を刺す一方、「私たちにとっては民進党しかありませんから」とも語っていました。

しかし、連合が民進党を応援し続けたにしても、今後何のメリットも期待できません。最近安倍内閣の支持率が低下しているものの、民進党の支持率も落ちており、さらにはコツ会では不毛な森友・加計問題の追求をするばかりで、まともな政策論争など期待できません。

そもそも、雇用に関する視点が狂っており、この状況も改善される見込みは全くありません。であれば、連合のような労働組合からすれば、支持をしたとしても、何のメリットもないわけですから、これ以上民進党との関係を続けていてもまったく意味がありません。

連合の神津里季生会長は、民進党にまかせていれば、今回の「高プロ」制度も、ただ反対するばかりで、良いことは一つもないと判断したのでしょう。だからこそ、自ら安倍総理と会談して、条件つきで「高プロ」を認める意思を直接伝えたのでしょう。

これから、このようなことが増え、徐々に連合は民進党から離れていくのでしょう。そうして、最大の支援基盤を失う民進党は破滅することになります。

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