グーグル・マップ不動産検索の画面 |
詳細はは、以下のURLをご覧になってください。
ここでは、その要旨を掲載しておきます。
2009 年 7 月に米国で、2010 年 8 月に日本でも開始した Google マップの不動産検索機能は、「多くの物件情報を一度に地図上に表示する」というコンセプトを非常に高く評価していただきました。しかしながら、実際のサービスの利用増加にはなかなか繋がらず、様々な側面から検討した結果、断腸の思いではありますが、本年 2 月 11 日をもって、サービスを停止することになりました。サービスの停止は、日本を始め、今日同サービスを提供しているすべての地域(米国、オーストラリア、ニュージーランド、英国)が対象となります。Google Japan Blog: Google マップの不動産検索について
【私の論評】情報過多の時代に人が果たす役割とは?
このサービスが登場したばかりのときには、素晴らしいと思いましたが、結局はほとんど利用もしてないうちに、本日の中止の正式発表です。GoogleやAppleに関しては、成長企業なので、あまり失敗に関して報道されることもありませんし、実際失敗なども少ないですから、このような失敗は滅多にないことです。私たちは、こうした情報過多の時代にこのGoogle Mapの不動産検索が失敗した理由について、その背景を謙虚に見定めておく必要があると思います。
このニュースは他のものにまぎれてしまって、あまり大きな扱いがされていませんが、かなり大きなものであると認識すべきものであると考えます。このようなサービスがでてきたときには、従来からある不動産業とも競合して、不動産業自体の存続の危機につながるのではないかと危惧もしましたが、結局はこの結果です。グーグルの持つ、情報処理能力からすれば、このサービスも拡大し、グーグルの大きな収益の柱になると、グーグル自身もそう考えたでしょうし、他の人々もそう考えたに違いありません。
Googleのビジネスモデルは、昔から広告であり、今でもそれは変わらず、収益の95%以上が、広告の収益によるものであることは、以前からこのブログでも、再三にわたり掲載してきました。Googleのあらゆる情報を、整理し統合し、ユーザーに検索しやすくして、検索ユーザーを多く集め、そこで広告を掲載して収益をあげようという目論は不動産情報では失敗に終わったわけです。おそらく、思ったほどには、集客することができず、そのため広告をしても、収益とはならず、これからもその見込がないという判断なのだと思います。
不動産物件というものは、生き物です。だから、不動産を買おうとした場合は、それが、スペインにあろうが、イタリアであろうが、買い求めようと思えば、やはり、自分の足を運んで、その物件まで赴く必要があります。それが、たとえ、投資目的であったとしても、最低限騙されないようにするためにも、自分もしくは、少なくとも代理人に現地に赴むかせて、入念に物件を調査してもらう必要があります。
いわゆる、単純な製商品や、サービスであれば、サイトを見ただけでも判断がつきます。最近では、自家用車の新車や、中古車など、サイトでみただけで、購入する人もいますが、不動産はそうではありません。不動産にはいろいろな要素がからみあっていますから、その全体像を知るためには、データーのみでは無理があります、やはり、物件そのものを丹念に見る必要があります。日当たりから、傷み具合から、近所の施設、近隣の人々の様子、それに、購入の目的によっても、いくつも考慮しなければならない問題があります。そこに住むのか、商店などをたてるのか、あるいは他の目的なのかで随分異なってきます。住む人、利用する人の考えたや、趣味嗜好などでも随分考慮しなければならないことは星の数ほどあります。
こうした問題を解決するためには、やはり、最終的には物件の所有主もしくは、委託管理を請け負っている不動産会社を訪れて話をし、実際に物件を見ることになります。場合によっては、ユーザーの観点から複数の物件を徹底的に調査する必要があります。であれば、多くのユーザーは、物件そのものの情報が詳細に記されてるいるよりは、その物件を所有したり管理している個人や、法人の情報があれば良いということになります。不動産を購入する人は、そういう人に会って、実際に話をしたり、物件のある当該地を訪れ、独自でも調査して最終的に意思決定します。
