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2016年9月25日日曜日

【コラム】ナチスを震え上がらせたスイスの「精神防衛」に学べ―【私の論評】『頭の中のお花畑』から『精神防衛』への転換が重要な課題(゚д゚)!

【コラム】ナチスを震え上がらせたスイスの「精神防衛」に学べ


先月、訓練中のスイス空軍の戦闘機がアルプスで消息を絶った。「アルプス山脈のどこかに墜落したものとみられる」というニュースを読んだが、戦闘機が飛び回る「アルプスの国」を思い浮かべるのはおかしな気分だった。スイスは平和な永世中立国ではないか。しかし、それはイメージだけだ。安全保障の観点から見ると、意外に堅固な国だということが分かる。

スイスは、ドイツ・イタリア・フランス・オーストリアなど大国に囲まれた、巡り合わせの悪い国だ。第2次世界大戦時、ナチス・ドイツはスイス侵攻説を流し続けて政治的・経済的・軍事的に脅しをかけることで、スイスを心理的に圧迫した。しかし、スイスを攻撃することはついにできなかった。スイスの断固たる対応が、ドイツの侵攻の意思をくじいたからだ。

帝国議会でナチス式敬礼を受けるヒトラー(白い演壇の一つ下、黒い演壇で敬礼に
応えている)、ベルリン、1941年。写真はブログ管理人挿入以下同じ。
 豊かな国になった現在も、それは変わらない。スイスの情報機関「連邦情報部」(NDB)は、今年の年次報告書で「スイス国内でますます大きくなる中国の経済的、イデオロギー的影響力に警戒すべき」と警告した。そして、ジュネーブやバーゼルにある中国の「孔子学院」を要注意リストに載せた。NDBのマルクス・ザイラー長官は「中国への経済的依存度が高まる状況はスイスにとって脅威になっており、孔子学院は影響力拡大を狙った中国の戦略の一つ」と分析し「世界2大国へと浮上する中国の外交的・安全保障的影響力は南シナ海を超え、いずれ全地球的なレベルで影響を及ぼすだろう」という見方を示した。

ザイラー長官の警告は、ちょうどスイスにチャイナ・マネーが流れ込みつつある時点でなされた。このところ、スイスは中国との自由貿易協定(FTA)締結で貿易額が激増し、観光客も流れ込んでいる。中国からほぼ8000キロ離れたスイスの対応は、安全保障とは銃剣だけでやるものではない、ということを教えている。中国とは地球の反対側にある国ですらその脅威を警戒する姿は、韓国人に真剣な問いを投げ掛ける。韓国はこれまで中国の急成長がもたらす利益に酔い、政府・企業・国民問わず、国を挙げて自ら弱点をつくり上げてきたのではないかと。

杭州の主要20カ国・地域(G20)サミットで習近平国家主席は、韓国と米国に向けて、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対する意向を明らかにした。中国のTHAAD攻勢は、どのような形にせよ、再開されるだろう。あちこちの集会で司会者として登場するある芸能人は、THAAD反対の集会で「なぜ安全保障問題の代案を国民に要求するのか。それをやらせるために、大統領と国会議員を選んだのではないか?」と主張した。国民の決意に満ちた態勢こそ安全保障の核心と考えるスイス人がこの言葉を聞いたら、何と言うだろう。

人口も軍事力も貧弱なスイスが見せつけたのは、「精神防衛」という価値の下、がっちり一団になった国民の気勢だった。「国民全てが軍人であり、自分が立っている場所が要塞(ようさい)」「侵攻するならしてみるがいい。スイスは、勝つことはできないだろうが、お前たちも壊滅に近い損害を被るだろう」というメッセージを投げ掛けた。ドイツは、その覚悟が口先だけの脅迫と考えることはできなかった。貧しい祖国を食べさせていくため、他国の雇い兵として馳(は)せるときにスイス人が見せる勇猛さを、よく知っていたからだ。はっきり目に見える「戦略的損失」を前に、ドイツは野望を引っ込めることしかできなかった。「ハリネズミ戦略」とも呼ばれるスイスの防衛態勢は、「自分たちのほかは誰も信用できない」という安全保障面での覚醒があったから可能だった。

李吉星(イ・ギルソン)北京特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【私の論評】『頭の中のお花畑』から『精神防衛』への転換が重要な課題(゚д゚)!

日本では、スイスは永世中立国で、専守防衛の国だとして、リベラルの方々が褒めそやすくにですが、実像は上の記事をみてもわかるように全く違います。


スイスは、日本のように「軍事力の放棄」することなく、「軍事力を保つ」ことによってその独立と平和を守っています。しかもそれだけではありません。常に独立と平和を守れるように、「民間防衛」というマニュアルを、スイス政府自らが編集し、全スイス国民に配布しています。

この本の範囲は、戦時中の避難方法から、占領された後のレジスタンス活動方法まで非常に多岐に渡ります。その中でも、「戦争のもう一つの様相(P225~P272)」は、現在の日本に非常に参考になります。

なぜなら、最近の日本と周辺国(中国、韓国、北朝鮮)の状況が、この本に記述されている「敵に武力以外による攻撃を受け、破滅へと導かれる状態」と非常に良く似ているためです。以下に『民間防衛』というスイス政府が編纂した書籍の日本語訳の書籍の表紙の写真を掲載します。