なかなか、うまいたとえが見つからないのですが、グーグルの失敗は、本来は、あまり提供すべきではない情報を提供したということではないかと思います。本来、グーグルの果たす役割は、あまくで、ディレクトリーなど情報検索のための入り口なのですが、入り口以上の情報を提供して失敗したということです。たとえば、糖尿病の人が治療のための方法を探そうとしたときに、病院、医師、健康法の入り口を提供するべきものを、グーグル自身が、糖尿病そのもののいろいろな型や、その型にそった健康法や薬の内容まで、提供してしまったようなものです。
上では、不動産とユーザーとの関係を医師と、患者の関係にたとえましたが、まさに不動産に関してはそのようなところがあると思います。医師といっても、今では、様々なタイプがいます。外科、内科、小児科の専門もありますし、内科だって、消化器専門とか、循環器が専門などとわかれています。不動産業も、無論そうです。全国一律で情報を提供するなどは不可能で、地域の不動産業はあくまで、地域の専門家です。さらに、不動産業といっても、その中でも専門性もあります。
このように専門性を問われる分野では、いままで、Googleが提供してきた全国一律的な検索エンジンでは限界があります。
グーグルが情報を提供するにしても、こうした情報であれば、まずは、ユーザーの病歴などをあらかじ、知って、その人に相応しい治療法も知った上で情報を提供すべきでしょうが、そこまでは、できません。だから、医師から聴いたりできる情報からすれば、はるかに劣るものしか提供できないわけです。それでは、意味がありません。
不動産についても、医師のように高度で専門的な知識までは必要はないですが、やはり、実際に、ユーザーの声をきき、そこから、取捨選択して、いろいろアドバイスが必要です。検索サービスでは、ここまでは提供できないので、結局Googleも失敗したのだと思います。それだけではなく、個々の物件が全部表示されてしまうので、最初からゲンナリという感じです。無論、検索機能があるのでそれを用いれば良いということになるのでしょうが、それでも、なかなかうまくはいかないです。
たとえば、私は現在函館の柏木町に住んでいますが、そこの物件を探したときのことを考えると、まずは、価格、面積、日当たりなどで条件検索をしたと思いますが、別にどうしても柏木町でなくても、もっと遠くに良い物件があれば、それでも良かったわけなので、また、価格にしたって、自分にとって良い条件がよりみたされていれば、多少高くてもそれでもいいわけです。また、柏木町でなくても、近くに物件があり、そこが条件を満たしていて、低価格であれば、そちらのほうが良いということになります。そうした自分の考えなどを勘案していくつか物件を提示していただける人がいたほうが良いということになってしまいます。
それに今の不動産屋さんだと、車で実際に現場までつれて行ってくれて、説明をしてもらえるので、物件を移動していくうちや、物件を見ているうちに、話をしながら、最初は茫漠とした物件への認識がだんだんまとまって最終的に意思決定に至ることができます。
普通の人はこのようにして、物件を求めるものです。だから、この過程を検索でも再現できるようなシステムがあれば良いのでしょうが、残念ながら今のシステムではそこまでは対応していません。結局は検索システムを見るよりは、不動産屋に直接足を運んだほうが良いということになります。まだまだ、技術的イノベーションがなければ、現在のままでは不動産検索システムはうまくいかないでしょう。
それと、敗因のもう一つの背景は、グーグルが比較的不得意としているSNS機能がなかったことかもしれません。不動産そのものの、あまり細かい情報そのものを提供するよりは、SNS機能をとりいれて、たとえば、複数のユーザーや特定のユーザーと不動産業者が地図を共有できるようにして、ユーザーが見る地図自体は不動産業者が作成し、様々な情報の中から取捨選択したものにするとか。また、不動産情報そのものは、地域SNSの中に含まれているものであり、ユーザーが住もうとする地域の地域情報も様々な人から入手できるとか、複数のユーザーが住みたいと思っているところが、あれば、そのユーザー同士が、実際にその場所に住む前に、SNSを通じてご近所さん同士になってしまっているだとか・・・・・・。あるいは、ユーザーと当該地域の住民との間で交流を促進して、ユーザーがそこに住む前から、親しい関係を築いて、気持ちの上では、ご近所さんになっているとか・・・・。さらに、ソーシャル機能によって、不動産業者がユーザーの好みをより深く知ることができるようにするとか・・・・・。このような配慮に欠けていたように思います。