民間防衛―あらゆる危険から身をまもる

日本が、集団的自衛権をやめて、専守防衛をするというのなら、スイスのようにならなければ、とても日本を守り切ることなどできません。

『民間防衛』に関しては、その内容を簡潔にまとめているサイトが存在しました。そのサイトから以下にリンクを掲載します。

■メインコンテンツ
「民間防衛」からの引用とその解説です。時間がなければ「重要」の部分だけでも目をとおしてください。 
・はじめに・敵は同調者を求めている1 / 眼を開いて真実を見よう・敵は同調者を求めている2 / 社会進歩党は国を裏切るだろうか・外国の宣伝の力 / 不意を打たれぬようにしよう重要敵はわれわれの抵抗意志を挫こうとする / 警戒しよう・敵は意外なやり方で攻めてくる / 自由と責任・敵はわれわれを眠らそうとする / われわれは眠ってはいない・スポーツも宣伝の道具 / 真のスポーツ精神を守ろう・われわれは威嚇される / 小鳥を捕らえる罠・経済的戦争 / 経済も武器である重要革命闘争の組織図・中まとめ・敵はわれわれの弱点をつく / スイスは、威嚇されるままにはならない・混乱のメモ / 健全な労働者階級はだまされない重要危機に瀕しているスイスに、人を惑わす女神の甘い誘いの声が届く/ 心理戦に対する抵抗重要政府の権威を失墜させようとする策謀1 / 政府と国民は一致団結している重要政府の権威を失墜させようとする策謀2 / それにもかかわらず、国民と政府は一致団結している重要政府の権威を失墜させるための策謀 / 国民と政府は動揺しない・内部分裂への道 / 自らを守る決意をもっていれば重要滅亡への道……… / 法と秩序が保たれれば・スイスが分裂していたら / スイスが団結していたら
・首に縄をつけられるか / われわれは他国に追随しない・終局 / スイスにはまだ自由がある・おわりに
さて、このようなマニュアルを配布し、国民皆兵制のスイスでは日本では決してお目に書かれない、非日常的な風景が普通にみられます。その写真を以下に掲載します。

自宅に対空機関砲を備える人。いざとなったら、これで
迎え撃つ。機関砲を構えてご満悦。替え銃身も揃えていそう。
それと以下にネットで拾った、スイスのスーパーマーケットの写真を掲載します。

スイスでは、日常風景のこの写真。写真の方は、予備役の軍人だそうですが、銃を持った軍人がスーパーで普通に買い物している国がスイスです。

一方韓国への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備は、韓国にとって北朝鮮からの攻撃に対する韓国防衛の要になるはずです。むろん、これは中国に対する牽制にもなるのは明らかです。

韓国は、もともと輸出がGDPの40%程度を占めるとか、その中で対中国輸出が一番大きいということで、中国依存の国です。

しかし、経済と安全保障は切り分けて考えるべきですし、それに将来のことを考えれば、はやめに内需を拡大して、輸出にたよる経済運営はやめるべきです。日本は、輸出がGDPに占める割合は、十数%に過ぎず、アメリカに至っては数%に過ぎません。

輸出がGDPに占める割合が高いことは、少し前までは、国際競争力があるなどとして良いことのように受け止められていましが、今やその認識は改めるべきです。ここ数年では、国際貿易そのものの伸びがかなり鈍化しています。さらには、輸出が大きいということは、反対のほうからみれば、外国の情勢に左右されやすいということです。

日米は元々内需が大きいことから、韓国のように経済が外国の情勢に左右される割合は少ないです。日本をはじめとする先進国は、個人消費がGDPに占める割合は60%以上です。米国に至っては、70%です。韓国は、安保的な観点からも、早急に個人消費を高める政策をとるべきです。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事をご覧いただくものとして、ここでは解説しません。

しかし、経済の面では、安全保障の観点からみれば、韓国よりははるかに良い状態の日本なのですが、他方「精神防衛」という観点からみれば、韓国と同等かそれ以下です。

頭の中のお花畑
そもそも、スイスでは自宅に機関砲を備えたり、スーパーに自動小銃を携えて買い物に行く予備役がいるというのは、さすがに世界的にもあまり見ない風景ですが、軍服を着た軍人が町を歩いていたり、移動していたりするのは、普通の風景です。

しかし、日本ではそのような風景ですら滅多に見ません。集団的自衛権を行使することを標榜する日本では、さすがに集団的自衛権を行使せず、専守防衛の方針を貫き、民間防衛で国を守ろうとするスイスのようにする必要はないです。

しかし、昨年の集団的自衛権の行使をめぐる安保法制の審議過程における、あの騒動を考えると、では安保法制反対の方々は、専守防衛をするということは、スイスのようになることであることを理解しているのかと問いたくなります。


集団的自衛権を行使するにしても、専守防衛にしてもやはり「精神防衛」がなっていない、ようするに「頭の中がお花畑」ではまともな安全保障論議はできません。

安全保障論議をするなら、少なくとも頭の中の「お花畑」を葬り去らなければなりません。過去の日本は集団的自衛権の行使によって、米軍に基地を提供する一方で、アメリカの核の傘の下に入り、防衛に関してあまり考える必要はありません。しかし、世界の警察官をやめた米国は今後も日本の防衛を今までどおり守ってくれるかどうかなど定かではありません。

今こそ『頭の中のお花畑』から『精神防衛』に転換すべき時です。

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