やはり、今のような情報過多の時代であっても、最終的には人、特に専門的な知識を持った人の果たす役割は大きいということです。
たとえば、私は現在函館の柏木町に住んでいますが、そこの物件を探したときのことを考えると、まずは、価格、面積、日当たりなどで条件検索をしたと思いますが、別にどうしても柏木町でなくても、もっと遠くに良い物件があれば、それでも良かったわけなので、また、価格にしたって、自分にとって良い条件がよりみたされていれば、多少高くてもそれでもいいわけです。また、柏木町でなくても、近くに物件があり、そこが条件を満たしていて、低価格であれば、そちらのほうが良いということになります。そうした自分の考えなどを勘案していくつか物件を提示していただける人がいたほうが良いということになってしまいます。
それに今の不動産屋さんだと、車で実際に現場までつれて行ってくれて、説明をしてもらえるので、物件を移動していくうちや、物件を見ているうちに、話をしながら、最初は茫漠とした物件への認識がだんだんまとまって最終的に意思決定に至ることができます。
普通の人はこのようにして、物件を求めるものです。だから、この過程を検索でも再現できるようなシステムがあれば良いのでしょうが、残念ながら今のシステムではそこまでは対応していません。結局は検索システムを見るよりは、不動産屋に直接足を運んだほうが良いということになります。まだまだ、技術的イノベーションがなければ、現在のままでは不動産検索システムはうまくいかないでしょう。
それと、敗因のもう一つの背景は、グーグルが比較的不得意としているSNS機能がなかったことかもしれません。不動産そのものの、あまり細かい情報そのものを提供するよりは、SNS機能をとりいれて、たとえば、複数のユーザーや特定のユーザーと不動産業者が地図を共有できるようにして、ユーザーが見る地図自体は不動産業者が作成し、様々な情報の中から取捨選択したものにするとか。また、不動産情報そのものは、地域SNSの中に含まれているものであり、ユーザーが住もうとする地域の地域情報も様々な人から入手できるとか、複数のユーザーが住みたいと思っているところが、あれば、そのユーザー同士が、実際にその場所に住む前に、SNSを通じてご近所さん同士になってしまっているだとか・・・・・・。あるいは、ユーザーと当該地域の住民との間で交流を促進して、ユーザーがそこに住む前から、親しい関係を築いて、気持ちの上では、ご近所さんになっているとか・・・・。さらに、ソーシャル機能によって、不動産業者がユーザーの好みをより深く知ることができるようにするとか・・・・・。このような配慮に欠けていたように思います。
やはり、今のような情報過多の時代であっても、最終的には人、特に専門的な知識を持った人の果たす役割は大きいということです。
さて、このような情報提供、グーグルですら失敗しているわけですから、他の企業などがやっても望み薄でしょう。世の中にはこのようなことが多くあると思います。これから、情報を最大限活用た事業を目論んでいる企業なども、このような落とし穴にはまらないように気を付けていく必要があると思います。グーグルほどの大手企業になってしまえば、この失敗はさほど大きな問題ではなく、さらに新たな検索エンジンへの参考や、次のステップへの準備への投資ともなりますが、小さな企業にとっては、命取りになりかねません。
情報を高度に活用するにしても、どの程度まで活用するのか、また、どのような情報をどの程度まで提供していくのか、見定める必要があると思います。
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